碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
見たり、読んだり、書いたり、時々考えてみたり・・・

『産経新聞』でのコメント<長尺版>

2009年07月31日 | メディアでのコメント・論評

『産経新聞』からの取材に対するコメントの<長尺版>が、MSN産経ニュースに掲載された。



記事タイトル:
「何を改善したかも明らかに」日テレ勧告で碓井・東京工科大教授

東京工科大学の碓井広義教授(メディア論)の話


勧告の内容は非常に高く評価したい。この問題の対象者にきちんとヒアリングし、日本テレビの内部資料もきちんと精査している。

勧告の底流にあるのは、報道という仕事が、テレビというメディアにとっていかに重要なものか、という点だ。

テレビはバラエティーやドラマも作るが、免許事業であるテレビがその公共性を担保しているのが報道ではないか、ということが伝わってくる。

まさに今回の問題は、その報道の部分で起きた。勧告はそれを重要視した内容だ。

勧告は、報道番組の制作体制の問題点も厳しく指摘している。それは、テレビ局の報道セクションが少ない社員と多くの外部スタッフで制作されていること。

バラエティー番組に外部スタッフが多いことは一般の視聴者にも周知の事実かもしれないが、報道番組も社員単独ではできず、外部スタッフの力を借りないとできない状況であることを浮き彫りにしている。

その外部スタッフを、チームの一員として扱い、ジャーナリズム教育をしながら、報道番組を作らなければいけないということだ。

本件の番組制作の問題点については、日テレ社員を「頭脳」、外部スタッフが「手足」という役割分担のせいだったかもしれないとリアルな言葉で表現しているが、幹部スタッフである「頭脳」も現場を動いていれば、今回の問題を引き起こしていなかったということだろう。

日テレには、8月の検証番組で、何をどう間違えたのか、再発防止の具体策をきちんと自分たちの言葉で伝えるべきだ。

「バンキシャ!」は今も続いているが、問題発覚後、何を改善して放送してきたのかについても、検証番組で語られることを強く望む。



「BPO勧告」について新聞3紙でコメント ③読売新聞

2009年07月31日 | メディアでのコメント・論評

昨日(30日)、BPO(放送倫理・番組向上機構)による日本テレビへの「勧告」が行われた。

これについてのコメントが、『読売新聞』(31日付)に掲載された。



「勧告が指摘するように、テレビの報道番組の大半は、キー局社員が『頭脳』で、多くの外部スタッフが『手足』となって制作されている」

「だが、社員とスタッフが互いにコミュニケーションもないままバラバラに取材し、誤報を招きかねない危うい状態にあるのが実情」

「今回のケースと勧告を、すべてのテレビ関係者が他人事とせず、報道に携わる人間に報道・取材の基本を学ばせるべきだ」


「BPO勧告」について新聞3紙でコメント ②産経新聞

2009年07月31日 | メディアでのコメント・論評

昨日(30日)、BPO(放送倫理・番組向上機構)による日本テレビへの「勧告」が行われた。

これについてのコメントが、『産経新聞』(31日付)に掲載された。

記事は以下の通りです。



タイトル:
自転車操業、現場は「手足」…バンキシャ!虚報を糾弾


「いろいろ取材しているようだが、実際はほとんど一歩も根拠の収集に向かわなかった」。日本テレビ「バンキシャ!」の虚偽報道について、BPO検証委が30日に示した勧告は、安易な取材方法についてだけでなく、放送日程に追われる“自転車操業”の実態や取材者の責任感の欠如など、報道番組のありようを厳しく批判した。

 「1週間では十分な取材ができないテーマでも、何とかその週に放送することが求められていた」「放送日に合わせて無理やり取材を間に合わせる」…。勧告は、虚報の根本的な原因として、取材の過密スケジュールを挙げた。

 問題となった裏金報道の場合、情報収集を始めたのが昨年11月3日。当初の放送予定は6日後の9日だったという。結局、放送は23日となったが、その2週間も、「情報源の特定につながる」などと、情報提供者以外の裏付け取材には動かなかった。勧告は「真実と信じるに足る根拠」を取材する意志がみられなかった、と糾弾した。

 取材チームの判断力や責任感の欠如も指摘された。勧告によると、現場に赴いた番組スタッフは、「幹部スタッフが取り上げると決めたからには、情報提供者の信用性はすでに判断されている」と思いこんでいたという。取材現場に真偽の判断が委ねられていなかったことも、虚報の一因になったとみられる。

 東京工科大学の碓井広義教授(メディア論)は「問題の背景について勧告は、日テレ社員が『頭脳』で外部スタッフが『手足』という役割分担のせいだったかもしれないと表現している。幹部スタッフである『頭脳』も、現場で動いていれば問題は起きなかったということだろう」と指摘する。

 さらに、「ドラマやバラエティー番組も作るテレビに対して、報道の重要性を指摘する内容となっている。日本テレビの内部資料も精査しており、高く評価したい。日テレは8月の検証番組で、何をどう間違えたのか、形ばかりでなく、再発防止の具体策をきちんと自分たちの言葉で伝えてほしい」と話している。

 一方、記者会見した検証委の服部孝章委員は「決してバンキシャだけの特殊な事例ではない。これまで委員会が扱ったいくつもの事例に同種の傾向がみられる」と述べ、報道機関が真摯(しんし)に問題を受け止めるべきだと強調した。


 ■放送倫理検証委員会 BPOが2年前に新設。脚本家の市川森一さんら有識者10人で構成。視聴者に虚偽内容だと著しく誤解を与えた疑いがある番組について調査、審理。放送局に対し委員会の考え方を示す「見解」や、一定の行動を求める「勧告」を出す。

「BPO勧告」について新聞3紙でコメント ①東京新聞

2009年07月31日 | メディアでのコメント・論評

昨日(30日)、BPO(放送倫理・番組向上機構)による日本テレビへの「勧告」が行われた。

これについてのコメントが、、『東京新聞』(31日付)に掲載された。

記事は以下の通りです。


タイトル:
日テレ社長 BPO初勧告 『反省』の一方強気に 『質に自負』番組継続


「真相報道バンキシャ!」の誤報問題で放送倫理・番組向上機構(BPO)の初めての勧告を受けた日本テレビは三十日夕、東京・汐留の本社で細川知正社長らが記者会見。久保伸太郎前社長の辞任にもつながった問題に反省の意は示したが、「視聴者の支持を受けている」として、番組の存続を明らかにした。 

 冒頭、細川社長は「勧告を極めて重く受け止めている。関係者にご迷惑をお掛けしたことをあらためておわびします」と、コメントを読み上げ頭を下げた。

 一方、番組存続については「終了しなければならないとは判断していない。継続するつもり」と明言。その理由として、「放送の中身を通して名誉の回復を図る。事件前、後も視聴者の支持があり、クオリティーに一定の評価を受けているという自負がある」と続けた。

 不十分と指摘された三月の同番組内での「おわび」放送については「指摘に基づき検証番組の中で触れたい」と述べた。一方、裏金口座の届け出住所が情報提供者の自宅で、真偽を見極める重大な糸口を見逃していたというBPOの指摘に対して、同局の戸恒直コンプライアンス推進室長は「社内調査でも同じ事実を聴取していた。報告書を作る際の取捨選択で、問題点として載せることを選択しなかった」と説明。隠ぺいでは?の問いに「全く隠ぺいという意図はありません」と否定した。

◆「犯罪に使われ岐阜県に実害」 BPOが勧告理由
 「放送が刑事犯罪の手段に使われ、岐阜県に実際の被害を与えた」。東京都千代田区で行われたBPOの川端和治委員長らの会見では、最も厳しい「勧告」を初めて出した理由が説明された。

 各委員が問題視したのは、責任の所在があいまいで、証言が虚偽であることを見抜けなかった取材体制そのもの。小町谷育子委員長代行(弁護士)は、「ヒアリングでも番組のスタッフが『こんなことになっていたとは』と非常に驚き、悪寒が走ったと言っていたが、一人一人の責任の欠落に、スタッフ自体が気が付いていなかった」と問題の根深さを指摘した。番組は問題発覚後も打ち切られず続いている。「番組自体がいけないということではない」(川端委員長)と、番組の存続には理解を示した。

◆裏付け取材ずさん
 放送に詳しいジャーナリスト坂本衛氏の話 最大の問題は、未熟な制作者が裏付け取材を怠ったこと。岐阜県側にも、きちんと取材をしなければならないのにしていない。情報提供者が逮捕された点でも日本テレビの責任は重い。報道の誤りは報道で返すべきで、視聴者への説明責任として、検証番組はBPOの判断を待ってやるべきものではない。テレビの映像重視は当然だが、それを「よい絵さえ撮れればいい」とはき違えては困る。

◆現場の連携に欠陥
 元制作会社プロデューサーの碓井広義東京工科大メディア学部教授の話 いっしょに番組を作っている社員と外部スタッフがまったくコミュニケーションをとれていないことにあ然とする。報道はテレビの公共性を担保しているといえる部門。そこでさえ、こんなに危うい番組づくりがされていたという事実は重い。今後も番組は続けるようだが、どこに欠陥があったのか、その欠陥をどう直したのかを検証番組で視聴者にきちんと説明すべきだ。


『週刊新潮』で、「日テレ・夏目アナ」関連のコメント

2009年07月30日 | メディアでのコメント・論評

本日発売の『週刊新潮』(8月6日号)でコメントしている。

記事のタイトルは、<「日テレ」辞書に「夏目三久」アナ「避妊具写真」の文字はない>。

いやあ、すごいタイトルだなあ(笑)。

問題にされたのは、日本テレビ『おもいッきりDON!』の「ヤフー!検索ランキング」のコーナー。

取り上げた「急上昇した芸能ワード・ベスト5」の中に、当然入っていたはずの「夏目アナ」の名前がなかった、という話だ。

まあ、確かに、主婦向け番組の司会者にとって、あの流出写真は痛い。

本人はもちろん、局としても、番組としても、出来れば“なかったこと”にしたいところだろう。

とはいえ、実際に“なかったこと”のように伝えるのは、それはそれで問題だ。

私のコメントは以下の通り・・・


検索ランキングというのは、いわば“データが全て”の企画。この場合、データを正直に伝える、というのが大前提です。

もし、集計期間を変更するなら、その趣旨を視聴者にきちんと示さねばなりません。

少し大げさに言うと、広義の『やらせ』には、狭義のやらせ以外に、『歪曲』『誇張』『削除』が含まれる。

自分たちに都合の悪い事実を意図的に消した今回は、まさに、削除にあたります。

こんなことを繰り返していては、放送の客観性に対する視聴者の不信感を助長するだけです。



記事には、一方で、フジテレビ『めざましテレビ』のランキングでは、1位に、セクハラ事件で処分された自社「長坂哲夫アナ」の名前が堂々と提示されていた、とある。

いずれにしても、夏目アナの“おもいッきり痛恨事”でありました。

明日の取材の“予約”

2009年07月29日 | メディアでのコメント・論評

明日30日、BPO(放送倫理・番組向上機構)が日本テレビび対して、「バンキシャ!」問題に関する“勧告”を行い、公表するそうだ。

今日の午後、新聞社からの連絡で知った。

取材の「予約」である。

明日、“勧告”の内容を検討し、コメントしてください、という依頼だ。

そういえば、忘れていたけど(笑)、今月11日に、各メディアが伝えていた。


「放送倫理・番組向上機構」(BPO)の「放送倫理検証委員会」(委員長=川端和治大宮法科大学院大学教授)は10日、岐阜県庁の裏金を巡る日本テレビの報道番組「真相報道バンキシャ!」の誤報問題について、経緯を明らかにする検証番組を作るよう勧告し、「誤報が起こる体制が社内にあった」との見解を出す方針を明らかにした。

今月中にも、同局に文書で通知し、詳細を公表する。

問題となったのは、同番組が昨年11月、元建設会社役員の虚偽証言を元に、岐阜県庁が裏金を作っているとした報道。岐阜県庁から事実確認を求められ、調査の結果、誤報と判明し、謝罪した。当時の久保伸太郎社長も辞任した。

放送倫理検証委員会はウソの内容の放送で視聴者に大きな誤解を与えたと判断した時に審理を行い、結論として見解や、より重い勧告を出す。

三つあるBPOの委員会のうち同委員会で審理入りしたのは不二家の衛生管理を巡るTBSの情報番組の問題に次いで2例目で、勧告に至ったのは初。

川端委員長は、その理由として「報道した事実自体が虚偽とはっきりしている」と説明。内容が虚偽かどうかが不明のため見解にとどまったTBSの事例より悪質と判断した。

日本テレビ総合広報部は「結果を重く受け止め、検証番組を制作する」としている。
(2009年7月11日 読売新聞)


さあ、明日。

BPOの判断は、どんな内容になるのか。


ときどき食べたくなるもの

2009年07月29日 | 日々雑感

普段は忘れているのに、ときどき食べたくなるものがある。

コメダ珈琲店の「小倉トースト」も、その一つだ。

2枚分のトーストに、バターと小倉餡が付いて、380円也。

コメダ珈琲店の本拠地は名古屋だから、小倉トーストも向こうが“本場”なのかどうか・・・

とにかく、ふと食べたくなる。

そうじゃなくても、コメダのコーヒー自体が結構好きで、飲みたくなった時は少し早目に家を出て、大学へ行く途中にあるコメダ珈琲店に寄る。


京都に行ったら「イノダコーヒー」に寄りたいし、神戸なら「上島珈琲店」に入る。

確かに今は、イノダも、上島も、コメダも、みんな東京で飲める。それはそれで有難いが、“現地”を訪ねる楽しみもとっておきたいと思う。

というわけで、会議が連続する水曜を、コメダの「小倉トースト」パワー(?)で乗り切っています。

暑気払いとラジオ体操

2009年07月28日 | テレビ・ラジオ・メディア

昨夜は、某テレビ局にいる”元教え子たち”との暑気払いの会。

ドラマ部やアナウンス室など、みんな、それぞれのセクションで、一番忙しく働く世代になっている。

テレビをめぐる、現場感覚いっぱいのオモテやウラの話が飛び交い、大いに盛り上がった。

その会場に行く途中の路地で、ちょっと懐かしめのポスターを見つけて、激写(笑)。

子ども時代の夏休みといえば、ラジオ体操だ。

毎朝、幹事のおじさん(?)に、出席スタンプを押してもらい、最終日に、皆勤賞としてエンピツかなんかを頂戴したような気がする。

今も行われているんだねえ。

『産経新聞』で、「総務省vs.BPO」についてコメント

2009年07月27日 | メディアでのコメント・論評

今日の『産経新聞』(27日付け)に、総務省がTBSに行った“行政指導”をめぐる記事が出た。

問題となったのは、“二重行政”を扱った「情報7days ニュースキャスター」。

大阪府の清掃車が「国道では、わざわざブラシを上げて、清掃をせずに通過する」という“光景”を流したのだ。

ただし、この映像が事実とは異なっていたということで、先日、TBSが“厳重注意”を受けた。

そんな総務省の対応を、BPO(放送倫理・番組向上機構)が問題視したのだ。

この記事のタイトルは「BPOが反発~国がTBSに“頭越し”行政指導」。

その中に、私のコメントも掲載されている。

以下は「産経新聞」の記事だ。


見出し:
BPOが反発~国がTBSに“頭越し”行政指導

本文:
テレビ番組などの放送内容に関する不祥事やトラブルの再発防止を図るための第三者機関、放送倫理・番組向上機構(BPO)が国に対して反発している。

TBSの番組をめぐり、先月、国がBPOの対応を待たずにテレビ局に行政指導を行ったためだ。平成15年にBPOが発足してから初のケースに、波紋が広がっている。

NHKと日本民間放送連盟などで組織されているBPOは、番組内容で問題が起きると放送倫理検証委員会などで協議を重ね、当該放送局に「勧告」や「見解」などを出す。BPOの委員には大学教授や弁護士など民間人が務めている。

問題になっているのは、TBSが「情報7days ニュースキャスター」内で、二重行政の無駄を紹介する事例として通常は行わない清掃業務を業者に依頼し、4月に報道したこと。

この件で総務省は6月、「事実を正確に報道しなかった」との理由でTBSに厳重注意を行った。

国は、放送法で「事実を曲げた報道をしない」といった原則を定めているほかは、番組作りに個別には立ち入らない。

虚偽報道など不祥事が繰り返されると、「厳重注意」や「警告」といった法的拘束力のない行政指導を行ってきたが、それらは決まってBPOが不祥事への対応策を出した後だった。

だが今回は、TBSの問題を委員会で審理するかどうか結論を出す前の行政指導だった。

これにBPOは反発。今月17日には「行政の指導は表現の自由を萎(い)縮(しゆく)しかねない。放送界の自主的機能が発揮できる限り、総務省はその結果を基本的に尊重すべきだ」との川端和治委員長の談話を発表した。

これに対し、総務省地上放送課では「これまでと同じく、新聞や週刊誌で報道された問題だったため行政としても問題化し、テレビ局側から任意で事情を聴いた。

その結果、スムーズに回答があり迅速に判断を下しただけ。BPOの対応は考慮しなかった」と話す。

総務省のこうした対応について、東京工科大学の碓井広義教授(メディア論)は「BPOの対応の遅さや放送界でのやらせ問題に歯止めがかからない実情に対し、国がBPOは放送界寄りで、任せられないと考えたのでは」と推測する。

一方、立教大の砂川浩慶准教授(同)は「メディアは誤りがあれば自ら正し、信頼を図るべきだ。そもそも国につけ込まれぬよう品質の良い番組を作っていれば、両者が対立することもない」と指摘している。
(産経新聞 2009.07.27)


国による、”指導”という名の”介入”を受けないためにも、スキのない番組作りを行う必要があるのです。

山崎豊子さん渾身の『運命の人』全4巻を読了

2009年07月26日 | 本・新聞・雑誌・活字

山崎豊子さんの長編小説『運命の人』第4巻を読み終わる。

全4巻を読了したわけだ。

これだけの物語を、取材から4年の歳月をかけて完結させたこと自体、いやあ、すごいです。

1971年の沖縄返還交渉をめぐって、当時、毎日新聞の西山記者が政府機密文書を国会議員に流したとして、国家公務員法違反で有罪とされた、いわゆる「外務省機密漏洩事件」をベースにしたストーリー。

最終巻では、主人公の元記者・弓成亮太を通じて、沖縄の“深部”にまで筆を進めている。

戦時中、そして戦後と、日本という国家が、沖縄に対して何をしてきたのか。何をしてこなかったのか。

この長編小説を通読すると、沖縄問題の多くが、ほとんど解決されていないことが分かる。

それでいて、一人の新聞記者の物語としては、どこか“救い”もあって、ほっとした。

現在、山崎さんの『不毛地帯』のドラマ化や、『沈まぬ太陽』の映画化などが進行中だ。

それはそれで楽しみだが、この『運命の人』はテーマがテーマだけに、映像化は容易ではない。

いや、山崎さんは、ドラマや映画では描くことができない、いわば“活字の力”“小説の力”でしか生み出し得ない世界を創り上げた、と言うべきだ。

拍手です。


運命の人(四)
山崎 豊子
文藝春秋

このアイテムの詳細を見る



小学校の校庭で、盆踊り

2009年07月25日 | 日々雑感

夕方、風に乗って太鼓の音と民謡が流れてきた。

近所の小学校の校庭で、盆踊りらしい。

そういえば、さっき帰り道で、何人かの浴衣姿とすれ違ったっけ。

やぐらが建ち、ちょうちんが飾られ・・・

いいねえ、こういう夕暮れ。

映画『ターミネーター4』は、新シリーズの1作目!?

2009年07月25日 | 映画・ビデオ・映像

映画『ターミネーター4』を観てきた。

1本目の『ターミネーター』が1984年だから、実に25年。

最近ではTVシリーズも作られているし、すっかり“長寿”企画となってしまった。

今回の「T4」は、これまでの「T1」から「T3」とは、また別の次元というか、次の段階に入ったものだと思う。

舞台は2018年であり、例の「審判の日」の後の世界だ。

ターミネーターという“単体”との戦いではなく、いわば“マシーン”対“人類”の巨大な戦争を描いている。

シュワちゃんと勝負していたサラ・コナー(リンダ・ハミルトン)のお腹にいたジョンが、すっかり不屈の戦士となっている。

このジョン・コナーを演じているのが、「バットマンビギンズ」「ダークナイト」のクリスチャン・ベイルで、これが見事にハマっていた。

マシーン軍団があまりに強大であり、機械だから情け容赦なく人間を殺戮するわけで、全体には結構重苦しい。

まあ、それだからこそ、ジョンたちの命がけの戦いが際立ってくる。
がんばれ、人間!

映画の中では、ジョンと、彼の父親であるカイル・リースが出会うことになる。一種のタイム・パラドックスみたいなものだが、不思議な感じ。

自分が、亡き父と、こういうふうに“再会”したら、どんなだろう、などと思ったからだ。

そうそう、まるでゲスト出演(?)のシュワちゃんを見たとき、すごくほっとしたなあ。

これまでの延長のようでいて、やはり、「次の段階」の1作目なのだ。

じゃあ、その2作目(このT4の続編)が出来たら見に行くか。

正直いって、やや微妙であります(笑)。


ターミネーター4 (角川文庫)
アラン・ディーン・フォスター
角川グループパブリッシング

このアイテムの詳細を見る



『日刊ゲンダイ』で、「製作ガイドライン」についてコメント

2009年07月24日 | メディアでのコメント・論評

昨日発行の『日刊ゲンダイ』(24日付)に、総務省が発表した「放送コンテンツの製作取引適正化に関するガイドライン(第2版)」をめぐる記事が出た。

タイトルは「総務省“製作ガイドライン”でも十分ではない ご都合主義なテレビ業界」。


このガイドライン、まあ、分かりやすく言えば、テレビ局による製作会社に対する“下請けいじめ”是正を目的としている。

何しろ、テレビ番組の7割以上に製作会社が関わっている。いわばテレビを支える大事な存在なのだが、立場としては“下請け”ということになってしまうのだ。

ガイドラインに盛り込まれた“重要ポイント”としては・・・

「製作会社への発注書・契約書の交付を義務付ける」

「下請け代金の支払い期限は番組納入日から60日以内にする」

「製作会社が持つ著作権の譲渡をテレビ局が受ける場合、対価を支払う」

「一方的な製作費削減の禁止」などなど。


他の業種から見たら、「おいおい、今まで、そんなことも実行されてこなかったわけ?」と驚かれてしまいそうな事柄ばかりだ。

しかし、現実はそうだった、ということ。

日本に番組製作会社が誕生して約40年。ようやく、こうした“当然のこと”が実現される、かもしれないのだ。

というのは、現状、テレビ局はどこも製作費の大幅削減などを必死でやっている。これまでの製作会社との“関係”を、そう簡単に改善できるものでもない。

掲載されている私のコメントは・・・

「総務省が、これまでテレビ局が当たり前のようにやってきた下請けいじめの実態を明らかにして、改善を求めたことは評価できます」

「しかし、ガイドラインには法的な規制や罰則がなく、テレビ局の“良心”に任せている。これでは、テレビ局がどこまで守るかわからない。ガイドラインが形だけのきれい事で終わってしまう可能性もあります」

「関係各所が、問題を起こしていないかを客観的に監視する第三者機関をつくるといった方法で、ガイドラインを徹底させる必要があると思います」


確かに、記事の小見出しにもあるように、「役所にいちいち口出しされる前にマトモな対策を講じるべき」話ではある。

しかし、こうしてガイドラインが整えられえてきたことは、現場サイドにとっては、とても大きい。

繰り返しますが、本当はガイドラインなんか無くても、指摘された事柄くらい履行されていなくちゃいけないんですけどね。

「日食」と共に、“お宝”が届く

2009年07月22日 | 本・新聞・雑誌・活字

「日食」の生中継を見ていたら、札幌の古書店「石川書店」から荷物が届いた。

先週末にお店で購入した本が入っている。便利だねえ。

今回は、ポケミス(ハヤカワポケットミステリ)12冊の他に、何冊かの“お宝”を発見。入手したのだ。

・山口瞳『江分利満氏の優雅な生活』文藝春秋 
昭和38年2月15日発行 初版 当時の定価320円

この直木賞受賞作は長年の愛読書だ。目につくと、つい買ってしまう文庫本は何冊もあるが、当時の単行本(しかも初版)は嬉しい。

巻頭に写真があり、そこには当時38歳の山口瞳さんと息子の正介さん(当時小学生、現在文筆家)が写っている。

住んでいらしたサントリー社宅(川崎市木月)の近所の原っぱだろうか。二人ともセーターを着ていて、山口さんは左手にトリスの小瓶を持ち(宣伝部員だったからね)、右腕で玩具のライフル銃を持った正介さんの肩を抱いている。いい写真だ。

あとは・・・

・野坂昭如『受胎旅行』新潮社 
昭和42年10月25日発行 初版 定価360円

表題作の他にも「マッチ売りの少女」や「現代好色かたぎ」など一気読みの作品が並ぶ。

・野坂昭如『とむらい師たち』講談社 
昭和42年8月12日発行 初版 定価340円

収録の短編「ベトナム姐ちゃん」というタイトルもこの時代ならではだ。

・サルトル(白井浩司:訳)『嘔吐』人文書院 
昭和26年2月15日 初版 定価250円 

自分が生まれる以前の本の“現物”を、こうして手にとれるのも古書の楽しさだ。

奥付を見ると、「定価250円」の表示と共に「地方260円」とある。輸送費の問題だったのだろうか、地方では10円高い設定となっており、出版史的にも面白い。

・サルトル(白井浩司:訳)『壁』人文書院 
昭和25年12月30日発行 初版

「水いらず」などが収録された短編集。こちらは「定価220円」で「地方230円」。

衆議院解散と「演習」の終了

2009年07月21日 | 大学

衆議院が解散された。

テレビ中継で、国会議員たちによる例の「バンザイ!」を眺める。

8月30日の投票に向かって、この国は、しばし選挙戦の喧騒に包まれるわけだ。


一方、本日、こちらも解散というか、終了したのが「デジタルシネマ演習」である。

前期の授業も今週で終りだ。

演習の最終日は、学生たちが制作した映像作品の発表会。

全体テーマは「見つける」とした。

誰が、何を見つけたのか。それは、どんなストーリーなのか。

すべての撮影は、八王子キャンパスの中で行われている。

初めて書いたシナリオ、初めて触ったカメラ、というメンバーも多いが、出来上がった作品は、なかなかのものだ。少なくとも予想以上の出来だった。

今学期から始めた新しい演習だったが、創設してよかったと思う。

後期はまた新しいメンバーが集まってくる。このメンバーとは、一旦、今日でお別れだ。

もちろん「バンザイ!」はしない。

元気な「おつかれさまでした!」コールで散会した。