前回の続きですー♪
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マジックショップは酷い有り様になっていた。無惨に壊れ散らばった商品、憔悴しきった店主。
「金だけでなく、金目の商品も根こそぎ持ってかれちまった......オレぁこれからどう生活してけば良いんだ」
青い顔をした店主のおっさんを気の毒に思いながらも、オレたちは店の中を調べ始めた。
普通マジックショップには安い物から、とんでもなく高価な物まで置いてある。それを高価な物ばかり素早く選別して持って行くというのは、魔道に詳しい者でなければ出来ない芸当だ。ただのならず者には出来ない。それに......。
「雇ってた用心棒もやられちまった......死んでなかったのが救いだが、ありゃ重傷だ」
そうため息をつく店主も、マジックショップを営むくらいだから魔道には長けている筈なのだ。だから、普通はマジックショップに強盗を働こうとする輩は少ない。すぐに叩き出されるのがオチだ。
──それが、こんな風になるなんて......。
本当に、店には安物の防具や武器しか残っていなかった。高価なドラゴン皮のローブや、宝珠のついた剣など、普段店で良く目にする物がほとんど消えている。
「あの、強盗に遭った時の事を詳しく聞かせて頂けませんか?」
遠慮がちに尋ねたルシウスに、店主はゆるゆると頷いた。
「ああ。今朝方、店を開けた途端、明らかに賊らしい男たちが数人入って来てよ......こちらも警戒してたんだが、急に暴れ出して、慌てて用心棒のジャックを呼んだんだが、後から入って来た女魔道士にやられちまって......それからはもうオレも『影縛り(シャドウ・スナップ)』で動けなくされてる間に、金も何も全部持ってかれたよ」
「その、女魔道士と言うのは一体......?」
「やけに派手な格好した若い女だったな。仲間からは『リナ』と呼ばれてたよ」
「リナ......か」
──ありえない。そう言いたくなるのをぐっと飲み込んだ。
「その女自身の外見は?髪の色とか、目の色とか」
「そうだな......栗色の長い髪、赤みがかった茶色い目だ......それに」
「それに......?」
ごくり、と唾を飲み込む。
「凄い胸がでかかったな……スタイル抜群の女だった」
顔を見合わせたオレとレオナは、小さく息を吐いた。
「偽物だな......」
「そうね......」
「え!?なんでですっ!?」
確信するオレたちに、ルシウスが驚いた顔をする。そんなルシウスに、オレは顔を近づけた。
「良いかルシウス、良く聞けよ......リナ=インバースはチビな上にペチャパイだ!!だからそいつは偽物だ!」
何の迷いもなく断言する。ルシウスと、店主も一緒にぽかんとした顔をした。
「兄さん......聞かれてたら殺されるわよ」
レオナにジト目で言われて、オレは腰に手を当てて胸を張った。
「今はいないから大丈夫だ!......たぶん」
言いつつ、冷や汗が止まらないが、それは無視する事にする。
「と、とにかくその女魔道士がリナ=インバースの偽物だとはっきりした。そいつの足取りを追うぞ!」
「どうやって?」
「とりあえず、他の店にも行ってみようぜ。どうだ、ルシウス?」
「......そ、そうですね、分かりました!」
一つ頷いて、ルシウスは店主に向き直った。
「調査にご協力ありがとうございました。......その腕の怪我、治療しても?」
「えっ」
店主が驚いた顔をする。同時にオレも驚いた。
「隠していたみたいですが、ずっと腕を気にしてましたし、右と左で腕の太さが微妙に違いましたし」
「良くわかったな......」
店主が右腕のシャツを捲り上げると、一部包帯で不器用にぐるぐる巻きにされていた。ルシウスが包帯を解くと、酷い切り傷がある。
「女が行った後、残った賊にやられてな......不甲斐ねぇ」
「そうなんですか......」
オレとレオナが見守る中、ルシウスが呪文を唱え始める。てっきり『治癒(リカバリィ)』の呪文かと思ったが、それよりもより強い術だと気がついた。
「これは『復活(リザレクション)』......!」
周囲に存在する生命から少しずつ気を分けて貰い、それをエネルギー源に怪我を治療する術。瀕死の怪我を負った時など、リカバリィではどうにもならない時にも有用な呪文。白魔法でも上級の呪文だ。オレもレオナもまだ使うことが出来ない。
「これでも神官見習いですからね」
微笑み、長い詠唱呪文を呟きながら、徐々に店主の腕の傷を塞いでいく。
「......ありがとうよ」
「僕たちが、必ず犯人を捕まえてみせます......!」
その少年の決意に、オレもレオナも気合いを入れ直したのだった。
続く
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次回につづきます!
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マジックショップは酷い有り様になっていた。無惨に壊れ散らばった商品、憔悴しきった店主。
「金だけでなく、金目の商品も根こそぎ持ってかれちまった......オレぁこれからどう生活してけば良いんだ」
青い顔をした店主のおっさんを気の毒に思いながらも、オレたちは店の中を調べ始めた。
普通マジックショップには安い物から、とんでもなく高価な物まで置いてある。それを高価な物ばかり素早く選別して持って行くというのは、魔道に詳しい者でなければ出来ない芸当だ。ただのならず者には出来ない。それに......。
「雇ってた用心棒もやられちまった......死んでなかったのが救いだが、ありゃ重傷だ」
そうため息をつく店主も、マジックショップを営むくらいだから魔道には長けている筈なのだ。だから、普通はマジックショップに強盗を働こうとする輩は少ない。すぐに叩き出されるのがオチだ。
──それが、こんな風になるなんて......。
本当に、店には安物の防具や武器しか残っていなかった。高価なドラゴン皮のローブや、宝珠のついた剣など、普段店で良く目にする物がほとんど消えている。
「あの、強盗に遭った時の事を詳しく聞かせて頂けませんか?」
遠慮がちに尋ねたルシウスに、店主はゆるゆると頷いた。
「ああ。今朝方、店を開けた途端、明らかに賊らしい男たちが数人入って来てよ......こちらも警戒してたんだが、急に暴れ出して、慌てて用心棒のジャックを呼んだんだが、後から入って来た女魔道士にやられちまって......それからはもうオレも『影縛り(シャドウ・スナップ)』で動けなくされてる間に、金も何も全部持ってかれたよ」
「その、女魔道士と言うのは一体......?」
「やけに派手な格好した若い女だったな。仲間からは『リナ』と呼ばれてたよ」
「リナ......か」
──ありえない。そう言いたくなるのをぐっと飲み込んだ。
「その女自身の外見は?髪の色とか、目の色とか」
「そうだな......栗色の長い髪、赤みがかった茶色い目だ......それに」
「それに......?」
ごくり、と唾を飲み込む。
「凄い胸がでかかったな……スタイル抜群の女だった」
顔を見合わせたオレとレオナは、小さく息を吐いた。
「偽物だな......」
「そうね......」
「え!?なんでですっ!?」
確信するオレたちに、ルシウスが驚いた顔をする。そんなルシウスに、オレは顔を近づけた。
「良いかルシウス、良く聞けよ......リナ=インバースはチビな上にペチャパイだ!!だからそいつは偽物だ!」
何の迷いもなく断言する。ルシウスと、店主も一緒にぽかんとした顔をした。
「兄さん......聞かれてたら殺されるわよ」
レオナにジト目で言われて、オレは腰に手を当てて胸を張った。
「今はいないから大丈夫だ!......たぶん」
言いつつ、冷や汗が止まらないが、それは無視する事にする。
「と、とにかくその女魔道士がリナ=インバースの偽物だとはっきりした。そいつの足取りを追うぞ!」
「どうやって?」
「とりあえず、他の店にも行ってみようぜ。どうだ、ルシウス?」
「......そ、そうですね、分かりました!」
一つ頷いて、ルシウスは店主に向き直った。
「調査にご協力ありがとうございました。......その腕の怪我、治療しても?」
「えっ」
店主が驚いた顔をする。同時にオレも驚いた。
「隠していたみたいですが、ずっと腕を気にしてましたし、右と左で腕の太さが微妙に違いましたし」
「良くわかったな......」
店主が右腕のシャツを捲り上げると、一部包帯で不器用にぐるぐる巻きにされていた。ルシウスが包帯を解くと、酷い切り傷がある。
「女が行った後、残った賊にやられてな......不甲斐ねぇ」
「そうなんですか......」
オレとレオナが見守る中、ルシウスが呪文を唱え始める。てっきり『治癒(リカバリィ)』の呪文かと思ったが、それよりもより強い術だと気がついた。
「これは『復活(リザレクション)』......!」
周囲に存在する生命から少しずつ気を分けて貰い、それをエネルギー源に怪我を治療する術。瀕死の怪我を負った時など、リカバリィではどうにもならない時にも有用な呪文。白魔法でも上級の呪文だ。オレもレオナもまだ使うことが出来ない。
「これでも神官見習いですからね」
微笑み、長い詠唱呪文を呟きながら、徐々に店主の腕の傷を塞いでいく。
「......ありがとうよ」
「僕たちが、必ず犯人を捕まえてみせます......!」
その少年の決意に、オレもレオナも気合いを入れ直したのだった。
続く
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次回につづきます!
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