碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
見たり、読んだり、書いたり、時々考えてみたり・・・

「いわこく(?)」こと『岩波国語辞典』第7版

2010年02月28日 | 本・新聞・雑誌・活字

本日締切の提出書類(大学は結構多い)があり、晴れてきた日曜日だというのに、昼過ぎまで、ずっとキーボードに向かっていた。

ようやくそれが終わった(WEB提出だ)ので、本来なら、いつもの日曜のように雑誌の書評用の本を読まなくてはならない。

毎週5冊。8年になる。好きな本を読むわけだから楽しい仕事ではあるが、今日のように、提出書類で“出ばな”をくじかれると、普段のペースに乗りきれず、困ってしまう。

それで何をしているかといえば、『岩波国語辞典』を読んでいるのだ。

つまりサボッている。

定期試験前になると、勉強しなくちゃいけないのに、今読まなくてもいい本を読みたくなったり、映画を観たくなったりするようなアレだ。

現実逃避、敵前逃亡(?)である。

で、なんで『岩波国語辞典』かといえば、つい最近、何かの雑誌で長江朗さんが、この辞書のことを書いていた(ような気がする)のだ。

私は、ライターとして、また書評家としての長江さんのファンで、信奉者だから、長江さんが「いい」と言った(書いた)ものは、無条件で後追いしてみる。

昨年の秋に『岩波国語辞典』の最新版が9年ぶりで出たことは知っていたが、クリーム色の表紙の2000年版(第6版)に十分馴染んでいるので、手にしなかったのだ。

しかし、そのどこかの雑誌の、長江さんの文章を目にして、昨日、買ってしまった。

表紙は渋い濃い目のグレーというか深い緑で(どっちだ?)、つるつるしていなくて滑らない(同じか)。

とにかく、しっとり感がいい。

どうやら文字も少し大きくなったのか、老境へと向かう私(すでに初老だね)には、とても見やすい。

こりゃいいや、「さすが長江さんだ」と、何時間もぱらぱらめくってばかりいる。

だが、しかし、ふとこの辞書を収めたケースを見て、あれれ、と思った。

帯に、「頼れる『岩国』最新版」とあるではないか。

「いわくに」って何さ、と不審に思い、よく見ると、「いわこく」とフリガナが振ってある。

岩国=いわこく?

ああ、岩波の国語辞典だから、“いわこく”だ(笑)。

そんな“略”って、私は初耳というか初見というか、知らないフレーズだった。

うーんと、多分ですが、三省堂の『新明解国語辞典』が「新解(しんかい)さん」として親しまれていることに対抗して、もしくはあやかって、編集部内で「通称“いわこく”でいきましょう」、「あ、いいね“いわこく”」てなことになったんじゃないだろうか。

でも、“いわこく”はないでしょう、“いわこく”は(笑)。

何でも略せばいいってもんじゃないよね。

『岩波国語辞典』は『岩波国語辞典』。

「岩国さん」などと呼ばれる必要なんて、ない。

巻頭の「第七版刊行に際して」という序文にいわく。

「この辞書が視野に収めるのは過去百年の(一時的流行ではない)言葉の群れである」。

いいですねえ。自分たちの仕事への矜持、自信がうかがえる。

これだけで読者はついていくというものだ。

というわけで、『岩波国語辞典』は、地デジ、パンデミックなど新たに2600語を加えた総数65000語を収録して、定価3000円のところ、5月末までの特別定価2800円にて、絶賛発売中なのであります(笑)。

さあ、仕事しよっと。

彫刻家・五十嵐威暢さんの自伝的エッセイ、始まる

2010年02月28日 | 本・新聞・雑誌・活字

発売中の『芸術新潮』3月号。

特集は「長谷川等伯 没後400年特集」だ。

その絢爛たる作品が並ぶカラーグラフのページのコピーがいい。

「なんでも描いた、なんでも描けた」。

ね、いいよね(笑)。等伯をズバリひと言で表現していて、お見事。


しかし、今月号のMy“目玉企画”は等伯ではない。

この号から、『課外授業ようこそ先輩』にも出ていただいた彫刻家・五十嵐威暢(たけのぶ)さんの、自伝的エッセイともいうべき新連載が始まったのだ。

題して「デザインと彫刻と ぼくのクロニクル」。

クロニクル=年代記、編年史だ。

いいタイトルではありませんか(笑)。

第1回の今月は、いわばイントロみたいなもので、「過去をふりかえるのは、あまり好きではありません」としながらも、「現在は過去の集積であり結果です」と五十嵐さん。

若い世代への示唆になればと、この連載を始めることにしたらしいのだ。

長くデザイナーとして活躍してきた五十嵐さんが、突然(と世間には映った)彫刻家へと転身した経緯など、やはり興味深い。

デザインとアートの不思議な関係(?)についても、たくさん聞ける(読める)んじゃないだろうか。

これから2年間、全24回の長期連載。
 
毎月、ゲーシン(芸術新潮)を開く楽しみが増えました。

腕につけるダース・ベイダー

2010年02月28日 | 日々雑感

子どもたちからの誕生日プレゼントは、「レゴのダース・ベイダー腕時計」。

時計のベルト部分に、ちょこんとダース・ベイダーが載るようになっている。

”スター・ウオーズ物”が好きなので、やたらと嬉しい。

続 ”誕生日&結婚記念日”

2010年02月28日 | 日々雑感

昨日27日の夜、誕生日&結婚記念日ということで、ケーキを拝受いたしました。

家内とは高校1年(15歳)の時に出会ったので、55歳で40年のつき合いです。

だから、ケーキの上のプレートは「ひろよしくん」(笑)。


誕生日は、ひたすら感謝

2010年02月27日 | 日々雑感

今日、2月27日は、私の誕生日だ。

55歳になった。

亡くなった父親の時代なら定年である。えらいことである。

現在とは寿命が違うとはいえ、私が今、「定年ですよ」といわれても、「え、ウソでしょ」としか思えない。


誕生日は、例によって、まず母に“感謝”。

つい先日、信州の実家まで、母の80歳の誕生日を祝いに行ってきたばかりだが、電話で「今日まで、ありがとう」を伝えた。

その電話を切った直後に、花屋さんが来て、見れば母からの誕生祝いだった。

カードに「今日は、おめでとう。体に気をつけてね。母」とある。

はい、気をつけるであります!(って、ケロロ軍曹か)。

で、もう一度、母に電話。「今、お花が届いたよ。ありがとう」。

それから、これまた例によって、家内に「おめでとう&ありがとう」を言った。

今日は、私の誕生日であると同時に、“結婚記念日”でもあるからだ。

ほんと、お世話になってます(と手を合わせる)。

こちらも「今日まで、ありがとう」。

もう一日中、「ありがとう」ばっかりである(笑)。


誕生日は、この世のあれこれに感謝し、森羅万象や神様やら仏様にも感謝だ。

昔から、正月は冥土の旅の一里塚といわれるが、誕生日もそうで、「今、こうして生きている(生かされている)こと」を、あらためて実感すべき日だと思う。

そして、今年を「向こう10年の最初の年(年齢)」と位置付けて、長期、中期、短期で、やりたいことを考えておきたい。

ま、これも夏休みの始まりの「宿題計画」みたいなもので、すぐに変更されるんだけどね(笑)。

というわけで、今年の誕生日も、家族はじめ関係各方面に感謝しつつ、静かに過ぎていくのであります。

合掌。

韓国ドラマが、日本のゴールデンタイム進出

2010年02月27日 | テレビ・ラジオ・メディア

浅田真央ちゃん、銀メダル、おめでとうございます。

あれだけ周囲から注目され、期待されたら大変だと思う。

とにかくメダルがとれて、よかった(笑)。

それにしても、キム・ヨナをはじめ、今回の冬季五輪での韓国勢はすごいねえ。

いやいや、スケートだけじゃない。

ドラマだって、再び(「冬ソナ」以来ね)韓国産の快進撃が始まっているようだ。

「読売新聞」が報じている・・・


見出し:
韓国の連ドラ、民放地上波ゴールデンタイム初登場

記事本文:
韓国の連続ドラマが4月から、初めて民放地上波のゴールデンタイム(G帯)に登場する。

社会現象を巻き起こした「冬のソナタ」以後、韓流ブームは沈静化しているように見えるが、韓国ドラマはすっかり日本のテレビに根を下ろしたようだ。

放送される「アイリス」は、イ・ビョンホンさん(39)主演のスパイアクション。TBSが水曜午後9時から約半年間放送する。

同局によると、5年越しの構想で製作委員会に出資しており、もともとG帯での放送を想定していた。

とくに韓流であることを強調せず、韓国ドラマの主な視聴者である中高年女性以外もターゲットにしている。

(中略)

「韓流ぴあ」の田中英樹編集長も「韓流作品はアジア市場を意識して、普遍的で分かりやすく、かつ練り込まれた作品が多い。テーマも多様化してきた」とした上で、「以前は米国ドラマが日本のG帯で放送されていた。今後は韓国作品がさらに増えていくかもしれない」と分析している。
(読売新聞 2010.02.24)


・・・うーん、ついに韓国ドラマがゴールデンタイム進出ってことか。

しかも、やはりTBSですか(笑)。

「以前は米国ドラマが日本のG帯で放送されていた」。

そう、確かに私が子どもの頃、ほぼ毎晩、“アメリカ製テレビ映画”がゴールデンタイムで流されていた。

でも、あの時代は、まだ日本のテレビ局のドラマ制作力が弱かったし、映画会社が俳優・女優をテレビに貸し出さないなどという事態も起きていた。今とは事情が違う。

これって制作費削減による苦肉の策という面もあるけど、国産ドラマのパワーダウンもありそうだ。

もちろん視聴者にしてみれば、面白いドラマであれば、産地はどこでも結構なはず。

結構なんだけど、ちょっと気になる。

TBS4月改編は“第三の開局”か!?

2010年02月26日 | テレビ・ラジオ・メディア

春一番も吹いて、4月改編の話も本格的になってきた。

その中で、TBSは、やはり午後7時台を、報道からバラエティーに戻すことになったようだ。

「読売新聞」の記事では・・・


見出し:
TBS、目玉の午後7時台ニュース1年で打ち切り

記事本文:
TBSテレビは24日、2年連続となる大幅な改編を3月末に行うと発表した。

昨年春の改編の目玉だった午後6~7時台のニュース番組がわずか1年で打ち切られる。

極めて異例な対応に、石原俊爾社長は記者会見で「視聴率が上がらず、営業的に厳しい。元に戻して再起を図ることにした」と語った。

今春の改編で平日夕のニュース番組を午後4時53分から2時間の「Nスタ」に衣替えし、1年ぶりに民放4系列のニュース番組が横並びとなる。これに伴い、午後7時台はバラエティー番組が復活する。

ここ数年、低視聴率に悩むTBSは昨年春、ゴールデンタイム(午後7~10時)で7割の番組を変える大改編に踏み切った。

その目玉が、午後5時50分から2時間の「総力報道! THE NEWS」で、NHKの看板番組「ニュース7」に対抗する本格派のニュース番組を目指してスタートした。

しかし、視聴率はさらに落ち込み、昨年秋には午後6時40分開始に時間を短縮、内容も見直した。それでも、1月末までの平均視聴率(関東地区)は6・4%と低迷したまま。

昨年春以降、午後7時台にバラエティー番組を中心に放送するフジテレビや日本テレビは、ゴールデンタイムの平均視聴率がそれぞれ13・5%、12・4%と好調を維持、NHKもニュース番組が堅調な中、TBSは9・6%と振るわず、迷走ぶりが際立った。

丹羽美之・東京大学准教授(メディア研究)の話「視聴者は、その日の出来事のポイントを知りたいから、午後7時のNHKニュースを見ている。だが、『THE NEWS』はグルメ特集などワイドショー的な内容も見られた。視聴者のニーズとずれていたのでは」。
(読売新聞 2010.02.24)


・・・ほんの1年前、2009年春、TBS4月改編のキャッチコピーを思い出す。

「第二の開局!TBSは生まれ変わります!」。

今見ても、すごい。

居並ぶバラエティーを移動させ、始めたのが『総力報道!THE NEWS』だったのだ。

方向性は悪くなかった。

ただ、キャスターの人選問題や、新たな報道番組としてのカラーを打ち出せないまま、視聴率競争の波間に沈んでいった感じだ。

とはいえ、“第二の開局”を果たしたはずが、わずか1年で“閉局”。

“生まれ変わった”はずが、あまりに短命。

そして、再び数字(視聴率)狙いのバラエティーが並ぶことになる。

ならば、これを“第三の開局”とは呼ばないのだろうか。

呼ばないよね(笑)。

見えてきた、寺町沙也さんの『明日』

2010年02月25日 | テレビ・ラジオ・メディア

このブログでも書かせていただいた「アメリカでの心臓病手術を目指す寺町沙也さん」に関して、嬉しい報告が届いた。

札幌の、心あるテレビマンからだ。


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寺町さんの件、
突然のお願いにもかかわらず
すぐにブログに載せていただきまして、
本当にありがとうございました。

そのあとも触れていただいたようで、
本当に感謝です。

多くのみなさんの善意に助けられて
寺町沙也さんの募金は
きのう、目標の1億3000万円を超え、
到達しました。

あとは無事に渡米して、
手術を受け、
回復することを祈るばかりです。

碓井さんをはじめ、
多くの人の気持ちが
沙也さんに届いたようで、
嬉しいのと同時に
「世間もまだまだ捨てたものではない」
という実感だったりします。

沙也さんを助けた鹿野先生によれば
募金の多くは
やはり北海道からだったということです。

何もできなかったことを
お詫びするメールを
鹿野先生にきのう送りましたら、
返信をいただき
私の臓器移植の取材特集があったからこそ
多くの人が沙也さんの存在に気がついたのでは、
と書かれてあり
ちょっと涙してしまいました。

でも、
本当に何一つできない自分を
恥ずかしく思いました。

テレビのありかた、
メディアのありかたを
ある意味、実感したというか、
沙也さんに教えられた思いです。

沙也さんの様子が届いたら
碓井さんにも連絡いたしますね。

とりいそぎ、
お礼のメールでした。

札幌で
またメディアのあり方を肴に
飲み明かしましょう。

本当にありがとうございました。

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・・・よかったね、沙也さん。

もちろん手術はこれからだけど、『明日』が見えてきたことは、本当によかった。

ご協力くださった皆さんに、感謝です。

ほんと、世の中、捨てたもんじゃないなあ(笑)。

ネット広告費が新聞を抜いた

2010年02月24日 | テレビ・ラジオ・メディア

電通が「2009年日本の広告費」を発表した。

注目は、ネット広告費が、テレビに次ぐ第2位になったことだ。


朝日新聞の記事・・・

見出し:
ネット広告、新聞抜き2位に 総広告費は最大の減少率

記事本文:
2009年の日本の広告費は5兆9222億円で前年より11.5%減り、調査を始めた1947年以降で最大の減少率となった。インターネット広告が初めて新聞広告を上回り、テレビに次ぐ「第2の広告媒体」となった。

電通が22日に発表した。金融危機後の企業業績の悪化を受け、広告費全体が2年続けて前年を割り込むなか、ネットは1.2%増の7069億円。前年より18.6%減った新聞の6739億円を上回った。

01年以降、ネットは伸び率で2けた以上の急成長を続け、06年に雑誌を逆転。近年は検索サービスや携帯電話向けが広がり、最大の広告媒体であるテレビの1兆7139億円(前年比10.2%減)の4割ほどに成長した。休刊が多かった雑誌は前年の約4分の3の3034億円に縮小した。

業種別に広告費をみると、テレビ、新聞、雑誌にラジオを加えた「4媒体」では、21業種のうち20業種で前年より減った。増えたのは、衆院選関連の広告が寄与した「官公庁・団体」だけだった。
(朝日新聞 2010.02.22)


・・・世界的不況による景気低迷は、当然広告費の減少に大きく影響したはずだ。

しかし、何よりも、大幅減の新聞広告を、インターネット広告が初めて上回ったことが大きい。

「媒体別の広告費」を整理しておこう。

・テレビ広告費:1兆7,139億円(前年比89.8%)
・インターネット広告費:7,069億円(前年比101.2%)
・新聞広告費:6,739億円(前年比81.4%)
・雑誌広告費:3,034億円(前年比74.4%)
・ラジオ広告費:1,370億円(前年比88.4%)
・衛星メディア関連広告費:709億円(前年比104.9%)

テレビ広告との差は1兆円。

確かに現時点での差は大きいが、今後どこまで詰めてくるか。

どれだけの期間で詰めてくるか。

テレビ自体の“あり方”にも大いに影響してくる。


(写真は「週刊東洋経済」の日本テレビ氏家会長インタビュー)

母は今日、80歳になった

2010年02月23日 | 日々雑感

2月23日は、母の誕生日。

しかも、母は今日で80歳になった。

80年生きてきたって、すごい。

80歳になったのって、めでたい。

というわけで、八王子から「特急あずさ」に飛び乗り、信州の実家へと向かった。

兄弟3人そろって、母の80歳を祝うためだ。

父は数年前に亡くなったが、こうして親が元気でいてくれることは、本当に有難い。

もちろん、80歳だから、体のあちこちに問題は抱えているが、とにかく元気で動いている(笑)。

今日も、駅まで自分でクルマを運転して、私を迎えに来てくれた。

大学時代の帰省を思い出す。

実家まで行く途中、二人で、父が眠っている墓地に寄った。

母が無事80歳の誕生日を迎えたこと、子どもたち3人(私・妹・弟)も元気で働いていて、今日はみんなで集まること等々、父に報告できた。

これも嬉しかった。

母は長いこと手を合わせていたが、多分、自分のことより、私たち子どものことを守ってくれるよう、父に頼んでいたんだと思う。

母の長生きは、私たち兄弟も母の歳まで生きなさいよ、という応援なのだ。

2月末の信州だというのに、春のように暖かくて、きれいな青空。

いい日だった。

『課外授業ようこそ先輩』、本日“再放送”

2010年02月23日 | テレビ・ラジオ・メディア

NHK『課外授業ようこそ先輩』
彫刻家・五十嵐威暢(いがらし たけのぶ)篇。

私にとっては
久しぶりのプロデュース作でしたが、
本日、BSにて“再放送”です。


●課外授業ようこそ先輩 
 「おもいをカタチにしてみよう ~彫刻家 五十嵐威暢~」

 ・放送日時:2月23日(火) 15:30~
 ・放送波:NHK衛星第2

ナレーター  :中嶋朋子
ディレクター :藤島保志
プロデューサー:碓井広義/原 徹(NEP)
制  作   :アウンビジョン

エグくて、エロくて、元気な『極嬢ヂカラ』

2010年02月23日 | 「日刊ゲンダイ」連載中の番組時評

『日刊ゲンダイ』の連載コラム「テレビとはナンだ!」。

今週は、テレビ東京『極嬢ヂカラ』を取り上げた。


見出し:
エグくてエロい戦略的深夜番組「極嬢ヂカラ」

コラム本文:
「ブラジリアンワックス」をご存じか?

リオのカーニバルでは女性たちが極小ビキニで踊る。アンダーヘアの処理は必須だ。

で、ワックスを使った脱毛法が発達。それがブラジリアンワックスである。

私は水曜深夜のテレビ東京「極嬢ヂカラ」で初めて知った。

この番組が凄いのは脱毛の“現場”に密着していること。

モニターは34歳の美女だ。普段は「ほったらかし」だが、彼のために(ヘアを)可愛いハート型にしたいと言う。

下半身の衣類を全て脱ぎ、ベッドに寝そべる。脱毛したい部分に熱いワックスが塗られる。

それが乾燥したら、後はベリッとやるだけだ。痛かろうに。

施術中の美女の姿を想像して欲しい。ほとんど産婦人科の診察台である。

微妙なカメラワークと編集で放送可能にはしているが、かなり際どい。

そんなVTRを肴にスタジオでおしゃべりするのが、大橋未歩アナやYOUなど4人の女性だ。

大橋アナは「私の(ヘア)は無法地帯」などと言い放つし、YOUも「(脱毛して)誰に見せる気だ?」と突っ込む。

このアッケラカンぶりが、いっそ気持ちいい。えげつないけど、下品じゃない。

エンドロールを見たら、スタッフ全員が女性だった。

女性が作る女性向け番組だが、女性客が集まれば自ずと男性視聴者も寄ってくる。

エグくて、エロくて、結構戦略的な深夜番組なのである。


・・・AD(アシスタント・ディレクター)も、ディレクターも、総合演出・プロデューサーも、みーんな女性というのは珍しい。

脱毛の“現場”も、女性ディレクターが自らカメラを回しているから撮れたのだ。

それにしても、大橋未歩アナは、ますます半分アッチへ行っちゃってる感じで(笑)。

いや、大変結構です。

22222

2010年02月22日 | 日々雑感

そういえば、今日は平成22年2月22日だ。

スロットマシンのごとく、22222と、同じ数字が5つ並ぶ。

平成11年11月11日は、1が6つだったが、今後、33333などは33日がないから無理であり、もはや同じ数字が5つとか6つ並ぶことはあり得ない。

だから何だ、って話じゃないんだけど(笑)。

松本清張の『作家の手帖』と『過ぎゆく日暦』

2010年02月22日 | 本・新聞・雑誌・活字

今回、札幌「石川書店」で入手した中に、松本清張の初版本2冊がある。

81年の『作家の手帖』(文藝春秋)と、90年の『過ぎゆく日暦(カレンダー)』(新潮社)だ。

清張は、日常の中で“気になること”“おやっと思うこと”を、実にこまめに書きつけていて、それらが発酵して作品の糸口になったりした。

『作家の手帖』に収録された「創作ヒント・ノート」や「折々のおぼえがき」など、実に興味深い。

テレビ界を舞台に、視聴率を扱った小説で『渦』(昭和51~52年、日経新聞連載)という作品がある。

これなど、「わたしの兄は某テレビ局のプロデューサーをしております」で始まる、未知の女性からの手紙がヒントとなっていたことが分かる。

そこには、視聴率の実体を知りたいとあった。

手紙が届いたのは昭和49年であり、視聴率調査に関するリサーチなどを経て、2年後には小説『渦』として結実しているのだ。


『過ぎゆく日暦』では、日記風の文章の中で、いくつもの鋭い論評を行っている。

たとえば、「芥川と三島」。

芥川の自殺に関して、「おもな原因はやはり筆の行き詰まりであろう」としながら、志賀直哉に脱帽したところに芥川の悲劇の出発があるという。

芥川は「志賀は恐ろしい」とまで思い込んでいたのだ。

さらに「彼(芥川)は文壇というものに囚われていたのだ」という村松梢風の言葉を引用し、評論家や研究家よりも芥川の本質を衝いていると言い切る。

しかも「今でも、批評家の顔だけを浮べて書いているような文壇作家がいないでもない」と、チクリと刺すような補足を忘れないのだ(笑)。

また、三島作品について、「新聞の社会面の記事的な出来事を素材とした」と指摘し、実生活経験を持たない三島としては「この着眼しかあるまい」と書いている。

加えて、批評家など歯牙にもかけない三島が、「自著の売行き」や「世評」を気にしたことも明かしている。

というわけで、どちらの本も、出版された当時より、今読むほうが、断然面白いのだ。

番組で、京極夏彦『数えずの井戸』を紹介

2010年02月21日 | テレビ・ラジオ・メディア

HTB「スキップ」で、毎回、“北海道出身作家とその作品”を紹介してきたコーナー「碓井教授の徹夜本」。

これまでに・・・

・今野敏さん(三笠市出身)の『同期』。
・朝倉かすみさん(小樽市出身)の『静かにしなさい、でないと』。
 併せて、名作『田村はまだか』。
・渡辺淳一さん(上砂川町出身)のエッセイ集『告白的恋愛論』など。


ラストとなる昨日は、小樽生まれの京極夏彦さん。そして新作『数えずの井戸』(中央公論新社)を取り上げた。

京極版「番町皿屋敷」であります。