猫猿日記    + ちゃあこの隣人 +

美味しいもの、きれいなもの、面白いものが大好きなバカ夫婦と、
猿みたいな猫・ちゃあこの日常を綴った日記です

天国と地獄

2008年01月06日 19時30分07秒 | アルバム

街にはいつの時代にも、いくつかの顔がある。

明るく華やかな顔の裏には、後ろ暗く危険な顔が。
虚構の陰には生々しい影が。

見下ろす者がいれば.....
その先には必ず、這いつくばる者がいるのは、
いったいなぜなのだろう?

そして。

観光地である横浜に、そんな場所があるのを知っている人は、
どれほどいるのだろう。

人々が憧れてやまない高級住宅地の、すぐ足元に横たわる現実の町。

生々しくうごめき、澱む、非現実の町。

 

 

アルコールの匂いと、垂れ流された排泄物の匂いに包まれたその町には、
何者をも受け入れ、同時に拒む空気が流れ。

夥しい量の、正体不明の液体がこびりついたアスファルトには、
しがみついて離れない何かがいる。

道端に腰かけた年配の男が奏でる三線(さんしん)の音色に乗って、
ヨロヨロと歩く男たちが吐く息には.....
太陽の光よりも明らかに濃いアルコールが混じり、
そんな生活を長く続けたがために、自力で歩けなくなったのであろう男は、
歩行器につかまりながら、虚ろな目で前を見据える。

簡易宿が並ぶ通りの一角に群がる男たちが凝視し続けるのは、
テレビから流れる競馬中継。

コンクリートの階段に腰かけ、ギターを抱えた作業服の男は、
通行人を眺めるでもなく、眺めている。

すぐそこの角を曲がれば。
人々が笑いさざめき、せわしげに動き回る通りがあるのに。

その町には確かに、見えない壁があって、
他の場所の空気さえ寄せ付けない、バリアか何かでもかかっているようだ。

 

 

そこにあるのは幸か不幸か。

見下ろす側と這いつくばる側。

どちらが天国で地獄なのか。

 

受け入れないことで己を守っているのは。

いったいどちらなんだろう?