碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
見たり、読んだり、書いたり、時々考えてみたり・・・

書評した本: 『現代語訳 十牛図』ほか

2016年03月31日 | 書評した本たち



「週刊新潮」の書評欄に書いたのは、以下の本です。

玄侑宗久:監修・解説、水野 聡:翻訳 『現代語訳 十牛図』
PHP研究所 1404円

中国宋代に廓庵(かくあん)禅師が生み出した「十牛図」。禅の悟りを牛にたとえ、修業のプロセスを表現した解説図だ。古典翻訳家による現代語訳と禅僧作家・玄侑師の解説。失われた牛(自己)を探し求める旅は、日常の中で惑う現代人にも様々なことを教えてくれる。


斎藤美奈子 『名作うしろ読み プレミアム』
中央公論新社 1620円

物語の“最後の一行”にスポットを当て、名作文学を解読したのが既刊『名作うしろ読み』だった。本書では海外文学やミステリーにまでエリアを拡大。斎藤流“寸鉄批評”を存分に堪能できる。世界で最もよく知られた末尾は「万国のプロレタリア団結せよ!」だ。


重木昭信 『ミュージカル映画事典』
平凡社 18360円

誕生から現在まで、ミュージカル映画の軌跡を辿りながら、その全体像を提示した本邦初の事典である。登場する作品は約3200本。本編はもちろん、年度別作品一覧、邦題・原題・人名索引の充実ぶりにも驚かされる。これを一人で完成させた著者に拍手だ。

(週刊新潮 2016.03.31号)

本日のHTB「イチオシ!」 2016.04.29

2016年03月31日 | テレビ・ラジオ・メディア



国井アナ、ヒロさん


オクラホマ藤尾さん


ファイターズガールの和音さん


今週の「国井美佐アナウンサー」

とんでもない世界を垣間見せてくれる「クレイジージャーニー」

2016年03月30日 | 「日刊ゲンダイ」連載中の番組時評



日刊ゲンダイに連載しているコラム「TV見るべきものは!!」。

今週は、TBS「クレイジージャーニー」について書きました。


TBS系「クレイジージャーニー」
キモは徹底した現地・現物主義

「クレイジージャーニー」は、とんでもない人たちが、とんでもない世界を垣間見せてくれる、とんでもない番組である。異世界への案内人は危険地帯ジャーナリスト、洞窟探検家、マサイ戦士の日本人妻など、普段は会うこともない人たちだ。

先週登場したのは写真家の伊藤大輔さん。ブラジルのリオデジャネイロにある「ファベーラ」と呼ばれるスラム街で暮らしている。ここはギャングの抗争が日常的に発生する危険地帯だ。

ビデオカメラを持ったディレクターが1人で現地を訪れ、伊藤さんの写真撮影に同行する。それはまさに銃撃戦があった日の夜で、ピリピリした雰囲気のギャング4人がカメラの前に現れるのだが、見ているこちらも目が離せない。

この番組のキモは徹底した現地・現物主義にある。滅多に見られない光景や人物、どこかにあるかもしれない現実を実際に見せてくれるのだ。オーバーに言えば、世界の広さと深さに驚かされる。

スタジオには松本人志、バナナマンの設楽統、そして小池栄子の3人がいて、当事者であるジャーニーから直接話を聞く。

展開されるトークには、ジャーニーに対する尊敬の念があり、スタジオの自由闊達な雰囲気はジャズの即興演奏に近い。視聴者に伝えてくれるドキドキ感など、テレビの原点みたいなものがこの深夜番組にはあるのだ。

(日刊ゲンダイ 2016.03.29)


週刊新潮の「冬ドラマ女優陣」総括の記事でコメント

2016年03月28日 | メディアでのコメント・論評



発売中の「週刊新潮」最新号に、冬ドラマに関する特集記事が掲載されました。

タイトルは「トップ女優 敗北のドラマ」。

軒並み視聴率1ケタということで、女優に焦点が当たっていますが、実際には、制作側の責任が大きいと思います。

記事では、ドラマが一本ずつ俎上にあがっていますので、詳しくは本誌をご覧ください。


その中の、フジテレビ月9『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』について、私を含む3人がコメントしています。

コラムニストの林操さんは・・・

「田舎から出てきて厳しい仕事をする。それを娯楽劇として成立させるのはなかなか難しいし、あまり皆が進んで観たい類のものではない。さらに、恋愛の楽しさが強調されているわけではなく、どこまでも中途半端だったのです」

次に、私のコメント・・・

「制作陣は社会派を描こうと思っているわけでは決してない。恋愛ドラマのいわば背景として、ブラック企業や地方出身者の悩みを扱っているだけ。本気で社会的な問題と向き合おうとしておらず、その薄っぺらさが視聴者に見透かされているんです」

そして、ライターの吉田潮さんは・・・

「(有村架純は)『月9史上最低レベルの視聴率』という十字架を背負うことになったわけで、テレビ局員ならずとも、“あれ、有村って数字持ってないんだ”と思うでしょう。早くも徳俵に足がかかってしまった印象です」

(週刊新潮 2016.03.31号)

【気まぐれ写真館】 セレクトショップのような本屋さん(神楽坂)

2016年03月27日 | 気まぐれ写真館

卒業、おめでとう! 2016.03.25 (2)

2016年03月26日 | 大学
上智大学文学部新聞学科 2015年度卒業生





















































卒業、おめでとう! 2016.03.25 (1)

2016年03月26日 | 大学

碓井ゼミ2015年度卒業生





































書評した本: 門倉貴史 『不倫経済学』ほか

2016年03月25日 | 書評した本たち



「週刊新潮」の書評欄に書いたのは、以下の本です。

門倉貴史 『不倫経済学』
ベスト新書 896円

最近、週刊誌で目立つのが、「死ぬまでセックス」みたいな特集記事だ。今どきの高齢者は元気だから、関心度が高いのかもしれない。しかし、こんなに煽って一体何をさせたいんだ?

そして本書である。ベッキー、育休議員から文枝師匠まで不倫騒動が続く昨今。一瞬、不倫問題の収支決算かと思ったが違った。経済学者である著者が、“熟年性愛市場”をマジメに分析し、試算しているのだ。

たとえば、「熟年離婚」の市場規模は年間約4000億円。中高年男性の「不倫」で動く総額は5兆5000億円。また、「性風俗」産業は年間約5兆円だが、うち3兆円は中高年の需要だという。さらに、「老いらくの恋」関連支出が15兆円。これらの総額は約24兆円にも達する。確かに「死ぬまで」の勢いだ。

細かい数字にも興味深いものがある。専業主婦は、不倫の“メリット”が金額換算で年間19万円を超えると、夫を裏切って不倫に走るそうだ。確かなデータと納得のいく計算法で割りだされた金額だが、これって高いのか安いのか。

著者によれば不倫は景気と密接な関係があり、不景気のほうが増加する。加えて、スマートフォンやインターネット、SNSなどの普及も不倫をサポートしている。本書を読んで、日本経済に寄与すべく不倫という名のバスに飛び乗るか。それとも冷静になってバスから降りるか。そこは各々自己責任ということで。
 

平野太呂 『ボクと先輩』
晶文社 1,728円

写真家の著者は今年43歳。訪ねてシャッターを切った先輩たちは当然、大人ばかりだ。浅井愼平、浅葉克己、木滑良久などのいい表情が並ぶ。また水木しげる、安西水丸と鬼籍に入った先輩も。巻末に装丁家の平野甲賀が登場し、著者の父上であることを初めて知る。


井上俊・永井良和:編著
『今どきコトバ事情 現代社会学単語帳』
 
ミネルヴァ書房 2,160円

イクメン、ネトウヨ、無縁社会、スクールカースト。現代社会を映し出す55の言葉が並ぶ。気鋭の研究者たちによる解説は各4ページ。起源から広がり、社会的・文化的背景までが見えてくる。「つっこみ」における玄人芸と素人評論の関係など、いずれも目から鱗だ。


カート・ヴォネガット:著、円城塔:訳
『これで駄目なら 若い君たちへ――卒業式講演集』
 
飛鳥新社 1,728円

著者は『スローターハウス5』などで知られる、現代アメリカ文学を代表する作家の一人だ。本書には卒業式で行った講演が収められている。その作品と同様、シニカルでユーモアにあふれた内容が刺激的。「これで駄目なら、どうしろって?」が決まり文句だ。

(週刊新潮 2016.03.24号)

【気まぐれ写真館】 サクラサク  2016.03.23

2016年03月24日 | 気まぐれ写真館


綾瀬はるかの大奮闘アクション「精霊の守り人」

2016年03月23日 | 「日刊ゲンダイ」連載中の番組時評



日刊ゲンダイに連載しているコラム「TV見るべきものは!!」。

今週は、NHK「精霊の守り人(もりびと)」を取り上げました。


NHK「精霊の守り人」
魅力的な世界観を提示できるかどうか

先週から、“放送90年大河ファンタジー”と銘打つ「精霊の守り人」が始まった。

事前のPRで、主演が綾瀬はるかであることは分かったが、「ファンタジーって何?」と思った視聴者は多かったのではないか。ざっくり言えば、「ハリー・ポッター」や「ロード・オブ・ザ・リング」などのような、架空の世界での物語だ。

「精霊」の舞台となるのは新ヨゴ国。「太古、南の大陸にあったヨゴ国から、トルガル帝が民を率いて北の緑豊かな土地に移り、建国した」と言われて、ついていけないという人がいるはずで、決して万人向けのドラマではない。

綾瀬が演じるバルサは短槍使いの女用心棒。新ヨゴ国の第二王妃(木村文乃)が生んだ王子(小林颯)を、息子の命を狙う王様(藤原竜也)から守るために戦う。

綾瀬のアクションシーンはなかなか見事で、かつて女座頭市を演じた映画「ICHI」を思わせる。いや、むしろスローモーションを多用しない分、こちらのほうがキレがある。

架空の世界での物語で重要なのが「世界観」だ。登場人物たちの人間像はもちろん、時代や場所、国家の歴史、人びとの生活や風俗といった無数の「設定」があり、その総体が「世界観」と呼ばれる。

今後、どれだけの奥行きと広がりをもつ、魅力的な世界観が提示されるのか。成否の分かれ目はそこにある。

(日刊ゲンダイ 2016.03.22)


春も“グラブってる”菅田将暉さん

2016年03月22日 | 「日経MJ」連載中のCMコラム



日経MJ(流通新聞)に連載しているコラム「CM裏表」。

今回は、菅田将暉さんのグラブルについて書きました。


グランブルーファンタジー
「出会いと別れの季節篇」
卒業式後の表情 菅田さんナイス

前作の「図書室篇」も面白かった。向かい合う高校生は菅田将暉さんと早見あかりさん。「女子って、なんでみんなでトイレ行くの?」と菅田さんが訊ねる。「私、一人で行くけど」と早見さん。

続けて「女子も一人でグラブるってほんと?」と聞かれた早見さんは、「してたとしても、言うわけなくない?」と意味深に返す。え、グラブるって何?と思わせた時点で、このスマホゲームの勝ちだ。

最新作では、卒業式を終えた菅田さんが校門に向かって歩いている。しかし、明るい未来に胸弾ませて、という表情ではない。大学も恋愛も就職も、いやオトナになることさえ、自分にとっては「とりあえず」かもしれないと気づいたのだ。

うーん、これは深い話だ。本来なら、ここで悩んだり考え込んだりする。でも、そうはせず、「とりあえず、家帰って、グラブる」ことにしちゃう菅田さんがナイスだ。「明日のことは明日考えよう」は有効な人生訓なのだから。

(日経MJ 2016.03.21)


週刊新潮で、Eテレ『にっぽんの芸能』新司会者についてコメント

2016年03月21日 | メディアでのコメント・論評



「南野陽子」より「石田ひかり」の“夫運”

「(黒柳)徹子さん目指して頑張りたい!」

4月より、NHK・Eテレの『にっぽんの芸能』(金曜夜11時)の司会を務めることになった、和服の石田ひかり(43)が発した一言。

会見(取材会)に出席した記者が感心して言う。

「ウケを狙ったとはいえ、放送40年を迎えた『徹子の部屋』を目指すとはなかなか言えることではない」

能や文楽、歌舞伎、舞踊、邦楽など伝統文化の魅力を1時間に亘って伝える、通好みの番組である。その自信は一体どこから来るのか。

「朝ドラ『ひらり』(1992年)のヒロインはじめ、紅白の司会もこなすなど、NHKへの貢献度は充分ですが、なにより夫は『ハゲタカ』(2007年)や『あまちゃん』(13年)のプロデューサーを務めたNHKの訓覇(くるべ)圭さんですから。万全の後ろ盾です」

とは上智大学教授の碓井広義氏(メディア論)だ。


一方、これまで司会を務めてきたのが南野陽子(48)。それ以前の『日本の伝統芸能』と『芸能花舞台』の2番組をひとつにし、新番組として11年4月より、檀れいと共に案内役をスタート。13年から単独となり、“奇跡の40代”と言われる美貌を和服に包み続けてきた。

「この番組がナンノにとって結婚後の初仕事で、自宅で一緒に見たい、なんて言っていたんですけどね。昨年は夫の愛人が妊娠するなど離婚秒読みとも言われています」(前出記者)

スキャンダルを嫌うNHKらしいリニューアルだ。

(週刊新潮 2016年3月24日号 )



【気まぐれ写真館】 今月も、いつもの千歳市「柳ばし」で・・・ 2016.03.19

2016年03月20日 | 気まぐれ写真館
店主自ら釣り上げた「鱒」

今日のHTB「イチオシ!モーニング」 2016.03.19

2016年03月20日 | テレビ・ラジオ・メディア
「イチオシ!モーニング どようび」の皆さんと


MCの木村愛里さんと依田英将アナウンサー


愛里さん、依田アナ、オクラホマ藤尾さん


今週の「室岡里美アナウンサー」


室岡アナと野球解説の岩本勉さん


今週の「木村愛里さん」


岩本さんとファイターズガールの皆さん

今日のHTB「イチオシ!」 2016.03.18

2016年03月19日 | テレビ・ラジオ・メディア


ゲストはファイターズSCOの稲葉篤紀さん









レポーターのアリョーナさん


オクラホマ河野さん


今週の「国井美佐アナウンサー」