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「君が代」不起立処分大阪府・市人事委員会不服申立ならびに裁判提訴当該15名によるブログです。

7.24大阪府教委傍聴記~入試ミス問題~

2013-07-25 22:05:45 | 中原教育長下の大阪の教育

大阪市教委会議傍聴に引き続き、7月24日は大阪府教委会議を傍聴しました。この日の議事はたった一つ、例の入試ミスにかかわる分析と採点等改善方法についてでした。2時間の侃々諤々の論議の後、結論は次の8月会議に持ち越されることになりました。

しかし、当ブログでも紹介しました教科書排斥問題についてはまったく報告はありませんでした。7月9日、府教委事務方から府立学校校長・准校長宛てに送られた実教出版日本史教科書排斥メールについて、6月定例会議でも今回の会議でも一片の報告すらないということは考えられないことです。あの前代未聞の、法にも触れる疑いのあるメールは事務方が独断で勝手にやったことなのでしょうか?それとも公開の会議以外のところで教育委員も了承していることなのでしょうか?これでは全くわかりません。今後追及を続けていきたいと考えています。

ここではその問題をひとまずおき、「入学者選抜における選抜事務に関する分析及び改善の検討状況」の議論について報告します。まず事務方が提示したレジュメ6枚を掲載します。

 

 

事務方からレジュメに基づく説明後2時間にわたる侃々諤々の議論が始まりました。

◆陰山委員長「ミスについて極めて初歩的なものばかりだという気がする。」

◇中原教育長「分析と改善方法について、1解答用紙の問題があった。配点の問題、小計・集計の問題など。これは事務局として工夫をする。2一部マスメディアが報道した採点機関が短かったか。資料1を見てもらえばわかるが、大阪が特に短いというわけではない。3マークシートの導入についてはどうか。」

◆木村委員「模試業者は、シンプルな配点にするなど工夫している。採点しやすいような工夫が必要。論述問題は採点ミスが多くなる。」

◆中尾委員「二系統で採点するのは賛成。採点期間については長いからミスが起こらないというものではない。雑談や飲食をしながら採点しているという話も聞く。科目担当以外の教員が採点しているが、英語の採点は英語の教員が採点するのがベストだと思う。」

◆木村委員「模試業者から色んな資料を借りて対策を考えては?既にやられているかもしれないが。」

◇中原教育長「今いただいた意見を参考にしたいが、事務局と考えの違うところもある、論述が多いからミスが多いということはなかった。(大阪の)論述問題は評価されている。論述問題(を変えること)は考えていない。採点期間は資料を見てもらえばわかるように日数的に考えて大阪府だけが(教員に)過度な労を強いているわけではない。論述が多いから二(採点)日数を多くということは考えていない。雑談・飲食については基本的に校長のマネジメントに任せたい。他教科の教員の採点については、たとえば記号などと限定しているので問題はない。」

◆木村委員「学校ごとにボーダーゾーンの設定が違うなど複雑すぎるのではないか。」

◇中原教育長「学校の特色を出すため各学校は工夫している。来年度からは学校全廃をするので、もっと多様化してもよいと考えている。私が校長をしていた和泉高校でも英語教育が目立っていたが、(ボーダーゾーンの合否判定に)数学を入れたことで、近隣の塾も(和泉高校は)数学にも力を入れていると理解された。」

◆木村委員「一概に統一とまでは言わないが、そのメリットデメリットを考えては?」

◆小河委員「ここで、あまり具体的、個別的な議論をしてもどうか。それより私の理解が十分でないのかもしないが、採点の技術的な分析ではなく、(入試採点の)全体の構造をどう整備していけばいいと考えておられるのか教えていただきたい。全体的な(入試採点の)見方を変えた対応をどう整理するのか聞かせてほしい。」

◇中原教育長「抽象論や精神論では(入試改善に)対応できない。具体的な改善方法を示した。二系統の採点、解答欄の工夫など。」

◆中尾委員「自分には公立私立の校長体験があるが、私立は自分たちで問題を作る。今回の入試ミスの問題は企業における品質管理安全管理の問題だと考える。ミスは許されないはずだ。仕組みがマニュアル化され校長が周知徹底していたか?みんなでやるというのは一番まずい。責任者をはっきりさせる必要がある。校長が来年度に向けてミスがどうやったら起こらないか、教員に意見を求めているのか?現場だ。自分の責任でやっているという自覚があるのか?府教委が考えて上からこれをやりなさいというだけではなく、学校としてこんな問題があり、こうやっていかなければならないという話ができているのかという問題だ。」

◇事務局「各学校で入試委員会を設定してやっている。」

◇中原教育長「抽象論や精神論ではなく具体的に、科学的に考えていかなければならない。品質管理で考えるとマークシートということになるが。」

◆陰山委員長「私はとにかく多いと思った。府教委のマネジメント、学校のマネンメント、それぞれに考えていかなければならない。それと同じ人間がミスをしていないか?しているなら、あの先生やばいよね、危険だよねという人(がいるのでは)、精神論ではないが、高い能力の人もいれば困った人もいるわけだし。校内におけるマネジメントが不十分であったことは否めない。たるんでいたという数字だ。学校現場にちゃんとフィードバックできていなかったのでは。アバウトなところでさえできていなかったということだ。それでお聞きしたいが、全体の三分の一の学校でミスがあった。ではミスがなかった三分の二がどうであったか知りたい」

◇中原教育長「フィードバックについてぶっちゃけて言うと、アリバイ作りになってしまっている。そういう風潮が教育委員会にあった。」

◇事務局「ミスがなかった学校の校長の話だが、1回目の採点ミスが発見された時点で全部見直した。採点の点検をメンバーを変えてやったとのこと。」

◇中原教育長「恥ずかしい話だが、私が校長をしていた和泉高校でもそれはやっていた。ボーダーゾーンの確認もすでに午後8時をまわっていたが全部見直した。それでもミスがあった。」

◆陰山委員長「やはり(ミスの数は)多いんじゃないのと思ってしまう。ゆるみたるみがあるんじゃないかと。ちゃんと抑えて結果を出したい。1回でもミスしたら(処分する)、これは効果的な予防になると思う。」

◆立川委員「兵庫県が122校1407人にわたって過去5年間にさかのぼって詳細な分析を出している。再発防止に取り組んでいる。」

◇中原教育長「兵庫県のどの部分が参考になるか、具体的に言ってほしい」

◆立川委員「答案用紙など。(府教委事務局の入試ミスについての)分析は足りない。情報が足りない。委員としてちゃんと説明を受けたい。」

◇中原教育長「それならやりますか?時間もかかるがこちらとしてはやっていただけるのであれば嬉しい。膨大な資料だが、説明させてもらう。ここでそれだけでも(やる・やらないを)決めてほしい。」

◆小河委員「事務局としてやっているのだから、そこは信頼して任せる。」

◆陰山委員長「教育委員会と事務局の関係として、委員会が基本的な方針を決定し、事務局で進めてもらう、それが法の精神。委員会で入試事務のミスがないようにと確認はしなかったが、それはあたりまえのことだと思っていたからだ。実施上の問題だが、事務局が言ったことは現実的にできるのか。シミュレーションしてやってみる必要がある。二系統でやる。ならコピー代はどうなのか?情報管理の問題は?」

◆中尾委員「(ミスのあった教員?)全員集めてどういう問題があったのか各教員から聞く。PDCAサイクルが毎年必要だ。」

◆木村委員「(二系統で採点するための)答案コピー代は?時間は?コピーのペーパーの色を考える。しかし、それにしても逆に変なミスを誘発しないか。複雑にすればかえってミスは増えるとも考えられる。」

◆陰山委員長「再点検方法について外部機関を活用するというのは、個人的に反対だ。A高校の再点検をB高校に、というような工夫はできないか。外部機関の活用は市民感情として賛同は得られない。」

◇中原教育長「むしろ、内部でやるすなわち同業者でやることの方が市民の賛同は得られないのではないか。原発の問題にしても外部機関がお墨付きを与えるというような遣り方がいるのでは。」

◆陰山委員長「それは、たとえば、間違いを発見した学校へ、間違いを犯した学校が10万を払うとか。市民感情でいうと、これ以上お金を使ってほしくない。採点ミスを避けるためにお金は使わない。現場で今回の入試ミスについて危機感緊張感というのはあるのか?また再点検についてはが第三者機関か外部委託は別だ。」

◆立川委員「やっぱり先生にして欲しいが。教師志望の大学生にさせるとか。」

◆陰山委員長「守秘義務がいるので、やはり、任せるのはプロということになる。」

◇中原教育長「8月末には事務局としてどうするか固めたいので、8月上旬に書面決済か臨時で会議を開いてほしい。」

◆陰山委員長「まずは教員の自浄努力で。次にマークシートの問題は?これは、受験生にとって慣れることが必要だし、全国学テでもセンター入試でもいろいろ問題はあると聞いている。教師の失敗を防ぐために子どもに失敗させてもいいのか?という問題がある。」

◇中原教育長「マークシートにしてもらったら、という意見は現場から出ている。」

◆陰山委員長「軽々にマークシートと言うのは。今日の議論を含めて8月に教育委員会を開き、そこで決定することに。それと開示の問題だが、答案を見せなくてはいけないのか?本人も辛い思いをする。」

◇事務局「個人情報保護条例の観点から必要」だ。

◆陰山委員長「入試の答案まで個人情報に入るのか。現行法令上難しいことはわかったが、そういう問題意識を持っているということは言っておきたい。」

◆小河委員「別件だが、調査書検討チームの指導助言者として馬渕塾が入っているが、教育委員として自分は知らなかった。なぜそのようなことになったのか。本日ではなくていいので明らかにしてほしい。」

◆木村委員「なぜ馬渕さんだけが選ばれのか、私も疑問に思っていた。」

◇中原教育長「過程を報告することにする。」

以上

※当日の聞き書きメモを参考に記載しましたので、実際の発言と異なる箇所もあるかもしれませんがご了承ください。あくまで印象ということでご理解ください。

今回の入試ミスがなぜ起こったか、事務局の分析はあまりにも表層的である。答案用紙の配点の仕方など確かに問題はあろう。しかし、これほどまでの単純ミスが頻発したことの原因は何であろう。私自身その採点現場にいた。

今春の入試から前後期2本立ての実施となり、現場では、3年学年末テスト及び追認テストならびに2度の卒業判定会議、進路指導、進級をかけた1・2年生の学年末テスト、それに向けての補習、卒業式、追認テスト…これだけでも生徒の一生にかかわる重大な行事が目白押しのところに、この上、どうやって2度の入試日程を組み込むことができるのか多々懸念が起こっていた。

ところが、府教委は現場の教員の声を一切聞くことなく上意下達の遣り方で前・後期入試制度を導入した。このことばかりではなく、現場の教員の意見を無視した教育政策が次々と導入されるなかで、教員は教員としての矜持をそれにつれて奪われていった。やる仕事ではなくやらされる仕事に。

今回の入試ミス結果が公表されたとき、私にはやはりと言う思いがあった。一般的に考えても、やらされている仕事のなかで責任感が乏しくなるのは否めない。今回のあまりにも多い採点ミスには、制度的、構造的な問題はもちろんあるが、教員が「歯車」にさせられたとき、仕事の質が変わってくる、そんなことも遠因としてあったのではないかと、現場にいた元教員として考えてしまう。

さて、次に提示にあったその改善方法だが、2系統で採点する方法は、委員からも指摘にあったように、これはかえってミスが増えるのではないかと危惧する。外部委託もマークシートも多々問題がある。教員の仕事が人間にかかわる仕事であることを考えるならば、教員が専門職としての矜持を取り戻し、余裕ある時間設定で、採点に値する問題であれば、畢竟ミスはなくなるはずである。今回の議論を聞き、これまでにも思っていたことであるが、信頼関係が損なわれたところで、対症療法的な改善をするだけでは、この問題の真の解決にはならないのではと考える。

 

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8・6山田肇さん人事委員会口頭審理記者会見のご案内

2013-07-24 22:33:58 | 人事委員会審理

大阪「君が代」不起立処分人事委員会不服申立について、多くの方々に知ってほしいと思います。いよいよ口頭審理(裁判の証人尋問のようなもの)が始まります。本日、教育記者クラブのみなさまへ記者会見の案内をお渡ししました。記者のみなさんよろしくお願いします。


山田肇さんの

「君が代」不起立による戒告・再任用取消しの撤回を求める

8/6大阪府人事委員会・第一回口頭審理についての

記者会見のご案内

2013年7月24日
「日の丸・君が代」強制反対ホットライン大阪
 

 謹啓 教育記者クラブのみなさまの日頃の清新なご活躍に敬意を表します。

 さて、表記の山田さんは、昨年度3月の高槻市南平台小学校の卒業式での「不起立」を理由とした戒告処分のうえ、再任用の合格を取り消されるという事実上の解雇処分を受けました。しかしこの時の卒業式にあたって、高槻市教委は、特定の4名だけに起立・斉唱の職務命令を発出し、しかも山田さんへの戒告処分は教育委員会会議での承認なしに行うという手続き上の要件すらも満たしておらず、さらに府教委は、校長による「業績・能力・総合評価ともS」は「不知」として、再任用合格取り消しまで行っています。


 山田さんは37年間の教員生活で、最後の南平台小学校の12年間のうち7年間は『希望の杜』施設内学級に勤務し、定年を迎えました。『希望の杜』は親に虐待されたり、ネグレクトされた子ども達が入所し、施設内学級に通学してきますが、大人に対する不信感が大きく、また学習する習慣がついていず、学ぶことの楽しさからも疎外されてきました。そうした子ども達との信頼関係を築きながら学力をつけさせるため、日々、苦闘してきた山田さんは、あと1~2年、『希望の杜』で子ども達と関わりたいと再任用を申し込み、合格通知を受けていたのです。そしてそうした子ども達の前に立つ教師として、間違ったことはしてはいけないと教えてきた自分の良心に従った「不起立」の故にその希望も奪われたのです。そうした真理や正義が認められない状況を認めるわけにはいかないと、山田さんは、大阪府人事委員会に提訴をし、1年4ヶ月を経て、第一回審理を迎えました。


 また山田さんも含めて、卒・入学式での「君が代」不起立等を理由とした戒告処分や再任用拒否に対して昨年7名、今春には4名が人事委員会に提訴。さらに加えて減給処分等については裁判提訴も考えられています。これらの提訴の最初の審理となるのが、山田さんの人事委員会審理ということになります。教育記者クラブのみなさま、どうか記者会見に参加していただきますようよろしくお願い致します。          敬具



日時:8月6日(火)午後6時~
場所:教育記者クラブ室(府庁別館)

なお、当日の3時から咲洲庁舎(29階)での人事委員会口頭審理で、本人陳述・処分者側証人尋問等が予定されています。こちらへの取材もぜひよろしくお願い致します。また当日配布予定の資料を早く必要な場合は担当の山田(090-5900-0783)までご連絡を。



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大阪府教委の教科書選定への不当介入に抗議し、撤回を要求する!

2013-07-23 20:26:10 | 中原教育長下の大阪の教育

明日は大阪府教委委員会7月定例会です。「日の丸・君が代」強制反対ホットライン大阪は大阪府教育委員会に下記抗議と撤回要求書を提出します。

 

大阪府教育委員会様

大阪府教委の教科書選定への不当介入に抗議し、撤回を要求する!

2013年7月24

 「日の丸・君が代」強制反対ホットライン大阪

 大阪府教育委員会は7月9日、各高校での教科書選定に関し、特定の教科書を名指しで、その記述内容が「一面的だ」との見解を和田良彦(教育振興室長)名で、各学校長・准校長に通達するという異例な行為を行った。

 その教科書は実教出版の「高校日本史A」「高校日本史B」で「国旗国歌法」についての注釈の記述についてである。注釈には、「国旗・国歌法をめぐっては、日の丸・君が代がアジアに対する侵略戦争ではたした役割とともに、思想・良心の自由、とりわけ内心の自由をどう保護するかが議論となった。政府は、この法律によって国民に国旗掲揚、国歌斉唱などを強制するものではないことを国会審議で明らかにした。しかし一部の自治体で公務員への強制の動きがある」とある。

 この記述は全くの客観的事実である。文部科学省の検定にも合格している。だが、それにもかかわらず、大阪府教育委員会はこの記述について「一面的なものであると考えます」という。その理由を「学習指導要領の趣旨や、平成24年1月16日の最高裁判決で、国歌斉唱時の起立斉唱等を教員に求めた校長の職務命令が合憲であると認められたことに、全く言及がない」こととしている。

 また「過日、東京都教育委員会は『実教出版株式会社の教科書・・・(中略)・・・を都立高等学校において、使用することは適切ではないと考える』との見解を示しました。」と付記している。東京都教育委員会は教育委員長の主導により「都教委の方針と異なる記述があることについて、指導部に指示して教育委員会の見解をまとめさせ」教育委員会の審議にかけ、その決定として各高校に6月27日に周知したと報道されている。東京都教育委員会が見解を示したから、大阪府教育委員会も見解を示す必然性は何もない。

 私たちは以下の問題点を指摘し、大阪府教育委員会へ抗議し、「見解」の撤回を要求すると共に誠意ある回答を要求する。

(1)教科書選定の第一義的権限は教員にある。教員には憲法23条の「学問の自由の保障」に基づく「教育の自由」「教授の自由」が保障されなければならない。教科書の選定はその自由の要素のひとつである。この自由を侵す政治介入は許されない。

(2)教科書記述批判を敢えて示すことは、憲法21条の表現の自由、出版の自由や検閲の禁止条項を公権力が侵す憲法違反である。「この教科書の採択しないとの結論まで至っておりません。」といいつつ、「校長の権限と責任のもと、選定理由を十分明確にし」と暗に不採択への圧力をかける文章表現をしている。これは明らかに政治介入である。

(3)教育委員会は、「地教行法」23条の五で「教育課程・学習指導、六」で「教科書その他の教材の取扱いに関すること」の管理・執行の権限が規定されている。だが、これらは外形的事案に関する処理であり教育内容に介入すべきものではない。教育基本法第16条にも「教育は不当な支配に服することなく」と規定し、「この法律と他の法律の定めるところにより行われるべきものであり」としている。だが、人権保障の憲法原理に反する執行は許されるものではない。

(4)「学習指導要領の趣旨に言及がない」からと「一面的」との理由をあげているが、学習指導要領は生徒への起立斉唱を「指導するものとする」とされており、教員への起立斉唱義務は規定されていない。

(5)「平成24年1月16日の最高裁判決で、国歌斉唱時の起立斉唱等を教員に求めた校長の職務命令が合憲であると認められたことに、全く言及がない」と述べている。だが最高裁は職務命令は教員の「思想・良心の自由」の「間接的制約」であることを認めている。

 最高裁(2011.6.14)第3小法廷田原睦夫裁判官の反対意見でも「『斉唱』は、斉唱者が積極的に声を出して『唱う』ものであるから、国歌に対して否定的な歴史観や世界観を有する者にとっては、その歴史観、世界観と真っ向から対立する行為」であり、それを強制することは「思想、信条に係る内心の核心的部分を侵害するもの」と直接的制約に言及している。

 東豊中高校事件大阪高裁判決(2009.9.9確定)でも、「君が代という国歌が担ってきた戦前からの歴史的役割に対する認識や歌詞の内容から、君が代に対し負のイデオロギーないし抵抗感を持つ者が、その斉唱を強制されることを思想信条の自由に対する侵害であると考えることには一理ある。とりわけ、『唱う』という行為は、個々人にとって情感を伴わざるをえない積極的身体的行為であるから、これを強要されることは、内心の自由に対する侵害となる危険性が高い。したがって、君が代を斉唱しない自由を尊重されるべきである。」と判示している。

 「君が代」斉唱時の教員への起立斉唱の職務命令による強制には、数々の問題点があることを府教委は認識すべきである。

(6)「一部の自治体で公務員への強制の動きがある」という客観的事実を隠蔽し、偏った現実認識・知識を提示することは、最高裁1976年5月21日の旭川学テ判決の法理に反している。旭川学テ判決は、「殊に個人の基本的自由を認め、その人格の独立を国政上尊重すべきものとしている憲法の下においては、子どもが自由かつ独立の人格として成長することを妨げるような国家的介入、例えば、誤った知識や一方的な観念を子どもに植えつけるような内容の教育を施すことを強制するようなことは、憲法26条、13条の規定上からも許されない・・・」とも言及しているのである。

(7)今回の「見解」について大阪府教育委員会として事前に審議し、委員会決定としてだしているのか、また事前審議をしていないのなら、点検・評価をどのように行ったのかを府民に明らかにする必要がある。

(8)今回の「見解」で府教委が問題視した「日本史A」の教科書はすでに昨年度から新課程用のものとして採択の対象にされていたものであり、複数の府立学校が同教科書を選定し、府教委がそのまま採択した事実が存在している。「日本史A」で学習している現在の1年生は、来年度の1年生が他の教科書を使うことになったと報道などで知ることとなった場合、自分たちは不適切な教科書での学習を強制されているのかという不安感と学校への不信感を抱くことにもなりかねない。つまり府教委は、2012年度採択の際には何も問題にせず、2013年度の採択で突如として問題視する「見解」を表明することは、学校現場の教科書選定に少なからぬ影響を及ぼす行政行為であり、行政の一貫性、統一性と公平・公正さに反するものである。

 

 私たちは、以上の諸点について大阪府教育委員会は見解表明を文書で行い、その内容についての「応接」をすることを要求する。文書回答は8月5日までにお願いする。

以上                    

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大阪市教委に各高校の選定を尊重せよとの声を!

2013-07-23 20:14:47 | 大阪の教育

本日の大阪市教委会議、「子どもたちに渡すな!危ない教科書大阪の会」のIさんもともに傍聴しました。Iさんの報告を記載します。

大阪市教委に「答申」通り教科書を採択せよとの要請を!


今日、高校教科書採択に関わって、大阪市教育委員会議が開催され、採択の基本方針、採択の仕組みを確認した後、各高校からの「答申書」が教育委員に手渡されました。最終的な採択は、7月30日に行われることになりました。

審議の中では、橋下市長の肝いりの公募教育委員である大森不二雄委員は、「選定調査会、答申は文科省の出している法令には規定されていない。」「従って、答申の法的性格から言えば、教育委員会が答申に縛られることはない。」「答申は教育委員会が適切な判断をするための補助。答申とは違う判断をすることに問題はない。」と何度も、教育委員会が「答申」に縛られないことを確認していました。

7月上旬に行われた教育委員協議会(教育委員による闇会議)の場では、ある教育委員から実教出版の問題点を指摘する発言があったと言われていますので、今回の大森委員の発言は、7月30日の教育委員会議で実教出版を選定した「答申」を教育委員会の判断で覆すための布石だと考えられます。

また、今年の大阪市立高校の教科書採択は、橋下市長の意向もあり以下の3点で採択制度の変更が行われました。①各学校での調査研究で保護者・生徒の意見を取り入れる。②学校協議会の意見も取り入れる。③昨年まで「答申」では選定した教科書1社を明記していたが、今年度は次点の教科書も記載し、選定した教科書との比較を記述する。
 特に③は、教育委員会が各学校の「答申」を無視して採択変更をしやすく方向に作用するものです。

 戦後、高校の教科書採択において、学校で選定した教科書が教育委員会議で覆されたのは1度しかありません。昨年、横浜市教委で実教出版が採択変更され大きな問題となったのでした。
 なぜ、戦後一貫して高校では、学校採択(学校が選定した教科書を教育委員会で採択)が行われてきたのでしょうか。高校は、教育目標や教育課程、生徒の実態などが小中学校以上に各学校ごとに違い、教科内容も専門性が高い。従って、教科書採択には専門性を有する学校現場の声が優先されることは教育の条理から言っても当然のことです。
 教育委員会が、現場から上がってきた「答申」を覆すのであれば、それぞれの学校の状況を踏えた相当の理由が必要なことは明らかです。しかし、教育委員は、約200冊ある全ての高校教科書を読んで、どれがその学校に最も適しているのか検討し、採択することなど現実的に不可能です。教育委員に全ての教科書が手わたされることさへ出来ていないのが実態なのではないでしょうか。そのような状況で、教育委員が現場からの「答申」を否定することなど、出来るはずがありません。
 教育条理から言っても、教育委員による教科書調査研究の実態から言っても、これまで学校採択が行われてきたのです。

 大阪市教育委員会は、7月30日教育委員会議で、各学校からの「答申」を覆し、採択変更するならば、戦後高校教科書採択で定着していた教育条理を完全に覆す暴挙と言うほかありません。是非とも、7月30日までに、大阪市教育委員会に対して、各学校からの「答申」を尊重して採択を行うように要求してください。

要請先

大阪市教育委員会 総務部総務課 企画グループ
TEL06-6208-9013  FAX06-6202-7052

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大阪市教委会議傍聴記~高校教科書採択市教委のやり方

2013-07-23 20:01:00 | 大阪の教育

本日、大阪市教育委員会会議を傍聴しました。7つの議案はすべて非公開のため、報告第10号「平成26年度大阪市立学校教科書用図書選定調査会答申について」のみの傍聴でした。

大阪市教委のやり方~高校教科書採択~ 

なんと、大阪市教委はこの報告の討議を通して、高校が選定した教科書を市教委がひっくり返すことはアリとの確認を行いました!教科書介入について、東京都教委とも大阪府教委とも違うやり方です。つまりひっくり返すことは合法的でなんの問題もないですよと先に確認をしたわけです。7月30日の市教委会議で採択が決定されますが、ここでも実教出版「日本史」が排除される可能性ありです。これはひじょうにゆゆしき問題です。教科書が行政によって一方的に決定されることを許せば、学問の自由を侵害することにつながります。

まず、事務方からレジュメによって基本方針と採択のしくみが説明された後、大森不二雄委員から下記2つの意見と1つの質問が出ました。

①5月の委員会会議で、採択の方法について生徒・保護者にも意見と聞くと決定したはずだが、それが、報告として書かれていない。入れるべきではないか

②また同じく、各校の答申には次点も記載する、これも5月の会議で決定したはずだが、報告に記載がない。これもきちんと入れるべき。

③これは質問だが、採択の仕組みについて、本市の方法について国の法令上の位置づけ・根拠はあるのか?つまり答申に従わなければならないというような制約はあるのか?ということのようです。

①②については、事務方は「入れるべきだったこと」を認め、また質問については、文科省はそこまで細かくは決めていないつまり答申に従わなければならないという制約はないというものでした。

つまり、5月に大阪市教育委員会会議で決定した、教科書採択の仕組みをきちんと文書としても確認せよ、そして、各校の答申と違う決定(各校が選定した教科書を市教委がひっくり返す決定)をしても問題はないことを確認したわけです。

事務方は、大森委員の意見質問に応える形で、各校の答申と違う決定を行っても問題はないことをまるで誘導されるかのようでした。

他、高尾委員からは各校の教科書選定について学校協議会の関与についてはどのように取り組んだのか等の質問が出ましたが、事務方からは、今年の実態の報告と弁解調で初めての取り組みゆえ、今後それを反省して…というような回答でした。

またもや大森委員が、これを受け、学校協議会が選定にかかわっていることを明示的に示す必要があると意見がありました。

総じて、大森委員は議論にひじょうに積極的でした。

教科書選定(各校に)は生徒・保護者の意見を聞き、学校協議会の関与を明確にしたうえで、それでも教科書採択は市教委が行うので、各校が選定した教科書をひっくり返して法的に問題はないことを確認することが目的のように感じました。

危ない!そんな印象を受けました。

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