碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
見たり、読んだり、書いたり、時々考えてみたり・・・

クボタの新CM 「ふかいをゆかいに」長澤まさみさんの力

2022年05月31日 | 「日経MJ」連載中のCMコラム

 

 

クボタ

「クボタが描く未来 

 スマートアグリソリューション」篇

「ふかいをゆかいに」長澤さんの力

 

作家の井上ひさしさんが座右の銘にしていた言葉がある。

「むずかしいことをやさしく、やさしいことをふかく、ふかいことをゆかいに、ゆかいなことをまじめに」。

クボタの新CMはそんな1本だ。

アグリソリューションとは、英語のアグリカルチャー(農業)とソリューション(解決)を合わせたもの。

スマート農業による生産から消費までをトータルでサポートする取り組みが「スマートアグリソリューション」だ。

目指すのは、食品の流通過程で生まれる付加価値の繋がりだが、そのまま伝えると難しい話になってしまう。

CMの舞台は八百屋の店先。買い物客の皆川猿時さんに、店員の長澤まさみさんが「テレビ出られるよ!」と呼びかける。

登場したリポーターはパックンさんだ。

フードロスのない、サステナブルな食料システムについて解説を始めると、すかさず長澤さんが「大丈夫、それクボタがやる!」。

優れたコメディエンヌでもある長澤さん。その振り切った演技で「ふかいことをゆかいに」表現する姿が見ていて気持ちいい。

(日経MJ「CM裏表」2022.05.30)

 


日刊ゲンダイで、「月曜から夜ふかし」について解説

2022年05月30日 | メディアでのコメント・論評

 

 

日テレ「月曜から夜ふかし」

ゴールデン昇格で問われる

“素人イジり”のあり方と炎上リスク

 

この4月からゴールデンタイムに昇格し、MCのマツコ・デラックス(49)、村上信五(40)ともに力の入る人気バラエティー番組「月曜から夜ふかし」(日本テレビ系)。その放送内容を巡って、「地方や老人をバカにしすぎではないか」と物議を醸している。

問題視されているのは、今月16日に放送された「日本全国で聞いた我が町あるある」という企画。さびれた各地方に行き、住民に町の自慢を聞いて回るという趣旨の企画だった。さる放送作家は語る。

「地方いじめというか、地方を軽視というか地方をバカにすることで笑いを取っていた。バラエティー番組では禁じ手です。例えば全国で初めてドローンで荷物を運ぶサービスが始まった香川県粟島では、商品代金より高い1回500円も費用がかかるサービスを住民が利用する様子を放送。また、中年女性3人が談笑している様子を紹介し、中身が届いた代引き荷物に対し、釣り銭を先に受け取り、代金を支払うことを忘れた様子を“しょうもないことで毎日楽しく過ごせる島”などと揶揄していた。一方、ITアイランド構想を推進する大分県姫島でITを理解していないお年寄りに取材をして『Netflix』を『メトリックス』と言い間違えた人を笑いの対象にしていた。見ようによっては、地方や老人のイジリ方が弱い者いじめにも見えてしまう」

■「ドローンは必要ない」が本音

日刊ゲンダイは、談笑する様子が番組で放送された3人の女性のうちの一人で、粟島で民宿を営む女性に話を聞くことができた。

「ドローンに関しては、本当は島には1日8便の船があって、みんなそれで買い物に行ってるので、島のほとんどの人は必要ないと思っているのが本音なんですよ。話しているシーンは“島の日常を撮らせて欲しい”ということでだいぶ長く撮られていました。お金を支払うのを忘れてしまったところが使われていましたが、いつもあんな感じですから、放送を見て、みんなで笑ってしまいましたよ」

女性は、めくじらをたてるほどのことではないと笑って許すが、この手の取材は、とかく“撮れ高”がある面白おかしいシーンばかりが使われがち。普通のシーンや、クイズを出して正解を答えた人たちはVTRからカットされてしまう。

「放送を見て、自分の扱われ方に驚く人もいると思います」(前出の放送作家)

素人をイジるこうした番組のあり方について、メディア文化評論家の碓井広義氏はこう話す。

「私もよく見ている番組ですが、面白いと思う半面、際どいところは確かにあって、これは我ながら、相手をバカにして笑ってしまっているのではないかと考えてしまうこともあります。番組に出てくる一風変わった素人さんたちは、とても人間的で、ある種それが“人間賛歌”となっていて、ホッコリできたのですが、回を重ねるうちに、そうしたものはより過激なものを求めがちです。もし作り手側に相手をバカにしたり、嘲笑していたりするような“上から目線”が少しでもあったら、今の時代、視聴者も敏感ですからすぐ炎上につながります。作り手側は、相手を傷つけてしまう可能性があることを十分認識した上で、自分たちの立ち位置や目線を二重三重に確認して、丁寧に番組を作っていって欲しいですね」

(日刊ゲンダイ 2022.05.28)


【気まぐれ写真館】 「真夏日」の夕暮れ

2022年05月29日 | 気まぐれ写真館


【旧書回想】 2020年1月後期の書評から

2022年05月29日 | 書評した本たち

 

 

【旧書回想】

週刊新潮に寄稿した、

2020年1月後期の書評から

 

小川 功『昭和四十一年日本一周最果て鉄道旅』

笠間書院 1760円

まだ東海道新幹線も開業していない昭和41(1966)年。20歳だった著者は、友人と2人で列島縦断の鉄道旅に出た。本書はその記録であり回想記でもある。東京から北海道へ。そして大阪へと南下する。車内も車窓も昭和の風景そのもの。紙上のタイムトラベルだ。(2019.12.10発行)

 

尾高修也『「内向の世代」とともに 回想半世紀』

作品社 2530円

「内向の世代」とは1930年代に生まれ、70年前後に登場した作家たちを指す。古井由吉、黒井千次、後藤明生などだ。著者は同世代の作家であり研究者。彼らの仕事を「近代文学の最後のもの」と捉えた、文学論的エッセイ集だ。過去と現在があざやかに交差する。(2019.12.20発行)

 

阿川佐和子『老人初心者の覚悟』

中央公論新社 1430円

『婦人公論』連載のエッセイ集だ。昭和28年生まれの著者は自称・老人初心者。新たな気づきや体験を自分で面白がりつつ綴っていく。初の腰痛。中高一貫女子校の同窓会。運転免許の更新。久しぶりのカラオケなど、日常を「非日常」として楽しむコツが見えてくる。(2019.12.25発行)

 

ケヴィン・ブラウンロウ:著、宮本高晴:訳

『サイレント映画の黄金時代』

国書刊行会 9680円

これまで邦訳がなかったことが不思議だ。サイレント映画に関する古典にして名著である。豊富なインタビューも交え、監督、美術、編集から演技まで、映画作りの本質に迫る研究書だ。原題は郷愁に満ちた「パレードは過ぎ去った」。2段組み、877頁の大著。(2019.12.20発行)

 

野川香文『ジャズ音楽の鑑賞』

シンコーミュージック・エンタテイメント 2640円

昭和23年に刊行された日本初の本格ジャズ評論集、の復刻版だ。明治生まれの野川がジャズ研究を始めたのは昭和5年頃。出版当時44歳だったが、黎明期、ラグタイム時代、ブルースの誕生とたどる発達史は画期的なものだった。70年前の情熱が甦る歴史的一冊だ。(2020.01.12発行)

 

北上次郎『息子たちよ』

早川書房 1870円

平日は会社に泊まり込み、家に帰るのは日曜の夜だけ。それが20年続いたことに驚く。いわば無頼の書評家が、子供としての自分も踏まえて2人の息子への想いを綴った。「家族はけっして永遠ではない」と覚悟しながら愛し続けた家族と本をめぐるエッセイ集だ。(2020.01.15発行)

 


言葉の備忘録288 考えるな・・・

2022年05月28日 | 言葉の備忘録

 

 

 

「考えるな、感じるんだ」

 

 映画『トップガン マーヴェリック』

 

 


【旧書回想】2020年1月前期の書評から

2022年05月28日 | 書評した本たち

 

 

【旧書回想】

週刊新潮に寄稿した、

2020年1月前期の書評から

 

 

折輝真透『それ以上でも、それ以下でもない』

早川書房 1870円

第9回「アガサ・クリスティー賞」受賞作だ。舞台はナチス占領下のフランス。小さな村に匿われていた、レジスタンスの男が殺害されてしまう。村を守るため、神父は事件を隠蔽しようとする。村人、親衛隊、レジスタンス。錯綜する人間関係の奥にある真実とは?(2019.11.25発行)

 

小川隆夫『伝説のライヴ・イン・ジャパン』

シンコーミュージック・エンタテイメント 3080円

来日した大物アーティストが行った数々のライヴ。それを通じて1950~70年代のジャズ史を追体験する。セロニアス・モンク、マイルス・デイヴィス、ジョン・コルトレーンなどのレジェンドたちは、どんな曲を、どのように演奏したのか。全30公演への招待だ。(2019.12.12発行)

 

石原慎太郎、坂本忠雄

『昔は面白かったな―回想の文壇交遊録』

新潮新書 792円

『太陽の季節』で芥川賞を受賞した時、石原は23歳。87歳の今も現役作家だ。そんな石原から回想を引き出す坂本は、85歳の元「新潮」編集長である。作品はもちろん、小林秀雄や川端康成、三島由紀夫といった人々を同時代作家として語る逸話がすこぶる興味深い。(2019.12.20発行)

 

藤田宜永『ブルーブラッド』

徳間書店 2200円

ブルーブラッドとは貴族や名門出身の人間を指す。戦後の混乱期、復員した貝塚逸馬は旧華族の両親が外国人に殺害されたことを知る。背後にはナチスの隠し財産の存在があった。真相を追う逸馬は、ソ連、アメリカ情報部、超国家主義者たちの暗闘に巻き込まれていく。(2019.11.30発行)

 

日野百草『ルポ 京アニを燃やした男』

第三書館 990円

昨年7月に起きた、京都アニメーション放火殺人事件。本書では、20代まで「ごく普通の貧乏育ちのフリーター」だった男が、なぜ凶行に及んだのかを探っている。文化を破壊した者への激しい怒り。亡くなったクリエイターたちへの哀悼。私小説ならぬ私ドキュメントだ。(2019.11.30発行)

 

高崎俊夫、朝倉史明:編

『芦川いづみ~愁いを含んで、ほのかに甘く』

文藝春秋 2970円

デビューから65年。日本映画のミューズ(女神)が再降臨した。日活時代の全出演作品のスチール写真やポスターの収録。初のロング・インタビューも快挙だ。中平康などの監督陣、石原裕次郎や吉永小百合といった仲間とのエピソードには人柄がにじみ出ている。(2019.12.10発行)

 


女性セブンで、中島みゆき「ホームにて」について解説

2022年05月27日 | メディアでのコメント・論評

 

 

有吉弘行が上島竜兵さんに捧げた

中島みゆき『ホームにて』 

都会で踏ん張る2人を支えた一曲

 

有吉弘行が「恩人」として必ず名前を挙げていた上島竜兵さん(享年61)。2人にはともに中島みゆき(70才)のファンであるという共通点があった。故郷への思いを胸にしまい、都会で懸命に踏ん張っていた彼らを支えた中島みゆきの隠れた名曲を、いまこそ──。

「曲行く? 今日ぐらいは、上島さんがよく歌ってた好きな歌ですかね……」

5月15日に生放送された『有吉弘行のSUNDAY NIGHT DREAMER』(JFN系ラジオ)で、時折声を詰まらせながら語った有吉弘行(47才)。この日のオープニングでは、5月11日に61才で亡くなったダチョウ倶楽部の上島竜兵さんを追悼し、中島みゆき(70才)が1977年に発表した『ホームにて』を選曲した。

アコースティックギターの静かなイントロの後に、中島の歌声が語り掛けるように響く。有吉がこの曲を知ったのは、「竜兵会」だった。

「竜兵会は、仕事がなかった頃の有吉さんや土田晃之さん(49才)、劇団ひとりさん(45才)らが上島さんを慕って集まった会。上島さんはなじみの居酒屋にメンバーを連れて行き、いつも自分のおごりで飲み食いさせていました。ただ、上島さんはいつもベロベロに酔っ払い、有吉さんらに『何やってんだよ!』と突っ込まれていましたね(笑い)」(テレビ局関係者)

先輩風を吹かせることもなく、後輩の前で酔い潰れてくだを巻く。飾らない人柄で誰からも愛された上島さんが、好んで熱唱したのが『ホームにて』だった。

「竜兵会でへべれけになった上島さんは深夜3時くらいにカラオケのマイクを握り、号泣しながらこの曲をよく歌っていました。最初は『何泣いてんだよ』と突っ込んでいた有吉さんも、次第に曲に魅了され中島さんのオリジナル曲を聴くようになった。いまや有吉さんは大のみゆきファンで、自分が運転する車では彼女の歌しか聴かないそうです」(前出・テレビ局関係者)

上島さんと有吉をつないだ『ホームにて』とは、どのような曲か──。

都会で暮らす地方出身者の心を歌った

『ホームにて』は、中島が1977年に発表したアルバム『あ・り・が・と・う』に収録された一曲で、のちにシングル『わかれうた』のB面として収録された。シングルとはいえB面で、『時代』や『ファイト!』のように誰もが知るメジャーな曲ではない。それでもこの曲は多くの人を魅了し、槇原敬之(53才)や工藤静香(52才)、高畑充希(30才)らが続々とカバーした。

この曲は、ふるさとへと向かう最終の汽車の出発を待つ駅の情景から始まる。駅長がやさしく乗車を促すなか、足早に車内に乗り込んだ乗客たちは笑顔を見せる。出発の時間がきて汽車のドアが閉まりかけるが、まだ駆け足で滑り込めば、なつかしいふるさとに帰ることができる。だが主人公はホームにたたずんだまま動けない。汽車のドアはゆっくりと閉じ、その手に残されたのは、ふるさと行きの乗車券だった──。

歌詞には「ネオンライト」という単語が登場する。

メディア文化評論家の碓井広義さんは「ネオンライトは都会の象徴です」と語る。

「中島さんは、都会で暮らす地方出身者が故郷を思う心を歌っている。都会のネオンライトはまぶしく魅力的だけど、それだけで、ふるさと行きの乗車券=望郷の念を燃やし、消すことはできません。そんな複雑でほろ苦い感情がよく表された歌詞です」

帰りたくとも帰れない故郷への思い

この曲からは、中島の生まれ故郷・北海道の情景が浮かび上がる。医師だった中島の父は、娘がデビューした1975年に脳出血でこの世を去った。その失意のもとで作詞作曲されたのが『ホームにて』だった。

「北海道から上京して歌手としてデビューしたのち、父を失う悲しみのなかで、故郷に帰りたくとも帰れない思いがにじみ出ています。あまり若い頃の体験談を歌わないみゆきさんですが、この曲には深い思いが込められているのでしょう」(音楽関係者)

そんな中島の思いの丈を示す「伝説」が残されている。

「『ホームにて』のレコーディングには坂本龍一さん(70才)が参加しました。できあがった曲を披露するとき、みゆきさんは坂本さんの前で涙を流して滔々と歌い上げ、『プロの歌手が泣きながらレコーディングするなんて』と坂本さんを驚かせたといいます。1978年に出演した歌謡番組『ミュージックフェア』でもみゆきさんは『ホームにて』を歌唱する最中に感極まり、あふれでる涙を止められませんでした」(前出・音楽関係者)

一方で、この曲に込められているのは郷愁だけではない。

「この曲は中島さんの歌う『応援歌』でもあると思う」

と語るのは、音楽評論家の前田祥丈さんだ。

「この曲はふるさとに帰るかどうか、迷う心情を歌っています。人々の心を打つのは『帰る』『帰らない』のどちらを選んだとしても、その選択を歌い手の中島さんが尊重して、肯定しているからじゃないかと感じます。

だから、人生の岐路に立って迷う人に『あなたの選択は間違っていないよ』とエールを送る歌になっていて、自分の選んだ道に自信を持てず葛藤する人のことも、彼女はやさしく慰めます。それゆえに、弱ったときや迷ったときにこの曲を聴くと、支えになる人が多いのでしょう」

『ホームにて』をカバーし、コンサートでも歌う歌手の手嶌葵(34才)も中島に希望を与えられたひとりだ。その手嶌が語る。

「生まれ故郷の福岡を離れて10代でデビューした私は、歌手として成功するかどうか、不安ばかりの毎日を送っていました。コンサートでも足がすくんでうまく歌えないことがあって、福岡に戻りたいという気持ちが強かった。そんなとき、みゆきさんの『ホームにて』を聴き、やさしい歌声に応援された気になり、『もう少し、頑張ろう』との気持ちが湧いてきました。いまも疲れたときはあの曲を聴いて、みゆきさんに背中を押してもらっています」

お笑い芸人の道を選んだ上島さんと有吉も、この曲を心の励みにしていたのだろうか。

「上島さんは役者を目指して神戸(兵庫)から上京したのち、がんのお母さんを看病するため帰郷して再上京したり、お父さんが自己破産するなど苦労の連続でした。有吉さんは高校卒業後にオール巨人さんに弟子入りするも8か月で破門になり、故郷の広島に帰った。1996年に『進め!電波少年』(日本テレビ系)のヒッチハイク企画でブレークしてからも、その後に再ブレークするまで多くの辛酸をなめました。

ふるさとを離れ、困難や葛藤を経験して成功した2人だけに『ホームにて』が醸し出す何とも言えないほろ苦さや、そこから生まれる決意を共有できたのかもしれません。上島さんの追悼として、いかにも有吉さんらしい選曲です」(前出・テレビ局関係者)

深い悲しみのなか、『ホームにて』を愛する先輩に捧げた有吉は、自らを鼓舞して前に進むためにも、この曲を必要としたのかもしれない。

 

「女性セブン」2022年6月9日号


「ソロ活女子のススメ2」江口のりこが深夜に帰ってきた!

2022年05月26日 | 「日刊ゲンダイ」連載中の番組時評

 

 

江口のりこ

「ソロ活女子のススメ2」で

深夜に帰ってきた!

“ソロ活”ぶりもパワーアップ!

 

女優・江口のりこの快進撃が続いている。昨年春の「ソロ活女子のススメ」(テレビ東京系)は、記念すべき民放ドラマ初主演作だった。続く秋には「SUPER RICH(スーパーリッチ)」(フジテレビ系)でゴールデン・プライム帯の連ドラ初主演も経験した。

今年に入ってからは、NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」で源頼朝の愛妾を好演。さらに今期の「悪女(わる)」(日本テレビ系)では、ヒロインが敬愛するバリバリのキャリアウーマンだ。

そんな江口が主役として深夜に帰ってきた。「ソロ活女子のススメ2」だ。契約社員の五月女恵(江口)が一人の時間を堪能するソロ活は、よりパワーアップしている。

たとえば、大人数で円卓を囲むイメージの中国料理。恵はホテル雅叙園東京で、回転テーブルの独占に挑む。エビチリ、小籠包、そして本命の北京ダックなどを注文し、思い切り味わうのだ。

その間ずっと、恵のインナーボイス(心の声)が続く。回転テーブルに向かって「一人だけど回転させるからね」とささやき、エビチリを取りながら「エビの数を気にする必要なし!」とニヤリ。ソロ活の醍醐味である。

中国料理の回転テーブルが、実は「他人に迷惑をかけないために」日本で発明されたと知って、恵はうれしくなる。群れを嫌い、束縛されることを嫌う五月女恵は、ソロ活界の大門未知子だ。

(日刊ゲンダイ「テレビ 見るべきものは!!」2022.05.25)

 


言葉の備忘録287 あえて・・・

2022年05月25日 | 言葉の備忘録

 

 

 

あえて間(はざま)にいるからこそ、

見えるものもある。

 

 

神永新二(斎藤工)の言葉

映画『シン・ウルトラマン』より

 

 


NHK内部で何が起きているのか

2022年05月24日 | 「しんぶん赤旗」連載中のテレビ評

 

 

NHK内部からの声

 

最近のNHKに対して違和感があった。

たとえば、昨年末にBS1で放送された「河瀨直美が見つめた東京五輪」。一般男性の取材映像に「お金を受け取って、五輪反対デモに参加した」という事実無根の字幕を表示していたのだ。

なぜこんな番組作りがまかり通ってしまったのか。

発売中の「文藝春秋」6月号に、「前田会長よ、NHKを壊すな」が掲載された。

10ページに及ぶ文章を寄稿したのは「職員有志一同」。番組制作局や報道局などに所属する、30代から50代の十数名だ。現在NHKが陥っている危機的状況について書かれている。

問題は、銀行出身の前田晃伸会長が推し進める「改革」の実態だという。

「縦割り制度の打破」をうたい文句に、記者・ディレクター・アナウンサーなどの職種に分かれていた「放送」職を、まとめて「コンテンツクリエイター」とした。

加えて、「放送」「技術」「管理」といった職種別採用も廃止してしまったのだ。

これまでNHKは職種別の人材育成システムを活かし、高いレベルの専門性とスキルを武器にしてきた。

前田会長の主張は「ジェネラリストを養うことが大事」とのことだが、一概にそう言えないのが放送の世界だ。

大阪放送局では、文化番組部、芸能番組部、報道番組部を統一して「コンテンツセンター」が作られた。ディレクターの専門性も責任の所在も曖昧になり、その結果があの五輪番組だったのだ。

次に、極端な「コストカット」が断行されている。

前田会長は昨年1月に「経営計画」を発表し、事業規模の10%にあたる約700億円の経費削減を宣言。2波ある衛星放送も1波に統合される予定だ。

有志たちは、すでに「ドキュメンタリー文化の荒廃」が始まっていると警鐘を鳴らす。

さらに50代以上の職員の「リストラ」も進んでいる。しかし、NHKの番組の品質を維持してきたのは、この年代の作り手だったのではないか。

縦割り打破、コストカット、そしてリストラ…。

当然だが、NHKは民間企業ではない。経済的合理性よりも優先されるべきは、社会の公器として国民の知る権利に応えることだ。

有志たちが問いかけているのは「公共放送の意義」である。

(しんぶん赤旗 2022.05.23)

 


【気まぐれ写真館】 富良野 2022年5月

2022年05月24日 | 気まぐれ写真館

倉本聰脚本『風のガーデン』の舞台

愛犬と散歩しているのは・・・

 


いまもっとも輝いている女優は?「週刊現代」でのコメント

2022年05月23日 | メディアでのコメント・論評

 

 

【最新版】

いまもっとも輝いている

「令和イチの女優」の

ベスト50を大公開…!

 

女優は時代の花だ。今回、いままさに咲き誇る一流女優たちのランキングを作成した。

前編記事『【最新版】抜群に演技のうまい女優は誰か…? 令和のイチの「ヒロイン」ベスト50をランキング』に引き続き、ドラマや映画、芸能全般に造詣が深い識者にアンケートを実施し、女優たちについて5つの要素を各10点、50点満点で採点してもらい、令和最高のヒロインを決定する。

樹木希林の再来か!?

上位を見渡すと演技派がズラリと並ぶ。11位の吉高由里子(33歳)は現代風のドラマでこそ生きる女優だという。作家の宝泉薫氏が言う。

「平成後期に流行った単なる『お仕事もの』のドラマはいまは受けない。令和のドラマは働く女性であっても、恋愛や家族の問題など、あらゆる葛藤を持つタイプの女性が描かれている。吉高はそうしたリアリティのある女性を演じるのが、抜群に上手い」

これらの演技派女優たちから頭一つ抜けて演技力1位に輝き、総合でも5位に食い込んだのが伊藤沙莉(28歳)だ。

前出の碓井氏が言う。

「美人女優ではないですが、あえてそこを武器にして女性の内部に秘めている妬みをうまく表現することができる。

NHKドラマ『これは経費で落ちません! 』('19年)では、主演の多部未華子の後輩役で仕事ができない経理部員を演じていましたが、一言一言がリアルで面白く、『こういう人いるよね』と思わせる力がある。このまま女優として成熟していけば樹木希林さんのような名女優になる逸材です」

前出の太田氏は声も伊藤の大きな武器だと言う。

「ハスキーで特徴的な声も一度聞いたら忘れられない。アニメ『映像研には手を出すな! 』('20年)での声優の仕事や、玄人の間で評価の高かったドラマ『大豆田とわ子と三人の元夫』('21年)のナレーションでも活躍されています」

その『大豆田~』で主演を務めたのがランキングで3位となった松たか子(44歳)だった。

「松本白鸚を父に持ち、生まれた時から歌舞伎や日本舞踊が側にある環境で育ってきているので、細かな所作からしてほかの女優とは違う。軽やかな気品があり、セリフ一つ言うだけでも重みや響きが実に心地いい」(碓井氏)

松は『HERO』('01年)など高視聴率ドラマで見事にヒロインを演じてきたキャリアも評価され、9・2点で「実績」はトップだった。

松を僅差で上回り、2位となったのが、綾瀬はるか(37歳)だ。

「女優にはどんな作品であってもその人の存在感を出すタイプと、作品の中に溶け込むタイプがありますが、綾瀬さんは後者です。自然体で何気なくドラマや映画の世界に溶け込んでいく。だから、幅広い役柄を演じられる」(太田氏)

なるほど、『ホタルノヒカリ』('07年)のようなコミカルな役、大河ドラマ『八重の桜』('13年)のような歴史もの、現在放送中の『元彼の遺言状』のやり手弁護士とどれも見事にはまっている。

「グラビアからキャリアを始めたこともあり、抜群のプロポーションも大きな武器です」(太田氏)

そして、1位に輝いたのは長澤まさみ(34歳)である。5つの要素ですべて高得点だが、とりわけ7・7点を獲得した「セクシーさ」は彼女の大きな魅力だ。

「単にスタイルが良いとか、きわどいシーンが演じられるからセクシーというわけではありません。彼女は何でもないシーンでちょっと潤んだ目を見せるだけで見る人の心を奪う力がある。

近年の彼女の代表作である『コンフィデンスマンJP』('18年)はコメディ作品ですが、詐欺師を演じる彼女が場面ごとに多様な衣装を着こなし、それがまた色っぽい。

30代に入り、味のある脇役も見事に演じるようになっている。『すばらしき世界』('21年)では主演の役所広司の脇で、したたかなテレビ局のプロデューサー役をこなしました。3番手、4番手の役でも輝きを放てる」(影山氏)

今回、ベスト50に名を連ねた女優はいずれも後世まで名を残す一流女優ばかりだろう。あなたのお気に入りの女優は何位だっただろうか。令和のヒロインたちのさらなる活躍に期待したい。

(『週刊現代』2022年5月14・21日号より)

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週刊現代が独自にリストアップしたトップ級女優60名以上について、5つの要素を各10点、満点を50点として碓井広義氏、影山貴彦氏、木俣冬氏、宝泉薫氏、太田省一氏、近藤正高氏が採点。識者の採点の平均点を算出し、ランキングを作成した。5つの要素の評価基準は次の通り。

「美貌…顔の造形やスタイル、画面に映える美しさ」、「演技力…表現力、役の幅の広さなど芝居そのものの力量」「セクシーさ…色っぽさ。ラブシーンなどでより魅力的になる」「露出度…現在、ドラマ・映画の出演数が多い、話題作に出ている」「実績…高視聴率ドラマや評価の高い映画に多く出演してきた、映画祭などで受賞歴があるかどうかなど、いままでのキャリアを総合的に評価」


【気まぐれ写真館】 富良野 2022年5月

2022年05月22日 | 気まぐれ写真館

倉本聰プロデュース「Soh's BAR(ソーズバー)」


演技のうまい女優は誰か? 「週刊現代」でのコメント

2022年05月21日 | メディアでのコメント・論評

 

 

【最新版】

抜群に演技のうまい女優は誰か?

令和のイチの「ヒロイン」

ベスト50をランキング

 

いまやってるドラマのあの子は抜群に綺麗だし、先日見た映画の主演女優の演技も圧巻だった……。魅力に満ちた令和のヒロインたち、誰が頭一つ抜けるのか。ドラマ好きたちが選ぶ最高の女優は誰? 

広瀬すずの眼差し

「昭和、平成と移ろいゆくなかで、時代を彩る女優像も変わってきました。元号が改まって丸3年が経ちますが、令和の時代も個性的な女優たちで百花繚乱です」(社会学者の太田省一氏)

女優は時代の花だ。週刊現代は今回、いままさに咲き誇る一流女優たちのランキングを作成した。ドラマや映画、芸能全般に造詣が深い識者にアンケートを実施し、女優たちについて5つの要素を各10点、50点満点で採点してもらい、令和最高のヒロインを決定する。

ランキングを見ると、20代前半の若手女優の台頭が目立つ。その筆頭が、総合4位にランクインした広瀬すず(23歳)だろう。美貌点8・8で1位を獲得した顔の造形、特にその吸い込まれそうな瞳は唯一無二のものだ。『みんなの朝ドラ』の著者でフリーライターの木俣冬氏が言う。

「彼女にしかない澄んだ眼差しは美しいだけではなく、観ている側に深遠な『ドラマ』を想像させる力がある」

同志社女子大学メディア創造学科教授の影山貴彦氏は、広瀬が是枝裕和監督の『海街diary』('15年)に出演した頃から、その才能の片鱗を見せていたと語る。

「同作中で、広瀬がサッカーをするシーンがあるのですが、はつらつとした躍動感が凄い。野性味がありながらも、清潔さや透明感も持ち合わせていた。

当時はまだ10代半ばでしたが、大きな存在感を放ち、持っているものが違うと感じた。是枝監督も撮影時に『広瀬にはあまり台詞指導をしなかった』と言うくらい、その資質を信頼して自由にやらせたと言います」

抜群のルックスだけでなく、演技面でも天性のものを発揮する広瀬は女優界における次世代の旗手と言えるだろう。

『カムカム』女優たちの躍進

同じく若手で広瀬を追いかける存在が15位の浜辺美波(21歳)である。「美貌」では8・7点と広瀬に次ぐ2位につけた。

「浜辺さんは演技力の面では今後の成長が期待されますが、清楚で品のある美貌は誰にもひけをとらない。代表作『君の膵臓をたべたい』('17年)で演じた難病を抱えた役柄には、『愛と死をみつめて』('64年)で主演だった吉永小百合を彷彿させる儚げな美しさがありました」(影山氏)

若手世代のなかで、昨今最も躍進が目覚ましいのが、広瀬と同い年の上白石萌音(24歳)だ。今回は7位にランクイン。

元上智大学文学部新聞学科教授でメディア文化評論家の碓井広義氏が言う。

「上白石さんの芝居を見ると、不思議と応援したくなる。視聴者を引き込む『健気さ』を持つ女優だと思います。加えて演技力も高い。『カムカムエヴリバディ』('21年)では夫の戦死の知らせが来て、妻役の上白石さんが泣きながら外に出ていって街をさまようシーンがありました。

『稔さん、稔さん』と夫の名前を13回連呼するんですが、1回ごとに夫の名前を叫ぶニュアンスを変えていたんです。感情の揺れ動きをここまで仔細に表現できるというのは、とてつもない才能です」

『カムカム』で上白石と一緒に主役を演じた深津絵里(49歳)と川栄李奈(27歳)も26位と29位にランクインした。

「深津さんは昔はボーイッシュなイメージが先行していましたが、『カムカム』で10代の少女を演じたように役にも幅が出ている。若い頃からドラマや映画だけではなく、舞台でも培ってきた演技力がここにきて発揮されていると感じます」(ライターの近藤正高氏)

川栄はAKB48出身で昔はおバカキャラで売っていたものの、NHKに重用され、ついにヒロインの座を獲得。アイドルらしい透明感と等身大の魅力が両立する稀有な存在になりつつある。

8位の満島ひかり(36歳)も川栄と同じくアイドル出身だ。彼女のキャリアのスタートは「Folder5」というグループからだったが、もはやその過去を誰も口にしないほど女優業が板についている。

「満島さんの民放での初主演作『Woman』('13年)の演出家だった水田伸生さんから聞いた話ですが、『彼女は自分がこうだと思ったら絶対に譲らない。ぶっとい線が一本通っている』と。ある意味、監督や演出家泣かせの所もありますが、それだけ演じることに真剣なんです。だから彼女の演技には感情移入してしまう」(影山氏)

令和のいま、輝きが増している日本の女優はまだまだいる。そのランキングの結果などを引き続き後編の『【最新版】いまもっとも輝いている「令和イチの女優」のベスト50を大公開…! 』でお伝えする。

 (『週刊現代』2022年5月14・21日号より)


言葉の備忘録286 やり直し・・・

2022年05月20日 | 言葉の備忘録

 

 

 

やり直しはしない。

失敗したら、

そこからスタート。

 

 

樹木希林さんの言葉

NHK『温故希林/着物篇』より