梅のつぼみがほころんで。
情けは人のためならず
この言葉をこれほどまでに実感したことが、今まであったろうか?
.....いや。
そう感じることは(ありがたいことに)
これまでも多くあったものの、
こんなにも即、それが目に見えたことはなかったという意味で。
春の色が枝垂れて、ちらほら。
梅を見に行き、
「さて帰ろうか」と、坂の上に停めた自転車に乗り込もうとして。
ふとすぐ脇に、停車した自転車の男性に気づいたゴンザは.....
自分がそこをどくことによって、その人の駐輪スペースが出来るだろうと、
「あっ、今ここ空けますから、どうぞ♪」と、
そう声をかけたのだった。
と、男性は、その弾む息を整えながら、
「いえいえ、今はただ、ここでひと息つこうと止まっただけですから」と、
そう、自分が今、上ってきた急坂を指し、ほほ笑んだのだった。
水温むにはちと早い(?)けど、かえるもたくさん卵を産んで。
「ああ、そうでしたか!」
ふと、それがきっかけで言葉を交わした同士は、
いくつか、自転車や梅について話をし.....
「では!」と、それぞれ目的とする方向へ、別れようとする。
.....が。
いざそうしようとすれば、
自転車を出そうとしたゴンザが、何か異変を感じた様子で、
「あれ???」と、しきりにチェーンやギアのあたりをのぞきこむ。
.....と。
「どうしました?」
私が言うより先に、件の自転車の男性が、
ゴンザの自転車に近寄り、その問題点を教えてくれる。
めじろはせっせと蜜を吸い。
「ああ、それ。停めている間に誰かにぶつけられて歪んじゃったんですね~。
タイヤに部品が食いこんじゃっているから...
そのままじゃ動かないな。 工具持ってます?」
言うより早く、自ら工具を取り出し、
手早く応急処置を施してくれながら、
男性は、「あとはなるべく早く自転車屋さんに見てもらって下さいね」と、
親切に、その後の対応まで教えてくれる。
「ありがとうございます」
「本当に助かりました!」
繰り返し礼を述べながら、私たちは、
「これからまた違う公園へ行って『はしご梅』をする」と言う男性に別れを告げ、
自転車に乗り込む。
もし、あそこでゴンザがふと男性に目をとめ、
駐輪スペースを譲ろうと声をかけていなければ、
自分たちはどうなっていたのだろうと。
ただ、途方に暮れたであろうと.....
そう考えながら。
人は人で、花よりだんご。
.....本当に。
もしあのとき、あの男性と黙ってすれ違っただけだったなら、
私たちは、今こうして感じている温かさや幸せに、めぐり合うことはなかった。
情けは人のためならず
袖すりあうも多少の縁
.....昔の人は、うまいこと言った。
けれど、きっとそれがやっぱり、世の中の真実なのだろう。
同じ空を見上げ、どの人も和やかに梅を愛でさざめく、
そんな世の中がある限り.....
情けは人のためならず
これからもそれを、忘れちゃいけないと。
だんごは上から、大福・幸福・招福だと。
三福だんごというらしい。
美味しかった♪