2007年もあと二日で終わろうとしていたその日。
新しい掃除機を買った。
それまで使っていたものがいよいよ、その機能の限界を示し始めたので、
「新しい年を迎える前に」と、そう踏み切ったという次第だ。
しかし、その使い古した掃除機には、私には強い思い入れがあって、
もし、我が家に少しでも余分なスペースがあるなら、
たとえ使えずとも、大切にとっておきたい。
そんな気持ちだった。
なぜなら、その小さなピンクの掃除機は.....
私の妹が、初めて一人暮らしをする際に、買ったものだったから。
16歳で父のもとを飛び出したいい加減な私とは違って、
妹は真面目で、優しくって、昔から我慢強い子だった。
おまけに働き者で、本当に、心からの優しさを持っている、そんな子だ。
酔った継母の暴言と暴力にさらされる日常の中で、
彼女は高校に通いながらもアルバイトに励み、
卒業後も会社とバイトを掛け持ち.....
その稼ぎで家を出た。
結局は母のもとへ逃げた私とは違って、彼女は誰の力も借りず、
たった一人で、世間の荒波へと漕ぎ出していったのである。
そして、私がゴンザと共に暮らし始めたときから使っていたのが、
そのときはもう、彼女が使わなくなっていた、小さなピンクの掃除機。
(その時点で購入からもう10年近くが経っていたはずだ)
この7年間というものの、何度も「買い換えようか」という話が出ながら、
そのたび手放すのに忍びなく.....
あちこちテープやら何やらで補修しながら使い続けた、
古びた、あの愛すべき掃除機なのだ。
.....もし、これが自分で買ったものならば。
私はこれほどの愛着をひとつの道具に抱かなかったであろう。
けれど、あの小さな掃除機には、色んな思いが詰まっていて、
どんなに機能が充実した新品が手に入るよりも、私には大切だったのだ。
まあ、少し前、妹にそんな話をしたら、彼女は私がその掃除機を使っていることに驚き、
「erimaちゃんがそう思ってくれるのは嬉しいけど、もう古いし、
遠慮なく新しいのと換えてくれていいんだよ。だって...
もう何年前のものよ~?」
と、笑っていたが.....
しかし、やはり、いよいよもってそれを手放すときは、思わず
ちょっとセンチメンタルになってしまったのも否定出来ないところではある。
何よりあの小ささと、可愛らしいピンクのデザインは、
決して立派なものではないながら、妹のかつての旅立ちにぴったりに思えて、
愛しいことこの上なかったのだ。
そもそも私がゴンザと共に暮らし始めたときも。
色んな理由があって、この部屋には、少しの家具やTVの他は、カーテンすらなかった。
それが、一緒に暮らし続けるうちに、様々なものが揃い、
壊れたもの、古くなったものは容赦なく捨てられ、買い換えられ.....
現在があるのだ。
でも、その中であの掃除機だけは。
小さな掃除機だけは。
いつも私の手に馴染み、くるくるとよく部屋中を駆け回り、ずっと一緒にいてくれた。
今頃はもう、どこかでバラバラにされてしまったのかもしれないけれど.....。
これまでずっとありがとう。
忘れないからね。
新しい掃除機を買った。
それまで使っていたものがいよいよ、その機能の限界を示し始めたので、
「新しい年を迎える前に」と、そう踏み切ったという次第だ。
しかし、その使い古した掃除機には、私には強い思い入れがあって、
もし、我が家に少しでも余分なスペースがあるなら、
たとえ使えずとも、大切にとっておきたい。
そんな気持ちだった。
なぜなら、その小さなピンクの掃除機は.....
私の妹が、初めて一人暮らしをする際に、買ったものだったから。
16歳で父のもとを飛び出したいい加減な私とは違って、
妹は真面目で、優しくって、昔から我慢強い子だった。
おまけに働き者で、本当に、心からの優しさを持っている、そんな子だ。
酔った継母の暴言と暴力にさらされる日常の中で、
彼女は高校に通いながらもアルバイトに励み、
卒業後も会社とバイトを掛け持ち.....
その稼ぎで家を出た。
結局は母のもとへ逃げた私とは違って、彼女は誰の力も借りず、
たった一人で、世間の荒波へと漕ぎ出していったのである。
そして、私がゴンザと共に暮らし始めたときから使っていたのが、
そのときはもう、彼女が使わなくなっていた、小さなピンクの掃除機。
(その時点で購入からもう10年近くが経っていたはずだ)
この7年間というものの、何度も「買い換えようか」という話が出ながら、
そのたび手放すのに忍びなく.....
あちこちテープやら何やらで補修しながら使い続けた、
古びた、あの愛すべき掃除機なのだ。
.....もし、これが自分で買ったものならば。
私はこれほどの愛着をひとつの道具に抱かなかったであろう。
けれど、あの小さな掃除機には、色んな思いが詰まっていて、
どんなに機能が充実した新品が手に入るよりも、私には大切だったのだ。
まあ、少し前、妹にそんな話をしたら、彼女は私がその掃除機を使っていることに驚き、
「erimaちゃんがそう思ってくれるのは嬉しいけど、もう古いし、
遠慮なく新しいのと換えてくれていいんだよ。だって...
もう何年前のものよ~?」
と、笑っていたが.....
しかし、やはり、いよいよもってそれを手放すときは、思わず
ちょっとセンチメンタルになってしまったのも否定出来ないところではある。
何よりあの小ささと、可愛らしいピンクのデザインは、
決して立派なものではないながら、妹のかつての旅立ちにぴったりに思えて、
愛しいことこの上なかったのだ。
そもそも私がゴンザと共に暮らし始めたときも。
色んな理由があって、この部屋には、少しの家具やTVの他は、カーテンすらなかった。
それが、一緒に暮らし続けるうちに、様々なものが揃い、
壊れたもの、古くなったものは容赦なく捨てられ、買い換えられ.....
現在があるのだ。
でも、その中であの掃除機だけは。
小さな掃除機だけは。
いつも私の手に馴染み、くるくるとよく部屋中を駆け回り、ずっと一緒にいてくれた。
今頃はもう、どこかでバラバラにされてしまったのかもしれないけれど.....。
これまでずっとありがとう。
忘れないからね。