碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
見たり、読んだり、書いたり、時々考えてみたり・・・

【気まぐれ写真館】 HTB「イチオシ!モーニング」 2016.07.30

2016年07月31日 | 気まぐれ写真館


野球解説の岩本さん、ファイターズガールの畠山さんと安念さん


スポーツ担当の五十幡アナウンサー


愛里さん、依田アナウンサー




ニュース担当の柳田アナウンサー


番組で試食した、月形町のジャンボ焼きとり





今週の「木村愛里さん」

”ゴジラ映画の傑作”と言いたい、「シン・ゴジラ」

2016年07月30日 | 映画・ビデオ・映像



29日(金)、待ちかねた初日。

映画「シン・ゴジラ」を観てきました。

で、いきなりの結論(笑)。

これは、ゴジラ映画の傑作です。

子供時代の1960年代から50年間、ゴジラ映画を全部、映画館で、リアルタイムで観てきたことを踏まえ、自信をもって言えます。

思えば、平成版のいくつか、それにアメリカ製も、困ったもんなあ。

これは傑作です。

いやあ、面白かった!

何より、チャチくないし、ダサくない。


まず感心したのは、やはり映像ですね。

迫力と、リアルと、美しさの三位一体。

武蔵小杉にも、品川駅にも、確かにゴジラがいました(笑)。

こうした作品で、「庵野秀明×樋口真嗣」は、現在における最強コンビですが、その期待を裏切らない出来になっています。


次に、この作品が、ゴジラという怪獣に関して、”まっさら”なところから物語っていること。

庵野さんの脚本ですね。

過去のゴジラ映画とのつながりとか、かつて日本にやってきたことがあるとか、そういう設定は一切なし。あえて断絶させている。

「今、この国に、こういう生物が現れたらどうなるのか」という一点に集中して、物語が展開されているのだ。

あれこれ描こうと思えばできる中で、「日本政府VSゴジラ」に絞り込んでいる。

まさに、「現実VS虚構」です。

誰もがゴジラを初めて見る。

初めて街が破壊される。

初めて国民の命が脅かされる。

その時、日本政府の、誰が、何を、どう対応していくのか。

その間も、ゴジラは破壊を続けている。

その両方を、観客は見つめていく。


長谷川博己さんは、好きな役者さんだけど、「センが細いんじゃないかなあ」と心配していた。

でも、結果的には、なかなかの適役でした。

石原さとみさんは、英語スクールのCMに出ているのも伊達じゃないぞ、という語学力を発揮して熱演しています。

長谷川、石原と並ぶと、ちょっと「進撃の巨人」感が強かったけど、まあ、それはご愛嬌ということで(笑)。


まだまだ言いたいことはありますが、以上、取り急ぎの報告です。

映画館に足を運んで損はありません。

というか、映画館で観るべき1本です。



つい買ってしまった、「ゴジラ2016  限定クリアレッドバージョン」

【気まぐれ写真館】 新聞学科OB 札幌マスコミ会 2016.07.29

2016年07月30日 | 気まぐれ写真館



【気まぐれ写真館】 HTB「イチオシ!」 2016.07.29

2016年07月30日 | 気まぐれ写真館


国井アナ、ヒロさん、佐藤アナ




今週の「国井美佐アナウンサー」




人気者 on(オン)ちゃん


「縁日」のイベントでにぎわうHTBロビー

書評した本: 五木寛之 『玄冬の門』ほか

2016年07月29日 | 書評した本たち



「週刊新潮」の書評欄に書いたのは、以下の本です。


『青春の門』を出て、最後の門に至る
五木寛之 『玄冬の門』

ベスト新書 848円

中国で古くから使われてきた人生の区分がある。青春、朱夏、白秋、玄冬の4つだ。玄冬はいわゆる高齢期、老年期にあたる。

五木寛之『青春の門』(講談社文庫)の第1部「筑豊篇」が刊行されたのは1970年のことだ。そして現在83歳の著者が『玄冬の門』を上梓した。

中身は高齢期や老年期を生きるヒントだ。ただし、趣味を広げるとか、コミュニティへの参加とか、ましてや死ぬまでトキメキといった話ではない。むしろ逆だ。素の自分と向き合い、いくつかの覚悟をもって生きようという提言である。

覚悟は4つ。人は本来、孤独である。頼りになる絆などない。人間は無限に生きられない。そして、国や社会が自分の面倒をみてくれるとは限らない。その上で著者がすすめるのは同居自立、再学問、妄想、趣味としての養生、楽しみとしての宗教などだ。

特に、家族に甘えようとせず、孤独を嫌がらないこと。むしろ孤独の中に楽しみを見出す。孤独の幸せ感を覚えようというアドバイスが印象に残る。できれば“玄冬の門”をくぐる以前から、精神面においても独りでいることのレッスンやトレーニングを積んでおくことが必要だという。
 
読後、著者の『大河の一滴』(幻冬舎文庫)を読み返したくなった。しかし、「一生という水滴の旅を終えて、やがては海に還る」は、あくまでも著者が思うストーリーだ。今は、それぞれが“自身の物語”を持つべき時代なのかもしれない。


松山 巌 『ちちんぷいぷい』
中央公論新社 2052円

現実と幻想の境目を彷徨う感覚か。不思議な味わいの掌編小説集だ。嘘か真実か、取材者に過去の殺人を告白する老女優。バーのマスターに向かって少年時代の奇妙な体験を語る、バブル期の企業家。都会の片隅で採集された、50人の独白が読む者の想像力を刺激する。


湯川 豊 『丸谷才一を読む』
朝日新聞出版 1404円

4年前、87歳で亡くなった丸谷才一。その作品は小説、評論、翻訳など多岐に亘る。しかも長編小説に限っても、同時代の文学とは「あまりにも異なる」と著者はいう。一体何が違い、それはどこから来るのか。小説と評論を“合わせ鏡”として複合的に捉えていく試みだ。


平石貴樹:編訳 『アメリカ短編ベスト10』
松柏社 1944円
ポー「ヴァルデマー氏の病状の真相」からブローディガン「東オレゴンの郵便局」まで、厳選された名短編が新訳で並ぶ。中でもメルヴィルの「バートルビー」は、アメリカ文学者にして作家でもある著者が、「最高峰でベスト・ワン」と呼ぶ逸品。味わうしかない。



渡辺京二 『さらば、政治よ―旅の仲間へ』
晶文社 1836円

時評、インタビュー、読書日記、講義の4章で構成されている。表題作は、政治が本来抱える「悪」から、生活世界の刹那化・非連続化までを論じて刺激的だ。またインタビューでは、男はどんな女と過ごせたかが基本だと語る。冷徹な目と自由な魂に触れる一冊。


横尾忠則 『横尾忠則 千夜一夜日記』
日本経済新聞出版社 1944円

「描く時間より絵を眺める時間の方が長い」と画家は言う。だが、日記は毎日書く。オノ・ヨーコがかけてくる早朝の電話のこと。淀川長治と2人で自撮りする夢。山田洋次監督と頻繁に会う蕎麦屋。何冊も読み進める松本清張の小説。その日常が表現そのものだ。

(週刊新潮 2016.07.28号)

期待大の辛口ホームドラマ 「はじめまして、愛しています。」

2016年07月28日 | 「日刊ゲンダイ」連載中の番組時評



日刊ゲンダイに連載しているコラム「TV見るべきものは!!」。

今週は、ドラマ「はじめまして、愛しています。」について書きました。


テレビ朝日系「はじめまして、愛しています。」
期待大の辛口ホームドラマ

大ヒットドラマ「一つ屋根の下」(フジテレビ系)が終了してから、約20年が過ぎた。

柏木家の次男で「チイ兄ちゃん」こと雅也の福山雅治は人気音楽家&俳優となり、女優の吹石一恵と結婚した。四男・文也の山本耕史も大河ドラマの常連俳優へと成長し、妻は女優の堀北真希だ。

彼らの妹・小雪の酒井法子はプロサーファーと結婚したが、09年に覚せい剤取締法違反で逮捕。現在もなお前途多難だ。

そして、あの「あんちゃん」、達也はどうしているのかと思っていたら、この夏、帰ってきた。それが「はじめまして、愛しています。」だ。まあ、それくらい江口洋介が演じる信次は達也を彷彿とさせる。いつも元気で、無類のおしゃべり。そして世話好き。困っている人を見捨てておけない。

一方、妻の美奈(尾野真千子)は、母親の自殺やピアニストへの夢に破れたことで、やや鬱屈気味だ。そんな2人が、親から虐待を受けていた少年との特別養子縁組にトライしている。出会いを「運命」と感じた信次に引っ張られる形で進んでいるが、本当の難しさに直面するのはこれからだ。

脚本は、「家政婦のミタ」(日本テレビ系)の遊川和彦。親子とは、家族とは、という重いテーマだが、信次の明るさと美奈の視点が効いている。現実を踏まえたフィクションとして、期待できる辛口のホームドラマだ。

(日刊ゲンダイ 2016.07.27)

ギャラクシー賞と安倍政権

2016年07月27日 | ビジネスジャーナル連載のメディア時評


先月、放送界の大きな賞のひとつで、優れたテレビ・ラジオ番組や放送文化に貢献した個人・団体を顕彰する、第53回「ギャラクシー賞」の発表があった。注目のテレビ部門大賞は、『報道ステーション』(テレビ朝日系)の2本の“特集”が受賞した。大賞を、ドキュメンタリーやドラマではなく、報道番組の特集が獲得するのは極めて珍しい。

1本目の特集は3月17日放送の『ノーベル賞経済学者が見た日本』だ。その“主役”は、経済学の世界的権威、米コロンビア大学のジョセフ・スティグリッツ教授。政府会合の場で安倍首相に消費増税延期を進言したことが報じられた直後に、番組では教授への単独インタビューを放送したのだ。

しかもその内容は、日本国内の格差問題、法人税減税の効果(トリクルダウン)への疑問、さらに新たな税制改革の検討など、安倍政権の経済政策が抱える問題点の指摘や提言となっていた。ともすれば増税先送りにばかり目が向く状況のなかで、有効な判断材料となる専門家の知見を伝えたことの意義は大きい。

●ワイマール憲法と憲法改正

2本目は、翌18日の『独ワイマール憲法の“教訓”』である。1919年に制定されたドイツのワイマール憲法は、国民主権、生存権の保障、所有権の義務性、男女平等の普通選挙などを盛り込み、当時、世界で最も民主的と讃えられていた。しかし、その民主主義憲法の下で、民主的に選出されたはずのヒトラーが、独裁政権をつくり上げていったこともまた事実である。

この特集では、古舘伊知郎キャスター(当時)が現地に赴き、ワイマール憲法とヒトラー政権の関係を探っていた。背景には、安倍首相が目指す憲法改正がある。特に、大規模災害などへの対応という名目で、「緊急事態条項」を新設しようという動きだ。

番組のなかで、ワイマール憲法の研究者が自民党の憲法改正草案について語る場面が圧巻だった。草案に書かれた「緊急事態条項」について、ワイマール憲法の「国家緊急権」と重なると証言したのだ。

さらに、「内閣のひとりの人間に利用される危険性があり、とても問題です」と警告した。この「国家緊急権」を、いわば“悪用”することによってナチスが台頭していったことを踏まえると、こちらもまた、私たちにとって大いに参考となる専門家の知見だった。もちろん時代も状況も異なるが、痛恨の歴史から学べることは少なくない。

2本の特集はいずれも、そのテーマ設定、取材の密度、さらに問題点の整理と提示などにおいて高く評価できるものだった。4月にキャスターが交代した『報道ステーション』をはじめ、各局の報道番組にも、こうした積極的な“調査報道”が増えることを期待したい。




今週末、オープンキャンパスで「体験授業」、やります!

2016年07月26日 | 大学

今年も、こんな感じかな?


7月31日(日)と8月1日(月)、オープンキャンパスで新聞学科の「体験授業」を行います。

体験授業は、両日とも3回ずつの計6回。

私が担当するのは、31日(日)の1回目と2回目です。

同日の3回目と、8月1日は、同じ新聞学科の水島宏明先生が担当して下さいます。

新聞学科の「体験授業」は、高校生の皆さんに、テレビセンターのスタジオを使って行っている実習授業「テレビ制作」を、体験してもらおうという企画です。

おかげさまで、毎年、参加希望者が多く、すべて「定員制」をとっています。

各回とも、当日配布の「整理券」が必要なので、参加希望の皆さんは、以下の大学サイトで確認しておいてください。

オープンキャンパス情報(四谷キャンパス):
http://www.sophia.ac.jp/jpn/admissions/gakubu_kanren/oc


では、高校生の皆さん、今週末のオープンキャンパスで!

書評した本: 柳澤健 『1974年のサマークリスマス』ほか

2016年07月25日 | 書評した本たち



「週刊新潮」の書評欄に書いたのは、以下の本です。


70年代、伝説の深夜ラジオ 時代の空気が甦る

柳澤 健 
『1974年のサマークリスマス~林美雄とパックインミュージックの時代』

集英社 1728円

1974年、大学2年生だった。下宿の部屋にテレビはないが、ラジオはあった。深夜放送が好きで、特に野沢那智と白石冬美の「パックインミュージック」(TBS)は欠かしたことがない。放送は金曜の午前1時から3時まで。その後が林美雄の担当する第2部だった。

70年に始まった「林パック」は奇妙な番組だった。そもそも林美雄というパーソナリティが正体不明だったのだ。アナウンサーであることは知っていたが、テレビで顔を見たことはない。ラジオでも林パック以外で声を聞いたことがなかった。

内容はもっと不思議だ。音楽は扱うのだが、洋楽はあまりかからない。邦楽も歌謡曲の存在を忘れているようだったし、当時流行していた吉田拓郎やチューリップの曲に遭遇することもなかった。

その代わり、荒井由実という無名の女の子の曲がやたらと流れた。独特の声と歌詞。拓郎ともかぐや姫とも異なるその世界観が新鮮だった。「ひこうき雲」も「ベルベット・イースター」も、初めて聴いたのは林パックだ。石川セリの「八月の濡れた砂」や安田南の歌もこの番組で知った。

映画の話もよくしていた。やはり洋画にはほとんど触れない。邦画も黒澤明や小津安二郎ではなく、藤田敏八(としや)や神代(くましろ)辰巳や曽根中生の作品を語った。ゲストでは原田芳雄が常連だ。こうした偏愛こそが林の真骨頂であり、私たちリスナーの支持もそこにあった。

そして74年。突然、林パックは終了してしまう。実は翌年、水曜夜に復活するのだが、林にも内容にも“別モノ”感があり、私自身はその時点で距離を置いた。

今回、この本を読むことで、分かったことがたくさんある。林美雄とは何者だったのか。なぜ、あんな放送が可能だったのか。また、どうして消滅したのか。同時に、放送史とサブカルチャー史における林美雄の位置と意味も見えてきた。1974年、あなたはどこにいましたか?


桂 望実 『総選挙ホテル』 
角川書店 1662円

『県庁の星』で知られる著者の新作は、業績不振にあえぐ中堅ホテルが舞台だ。新社長として現れた社会心理学の教授が、いきなり従業員選挙を実施する。元の部署に残る者と去る者、そして新たな職場に戸惑う者。次々と繰り出される奇策はホテルをどこへ導くのか。


東京クリティカル連合:編・著 
『平成版 東京五大』 

垣内出版 1728円

神社、商店街、祭り、さらに親子丼や煮込みまで、様々なジャンルの「東京五大○○」を選んでいる。ただし、あくまでも独断と偏見が命。異論・反論ありのラインナップだ。五大ストリップ劇場を制覇するのも、五大霊園に額ずくのも一興。魅惑の都市探検の旅へ。


関川夏央 『人間晩年図巻 1990―94年』
岩波書店 1944円

かつて、『家族の昭和』で文芸表現を「歴史」として読み解こうとした著者。ならば本書は、人の晩年を通して「現代史」を記述する試みだ。何度か交錯した中上健次と永山則夫の人生。ハナ肇と仲間たちが生きた戦後芸能史。彼らが逝った90年代もまた甦ってくる。


辛酸なめ子 『辛酸なめ子の世界恋愛文學全集』
祥伝社 1620円

時代を超越した恐るべき処世術「竹取物語」。5話中4話が死刑で終わるダークな恋愛譚「好色五人女」。純粋な恋愛ができない作家の「蒲団」。辛い恋を快感に変える極意「はつ恋」。社会や人間を鮮やかに斬るコラムニストが、名作から禁断の教えを抽出する。


手束 仁 『プロ野球「黒歴史」読本』
イースト・プレス 972円

シーズン真っ盛りのプロ野球だが、今年は清原事件がどこか尾を引いている。本書に登場するのは、その清原をはじめとする75人だ。堀内や江川などの“悪役”選手もいれば、広岡や落合といった“クセ者”監督もいる。元ヒーローたちの栄光と転落の物語だ。


(週刊新潮 2016年7月21日号)



討論バラエティーの増加は、見る“まとめサイト”化!?

2016年07月24日 | メディアでのコメント・論評



NEWSポストセブンに、討論バラエティー番組が増えていることに関する記事が掲載されました。

この記事の中で、解説しています。


討論バラエティー番組増加 
「見るまとめサイト化」との指摘

『ナカイの窓』(日本テレビ系)、『橋下×羽鳥の番組』(テレビ朝日系)、そしていつの間にか『バイキング』(フジテレビ系)まで。『バイキング』には先日、都知事選の主要3候補が出演、激論を戦わせ高視聴率を記録した。このところ、表向きの看板はバラエティーでありつつも、中身は討論番組の形式をとっている番組が少なくない。なぜ今、そのような番組が増えているのか。

元テレビプロデューサーで上智大学教授(メディア論)の碓井広義さんはこう分析する。

「単純に視聴率が取れているからこの手の番組が増えているわけですが、なぜ人気なのかというと、それが“見るまとめサイト”のようなものだからだと思います。インターネットのまとめサイトが人気になっている最大の理由は、いろんな意見を手っ取り早く知ることができる点にありますが、テレビの討論番組も同じ理由で人気になっていると考えられます。

政治、経済、国際問題といった真面目な話題から、芸能人の不倫騒動まで。関心はあるけれど自分で調べるのは面倒だという人にとっては、テレビのスイッチを入れるだけで文化人やタレントの意見を知ることができるので、ニュースサイトやまとめサイトを見るよりもお手軽なのでしょう」(碓井広義さん・以下「」内同)


手軽さがあるのは観る側だけではない。作り手にとっても、討論形式の番組はお手軽なのだという。

「討論番組を一本収録するよりも、ドキュメンタリー番組を一本作るほうが、時間、費用、手間がかかります。ドキュメンタリーでは入念に準備をし、取材をした後も編集などがありますが、乱暴な言い方をすれば、討論番組は人さえ揃えられれば何とかなる。文化人なら出演料も安く済みます。

ただ、最近の新しい討論番組を観ていると、雛壇芸人を揃えたバラエティー番組が乱立していた時の番組作りに近いものを感じます。本来重いテーマである、事件や事故を扱っている時でさえそう。バラエティーの手法を討論番組に適用しているのでしょうね」


バラエティーの手法を取り入れることで、従来の本格的な討論番組よりも見やすさはあるかもしれない。しかし本格的な議論に期待する視聴者には、物足りなく映らないだろうか。

「テレビを通じて問題の本質を知りたい、知見を得たいという視聴者は減っていると思います。それよりも最近の視聴者が求めているのは、ツイッターなどで『あのタレントがこんなことを言っていた』とつぶやけるようなネタです。

特に生放送の討論番組では、誰かが失言しないか期待しているところもあります。作り手側もハプニングがマイナスだとは思っておらず、ネットで話題になればそれでいいのです」


議論の深まりよりも、ネタになるかどうか。そんな制作スタイルが主流になりつつあるが、それが今後も続くかというと、微妙なところのようだ。

「ひな壇芸人を集めただけのバラエティー番組が飽きられているように、単にエンタメ化しているだけの番組は飽きられやすいと思います。昔から続く正統派のかっちりした討論番組のように、やはり中身が濃くないといけません。

私が個人的に面白いと思うのは、『ワイドナショー』(フジテレビ系)です。討論番組と銘打っているわけではありませんが、松本人志さんを中心とした井戸端会議の中でいろんな人の意見が出てくる。松本さんが何を言うのか、どんな表情をするのか。注目して観ている人も多いと思います。

『橋下×羽鳥の番組』もいいですね。橋下さんの遠慮がない切り返しが大きな見どころになっていて、それを羽鳥さんが下支えしている安心感があります。かつて勢いがあった頃の『TVタックル』(テレビ朝日系)のように、素人のタレントが専門家に本音をぶつけて、専門家がタジタジになるような討論番組が増えてくると面白いと思います」


現在の新興番組の中に、10年後“老舗討論番組”の仲間入りをしている番組はあるだろうか。

(NEWSポストセブン2016年7月23日)


「遊びは文化」であることを知らしめた大橋巨泉さん

2016年07月23日 | メディアでのコメント・論評



今月12日に、急性呼吸不全で亡くなっていたことがわかった大橋巨泉さん(享年82)。

日刊ゲンダイの特集記事に、追悼の言葉を寄せました。

合掌。


巨泉さん死去
テレビの「巨人」がつきつけた
安倍政権への痛烈遺言状

「趣味を仕事にしたようなライフスタイルも含め、全てが斬新だった。たけし、さんま、タモリらが司会業に進出する道を切り開いた、まさにテレビのキングでした」(作家でコラムニストの中森明夫氏)

 テレビの寵児とも革命児とも呼ばれた大橋巨泉さんが12日、急性呼吸不全で亡くなっていたことがわかった。享年82。すでに身内で通夜葬儀は済ませ、後日、お別れの会を催すという。

 テレビ界への貢献度は計り知れず、当初は「俗悪番組」などと非難されながら25年も続く長寿番組となった「11PM」をはじめ、伝説的お笑い番組「巨泉×前武ゲバゲバ90分!」「クイズダービー」など数々の人気番組を作り上げた。タレントを呼び捨てにするなど、ともすると「ゴーマン」な印象も持たれがちだが、その素顔は気配りの人だった。当時「ゲバゲバ90分!」に出演していて、最近もゴルフ交友のあった女優の岡崎友紀さんがこういう。

「あの番組は出演者全員がフラットで、誰かが威張るなんてことはまったくありませんでした。もちろん巨泉さんも。当時16歳だった私がある時、オーストラリアに旅行した時はすぐに現地の知り合いの方に紹介状を書いてくれたことも覚えています。数年前から巨泉さんのご近所に住んでいますが、まだ住む前から“今度コッチに住むんだって?”とお電話を頂き、引っ越してからは、ごくごく親しい人たちのゴルフ仲間『ファミリー会』のメンバーに加えてもらっていただけに残念で仕方ありません」

 数々の人気番組を持ちながら、50代半ばに突然降板。日本人に「セミリタイア」という新しいライフスタイルも提示した。01年には政界にも進出(民主党比例区)していたが、翌年、党の決定に反対して議員辞職。05年に胃がんの手術をしてからは、がんの再発を繰り返し、亡くなるまで11年間もの闘病生活を送っていた。

それでも衰えなかったのがテレビへの情熱と、改憲へと突き進む安倍政権への強烈な批判精神だった。14年5月の本紙インタビューでは「僕は、ポピュリズムの権化のような安倍首相をまったく信用しない」「彼にとって、経済はムードをあおる手段に過ぎず、本当にやりたいのは憲法改正であり、日本を『戦争ができる国』に変えることでしょう。法衣の下に鎧を隠しているような男の言動にだまされてはいけません」「マトモな批判さえ許さない戦前みたいな“空気”を今の日本に感じる」と警鐘を鳴らしていたものだ。

 絶筆となった週刊現代(6月27日発売)のコラムでは「このままでは死んでも死にきれないので、最後の遺言として一つだけは書いておきたい。安倍晋三の野望は恐ろしいものです。選挙民をナメている安倍晋三に一泡吹かせて下さい。7月の参院選挙、野党に投票して下さい。最後のお願いです」とつづっていた巨泉さん。その原点はかつて軍国少年だった戦時中に疎開先で米軍機の機銃掃射に見舞われ死にかけたことと、8月15日を境に世界が一変した敗戦体験にあったという。

 昨年12月に亡くなった作家の野坂昭如氏、先日亡くなった永六輔氏に続く戦争を知る昭和ヒトケタ世代の訃報。その“遺言”は重い。


悼む
「遊びは文化」であることを知らしめた
碓井広義・上智大教授

「テレビ史上初の“夜のワイドショー”として前衛的な番組だった『11PM』で週2回、司会を担当していましたが、中でも『金曜イレブン』は、見る者の心を躍らせてくれました。

 右肩上がりの高度成長期を支える勤勉な日本人に対し、“遊んでいいんだよ”とゴルフや麻雀、競馬といった大人のレジャーを番組を通して紹介して人生の楽しみ方を提案。『遊びは文化』であることを世の中に知らしめたことは、テレビ史、いや、文化史における巨泉さんの多大な功績といえるでしょう。

 また『クイズダービー』の前身である『お笑い頭の体操』も含め、司会業の技を確立させると同時に、クイズバラエティー、トークバラエティーの番組構成の原型も築いた。『世界まるごとHOWマッチ』も含め、複数の長寿番組を生み出した、まさに60年代~90年代のテレビが元気だった当時を象徴するテレビタレント。

 いずれも巨泉さんの人格や教養、批評精神が必要不可欠であり、唯一無二のエンターテインメントの王様です」


(日刊ゲンダイ 2016.07.22 )


元HTBの西野志海アナウンサー、テレビ東京「WBS」に登場!

2016年07月22日 | テレビ・ラジオ・メディア



テレビ東京の西野志海(にしの・もとみ)アナウンサー。

コメンテーターをしている、HTB北海道テレビの「イチオシ!」などで、新人時代からついこの間まで、ご一緒していました。


札幌のHTBで


この7月、HTBからテレビ東京に移籍したんですね。

「テレビ東京女子アナ初の中途採用」なのだそうです。

初仕事は、今月10日放送の参院選特番「池上彰の参院選ライブ」のVTRロケ企画でした。

そして、21日夜の「ワールドビジネスサテライト」に登場。

「トレンドたまご」のコーナーを担当していましたが、スタジオでもVTRでも、HTBの時と変わらず落ち着いたトーク、お見事でした。













西野さん、テレ東での「生放送デビュー」、おめでとう!

これからも頑張ってください。



来週からTBS「NEWS23」に参加する雨宮塔子さん

2016年07月22日 | メディアでのコメント・論評



来週から、TBS「NEWS23」に本格的に参加する、雨宮塔子さん。

関連記事が日刊ゲンダイに掲載され、その中でコメントしています。


女性の「23時台ニュース戦争」
雨宮塔子TBS“出戻り”で激化

自分の“武器”を最大限に生かしたデビュー戦となった。25日から「NEWS23」(TBS系)のキャスターに起用される雨宮塔子(45)がひと足早く、18日の同番組に仏パリから生出演。緊急取材と題し、ニースで14日(日本時間15日)に起きたテロを流暢な仏語でリポートした。

「来週から本格的に加わっていただける雨宮塔子さん」と、敬語で“身内”を紹介する星浩キャスター(60)の振りはともかくとして、取材VTRではパリッと糊のきいた白シャツで清潔感を打ち出した雨宮の姿は、好感度大。胸の谷間が見えそうで見えないというシャツの開襟具合も、おフランス仕込みなのだろう。控えめメークにややコケた頬、画面映えする美貌は相変わらずだなあ……と、見入った視聴者は少なくないはずだ。

テレビの世界から離れて15年以上。花の都パリで2人の子供を育てる“セレブ主婦”からの転身だが、アナウンススキルもブランクを感じさせなかった。

上智大教授の碓井広義氏(メディア論)はこう評価する。

「現地リポートもパリからの生中継も、終始落ち着きのあるしゃべりが印象的でした。表情ひとつとっても、カメラ用につくられたものではなく、現地の人々が抱えている憤りや不安を肌感覚で理解しているように見受けられた。TBSの局アナ時代は本人の意思とは別に、アイドル的な扱いをされていたかと思いますが、当時のTBSにはまだベーシックなアナウンススキルを叩き込む文化や風潮が残っていたはず。くしくもそれを証明した格好にもなりました」


今回の雨宮の起用は、昨年末にキャスターとして出演した特番「報道の日」を評価してのこと。TBSはあくまで、4月のリニューアル当時から白羽の矢を立てていて、ようやく新体制が整ったと強調するが、要するにテコ入れだ。

裏番組は強力揃いで、日本テレビ系の「NEWS ZERO」は桐谷美玲(26)、板谷由夏(41)に加えて、この春からはミス東大でNHK出身の小正裕佳子(33)を起用し、視聴率2ケタ超えをマークする日もある。

小谷真生子(51)からその座を引き継いで1年半、テレビ東京系「ワールドビジネスサテライト」の大江麻理子(37)は経済ニュースに特化した強みもあって安定飛行。

それに対抗するべく抜擢された元アイドルアナに期待されているのは、「添え物に甘んじず、星さんの半歩先に立ち、リードするぐらいの気概。そうすることで彼は解説に専念できる。NEWS23の新体制をうまく機能させるには、それぞれの持ち場を全うすること。それには雨宮さんの優れたバランス感覚が必要不可欠といえるでしょう」(前出の碓井氏)。

いよいよ始まる女性キャスター夏の陣。“出戻り”雨宮の復帰で平日23時台は激戦必至だ。

(日刊ゲンダイ 2016.07.21)

家を通じて“生き方”提案  北川景子「家売るオンナ」脚本の妙

2016年07月21日 | 「日刊ゲンダイ」連載中の番組時評



日刊ゲンダイに連載しているコラム「TV見るべきものは!!」。

今週は、北川景子主演のドラマ「家売るオンナ」について書きました。


日本テレビ系「家売るオンナ」
ユーモアあふれる“仕事ドラマ”に仕立てた、
大石静の脚本に拍手

北川景子といえば、昨年の「探偵の探偵」(フジテレビ系)が印象に残る。北川は全身から怒りのオーラを発するヒロインを、キレのいいアクションも披露しながら見事に演じていた。その後、DAIGOの妻(!)になったりしたが、この「家売るオンナ」(日本テレビ系)で本格復帰だ。

中堅不動産会社の新宿営業所に、成績抜群の営業ウーマン・三軒家万智(北川)が異動してくる。不動産って高額商品だからね。そう簡単に売れるもんじゃない。しかし、万智は違う。何しろ「私に売れない家はない!」のだ。北川が外連味いっぱいにキメ台詞を言い放つたび、堂々のコメディエンヌぶりが笑える。

先週の物件は坂の上の売れ残りマンション。相手は元々一軒家を探していた医師夫妻だ。万智は彼らの1人息子に注目する。忙しい両親に甘えることも出来ず、どこか寂しそうな少年だ。万智の中にひらめくものがあり、結局、彼らはマンションを購入する。

この初回を見て、彼女がスゴ腕である理由が分かった。その家族が抱えている、しかも本人たちさえ気づいていない問題点や課題を見抜くのだ。家はその解決に寄与するツールとなる。

つまり万智は家を売っているのではない。家を通じて“生き方”を提案しているのだ。これをユーモアあふれる“仕事ドラマ”に仕立てた、大石静の脚本に拍手である。

(日刊ゲンダイ 2016.07.20)

【気まぐれ写真館】 梅雨明けはまだ (東銀座) 2016.07.19

2016年07月20日 | 気まぐれ写真館