碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
見たり、読んだり、書いたり、時々考えてみたり・・・

【気まぐれ写真館】 近所の桜

2018年03月31日 | 気まぐれ写真館








祝「ドラマ24」の50作達成!ジャンプ愛炸裂『オー・マイ・ジャンプ!』に拍手です!

2018年03月30日 | 「ヤフー!ニュース」連載中のコラム


祝!「ドラマ24」の50作達成!

先週23日、ドラマ24『オー・マイ・ジャンプ!~少年ジャンプが地球を救う~』(テレビ東京系)が最終回を迎えました。

この作品は「ドラマ24」の枠における、記念すべき50作目にあたります。あらためて記憶をたどってみると、本当にいろいろな作品がありました。

2005年の『嬢王』に始まり、『湯けむりスナイパー』(09年)、『モテキ』(10年)、『勇者ヨシヒコ』シリーズ(11~16年)、『まほろ駅前番外地』(13年)、『みんな!エスパーだよ!』(同)、そして『東京センチメンタル』(16年)などなど。

昨年だけでも、『バイプレイヤーズ~もしも6人の名脇役がシェアハウスで暮らしたら~』(大杉漣、遠藤憲一ほか)、『孤独のグルメ Season6』(松重豊)、『下北沢ダイハード』(古田新太ほか)といった話題作が続きました。

テレビ東京ですから、もともと他局のような予算はありません。それに深夜です。いわゆるスターさんや豪華キャストに頼るわけにはいきません。それならばということで、「深夜ならではの実験的で刺激的なドラマ」を目指したのが、この枠でした。

ゴールデンタイムでは成立しないマニアックな内容。多少は過激な表現もOK。有名俳優より個性派俳優、というか知名度に関わらず内容によりふさわしいキャスティング。大根仁さんや福田雄一さんなど気鋭の演出陣。弱点を強みに変える、いわば逆転の発想です。

それにしても50作。よくぞここまで来ました。制作陣と歴代出演者の皆さんに拍手!です。

第50作記念『オー・マイ・ジャンプ!』

第50作記念『オー・マイ・ジャンプ!~少年ジャンプが地球を救う~』は、同じ「50」ということで、今年、創刊50周年を迎える『週刊少年ジャンプ』とのコラボ企画でした。

まず物語の舞台となっていた、ドラマのタイトルと同じ名前の秘密クラブ「オー・マイ・ジャンプ!」がいいですね。店内に「少年ジャンプ」のバックナンバーや、連載漫画から生まれた単行本がずらりと並んでいる、ファンにとっては夢の隠れ家です。

また、店に集まる人々も強烈でした。「ジャンプ」にやたら詳しいマスター(斉木しげる)。「NARUTO」の格好をした智子(生駒里奈)。「アラレちゃん」と同じサロペットと帽子を愛用する美樹(佐藤仁美)。そして「聖闘士星矢」の聖衣に身を包んだ水川(寺脇康文)もいます。

そこに元愛読者で営業マンの主人公・月山(伊藤淳史)が加わり、毎回、一つの作品をめぐってエピソードが展開されたのです。

たとえば第8話では、月山が上司(ケンドーコバヤシ)から「魁!!男塾」さながらのハードな特訓を受けました。月山は「ジャンプ」が成功するまでの苦難の歴史(なにしろ後発でしたから)を知って発奮し、厳しい試練に耐えていきます。

また、第10話のテーマは「ONE PIECE(ワンピース)」でした。作者である尾田栄一郎さんが、駆け出しの頃は描いても描いても作品が掲載されないことに悩み、部屋に閉じこもって水だけ飲みながらじっと耐えていた話などを織り込んでいました。「ジャンプが好きなら、もう仲間だ」の台詞が泣かせます。

そして最終話。マスター(斉木)が、なんと100年後から来た「未来人」であることが判明します。しかもその未来社会では、漫画は「邪悪なもの」として迫害されていて、マスターは漫画を守るための助っ人を探しに来た、というのです。

メンバーはマスターと一緒に未来へと向かい、「検閲するAI」(鈴木梨央さん演じる双子姉妹)と対決します。もちろん結果は、彼らの命がけの「ジャンプ愛」による勝利でした。

超マニアックなこのドラマ。ジャンプ好きにはたまらないし、そうでない人も出演者たちの予想を超える熱演に、思わず笑って見てしまう。深夜ならではの、いやドラマ24ならではの「こだわり」と「ゆるさ」のブレンド具合が抜群でした。

「第50作」と「創刊50周年」。その強引なコラボ企画を笑いながら楽しんだわけですが、来年には創刊60周年を迎えるライバル誌『週刊少年マガジン』や『週刊少年サンデー』とのコラボも、ぜひ見てみたいものです。

帰ってきた鼻男 阿部寛主演「スニッファー」の鋭敏な演出

2018年03月28日 | 「日刊ゲンダイ」連載中の番組時評


帰ってきた鼻男
阿部寛主演「スニッファー」の鋭敏な演出

あの“鼻男”が帰ってきた! 一昨年の土曜ドラマ「スニッファー 嗅覚捜査官」。超人的な嗅覚を持つ華岡信一郎(阿部寛)が、犯行現場などに残されたにおいを嗅ぎ当て、警察と共に犯人を追いつめる異色作だった。21日夜に放送されたのはスペシャル版の新作だ。

連続殺人事件が発生し、例によって特別捜査支援室の小向(香川照之)から呼び出される華岡。被害者の遺体を調べるうちに、前の事件の犯人が次の事件の被害者となっていることが判明する。しかも彼らは過去の薬害事件に関係していた。

開発中だったがんの新薬が、効果を確かめるために無断で患者に投与されていたのだ。当時、製薬会社も厚生労働省も責任を取ろうとはしなかった。

もともとはウクライナで制作されたドラマ「The Sniffer」が原作だ。しかし今回は脚本の林宏司が書き上げた完全オリジナル。刑事である小向が拉致されたり、薬害事件の黒幕が次の総理を狙う元厚労相(西村まさ彦)だったり、警察庁の女性キャリア(波瑠)といったエッジの利いたキャラクターが登場したりと、複雑で厚みのある物語になっていた。

主演の阿部と相棒役の香川、2人の丁々発止のやりとりは絶好調。さらに8Kカメラで撮影された、美しくて凝った映像も見事だった。無駄なカット、凡庸なカットがひとつもない演出は、「ハゲタカ」「外事警察」などの堀切園健太郎だ。

(日刊ゲンダイ 2018.03.28 )

卒業、おめでとう! (3)

2018年03月27日 | 大学


























2018.03.26

卒業、おめでとう! (2)

2018年03月27日 | 大学












2018.03.26

卒業、おめでとう! (1)

2018年03月27日 | 大学






2018.03.26

書評した本: 門井慶喜 『にっぽんの履歴書』ほか

2018年03月26日 | 書評した本たち


週刊新潮に、以下の書評を寄稿しました。


門井慶喜 『にっぽんの履歴書』
文藝春秋 1566円

『銀河鉄道の父』で第158回直木賞を受賞した著者のエッセイ集。誰も触れてこなかった「宮沢賢治の父」に注目したように、独自の視点で歴史や社会を語っていく。元号と政権。大正11年の女子野球部。島ではない竹島。過去に遡って現代を眺める楽しさを知る。


小林紀晴 『見知らぬ記憶』
平凡社 1944円

写真家は写真で表現する。当たり前のことだ。しかし現場に立つ写真家の内側に蓄積された言葉もまた貴重な表現となる。たとえば、タイのアユタヤでカメラを向けながら体験した空白の瞬間と滑り込む過去の記憶。写真と散文の絶妙な融合が生み出す快感がここにある。


垣谷美雨 『定年オヤジ改造計画』
祥伝社 1620円

大手企業を定年退職した庄司常雄。しかし悠々自適の日々は大いなる勘違いだった。妻は庄司と一緒にいると閉所恐怖症に陥るほどの夫源病。息子一家の孫の面倒をみるのに四苦八苦し、娘にはアンタと呼ばれて馬鹿者扱い。さあ、定年オヤジの明日はどっちだ!


芦屋小雁 『笑劇(しょうげき)の人生』
新潮新書 778円

芸能生活70年目を迎えた著者。「番頭はんと丁稚どん」「てなもんや三度笠」など人気番組の裏側はもちろん、ケタ外れの映画愛と収集癖、驚きの金銭感覚、さらに3度の結婚までが語られる。NHK朝ドラ「わろてんか」だけでは分からない上方芸能が見えてくる。

(週刊新潮 2018年3月15日花見月増大号)


【気まぐれ写真館】 千歳「柳ばし」で、本日も「特別定食」

2018年03月25日 | 気まぐれ写真館

「桜マス」フライ&ルイベの特別定食


2018.03.24

HTB北海道テレビ「イチオシ!モーニング」

2018年03月25日 | テレビ・ラジオ・メディア














2018.03.24

HTB北海道テレビ「イチオシ!」

2018年03月24日 | テレビ・ラジオ・メディア


















2018.03.23





【気まぐれ写真館】 札幌「まる山」で、いつもの「鴨せいろ」

2018年03月23日 | 気まぐれ写真館



2018.03.23

【気まぐれ写真館】 雪の「春分の日」

2018年03月22日 | 気まぐれ写真館


2018.03.21

NHKスペシャルが伝えた被災地の現実

2018年03月21日 | 「日刊ゲンダイ」連載中の番組時評


復興と呼ぶには程遠い
NHKスペシャルが伝えた被災地の現実

東日本大震災から7年目の3月11日午後、民放各局が特番を放送した。日本テレビ系「東日本大震災から7年…災害の新常識」。TBS系「震災7年~生死を分ける72時間 巨大地震にあなたは?」などだ。

いずれも今後発生するといわれる巨大地震にどう対応するかという内容が中心だった。もちろん意義のある番組ではあるが、東日本大震災が“過去の事例”であるかのような印象が強い。だが、果たしてあの大震災は終わっているのか?

この日の夜、NHKスペシャル「めざした“復興”は今…震災7年 被災地からの問いかけ」を見て驚いた。伝えていたのは復興と呼ぶには程遠い現実の姿だ。

被災地の復興事業に投じられた予算は32兆円。津波対策として高く土を盛って住宅地を造成する「かさ上げ」や、仮設住宅に替わる災害公営住宅の建設が進められてきた。しかし実際には区画整理事業のシステムが住民の実情と合っていなかったり、災害公営住宅の入居者が高齢者ばかりだったりと問題山積なのだ。

また福島県飯舘村では学校を建設したが、避難先での時間が長くなった親たちは生活基盤を移すことをためらう。放射能への不安も消えていない。春から戻ってくる生徒はもともとの100分の1だ。政府の「復興の総仕上げの段階にある」という見解が、悪い冗談に思えてくる震災特番だった。

(日刊ゲンダイ 2018年3月21日)


春のCMで、「旅する女性」が見せてくれる風景とは!?

2018年03月20日 | 「ヤフー!ニュース」連載中のコラム


春のCMで、
「旅する女性」が見せてくれる風景とは!?

春は旅立ちの季節。CMにも印象的な「旅する女性」たちが登場しています。宮崎あおいさん、そして駒井蓮さん。それぞれが見せてくれる風景とは!?

「謎の旅人」宮崎あおいさん

現在の「職場」は、4校の大学を含め、8つ目となります。自慢じゃないけど(笑)、プチ転職王かもしれません。

その経験から言うと、転職に必要なのは「意志」と「縁」です。意志は本人次第ですが、縁は自分だけではどうにもならないところがあります。だから転職サイトも大いに活用すればいいと思います。

マイナビ転職の新作CMに登場したのは、宮崎あおいさん。転職で迷っている人の前に、ふっと現れる「謎の旅人」という設定だそうです。

確かに転職の決断は悩ましい。留まることで事態が好転するかもしれないし、移った先に望ましい未来が待っているとは限らないですから。しかも他人に、ましてや同じ職場の人間に相談することも難しい。誰もが一人で考えあぐねたりします。

そんなとき、宮崎さんが肩を抱いて、「いいと思う」と応援してくれたら。新しい生き方を選ぶ勇気、一歩前へ進む力もわいてくるというものです。その先には、これまでと違う風景が広がっているかもしれません。

このCMのバックに流れるのは往年の名曲「オンリー・ユー」。君だけが僕の中に変化を起こすことができると歌っています。

「下町の旅人」駒井蓮さん

過去において、最もヘッドホンのお世話になったのは大学1年の時です。格安の下宿(家賃は7800円)でしたが、壁が、なんとべニア板! 隣の部屋の先輩が新聞をめくる音まで聞こえてきました。

ラジカセで音楽を聴く際も、ヘッドホンを使うしかありません。だから個人的には、今でもヘッドホンはどこか室内のイメージが強いのです。

街の中や大学のキャンパスで、ヘッドホンを装着して歩いている若者をよく見かけます。こちらもiPodは使っていますが、もっぱらケーブル型のイヤホンです。

いい音で聴いているであろう彼らが、ちょっとうらやましい。ただヘッドホンはなかなか敷居が高い。どこか抵抗感があるんですよね。

パナソニックのヘッドホンHTX80Bのプロモーション動画。17歳の駒井蓮さんが、のんびり、ゆったり、下町の路地を歩いています。手には何も持たず、きれいなキャメルベージュのヘッドホンだけの「ちいさな旅」。風景と音楽を独り占めする、贅沢な時間です。

こういう散歩ができたらいいなあ。たかがヘッドホン、されどヘッドホン。桜が満開になったら、導入も考えてみたいと思います。

石原さとみ主演「アンナチュラル」 新感覚サスペンスの醍醐味

2018年03月20日 | 「毎日新聞」連載中のテレビ評


石原さとみ主演「アンナチュラル」
新感覚サスペンスの醍醐味

今期のドラマもゴールが迫ってきた。途中で息切れした作品も少なくないが、石原さとみ主演「アンナチュラル」(TBS系)はその逆だ。最終回を迎えるのが惜しいほど充実度が高まっている。

物語の舞台は民間組織の「不自然死究明研究所(UDIラボ)」。警察や自治体が持ち込む、死因のわからない遺体を解剖し、「不自然な死(アンナチュラル・デス)」の正体を探っていく。メスを握るのは法医解剖医の三澄ミコト(石原)や中堂系(井浦新)だ。

まず「不自然な死」というテーマとUDIラボという設定が新機軸だ。架空の組織だが妙なリアリティがある。また沢口靖子が活躍する科捜研は警察組織の一部だが、こちらはあくまでも民間。ミコトたちに捜査権はない。検査や調査を徹底的に行っていく。

これまでに集団自殺に見せかけた事件の真相や、雑居ビルの火災で亡くなった人物の本当の死因を究明してきたが、物語は常に重層的で簡単には先が読めない。

中でも出色だったのが第7話(2月23日放送)だ。顔を隠した高校生Sがネットで「殺人実況生中継」と称するライブ配信を行う。そこには彼が殺したという同級生Yの遺体も映っていて、ミコトに「死因はなんだ?」と問いかけるのだ。しかもミコトが誤った場合、人質Xの命も奪うと言う。背後にあったのはいじめ問題だが、当事者たちの切実な心情を、トリックを含む巧緻なストーリーで描いていた。

「不自然な死」は当初、非日常的、非現実的なものに見える。しかしミコトたちの取り組みによって、それが日常や現実と密接な関係にあることが分かってくるのだ。物語に高度な医学的専門性が織り込まれているが、説明不足で理解できなかったり、逆に説明過多で鬱陶しくなったりもしない。

この新感覚サスペンスともいうべきドラマを支えているのが野木亜紀子の脚本だ。一昨年の「重版出来!」(TBS系)や「逃げるは恥だが役に立つ」(同)とは全く異なる世界を対象としながら、綿密なリサーチと取材をベースに「科捜研の女」ならぬ「UDIラボの女」をしっかりと造形している。特にミステリー性とヒューマンのバランスが絶妙で、快調なテンポなのに急ぎ過ぎない語り口にも好感がもてた。

ミコトたちが仕事の合間に、おやつなどを食べながら雑談するシーンがよく出てくる。まるで女子カーリングのモグモグタイムだ。こうした話の筋を一瞬忘れる時間が、実はドラマをよりドラマチックなものにしている。できればシリーズ化をと願わずにいられない、今期最大の収穫だ。

(毎日新聞「週刊テレビ評」2018.03.16)