愛知の小野政美さんから、教科書介入問題についての高嶋伸欣さんらからの追伸情報が届きました。情報を共有し、この教科書採択への不当な介入に対して全国から声をあげていきましょう。
県教委に呼ばれた校長が、教員会議の場で「その記述が県教委の見解とちがう」し、「もし採択をすれば街宣車が学校に押しかけて来る恐れがある」などの理由を挙げて、選定を変更するように求められたと説明をしたそうです。
「街宣車云々」という理由づけは、昨年の都教委の論法と同じですが、暴力に屈服するようにと公的機関の教委自身が圧力を加えているのですから、神奈川県教委もここまで堕落したのか、という思いです。
それに、そのように言われて言い返した様子のない校長のありようも情けない限りです。強いものであれば理不尽なものであっても簡単に屈してしまうような校長や教委に、いじめを防げるはずもなく、学校で子供や生徒は守られているのだろうか、と心配になります。
このような校長であれば、配慮は無用で、教委のいいなりになった場合は、教委と共に校長を被告とする裁判を用意しても良いとさえ思えます。
ともあれ、まだ神奈川県内では、各高校と県教委とのでやり取りが続いている途中ですから、県教委への抗議行動など、できるところからの取り組みが必要と思います。
なお、昨日の私のメールについて、少し補足をします。
a) 高校現場では常識ですが、新教育課程への変更は、高校の場合、学年進行です。従って、2013年4月の新1年生から、新課程の教科書になっています。高校の地歴・公民科の必修科目は「世界史」であって、これを多くの高校は1年生に履修させています。そのために、選択科目の「日本史」は2年生以上での履修にしている高校が大半になっています。そこで、2013年度用になる教科書が対象の2011年度検定に提出された「日本史」教科書はA・Bの合計で4冊だけでした。それらが昨年の夏 の2013年度用の採択の対象になったのです。そして、その4冊の中の1冊、実教版「高校日本史A」にある「日の丸・君が代」強制の記述は不当だと、「産経新聞」などが昨年3月28日の紙面で大きく問題にしたことなどがきっかけとなって、都教委が証拠をのこさない電話による圧力で、学校希望を変更させるという権限行使をやってのけたのでした。
b) この都教委の行為自体、大問題です。その一方で、今回同様の動きを始めた大阪府、大阪市と神奈川県の教委は、現在までに判明している限りでは、昨年、何もこの記述について行動をしていないのです。その結果、大阪府・市と神奈川県の公立高校では実教版「高校日本史A(日A302)」を学校希望の通りに、各教委が採択したはずですーーこれは重要な点ですから各地域で確認をして下さい。
c) 上記のような実態が生じていたのだとすると、すでに昨年の採択で同教科書を採択していた高校が、来年の1年生用にもまた同教科書の採択を希望するのが普通です。ところが、今回の大阪府・市と神奈川の県教委の行動からすると、これらの高校の(日A302)の今回の採択も変更させようとしている可能性が大きいのです。だとすれば、これは明らかに理不尽で、矛盾した行政行為に当たりますから、そのような行為は即刻やめるべきだと、言えます。もし仮に、このケースに該当する高校で校長がすでに教委の言いなりになっていたとしたら、情けない限りです。
d) 上記とは別に、「高校日本史A」を今年の採択で新2年生用に選んで、教委から妨害されているケースも考えられます。この場合の矛盾点は、c) にある通りに明白ですから、そうした行政行為はただちに止めるように申しいれるべきです。
e) 次に、今回問題にされたもう1冊の実教版の「高校日本史B(日B304)」の場合は、2014年度用以降に向けて、2012年度の検定を受け、合格して今回初めて採択の対象となったものです。その意味では、同書が昨年の採択で問題にならなかったのは当然です。けれども、同書の問題にされている「日の丸・君が代」強制に関する記述は上記の「高校日本史A(日A302)」の記述と同一なのです。だとすれば、昨年は問題なしとした記述を、今年は問題だとすることに、矛盾が生じます。明らかに、東京の動きを追随する必要性が内部からか、外部からかの動きで生じた結果と、考えられます。いずれにしても、厳しく矛盾点を追及すべきです。
f) このように、高校の新課程への移行と教科書採択の関連は複雑ですので、問題点の追及についても、ケースに分けながら進める必要があります。
g) そのためにも、問題行動のある教委の地域では、圧力を加えられた高校では、実教版を昨年すでに採択していたのか、今年の場合はA・Bのどちらえを学校希望としていたのか、などについての状況を具体的に把握しておくことで、今後の対応がより的確にできるのではないかと、思います。
以上、補足説明ながらまた長いものになってしまいました。ご容赦下さい。文責はすべて嶋にあります。 転載・拡散は自由です。