碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
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「違法捜査」の判決が出た、 警視庁公安部の闇に迫る 「ドキュメンタリー」が放送されていた

2023年12月31日 | 「ヤフー!ニュース」連載中のコラム

 

「違法捜査」の判決が出た、

警視庁公安部の闇に迫る

「ドキュメンタリー」が放送されていた

 

「大川原化工機(おおかわらかこうき)」は、横浜市にある化学機械製造会社です。

社長の大川原正明さんらが、違法に逮捕・起訴されたとして、東京都と国に5億円超の損害賠償を求めた訴訟を起こしていました。

そして今月27日、東京地裁が警視庁と東京地検の「違法捜査」を認める判決を言い渡しました。

実は今年の9月、この事案を扱ったドキュメンタリーが放送されていました。

NHKスペシャル『“冤罪”の深層~警視庁公安部で何が~』です。

公安部の闇に迫る出色の調査報道

事実は小説よりも奇なり。

使い古された言葉かもしれませんが、優れた「ドキュメンタリー」にはピッタリの表現です。

9月24日に放送された、NHKスペシャル『“冤罪”の深層~警視庁公安部で何が~』は、そんな一本でした。

3年前、横浜市内にある中小企業の社長ら3人が逮捕されました。容疑は軍事転用が可能な精密機械の中国への不正輸出です。

身に覚えのない経営者たちは無実を主張しますが、警察側は聞く耳を持ちません。長期勾留の中で1人は病気で命を落としました。

ところが突然、「起訴取り消し」という異例の事態が発生します。「冤罪」だったのです。

会社側は東京都に賠償を求めて裁判を起こし、今年6月、証人となった現役捜査員が「まあ、捏造ですね」と告白しました。

制作陣は関係者への徹底取材で「捏造」の構造を探り、「冤罪」が生まれる背景に光を当てていきます。

中には勇気を奮って内部告発を行い、組織の暴走と腐敗を止めようとした捜査員もいました。

しかし、番組を見る限り、捏造の当事者やその上司には、反省も罪の意識もありません。

彼らにとっては、この捏造もごく当たり前の「正当な業務」だったのです。

背筋が寒くなるのは、この捏造事件が決して他人事ではないからです。

公安部がいったん狙いを定めたら、証拠も含めて「何とでもなる」という実例と言っていいでしょう。

誰もが「自分はこの強大な組織に抵抗できるか」と考えずにはいられません。

この番組は、ドラマではない”リアル公安部”の「闇」に迫る、出色の調査報道でした。

そして、つい先日の12月23日夜、Eテレで「続編」が放送されました。

ETV特集『続報 ”冤罪”の深層~新資料は何を語るのか~』です。

前作は、事件の捜査にあたった警視庁公安部に焦点を合わせていました。

続編では、捜査を追認していった経済産業省、起訴に踏み切った検察の動きに、内部資料と取材で迫っています。

27日の東京地裁の判決は、制作陣が2本の番組で掘り下げてきた、「“冤罪”の深層」の信ぴょう性を証明した形になりました。

ディレクターは、この問題を1年以上追っているETV特集班の石原大史さん。報道番組や社会部の人たちと連携した、チーム取材の成果でもあります。

 


【気まぐれ写真館】 「今年もあと1日」気温23℃の午後

2023年12月30日 | 気まぐれ写真館

2023.12.30


2023年の「秀作ドラマ」トップ5

2023年12月30日 | 「日刊ゲンダイ」連載中の番組時評

 

 

「TV見るべきものは‼」年末拡大版

2023年の「秀作ドラマ」トップ5

 

今年もまた、数えきれないほど多くのドラマが放送された。中には話題を呼んだ大作もあれば、痛々しいほどの不発弾もある。

その一方で、「文化としてのドラマ」という意味で高く評価したい秀作や意欲作も存在した。トップ5の順位をつけてはいるが、それぞれに個性的で魅力的な作品だ。2023年の成果として、ここに記しておきたい。

第5位 「何曜日に生まれたの」(ABCテレビ・テレビ朝日系、8月6日~10月8日放送)

1960年代のヒット曲、ザ・ホリーズの「バス・ストップ」が印象的なこのドラマ、脚本は野島伸司だ。黒目すい(飯豊まりえ)は高校時代のバイク事故をきっかけに、その後10年にわたって引きこもっている。事故を起こしたのはサッカー部のエース、雨宮淳平(YU)だった。

そんなすいが、作家の公文竜炎(溝口淳平)の依頼で新作小説のモデルを務める。売れない漫画家の父・丈治(陣内孝則)が、その小説を原作に作品を描くことになったからだ。

すいの言動を盗聴する、公文や編集者の来栖(シシド・カフカ)。外に出たり人と接したりすることで、徐々に精神的な回復を見せる、すい。最終的に、盗聴を逆利用して、過去の出来事に心を縛られていた公文も救うことになる。

虚構と現実、過去と現在が交錯する物語展開は、まさに野島ワールド。やや現実離れした設定だが、野島が練り上げた台詞の妙と飯豊の自然体の演技が、物語に不思議なリアリティを与えていた。

第4位 「フェンス」(WOWOW、3月19日~4月16日放送)

2022年に本土復帰50年を迎えた沖縄が舞台のドラマだ。雑誌ライターの小松綺絵(松岡茉優)は、米兵による性的暴行事件の被害を訴えるブラックミックスの女性、大嶺桜(宮本エリアナ)を取材するためにやって来た。

桜の経営するカフェバーを訪ね、彼女の祖母・大嶺ヨシ(吉田妙子)が沖縄戦体験者で平和運動に参加していることや、父親が米軍人であることを聞く。

一方、綺絵は都内のキャバクラで働いていた頃の客だった沖縄県警の警察官・伊佐兼史(青木崇高)に会い、米軍犯罪捜査の厳しい現実を知る。

浮かび上がってくる事件の深層。ジェンダーや人種、世代間の相違、沖縄と本土、日本とアメリカなど、さまざまな“フェンス”を乗り越える人間の姿が描き出されていく。

脚本は「アンナチュラル」(TBS系)などの野木亜紀子だ。制作会社はNHKエンタープライズ。沖縄の現在と正面から向き合う、緊張感に満ちたクライムサスペンスだった。

第3位 「日曜の夜ぐらいは…」(ABCテレビ・テレビ朝日系、4月30日~7月2日放送

一見、どこにでもいそうな女性たちの物語である。足の不自由な母(和久井映見)を支えながら働くサチ(清野菜名)。地方在住の若葉(生見愛瑠)は祖母(宮本信子)と同じ工場に勤務。そして翔子(岸井ゆきの)は1人暮らしのタクシー運転手だ。

それぞれの鬱屈を抱えて生きる彼女たちが、ラジオのリスナー限定バスツアーで知り合う。その時3人で買った宝くじが当たり、3000万円を得たことで事態が動き出す。結局、共同出資でカフェを開くことになった。

サチに金の無心をする父親(尾美としのり)や、若葉の有り金を持ち去る母親(矢田亜希子)を振り切り、翔子の口癖である「つまんねえ人生」を変えることはできるのか。

生きることに不器用で、幸福になることを恐れているような3人が何とも切なく愛おしい。等身大の女性の微妙な感情を、脚本の岡田恵和が繊細にすくい上げていく。清野たちのリアルな演技も見どころだった。

第2位 「ブラッシュアップライフ」(日本テレビ系、1月8日~3月12日放送)

主人公は地方の市役所に勤務する近藤麻美(安藤サクラ)だ。仲のいい幼なじみ(夏帆と木南晴夏)もいて、何の不満もなく暮らしていた。

ところがある日、交通事故で死亡してしまう。気がつくと「死後案内所」にいた。受付係(バカリズム)から「来世ではオオアリクイ」だと告げられ、抵抗した麻美は「今世をやり直す」ことを選ぶ。ただし前よりも「徳を積む」必要があった。

麻美は再度の誕生から社会人へと至る「2周目の人生」を歩み始める。周囲に悟られることなく人生に修正を施すため、勝手な“善行”に励む様子が何ともおかしい。しかも、このやり直しが何度も続くのだ。

日常的「あるある」満載の脚本はバカリズム。シリアスなのにユーモラスな言葉の連射と軽快なテンポが心地よかった。

人生のやり直しを通じて「生きること」の意味を探る秀作であり、第39回ATP賞グランプリなどを受賞した。制作会社は日テレ アックスオン。

第1位 「グレースの履歴」(NHK・BSプレミアム、3月19日~5月7日放送)

製薬会社の研究員である蓮見希久夫(滝藤賢一)は、子どもの頃に両親が離婚し、唯一の肉親だった父も他界した。家族は家具のバイヤーである妻、美奈子(尾野真千子)だけだ。

仕事を辞めることにした美奈子は、区切りの欧州旅行に出かけ、不慮の事故で急死してしまう。希久夫は現れた弁護士から、実は美奈子が命にかかわる病気の治療を続けていたことを告げられる。

遺されたのは、美奈子が「グレース」と呼んでいた愛車、ホンダS800だけだ。そのカーナビには彼女が打ち込んだ、いくつもの住所が残されていた。

このドラマ、今は亡き愛する人が仕掛けた謎を追う、いわばロードムービーである。古いクルマでの移動だからこそ味わえる、美しい日本の風景。歴史のある街で出会う、かけがいのない人たち。

そこには人生の苦みや痛みもあるが、まさに再び生きるための旅だ。それを深みのある映像と、絞り込んだ台詞で構成することによって成立させていた。

制作会社はオッティモ。見事な“大人のドラマ”の原作・脚本・演出は、「スローな武士にしてくれ~京都 撮影所ラプソディ―」などの源孝志だ。

2024年への期待

最近の傾向ではあるが、今年は特に漫画原作のドラマが目立った。「きのう何食べた? season2」(テレビ東京系)や「波よ聞いてくれ」(テレビ朝日系)といった佳作もあるが、原作に“おんぶに抱っこ”の作品も皆無ではない。

今回挙げた5作は、結果的にいずれも「オリジナル脚本」だ。ドラマの根幹である人物像とストーリーがゼロから創り上げられている。そこにはドラマならではの新たな挑戦があり、ドラマでしか堪能できない醍醐味がある。

来年も、漫画や小説を足場にしたドラマに加え、1本でも多くのオリジナル作品が登場することを期待したい。それが見る側の気持ちを揺さぶるドラマであれば大歓迎だ。

(日刊ゲンダイ 2023.12.27)


【気まぐれ写真館】 「今年もあと2日」の夕景

2023年12月29日 | 気まぐれ写真館

2023.12.29


【新刊書評2023】 横尾忠則『死後を生きる生き方』ほか

2023年12月29日 | 書評した本たち

 

 

「週刊新潮」に寄稿した書評です。

 

横尾忠則『死後を生きる生き方』

集英社新書 1210円

著者によれば、本書は我流の「死論」であり、「死の哲学」である。生の側から死を臨むのではなく、死の側から生を見る視点がユニークだ。基盤となっているのは、著者が「輪廻転生」を信じていること。そこには、未完で生まれた人間が完成を目指して今生を生き、未完のまま生涯を終えるという覚悟がある。だからこそ自分自身に従い、自分に忠実に生きるのだ。87歳の著者がそれを体現している。(2023.10.22発行)

 

山本直人『亀井勝一郎~言葉は精神の脈搏である』

ミネルヴァ書房 4180円

『大和古寺風物誌』の刊行から80年。批評家・亀井勝一郎の人生は起伏に富んでいる。昭和3年、治安維持法違反容疑で逮捕。そして転向。“古典日本”という新たな幻影を創造し、戦後は「文学者の戦争責任」を問われた。本書は「新しい戦前」とも呼ばれる今の時代に登場した本格評伝であり、昭和の動乱期を目の当たりにしてきた知識人の精神史だ。亀井の再評価にも繋がりそうな労作である。(2023.10.10発行)

 

電通PRコンサルティング:著

『企業ミュージアムへようこそ~PR資産としての魅力と可能性(上巻)』

時事通信社 1540円

「企業ミュージアム」とは自社の事業や属する産業をテーマとした博物館。国内には200を超える施設が存在する。本書には“経営の神様“の経営観や人生観に触れる「パナソニックミュージアム」、日本の魔法瓶の歴史がわかる「まほうびん記念館」など16のユニークな展示が並ぶ。単なる社史ではなく日本の近現代史をつくった人たちの足跡でもある。知恵の宝庫を訪ねる小さな旅も悪くない。(2023.10.16発行)

 

ジャック・アタリ:著、林昌宏:訳

『世界の取扱説明書―理解する、予測する、行動する、保護する』

プレジデント社 2970円

世界的知性が2050年の近未来を予測する。政治、経済、文化など「歴史」のあらゆる側面を研究することで、「世界の仕組み」を見出すことが可能だと著者。そこには3つの脅威が待つという。気候変動、国境が変わる超紛争、そして情報や権力の人工化だ。では今の自分に何ができるか。学ぶこと、予見すること、その上で行動することだ。「サービスの工業化社会」の先にあるものを知る。(2023.10.17発行)

【週刊新潮 2023年12月7日号】

 


【気まぐれ写真館】 「今年もあと3日」の多摩川

2023年12月28日 | 気まぐれ写真館

2023.12.28

 


放送40周年、 山田太一脚本『ふぞろいの林檎たち』は、 なぜ「名作」と呼ばれるのか

2023年12月27日 | 「ヤフー!ニュース」連載中のコラム

『ふぞろいの林檎たち』から40年後の新宿高層ビル群

 

放送40周年、

山田太一脚本『ふぞろいの林檎たち』は、

なぜ「名作」と呼ばれるのか

 

 

追悼 山田太一さん

連続ドラマ『ふぞろいの林檎たち』(TBS系)が放送されたのは、1983年の5月から7月にかけてでした。

あれから40年が過ぎた今年、11月29日に脚本家の山田太一さんが亡くなりました。

追悼の意味で、山田さんの代表作の一つである、『ふぞろいの林檎たち』を振り返ってみたいと思います。

『ふぞろいの林檎たち』という物語

主人公の仲手川良雄(中井貴一)は、「四流」と揶揄(やゆ)される大学の学生です。

ある日、一流大学医学部のパーティーに紛れ込みました。しかし、部外者であることが発覚し、「学校どこ?」と冷笑されてしまいます。

良雄は同じ大学の友人、岩田健一(時任三郎)と西寺実(柳沢慎吾)と共に、「ワンゲル愛好会」というサークルを作ります。目的は外部の女子大生に接触することでした。

有名女子大の水野陽子(手塚理美)、宮本晴江(石原真理子)、谷本綾子(中島唱子)が加入してきます。

ところが、本当の女子大生は綾子だけでした。陽子と晴江は看護学校の学生であることを隠していたのです。普段、自分たちが女子大生より低く扱われることへの反発でした。

また、女性経験がないことを気にしていた良雄は、ある日、個室マッサージ店に入ります。そこで再会したのが、医学部のパーティーにいた伊吹夏恵(高橋ひとみ)です。

良雄は夏恵の自宅に呼ばれ、彼女が東大卒の本田修一(国広富之)と同棲していることを知るのです。

やがて始まった、「林檎」たちの就職活動。

それまで「一流」に反発してきた健一ですが、自分が一流会社に入れそうになると、急に意識が変わっていきます。ところが、その夢もすぐに崩れ去りました。

ラーメン屋の息子である実は、綾子がくれる小遣いを目当てに、つき合い始めます。実際には、彼女は裕福な家の娘ではなく、アルバイトで金を工面していました。そのことを知った実は、綾子の良さを認め始めます。

良雄の実家は酒店で、兄の耕一(小林薫)が跡を継いでいます。

耕一の妻・幸子(根岸季衣)は病弱のため、子どもが産めないでいました。母の愛子(佐々木すみ江)は耕一に離婚を促します。

苦しんだ幸子は家出するのですが、耕一は「幸子じゃなきゃ嫌なんだ!」と宣言。その場にいた良雄たちは感動します。

再び就活に挑む「林檎」たち。当時、会社訪問をすれば学歴差別は当たり前で、大学によって控え室も違いました。

しかし、健一は実に言います。

「胸、張ってろ。問題は、生き方よ」

生きることの「苦さ」と向き合う

このドラマが秀逸だったのは、「劣等感を抱いて生きる若者たち」を正面から描いていたことです。

四流大学の男子大学生、看護学校の女子学生、そして太っていることでモテない女子大生……。

いずれも学歴や容貌に不安や不満を感じて苦しむ若者たちでした。それまで、あまりドラマの主人公にはならなかった若者たちです。

彼らは、今でいうところの「負け組」に分類され、浮上することもなかなか許されません。何より、本人たちが自分の価値を見つけられず、自ら卑下している姿が痛々しい。

放送された80年代前半、世の中はバブルへと向かう好景気にありました。誰もが簡単に豊かになれそうなムードに満ちていました。

しかし、「ふぞろい」な若者たちにとって、欲望は刺激されても現実は決して甘いものではなかった。その「苦さ」ときちんと向き合ったのが、このドラマだったのです。

世間の大きな流れに乗ることはなく、むしろその流れとは逆の立場にいる人たち。現実の厳しさに押しつぶされそうになりながら、生きづらさを抱えて日々を営む人たち。

そんな人たちの存在を見逃さず、小さな「ため息」の奥にある「思い」を、繊細かつ大胆にすくい上げていったのが、山田太一さんでした。

 


【気まぐれ写真館】 「今年もあと4日」の夕暮れ

2023年12月27日 | 気まぐれ写真館

2023.12.27

 


【新刊書評2023】 大江健三郎『親密な手紙』

2023年12月26日 | 書評した本たち

 

 

大切な人や本との読書による「対話」

大江健三郎『親密な手紙』

岩波新書 968円

 

大江健三郎『親密な手紙』は、今年3月に88歳で亡くなった著者の新刊である。収められたエッセイが雑誌に掲載されたのは2010年から13年にかけてだ。70代後半だった作家が、自身にとって大切な人や書物との関わりを語っている。

最も多く登場するのは仏文学者の渡辺一夫。高校時代に読んだ『フランス ルネサンス断章』に惹かれ、渡辺のもとで学ぼうと東大仏文科を目指した著者にとって、生涯にわたる師だ。

また主著『オリエンタリズム』などで知られる、エドワード・W・サイードにも何度か触れている。特に遺著『晩年のスタイル』の原著と翻訳は、常に手元に置いて読み返す「枕頭の書」だという。そこには本を読む喜びだけでなく、生きてゆく希望を呼び起こす、強い力があったのだ。

他に並ぶ名前は大岡昇平、伊丹万作、中野重治、林達夫、武満徹、岸田衿子、井上ひさし、そして伊丹十三など。著者は彼らの亡き後も、読書による「対話」を続けてきた。書物は自身の苦境を乗り越えさせてくれる「親密な手紙」だった。

さらに本書では自作をめぐるエピソードも披露されていく。たとえば最初期の「奇妙な仕事」は、友人が語った「大学病院が飼う、実験用の犬」の話がヒントだった。その友人は、後にバルザック『艶笑滑稽譚』などの翻訳を手掛けた、石井晴一だと明かしている。

著者が遺してくれた豊饒なる作品群。それを「親密な手紙」として読み返したくなる、刺激的な一冊だ。

(週刊新潮 2023年12月7日号)


【気まぐれ写真館】 2023年のクリスマス

2023年12月25日 | 気まぐれ写真館

我が家の定番、ダブル雪だるま君


【遙か南の島 2023】 続「ホノルル」散策

2023年12月24日 | 遥か南の島 2023

道路の反対側に立つ、サンタさん発見!

南の島のメリークリスマス!

 


【遙か南の島 2023】 「ホノルル」散策

2023年12月23日 | 遥か南の島 2023


【遙か南の島 2023】 「カポレイ」~「コオリナ」散策

2023年12月22日 | 遥か南の島 2023

カポレイの映画館へ

クリスマス映画ということで、

なんと「ダイハード」をやっていました。

スクリーンで見るのは、

たぶん35年ぶりくらいです。

ブルース・ウイルスも若い!(笑)

椅子が全席リクライニングで快適でした。

どこもクリスマス仕様に

仕事終わりのスタッフさん

 

 


NHK「大奥」は “火曜夜の大河ドラマ”と呼びたい力作

2023年12月21日 | 「日刊ゲンダイ」連載中の番組時評

 

 

NHKドラマ10「大奥 Season2」は

“火曜夜の大河ドラマ”と呼びたい力作

 

男女逆転の大奥を舞台とする、NHKドラマ10「大奥 Season2」が完結した。今年1月期のシーズン1に続き、今回もその“ドラマ的熱量”に圧倒された。

前半の「医療編」では、男子の命を奪う「赤面疱瘡」の撲滅を目指す田沼意次(松下奈緒)や平賀源内(鈴木杏)の奮闘が描かれた。

また後半の「幕末編」では幕府崩壊へと向かう動乱の時代を背景に、13代将軍・徳川家定(愛希れいか)と御台所・天璋院(福士蒼汰)の情愛や、公武合体で朝廷から降嫁してきたニセの和宮(岸井ゆきの)をめぐる騒動などから目が離せなかった。

やがて江戸城は無血開城され、大奥も消滅。

アメリカ行きの船上で天璋院が出会ったのは、日本初の女子留学生のひとり、津田梅子(宮崎莉里沙)だ。少女の梅子は、父から「よき妻となるため」の留学と聞かされていた。

しかし、天璋院は言う。「大きなことをなさるのは、きっと(女性である)あなたご自身かと」

このドラマ、奇抜な設定をテコにして、親子、夫婦、ジェンダーや差別など多彩な現代的課題を織り込んできた。それを支えたのは俳優陣の熱演だ。

松下、鈴木、愛希、岸井は、シーズン1の5代将軍・綱吉の仲里依紗や8代将軍・吉宗の冨永愛らに負けない存在感を見せていた。

2つのシーズンを合わせて「火曜夜の大河ドラマ」と呼びたい力作だ。

(日刊ゲンダイ「テレビ 見るべきものは!!」2023.12.20)


【遙か南の島 2023】 「コオリナ」散策

2023年12月20日 | 遥か南の島 2023

複数の「ラグーン」が並んでいます

人気店「モンキーポッド・キッチン」

サンドアートの雪だるま君とワンちゃん

「折り鶴」のクリスマスツリー

テーブルの上にあるのは、常設の巨大ジェンガ

歩道のテーブルで、ポキ丼とサラダとチキン

ジャグジーで滝行?