碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
見たり、読んだり、書いたり、時々考えてみたり・・・

今夜の「金曜オトナイト」は、綾戸智恵さんと・・・

2014年02月28日 | 金曜オトナイト
BSジャパン
「大竹まことの金曜オトナイト」
2014年2月28日(金)
夜10時54分~夜11時54分


今夜の「金曜オトナイト」。

ゲストは、ジャズシンガーの綾戸智恵さんです。

まあ、話していると実に楽しい“おばちゃま”なのですが、歌わせると、これまた凄い(笑)。

番組の冒頭では、何と、綾戸さんの「生演奏・生歌」が披露されます。

お見逃しなく!




<出演者>
ゲスト:綾戸智恵(ジャズシンガー)

大竹まこと、山口もえ、碓井広義(上智大学教授)
繁田美貴(テレビ東京アナウンサー)

<番組内容>
◆流出ワイド
(秘)一人っ子の介護の悲哀 乗りきる5つの知恵
(秘)ご飯の写真をパチパチ「フードポルノ」に
仏シェフ怒り
(秘)20代男子の4割!息子の脱童貞を妨げる親の口癖
(秘)多くのカップルが○曜日の○時にセックスしている

◆特集
下高井戸で飲みながら~
オトナのスポーツ特集
深夜の熱き男の戦い
「ミッドナイト競輪」生中継!
特集ゲスト:山田美保子、安田大サーカス・団長、鈴木あきえ

◆文化情報コーナー
綾戸智恵おススメの映画
「ポセイドンアドベンチャー」
フランス映画の傑作!
「恐怖の報酬」



今週の「もえちゃん」

28日(金)の午後は、HTB「イチオシ!」

2014年02月28日 | テレビ・ラジオ・メディア

28日(金)は、札幌。

午後、HTB北海道テレビ「イチオシ!」で、いつものコメンテーター
です。

道内の皆さん、よろしくお願いします!

プレゼントは、舞台『もっと泣いてよフラッパー』

2014年02月28日 | 舞台・音楽・アート

渋谷のシアターコクーンで、舞台『もっと泣いてよフラッパー』を観てきました。

このタイトルで、「おお、懐かしい」と思う人は、それなりの年齢ですね(笑)

私も70年代後半の学生時代に観ていますから、息の長い作品だなあ。

作・演出は、もちろん串田和美さん。あ、出演もしています。

実は今回のチケット、家内からの「誕生日プレゼント」でした。

主演の松たか子さんのファンを長年やっている私にとっては、とても嬉しい贈り物です。

松さんの舞台を観るのは、日生劇場の「ジェーン・エア」以来。

今回はジルっていうダンサーを演じているわけですが、かつての吉田日出子さんとも違う、さわやかなヒロイン像でした。

まあ、私は松さんが演じていれば、ほとんどOKなんですが(笑)。



舞台は1920年代のシカゴ。歌って、踊って、恋をして、やがて男たちは去り、女たちだけが残る・・・・そんな、お芝居です。

私はひたすら松さんを眺め、生演奏のジャズを聴き、「舞台」というゼイタクを堪能できました。

3月2日まで、渋谷シアターコクーンでやってます。


3月1日(土) NHK・BS1「グローバルディベートWISDOM」に生出演

2014年02月27日 | テレビ・ラジオ・メディア

NHK・BS1「グローバルディベートWISDOM」

3月1日(土)夜10時からの放送に、生出演することになりました。

テーマは、「世界が語る メディアの未来 2014」

http://www.nhk.or.jp/wisdom/index.html

約1時間50分の生放送、ぜひご覧ください!


<番組について>

2010年に始まったウェブサイトと国際討論番組
「プロジェクト WISDOM」は、これまで、
地球上の切実な課題に向きあい格闘する100人を超える
「WISDOM(英知)」たちのネットワークを構築してきました。

そして今、多くの大国のリーダーが変わりゆく2012年、
「プロジェクトWISDOM」は
「グローバルディベートWISDOM」へと、生まれ変わります。

世界と日本が抱える“グローバル・アジェンダ”に鋭く切り込む
白熱した議論を繰り広げる討論番組へと進化・深化します。

日本人論客をフィーチャーし、
世界からの視座と日本発の着想がクロスする
“世界標準の最先端の議論”を行い、
問題の解決策を探っていきます。


<今回の内容>

「4K」「8K」など高解像度のテレビや、新たなOSを搭載したスマートテレビ、身につけるウェアラブル機器の登場など、技術革新が急速に進む中、映像メディアは大きな変貌を遂げています。映像コンテンツも、もはやテレビの独占物ではなくなり、放送局や制作会社を超え、さまざまな形で生み出されるようになっています。

アメリカの動画配信大手の「ネットフリックス」は、ユーザーのビッグデータをもとに独自にドラマを制作し、人気を博していて、エミー賞やゴールデングローブ賞を獲得するまでになっています。また、ネット販売大手アマゾンも独自にネット上のスタジオを設け、映画制作の才能発掘に乗り出すなど、エンターテイメント分野の映像コンテンツをめぐっては、異業種が参入するなど、新たなビジネスモデルを模索する動きが活発化しています。

こうした動きは、映像ジャーナリズムの世界にもおよんでいます。ネット通販大手イーベイの創業者は、動画ニュースを配信するメディアを創設し、新たな収益源にしようとしています。また、市民や消費者が自ら動画ニュースを配信する動きも起きています。デジタル化の進展は、放送局や専門の制作会社しか手にできなかった高画質の撮影機材、編集ソフトなどを普及させ、ハード面ではすでに作り手と受け手の境界を消し去っているのです。

一方で、これまでテレビなどの従来の映像メディアが培ってきたニュースや番組の制作能力や人材が危機に瀕するのではないか、と危惧する声もあります。高度なスキルやノウハウなくして、公平性や中立性などを保てるのか、興味本位のコンテンツが氾濫するのではないか、などの懸念の声です。 番組では、メディアの変容が激しいアメリカやヨーロッパの映像ビジネスの最前線を独自取材。テレビを中心とするメディアの未来はどうなるのか、メディアビジネスのあり方はどう変わるのか、そして、変容する映像メディアは世界に何をもたらすのか、議論します。

(番組サイトより)



キャスターの滝川クリステルさん  真下(ましも) 貴アナウンサー

“後輩”たちから取材を受ける

2014年02月27日 | テレビ・ラジオ・メディア

古巣のテレビマンユニオンから、放送に関するインタビュー取材を
受けました。

大学にやってきたプロデューサーもディレクターも、初めて会う
“後輩”たちです。

「今の加藤義人社長が、1981年に一緒にユニオンに入った同期
だよ」と言ったら、びっくりしていた(笑)。

きちんとした仕事ぶりが嬉しく、また頼もしく。

とはいえ、何だか、不思議な気分でしたね(笑)。

おつかれさま。



【気まぐれ写真館】 キャンパス夕景 2014.02.26

2014年02月27日 | 気まぐれ写真館

山田太一脚本「時は立ちどまらない」の奥行き

2014年02月26日 | 「日刊ゲンダイ」連載中の番組時評

日刊ゲンダイに連載している「TV見るべきものは!!」。

今週は、山田太一ドラマスペシャル「時は立ちどまらない」について書きました。


山田太一ドラマスペシャル
「時は立ちどまらない」(テレビ朝日)
これからが本当の意味での絆が問われる正念場

22日に放送された山田太一ドラマスペシャル「時は立ちどまらない」(テレビ朝日)。あの山田太一が書く震災ドラマだ。それだけで見る価値はある。

ただし山田ドラマだからこそ、薄っぺらな「絆」や「つながり」、安易な「涙」に満ちた「いい話」は願い下げだった。

監督は元TBSの堀川とんこう。37年前、多摩川の氾濫に遭遇した一家を描いた山田脚本「岸辺のアルバム」の演出・プロデューサーだ。2人の大ベテランは今回もまた本音の言葉が飛び交う挑戦的な1本を生んでいた。

妻と嫁と結婚を控えた孫を失った老人(橋爪功)が言う。援助される自分は「ありがとうと言うしかない」。だがそんな立場は「俺のせいか?」とも思う。「他人の世話になるのが嫌なんだ」という告白も飛び出す。そこにあるのは支援される側の心の負担の問題だ。 

また被災地に暮しながら家も家族も無事だった男(中井貴一)は、何も失っていないことに罪悪感を抱いている。不公平だとさえ言い、「自分の無事が後ろめたいんです」と悩んでいる。

だが一方で、支援する側として「そうそう他人の身になれるか」という反発心も押さえきれない。ドラマは相反する思いが同居する当事者の心情を、巧みなストーリーとセリフで表現していく。

震災から3年。これからが本当の意味での「絆」が問われる正念場なのだ。

(日刊ゲンダイ 2014.02.25)



週刊ポストで、朝ドラ『ごちそうさん』高視聴率について解説

2014年02月25日 | メディアでのコメント・論評

発売中の「週刊ポスト」最新号で、NHK朝ドラ『ごちそうさん』の高視聴率について解説しています。


“夜這い”の後に、“逮捕劇”!!
高視聴率 朝ドラ『ごちそうさん』ネタバレ

NHK朝ドラ『ごちそうさん』の週間平均視聴率が19週連続で21%を超え、前作『あまちゃん』の期間平均20・6%を大きく上回っている。主演の杏と東出昌大の交際報道も人気に拍車をかけており、ますます視聴率は伸びそうだ。

そこで本誌はNHK関係者への取材から、第21週(2月24日~3月1日)のあらすじを入手した。

同作は東京の洋食屋の娘として生まれた食いしん坊のめ以子(杏)が、西門悠太郎(東出)に恋をして大阪に嫁ぎ、食を通じて激動の大正・昭和をたくましく生きる物語。昭和19年を迎えた第20週では、長女のふ久が惚れた男に、“夜這い”(その後結婚へ)、次男の活男が海軍のコックを目指して出征と盛り上がった。

(ここからネタバレです) *中略・・・本誌をご覧ください。

『ごちそうさん』の魅力を上智大学教授(メディア論)の碓井広義氏が語る。

「『ごちそうさん』は家庭が舞台の<女一代記>という朝ドラの定番に戻っただけではなく、食という身近なものを丁寧に描くことで、新たな王道を探っている点が支持されているのではないでしょうか」


“いただきます”は今からでも遅くない。

(週刊ポスト 2014.03.07号)


山口正介『正太郎の粋 瞳の洒脱』は、書き下ろしエッセイ

2014年02月24日 | 書評した本たち

池波正太郎さんも、山口瞳さんも、これまでずっと愛読してきた作家です。

そのお二人に接してきた山口正介さん(作家、山口瞳の長男)による、書き下ろしエッセイが、『正太郎の粋 瞳の洒脱』 (講談社文庫)

それぞれの旅、東京、母、家庭、家、食、健康などが、二人を対比させながら語られています。

この本の中で、以下のような文章を見つけました。

池波さんと瞳は二人とも、通ぶらないのが通である、という偉大なる逆説を体現していたことになる。
(寿司屋での失態)

池波さんの『男の作法』(新潮文庫)を取り出し、確認してみる。

確かに、扉ページに・・・・

鮨屋へ行ったときは
シャリだなんて言わないで
普通に
「ゴハン」と言えば
いいんですよ。


・・・・とある。

ずっと前にこれを読んで、以来、そのようにしております(笑)。




今週の「読んで、書評を書いた本」は次の通りです。

楡 周平 『象の墓場』 光文社

蜷川幸雄 『演劇の力』 日本経済新聞出版社

小林信彦・萩本欽一 『ふたりの笑タイム』 集英社

永 六輔 『むずかしいことをやさしく、やさしいことを深く、深いことを面白く』 毎日新聞社

野上照代 『もう一度 天気待ち~監督・黒澤明とともに』 
草思社

猪谷千香 『つながる図書館』 ちくま新書


* これらの書評は、
  発売中の『週刊新潮』(2月27日号)
  読書欄に掲載されています。

大蕩尽と転落の「ウルフ・オブ・ウォールストリート」

2014年02月24日 | 映画・ビデオ・映像

レオナルド・ディカプリオとマーティン・スコセッシ監督。

マーティン・スコセッシ監督とレオナルド・ディカプリオ。

まあ、どっちでもいいのですが(笑)、とにかく、このコンビで来られると、弱い。

で、見てきました、「ウルフ・オブ・ウォールストリート」。

学歴や人脈もないまま、22歳でウォール街の投資銀行で働きだしたジョーダン・ベルフォート(レオナルド・ディカプリオ)。巧みな話術で人々の心を瞬く間につかみ、斬新なアイデアを次々と繰り出しては業績を上げ、猛烈なスピードで成り上がっていく。そして26歳で証券会社を設立し、約49億円もの年収を得るまでに。富と名声を一気に手に入れ、ウォール街のウルフという異名で呼ばれるようになった彼は、浪費の限りを尽くして世間の話題を集めていく。しかし、その先には思いがけない転落が待ち受けていた。

・・・・この成金青年、いいところを探すのが難しい奴なんですが、とにかく徹底的にバカと浪費をやり尽します。

人生、ここまでとことん好き勝手をやれたら、その後、どんな目に遭ってもいいんじゃないの?っていうくらい。

これって、実在のベルフォート氏が実際にやったことなのか、スコセッシ監督とディカプリオがやってみたかったことなのか(笑)。

まずは、そのおバカな蕩尽のスケールと本気度、突き抜け方に、座布団1枚。

そして、こういう人物を生み出してしまう、生み出せてしまう、またそれが一つのアメリカンドリームとして成立してしまうアメリカという国、ウォールストリートという場所、株投資というシステムなどなどを描いた映画として、面白く見たのでした。



祝!女優・二階堂ふみさんの慶大SFC合格

2014年02月23日 | テレビ・ラジオ・メディア
僭越ながら福沢先生と


報道によれば、女優・二階堂ふみさんが、慶大SFC(湘南藤沢キャンパス)総合政策学部に合格とのこと。

おめでとうございます。

二階堂さんといえば、映画「ヒミズ」「悪の教典」「脳男」などが、すぐに思い浮かぶ。

個性的で存在感のある若手という印象が強く、これからどこまで伸
びるか、楽しみな女優さんです。

で、今回のSFC合格。

結構なことだと思います。

芸能界だけじゃない、同世代や先生方との人間関係が生まれるだろうし、それは女優業にもいい影響を与えるはずです。

それに、個人的にはSFCっていうのが、また嬉しい(笑)。

同じ慶應でも、三田とは「別の大学?」というくらい明らかに違うし、
いろんな意味でカラーがあって、また刺激的でもあります。

いい選択だと思います。

私は8年ほどSFCの教壇に立っていましたが、その頃も、一青窈
さんやゴスペラーズの北山陽一君などが在籍していました。

私の授業をとっていた北山君が書いたレポートの内容(音楽活動をしている側から見たメディア)など、今でも覚えています。

現在、我が家の息子がSFCに通っているのですが、教室などキャンパスで、次のような人たちとすれ違うことがあるそうです。

・トリンドル玲奈
・鈴木愛理(ハロー!プロジェクト ℃-ute)
・菊池風磨(ジャニーズ Sexy Zone)


そして、この春入学するのが、

・竹内美宥(AKB48 チームB)
・二階堂ふみ


うーん、SFC内で音楽番組やドラマが出来そうですね(笑)。

というわけで(?)、二階堂ふみさん、4月からSFCで大いに学んで
ください。


追伸:

あと約4時間半後には、
出演している
「TBSレビュー」の放送が
始まります(笑)。

23日(日)の「TBSレビュー」に出演

2014年02月22日 | テレビ・ラジオ・メディア

23日(日)、「TBSレビュー」に出演します。

テーマは、テレビの「ソーシャル視聴」

若い人たちの間では、テレビを見ながらツイッターなどで会話、というスタイルが広がっています。

この「ソーシャル視聴」をめぐる考察です。

早朝5時30分からの放送ですので、どうぞ録画予約を忘れずに(笑)。


検証番組「TBSレビュー」
テレビとソーシャルメデイア 新しい関係と試み

2月23日(日)
午前5時30分~6時


出席者:上智大学教授 碓井広義

進 行:TBSアナウンサー 木村郁美


<内容>
「リアル脱出ゲームTV」はドラマをベースにした謎解き番組だ。
難易度の高い問題が“ネット住民"のプライドをくすぐり話題となった。

また「ジンロリアン~人狼~」は視聴者が特設サイトから
誰が人狼かを投票するゲームに参加できるもので
SNS上で盛んにやりとりがされた。

スマホ片手にテレビ番組を見ながら
ツイッターでつぶやいたり、感想を述べ合う。
番組で紹介された商品や店を検索して情報を得る。
こうしたテレビの新しい視聴形態が
若者たちを中心に広がりつつある。

これらデジタルネイティブに向けた
TBSの新しいスタイルの番組が評判となっている。

これらの試みからテレビを見ながらソーシャルメデイアを使うことは
リアルタイム視聴を増加させ、
“口コミ"が広がることにより視聴率の向上も期待できることが
明らかとなってきた。

番組ではソーシャルメデイアと連動させた
いくつかの新しい番組を例に
テレビとソーシャルメデイアの連動がもたらす
可能性と課題を探っていく。

(番組サイトより)

今夜の「金曜オトナイト」は、森永卓郎さんと繁田アナが・・・・

2014年02月21日 | 金曜オトナイト

BSジャパン
「大竹まことの金曜オトナイト」
2014年2月21日(金)
夜10時54分~夜11時54分

今夜の“目玉”は、ゲストの森永卓郎さんと繁田美貴アナウンサー
による「バブル相撲」対決!?

まあ、これはもう、説明不要(笑)。

見ていただくしかありません。

それにしても、繁田さんのガッツというか、プロ根性が半端じゃあり
ません。

女性アナウンサーの鑑です。

お楽しみに!




<出演者>
ゲスト:森永卓郎(経済アナリスト)

大竹まこと、山口もえ、碓井広義(上智大学教授)
繁田美貴(テレビ東京アナウンサー)

<番組内容>
◆流出ワイド
(秘)カップルは「家デート」で何する?
(秘)究極のサービス?アマゾン「注文前」発送ってどういうこと!?
(秘)パワポもCCメールも禁止「IT断食」で営業件数6倍に
(秘)会社への不満1位はダントツで給料の額!
(秘)20代男子の4割!息子の”脱・童貞”を妨げる親の口癖

◆特捜!オトナイト最前線
ニッポンを支えるたった一人の地味~な町工場。
一体何やっているの!?
大竹まことが自ら下町にでて取材!
そこから見えてくる人生の物語とは!?

◆文化情報コーナー
大人の出口調査「あなたの買った本何ですか?」
森永卓郎おススメの本



今週の「繁田美貴アナウンサー」


井上ひさし『ベストセラーの戦後史』が完本として復刊

2014年02月20日 | 書評した本たち

私もそうですが、文庫のファンという人が結構います。

毎月、続々と出てくる文庫のほとんどを手にとってチェックしているので、「今月は何がオススメですか」と聞かれたりします。

で、今月は・・・・

井上ひさし『完本 ベストセラーの戦後史』(文春学藝ライブラリー)を推しました。

このテーマの本は、もうゴマンとありますが、井上ひさしさんが書いているところがポイントです。

あの膨大な読書量を背景に、ベストセラー本を鑑定しているわけですから、やはり一味もふた味も違います。

帯にもありますが、井上さんの「読書論」、そして「日本人論」としても読めます。

これ、復刊でありまして、文春学藝ライブラリーに感謝です。




今週の「読んで、書評を書いた本」は次の通りです。

松田美智子『サムライ 評伝 三船敏郎』 文藝春秋

新野剛志 『カクメイ』 中央公論新社

ダン・ブラウン 越前敏弥:訳 『インフェルノ』上・下 角川書店

吉田暁子 『父 吉田健一』 河出書房新社

白山真理 『名取洋之助』 平凡社

有馬哲夫 『こうしてテレビは始まった』 ミネルヴァ書房

* これらの書評は、
  『週刊新潮』(2月20日号)
  読書欄に掲載されました。


週刊朝日で、村上春樹作品「中頓別町」問題について解説

2014年02月20日 | メディアでのコメント・論評

村上春樹氏 に作品改変させて
“炎上” した中頓別町の困惑

村上春樹氏の小説の表現をめぐり、北海道の小さな町が騒動になっている。

月刊誌「文藝春秋」2013年12月号に掲載された村上氏の短篇小説「ドライブ・マイ・カー」に、北海道中頓別(なかとんべつ)町出身の女性が登場する。この女性が火のついたたばこを車の窓から捨てる場面で、主人公が<たぶん中頓別町ではみんなが普通にやっていることなのだろう>と思う。

この表現に、同町の町議らから「事実に反する」などという声が上がり、文藝春秋に質問状を送る動きがあることを、2月5日の毎日新聞北海道版が報じた。するとこれがツイッターなどを通じてネット上で拡散。

7日には村上氏が、<住んでいられる人々を不快な気持ちにさせたとしたら、それは僕にとってまことに心苦しいことであり、残念なことです。(略)単行本にするときには別の名前に変えたい」とコメントを出す事態になった。

これを受け、町には抗議が殺到した。質問状を送った一人の町議のブログにも、<無知な田舎者めが><思想、心情、表現の自由。憲法から勉強なおせ>などといった書き込みがあふれ、”炎上”したのだ。

同町の東海林繁幸町議(75)は困惑した様子だ。

「若手議員が村上さんの小説を読んで問題意識をもち、議会として何らかの決議をしてはどうかと声を上げた。ただ、議会議決にはなじまないので、有志による質問状という形をとったんです。悲しい思いや憤りはあったが、抗議というほどのものではなかった。それが報道後、町には多数の苦情が寄せられた。『舞台にされたんだから喜べ』とまで言われているんです」

碓井広義・上智大教授(メディア論)はこう解説する。

「小説を読んだかぎり、中頓別町はたばこのポイ捨てが多いという誤解や偏見を生むような表現ではない。あくまで小説、という意識が読む側に必要だと思います。ただ、この件は〝村上春樹〟というネームバリューもあってネットで拡散したのが大きい。作品自体を読まずに騒いでいる人たちも多いはずです」


早々にコメントを出した村上氏の大人の対応だけが、光る結末となった。

(週刊朝日 2014.02.28号)


・・・・『舞台にされたんだから喜べ』と言われても、確かに困るでしょう。

だって、小説の「舞台」はあくまでも東京で、中頓別町じゃないんだから(笑)。

これもまた、読まずに騒いでいる人の反応ですね。





<参考>

2月5日の毎日新聞北海道版の記事


村上春樹氏:小説に「屈辱的表現」 
町議ら文春に質問状へ

作家の村上春樹氏が月刊誌「文芸春秋」の昨年12月号に発表した短編小説で、北海道中頓別(なかとんべつ)町ではたばこのポイ捨てが「普通のこと」と表現したのは事実に反するとして、同町議らが文芸春秋に真意を尋ねる質問状を近く送ることを決めた。町議は「町にとって屈辱的な内容。見過ごせない」と話している。

この小説は「ドライブ・マイ・カー」。俳優の主人公が、専属運転手で中頓別町出身の24歳の女性「渡利みさき」と亡くなった妻の思い出などを車中で語り合う。みさきは同町について「一年の半分近く道路は凍結しています」と紹介。みさきが火のついたたばこを運転席の窓から捨てた際、主人公の感想として「たぶん中頓別町ではみんなが普通にやっていることなのだろう」との記載がある。

町議有志は「町の9割が森林で防火意識が高く、車からのたばこのポイ捨てが『普通』というのはありえない」などとしている。宮崎泰宗(やすひろ)町議(30)は「村上氏の小説は世界中にファンがおり、誤解を与える可能性がある。回答が得られなければ町議会に何らかの決議案を提出したい」と話す。

村上氏の小説では、「羊をめぐる冒険」で中頓別町に近い美深町がモデルとされる「十二滝町」が舞台となったほか、「ダンス・ダンス・ダンス」「ノルウェイの森」などでも札幌や旭川といった北海道の街が繰り返し登場する。村上氏はエッセーで湧別町、佐呂間町などで開かれたマラソン大会への出場を明かしており、道北・道東地方に土地勘があるとみられる。

文芸春秋編集部は毎日新聞の取材に「質問状が届いておりませんので、回答いたしかねます」としている。【伊藤直孝】

 ◇中頓別町

北海道旭川市の北約130キロ、南宗谷地方にある人口約1900人の山間の町。明治期は砂金の採取で栄えた。人口はピークの1950年には約7600人だったが、林業の衰退やJR天北線の廃止(89年)などで急速に過疎化が進んでいる。

(毎日新聞 2014.02.05)