碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
見たり、読んだり、書いたり、時々考えてみたり・・・

NTTドコモCMの河合優実さん、変幻自在の演技力

2024年05月29日 | 「日経MJ」連載中のCMコラム

 

 

変幻自在の演技力

NTTドコモ  Google Pixel 8a

「かこって検索ってなに?」篇

喫茶ピクセル第1話

 

ドラマ「不適切にもほどがある!」(TBS系)は、令和の世界にタイムスリップしてきた「昭和のおじさん」が、コンプライアンス全能の社会に笑いながら疑問符を投げつける痛快作だった。

このドラマで、主人公の娘である「昭和の女子高生」を演じたのが河合優実さんだ。聖子ちゃんカットにロングスカート。令和を体験した不良少女は、猛勉強して第一志望の大学に合格を果たす。

主演の阿部サダヲさんに負けない注目を集めた優実さんが、NTTドコモのWEBムービー「喫茶ピクセル」に出演している。

舞台はグーグルピクセルを愛用する人たちがやってくる喫茶店だ。常連客の優実さんが、動画を見ながら「この赤ちゃんのほっぺ、ぷにっぷに~。触ってみたいなあ~」とつぶやく。

突然、自身の頬を指で押し始めるマスター(はんにゃ・金田哲さん)。「張り合わないでよ」という優実さんの一喝が笑いを誘う。

昭和の女子高生から令和の大人の女性まで。見る者の目を引きつけるのは変幻自在の演技力だ。

(日経MJ「CM裏表」2024.05.27)

 


「ビューカード」CM 名コンビが新生活にエール

2024年04月23日 | 「日経MJ」連載中のCMコラム

 

 

名コンビ、新生活にエール

ビューカード

「そこは、ビューカードでしょ。」

第三弾「新生活篇」

 

春は、新入生や新入社員のように、新たな環境に飛び込む人が多い。JR東日本子会社のビューカードによる「ビュー・スイカ」カードの新CM「新生活篇」は、この時期ならではの一本だ。

登場するのは眞島秀和さんと山田杏奈さん。会社の上司と部下という関係だ。

山田さんが新人時代を回想する。不安でいっぱいの自分を元気づけてくれたのはビューカードだ。買い物や定期券購入、オートチャージでもポイントがたまるのは、思わず高笑いしたくなるような快感だった。

そして今、チャージしようと駅に急ぐ新人さんに気づいた山田さんは、「がんばって!」と声をかける。その明るい笑顔が誰をも元気にするのだ。

昨年、ドラマ「ゼイチョー〜『払えない』にはワケがある〜」(日本テレビ系)で、市役所納税課の新人徴税吏員を好演した山田さん。

出張先の地域グルメや地酒を帰りの新幹線車内で堪能する、「居酒屋新幹線」シリーズ(毎日放送・TBS系)の会社員がハマり役の眞島さん。

名コンビが新生活の春に熱いエールを送る。

(日経MJ「CM裏表」2024.04.22)

 


オープンハウスCM 特撮への敬意、タイムリーに 

2024年03月26日 | 「日経MJ」連載中のCMコラム

 

 

特撮への敬意、タイムリーに

オープンハウスグループ

「マイホームマン登場」篇

 

山崎貴監督「ゴジラ-1.0(マイナスワン)」が、第96回アカデミー賞視覚効果賞を受賞した。

視覚効果とは撮影された映像を加工したり、合成したりする技術だ。現実にはない世界や、撮影が困難なシーンを表現するために使われる。山崎監督は脚本や演出だけでなく、視覚効果も自身で手掛けた。受賞はアジア映画初の快挙だ。

オープンハウスグループの新作CM、マイホームマン「登場」篇。戸建ての契約を済ませた堺雅人さんに、「もし、怪獣とか来たら、これで」と謎のバッジが手渡される。

突然、怪獣が出現。驚きながらバッヂのボタンを押すと、堺さんは巨人へと変身する。購入した土地を守るべく、怪獣との戦いが始まった。日本の特撮映画で見慣れた「着ぐるみ」の怪獣と、「ミニチュア」の街並み。スーツ姿の堺さんと怪獣の対比が可笑しい。

今年は円谷英二監督が特撮技術を手掛け世界を驚かせた、初代「ゴジラ」の公開70周年にあたる。令和の現在まで継承される特撮の伝統と革新性。先人たちへの敬意にあふれる、実にタイムリーなCMとなった。

(日経MJ「CM裏表」2024.03.25)

 


新作CM「わたしオン、気持ちいい春」篇の伊藤沙莉さん

2024年02月27日 | 「日経MJ」連載中のCMコラム

 

 

新たな日常へ、伊藤さんと切り替え

エスエス製薬 アレジオン20

「わたしオン、気持ちいい春」篇

 

一昨年の特集ドラマ「ももさんと7人のパパゲーノ」(NHK)で、文化庁芸術祭テレビドラマ部門「放送個人賞」を受賞した伊藤沙莉さん。

昨年は「シッコウ‼~犬と私と執行官~」(テレビ朝日系)で主演を務めた。シリアスとユーモアのバランスが抜群で、千変万化する表情も含め、画面から一瞬も目が離せない。

そんな伊藤さんの新作CMが、エスエス製薬のアレジオン20「わたしオン、気持ちいい春」篇だ。

花粉の季節、伊藤さんも「外、出たくない」とソファに横たわっている。しかし、「頼むぞ、アレジオン」の掛け声と共にスイッチ・オン! ドアを開けて飛び出せば、そこは花咲く草原だ。

思い切り走った後は、草の上に大の字になって深呼吸する。それは花粉症で悩む人たちが熱望する光景だ。見る側も伊藤さんにならって、新たな日常へと切り替えたくなる。

4月には、伊藤さん主演のNHK朝ドラ「虎に翼」が始まる。日本初の女性弁護士をモデルとした物語が、どんな“気持ちいい春”を運んでくれるのか、楽しみだ。

(日経MJ「CM裏表」2024.02.26)

 


「日常」の幸福を、あらためて思うCM

2024年01月30日 | 「日経MJ」連載中のCMコラム

 

 

「日常」の幸福、改めて思う

明治ブルガリアヨーグルト

「笑顔をつなぐ」篇

 

薬師丸ひろ子さんが、映画「野生の証明」でデビューしたのは1978年のことだ。

以来、「セーラー服と機関銃」や「探偵物語」での清冽な印象を保ちながら、大人の表現者として成熟してきた。2013年の朝ドラ「あまちゃん」で演じた、清純派の大女優・鈴鹿ひろ美も忘れられない。

明治ブルガリアヨーグルトの50周年ブランドCM「笑顔をつなぐ篇」。薬師丸さんは、離れた場所で暮らしている娘(原菜乃華さん)を思いやる、やさしいお母さんだ。

母と娘をつなぐのは、「ひと段落すると、いつもこれだった」定番のヨーグルト。機嫌がいい時はスプーンに3杯で、どちらも食べると満足気に「うん!」とうなずいてしまう。この時間が好きなことも2人は共通している。

誰かとつながっていること、今日の営みが明日へと続いていることは、「日常」という名の小さな幸福だ。大きな災害で幕を開けた今年だからこそ、あらためてその大切さを思う。

被災地の方々の「いつもの毎日」が、少しでも早く戻ることをお祈りしたい。

(日経MJ「CM裏表」2024.01.29)

 


「Times CAR」CMの高橋一生さん

2023年12月19日 | 「日経MJ」連載中のCMコラム

 

 

真面目と愉快のいいとこどり

パーク24 Times CAR 

「レール&カーシェア」篇

 

知っている人には当たり前のことでも、知らない人にとっては驚きの事実。最新のIT事情に限らず、そういう事態は珍しくない。

Times CARのCM「レール&カーシェア」篇に登場する、営業マンの高橋一生さんも同様だ。

得意先まで1時間。その後3軒回るので、当然のようにクルマを使うつもりでいた。ところが後輩の若手社員は「むしろ電車っすね」と言う。

「電車?」と聞き返す高橋さんに、「と、カーシェアです」ときっぱり。渋滞を回避できる電車と、行った先で何軒も回れるクルマを組み合わせると言うのだ。

しかも「まあ、いいとこどりっすね」と平然としている。「今って、そうなってんの⁉」と高橋さん。強烈な風を受けて、のけぞる表情が実に愉快だ。

言動は真面目なのに、どこかおかしみが漂う人物。そんな役柄に命を吹き込むのが高橋さんだ。

ドラマ「カルテット」のヴィオラ奏者も、映画「シン・ゴジラ」の文部科学省課長もそうだった。

今ごろ、どこかの街で効率的な訪問営業に励んでいるに違いない。

(日経MJ「CM裏表」2023.12.18)

 


大阪王将CM「忘れられない男」篇の香里奈さん

2023年11月24日 | 「日経MJ」連載中のCMコラム

 

 

香里奈さん、3年目はいじらいさ披露

大阪王将

ぷるもち水餃子・羽根つき餃子

「忘れられない男」篇

 

香里奈さんが、イートアンドフーズ「大阪王将」ブランドのイメージキャラクターを務めて3年目になる。

これまでに、友人たちとの中華パーティーで小籠包を熱く語ったり、刑事に扮して立てこもり犯に呼びかけたりと、コミカルな演技を披露してきた。

今年はシリーズCM「忘れられない男」篇だ。

前作の「羽根つき餃子」では、男から「餃子焼いたから羽根だけ食べて。餃子は俺が食べる」と言われ、「あんなしょうもない男にフラれるなんて」と洗面台の前で憤っていた。

そして、新作の「ぷるもち水餃子」。香里奈さんは空っぽのバスタブに膝を抱えて座っている。

今度は男から「大阪王将のぷるもち水餃子は日本で売り上げ1位でしょうか?」と当たり前のことをクイズに出されて、がっかり。さらに「あんなしょうもない男が忘れられないなんて」と悔しがる。

確かに、この男は困りものだ。だが、こんな男にフラれて、しかも忘れられない香里奈さんが、すこぶるいじらしい。

“忘れられない味“は餃子だけではないのだ。

(日経MJ「CM裏表」2023.11.20)


サンドウィッチマンの「ペヤングソースやきそば」CM

2023年10月24日 | 「日経MJ」連載中のCMコラム

 

 

同級生コンビから青春の懐かしさ

まるか食品 ペヤングソースやきそば 

「旅番組グルメ」篇

 

大学生だった1975年に発売されたのが、まるか食品の「ペヤングソースやきそば」だ。簡単に作れることから、下宿の仲間と食べる夜食の定番になった。

あれから半世紀近くになるが、業界初だった四角形の容器は今も健在だ。

サンドウィッチマンが出演しているCMシリーズの新作は「旅番組グルメ」篇。舞台は割烹旅館の一室だ。

土鍋が置かれたテーブルの前に浴衣と羽織の2人がいる。画面右上には番組名「ぶらり郷土料理の旅!群馬県」の表示。

富澤たけしさんが「郷土料理、楽しみだなあ」と口火を切り、伊達みきおさんが「群馬だと何だろうね」と応じる。

女将さんが「どうぞ」と言って鍋のふたを開けると、そこには何とペヤングソースやきそば! 2人は「白くて四角い器」でうれしそうに食べ始める。

サンドウィッチマンは高校の同級生コンビだ。ふとした瞬間、教室や文化祭の喧騒を思わせ、忘れていた「青春のしっぽ」に触れたような懐かしさを覚える。

やきそばの香りと温かな湯気が、誰よりも似合うのはそのためだ。

(日経MJ「CM裏表」2023.10.23)

 


丸紅CM「できないことは、みんなでやろう。『紅丸』篇」

2023年10月03日 | 「日経MJ」連載中のCMコラム

 

 

丸紅

「できないことは、みんなでやろう。

『紅丸』篇」

柔軟性と統合力、オマージュで表現

 

今期ドラマの話題作だった日曜劇場「VIVANT(ヴィヴァン)」(TBS系)。

モンゴルロケなどの壮大なスケール。自衛隊の特殊部隊という興味深い設定。起伏に富んだストーリー。そして主演の堺雅人さんをはじめとする俳優陣の熱演。

「テレビドラマもここまでやれるのか」とさえ思わせる、剛腕の1本だった。

ドラマは幕を閉じたが、堺さんの戦いは終わらない。丸紅の新CM「できないことは、みんなでやろう。『紅丸』篇」だ。

兵士たちに囲まれた、堺さん扮する武士「紅丸」。

そこに地中から大量のゾンビが現れる。紅丸は、さっきまでの敵と力を合わせて新たな敵に立ち向かう。

しかし今度は宇宙怪獣キングギドラが登場。紅丸、兵士、ゾンビが一体となって戦うことになる。

ところが、さらに巨大隕石が飛来。キングギドラも含めた連合軍が出来上がっていく。

時代劇、ホラー映画から特撮やゲームまで、様々な映像文化へのオマージュが光るこのCM。表現されているのは、困難な課題に挑むための柔軟性と統合力だ。

(日経MJ「CM裏表」2023.09.25)

 


SCSKの新作CM「デスクワーク篇」 クセのあるリズムで社名連呼

2023年08月29日 | 「日経MJ」連載中のCMコラム

 

 

SCSK「デスクワーク篇」

クセのあるリズムで社名連呼

 

SCSKは、「住商情報システム株式会社」と「株式会社CSK」が2011年に合併して誕生した、大手ITサービス企業だ。

ソフトウエア、システムの開発・販売などで大きな実績をもつが、一般的な知名度は十分とはいえない。

同社のCMに今田美桜さんが起用されたのは昨年の春からだ。

あえて「無いぞ、知名度」とささやいたり、黒スーツに黒ネクタイで名刺を差し出したりしながら、確実に社名を広めてきた。

新作「デスクワーク篇」の今田さんは、見えないパソコンを相手に超速でタイピング。

クセのあるリズムに乗って「なんだ、なんだ、SCSK」と問いかける。答えは「あるぞ、ITの可能性。会社名だよ、SCSK」。一度見たら気になる、スタイリッシュなCMだ。

そんな今田さんは現在、ドラマ「トリリオンゲーム」に出演中。巨大IT企業「ドラゴンバンク」を築いた創業者の娘で、多言語を駆使する才色兼備の取締役、黒龍キリカを演じている。

CMと共通するのは、今田さんのクールでクレバーな魅力だ。

(日経MJ「CM裏表」2023.08.28)

 

 


「時効警察」コンビ再現、笑い誘うマックCM

2023年07月25日 | 「日経MJ」連載中のCMコラム

 

 

「時効警察」コンビ再現、笑い誘う

日本マクドナルド

大人のご当地てりやき

「濃いして大阪」篇

 

マクドナルドのCM、大人のご当地てりやき「濃いして大阪」篇である。

街道脇に駐車した大型トラック。運転席にオダギリジョーさん、助手席には麻生久美子さんがいる。2人が手にしているのは新しいハンバーガーだ。

もうこれだけで笑ってしまう。そして嬉しくなる。2人が出演した『時効警察』シリーズ(テレビ朝日系)を連想するからだ。

主人公は、すでに時効となっている未解決事件の真相を探るのが「趣味」だという警察官、霧山修一朗(オダギリさん)。捜査の女房役が同じ総武警察署時効管理課の三日月しずか(麻生さん)だった。

「変わったわね、あんた」と麻生さん。「こんなてりやきじゃなかったのに」と言いつつ、オダギリさんを見つめる。

ナレーションが「変わったのは大阪お好み焼き風ソースたまごてりやき」と説明し、オダギリさんの「そんなお前に、てりやいてるぜ。」という心の声をテロップが代弁。

トラッカーのオダギリさんが潜入捜査の変装に見えてくる。1本で2度おいしいCMだ。

(日経MJ「CM裏表」2023.07.24)


カメラのキタムラCM、安田顕さん&伊藤沙莉さんの「熱演」

2023年06月27日 | 「日経MJ」連載中のCMコラム

 

 

低い認知度を逆手、笑い誘う熱演

カメラのキタムラ 

リユース「キタムラ新たな旅立ち」篇

 

カメラのキタムラのCMといえば、2017年から出演している安田顕さん。

新作のリユース「キタムラ新たな旅立ち」篇では、伊藤沙莉さんと共演している。

田舎道のバス停。乗車する人影。走り出したボンネットバスを追いかける2人。

突然、安田さんが「キタムラ!お前、販売だけじゃなく買取も始めたらしいな!」と呼び掛ける。

しかもカメラ以外に時計やブランド品も買取の対象となるらしい。

伊藤さんも走りながら訴える。

「キタムラ君、カメラの印象が強いから、ブランドのキタムラとか、時計のキタムラとか、ちゃんと言わないと伝わらないからね~!」。

つまづいて倒れ込む安田さん。気遣う伊藤さん。そして2人が声をそろえて叫ぶ。

「キタムラ、頑張れ~!」。

カメラについては実績があるが、それ以外の買取はまだ認知度が低い。

このCMは弱点をさらけ出すことで新規参入のハンデを逆手に取っているのだ。

安田さんと伊藤さんが熱演するほど見る側は笑ってしまう。また笑えるからこそ印象に残る。何とも心憎い演出だ。

(日経MJ「CM裏表」2023.06.26)


サントリー「ほろよい」CMの古川琴音さん

2023年05月31日 | 「日経MJ」連載中のCMコラム

 

 

すてきな母娘、演じ分けも見事

サントリー ほろよい

<渚のココパイン><森のキウイサワー>

「ほろよいで話そ。」篇

 

サントリー「ほろよい」の新作CM「ほろよいで話そ。」篇は、淡いグリーンの色調が印象的なアニメーションで始まる。

遠くに海が見える、アトリエのような一室。2人の女性が差し向かいで談笑している。やがて「ほろよい」で乾杯すると映像が実写に変わり、彼女たちが古川琴音さんとCharaさんであることが分かるのだ。

何を話しているのだろう。とにかく楽しそうだ。「私たちって、時々親子」と琴音さん。そして「時々、友だち」とCharaさん。

母と娘の関係は一筋縄ではいかない。喧嘩ばかりしていても仲が悪いとは限らない。また平穏な日々の裏で対立が深まっていたりもする。でも、この母娘は大丈夫だ。

バックに流れているのは、Charaさんが1997年に発表した「やさしい気持ち」のアレンジ曲。当時、琴音さんはまだ生後6カ月だ。

そんな2人が今、画面の中で素敵な母と娘になっている。NHK大河ドラマ『どうする家康』で目を引く、怪しい巫女との演じ分けも見事な琴音さん。俳優としての進化に加速度が増している。

(日経MJ「CM裏表」2023.05.29)

 


「国民年金基金」CM 諦めない生き方、のんさんが体現

2023年05月12日 | 「日経MJ」連載中のCMコラム

 

 

諦めない生き方、のんさんが体現

国民年金基金「夢を、上乗せしよう」篇

 

この4月からNHK・BSプレミアムで『あまちゃん』が再放送されている。2013年の4月から9月にかけて放送された、朝ドラの歴史に残る名作の1本だ。

ヒロインの天野アキを演じているのは能年玲奈(現在は、のん)さん。

16歳のアキは、母の春子(小泉今日子さん)によれば「地味で、暗くて、パッとしなくて、何のとり得もない女の子」だ。

そんな引っ込み思案の少女が、やがて多くの人を元気づける「アイドル」へと成長していく。

国民年金基金の新CM「夢を、上乗せしよう」篇に、のんさんが登場した。

アトリエでキャンバスと向き合い、夢中で絵筆を動かしている、のんさん。真剣で楽しそうなその横顔に、自身によるナレーションが重なる。

「独立したあの日から、将来のことも自分で考えるんだなあって。私は一生、夢を追い続けたいんです」

『あまちゃん』から10年。様々な体験を積み重ねての今だ。夢を諦めない。現状に満足せず、夢を上乗せしていくこと。のんさんの生き方がそれを体現している。

(日経MJ「CM裏表」2023.04.24)

 

 


auのCM「新人さんのあまのじゃ子」篇は、未知との遭遇

2023年03月28日 | 「日経MJ」連載中のCMコラム

 

 

未知との遭遇、自由人もタジタジ

KDDI au応援割

「新人さんのあまのじゃ子」篇

 

KDDIのau三太郎シリーズ「新人さんのあまのじゃ子」篇で、強烈なキャラクターが登場した。

舞台は竜宮城。桃太郎(松田翔太さん)と浦島太郎(桐谷健太さん)に、乙姫(菜々緒さん)が新人のあまのじゃ子(あのさん)を引き合わせる。

2人は「俺たちは英雄の…」と自己紹介するが、あまのじゃ子は「英雄ってそんなに偉いんですか?」と軽くいなし、「生きてるだけで偉くないですか?」と突っ込んできた。

慌てた乙姫が「2人に会えるの楽しみにしてたのよ~」とフォローするも、「してないです」とニベもない。

「若いね~」と苦笑いの2人に、「若いでまとめないでください!」と追い打ちをかける。

いやはや、これは只者ではない。桃太郎も浦島太郎も常識に縛られない自由人だ。そんな彼らをタジタジとさせる新世代の出現。

理解不能な相手を、つい「年齢」でくくろうとした桃太郎たちの困惑が伝わってくる。

しかし、未知との遭遇は新たな世界観や価値観との出会いだ。揺さぶられる自分を楽しみながら向き合ってみたい。

(日経MJ「CM裏表」2023.03.27)