碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
見たり、読んだり、書いたり、時々考えてみたり・・・

気持ち的には「がんばれ、TBS!」なのです

2009年06月30日 | テレビ・ラジオ・メディア
新聞・雑誌で、TBSをめぐる記事が目に入る。

なんてったって“名門”(だったはずの)TBSである。

これだけコテンパンに言われえてしまうのも珍しいので、記録しておこう。

まず、昨日発売の『週刊現代』(7/11号)の、6ページにわたる特集記事。

タイトル:
企業研究「TBS その栄光と失速」。

リード:
視聴率最下位転落のピンチ。超一流の人材を抱え、一等地に広大な不動産を持つ民放の雄・TBSが、沈滞感に覆われている。かつての栄光を失ったのは、改革を怠ったためか、官僚主義の弊害か。

小見出し:
・「安上がり」にしたツケ
 春の大改編のことなど
・編成部長を更迭
 4月編成の責任を負わされ
・分社化で二つの給与体系に
 不満も渦巻く
・経営陣支持率は4.7%
 社内アンケートの結果 
・株主総会で「意外な人事」 
 これは「経理局長」など“非現場”の方々の取締役昇格の件
・なんでテレビ局に入ったの?
 不動産業にからめて

まあ、大体の内容は、上記を見れば分かるはず。


さて、次は、やはり昨日発行の『日刊ゲンダイ』(30日付け)。

みやざき五郎さんのコラム「なっとくテレビ総研」である。

タイトル:
「チャングム」を“調達”するTBSはキー局として恥ずかしくないの?

本文:
何を考えているんだ?TBS。7月改編というから、ようやく「総力報道!THE NEWS」の見直しだと思った。少なくとも小林麻耶キャスターに代わって安住紳一郎アナを持ってくるくらいはやるだろうと。

ところが、どうだ。改編の目玉は午後3時からの “ドラマ再放送枠”。しかも、3時間ぶっ通しである。1本目は「渡る世間は鬼ばかり」だ。次が何と韓琉ドラマ「宮廷女官チャングムの誓い」。そして3本目は「水戸黄門」で、これは「THE NEWS」へと視聴者を導くために5時から放送する。

チャングムだよ、チャングム。驚くより呆れてしまった。だって、そうでしょう。確かに「チャングム」も放送権料さえ払えば誰でも流せる。でも視聴者にすればアレはNHKのものだ。それを「視聴率が見込めるから」とTBSが流すのだ。

地方に行くと、局の系列とは無関係なドラマの再放送を見ることがある。たとえば日本テレビ系列の局なのに、流れているのは東映が作ってテレビ朝日で放送した2時間ものだったりする。権利は制作した会社が持っているから、他の系列でも「購入」可能なのだ。

TBSがやろうとしているのもそれと同じ。いわば他局からの“調達”である。制作力の弱い地方局ならともかく、キー局のやることではない。自分たちで番組を作る意欲も企画もないことを天下にさらすことになる。

3時間枠を「TBSアーカイブス」として、70年代の山田太一作品など名作ドラマを放送するならまだしも、全国のJNN系列各社は「チャングム」で納得なのか。

TBSの企業理念は、<「最強」のコンテンツを創り出す、「最良」のメディアを目指して>。ならば必死で何かを作り出すべきだろう。
(みやざき五郎)


そうかあ、「チャングム」を“調達”(笑)かあ・・・。

これって、かなり“なっとく”な内容なのではあるまいか。

萩元晴彦、村木良彦、吉川正澄といった、今は亡き「TBS出身」の大先輩たちの薫陶を受けた私としては、TBSの現状は、やはり残念。

気持ち的には、「がんばれ、TBS!」なのです。

お芝居の「方言指導」に挑戦

2009年06月29日 | 舞台・音楽・アート

まだまだ初体験というのはあるもので、今度、お芝居の「方言指導」というのをやらせていただくことになった。

放送批評懇談会や、全国広報コンクールの審査でご一緒している嶋田親一先生が演出する舞台『君愛せし山河』(作・上條逸雄)でのことだ。

この作品が信州を舞台にしており、「役者さんたちに何ヶ所かで“信州弁”を使わせたいんです」と嶋田先生。

私が信州の出身であることに気がついた先生から、「方言指導やってよ」とのご依頼を受けたのは、ずっと前のことだ。

その時は「先生のご用命なら了解です」と答えたが、もちろん冗談だと思っていた。

ところが先日、先生から舞台の“台本”と“チラシ”が送られてきて、びっくり。

その両方に、「方言指導:碓井広義」と、しっかり名前が印刷されているではないか。

あちゃー。

こりゃもう、やるしかないじゃないの(笑)。

というわけで、けいこ場にお邪魔しての“方言指導”である。

どんな具合になるか分からないけど、とにかく、やってみます。



- SPACE107 公演予定 –

7/8(水)~7/12(日)

東京コメディー倶楽部いこい座 Vol.18
阿木翁助・上條逸雄 7thメモリアル公演
「ラジオドラマ 青いカナリア」
「君愛せし山河」

「ラジオドラマ 青いカナリア」
作:阿木翁助
演出:鶴見卓三

「君愛せし山河」
作:上條逸雄
演出:嶋田親一

後援:社団法人日本演劇協会 / 社団法人日本放送作家協会

出演:
安田正利
みやけみつる
松井功
霞優子
大島安紀斗
牧浦啓子
佐久間勇 / 松野和弘 / 住吉晃典
斉藤和彦 / 笈川勉 / 石崎健二
津村英哲 / 原田治美 / 高橋明日香
谷崎裕美 / 坂尾直子 / 原田遥
永長正美 / 上川敦子

<日替わりゲスト>
明日待子
杉田康
真船道朗
菊地竜志(菊地剣友会)
笠井信輔(フジTVアナウンサー)
その他のゲスト有り

開演時間:
7/8(水) 18:30
7/9(木) 18:30
7/10(金) 14:00 / 18:30
7/11(土) 14:00 / 18:30
7/12(日) 14:00
※開場は開演の30分前です。

チケット料金:
全席日にち指定自由席(一公演200席限定)
前売・予約 4,000円 / 当日 5,000円

お問合せ・チケット予約:
TEL:090-3468-6868(後藤まで)

「番組作り」が始動した

2009年06月27日 | テレビ・ラジオ・メディア

南麻布のギャラリー「designshop&gallery」で開かれている、世界的な彫刻家・デザイナー、五十嵐威暢(いがらし たけのぶ)さんの個展に行ってきた。

PARCOのロゴやサントリーホール入口の彫刻「響」などで知られる五十嵐さん。

今回は「マケット展」と題し、製作過程で生まれた模型(マケット)を、作品として再解釈して展示している。

木という素材をとことん生かした巨大な彫刻や、大地に展開されるランドスケープアートが、正確な縮尺でテーブルの上に乗っているのは不思議な光景だ。

未来的なのに懐かしさを覚えるフォルム。

ラインのやわらかさ。

全体のあたたかさ。

何より、そこに目で見える“自由”がある。

そんな作品に対する印象が、そのまま五十嵐さんの人柄に重なるから面白い。


今日は、あるテレビ番組の打ち合わせだった。

北海道・滝川出身の五十嵐さん、札幌から飛んできてくれた藤島保志ディレクター、そして私。

このメンバーで、北海道を舞台にした番組を作ろうとしているのだ。

今日の打ち合わせで、「あ、これだ!」というものが見えたような気がする。

こうやって、これから作る番組の中身を話し合っているとき、自分たちがわくわくするかどうかが、とても大事。

今日は、それがたくさんあった。

番組作りの始動。

いいものが生まれそうな“予感”がする。

まずは、それで十分だ。


(「マケット展」は、明日28日まで開催)

「最近好調のテレビ朝日」について

2009年06月26日 | メディアでのコメント・論評

本日発売の『日刊ゲンダイ』で、「最近好調のテレビ朝日」についてコメントしている。

記事は、「追い風 好調テレビ朝日は“裕次郎特番”でもう一丁?」だ。

20日、21日連続の50周年記念ドラマ「刑事一代・大塚八兵衛の昭和事件史」が、視聴率19.4%と21.6%を獲得。

テレ朝は、今月、ゴールデン、プライム、プライム2の夜の時間帯で、週平均視聴率が、何と全局トップとなってしまった。

確かに、WBCも、サッカーW杯アジア地区予選も、「相棒7」も、「臨場」も、結構な結果を残している。

私のコメントとしては・・・

「最近の民放は視聴率に振り回されて墓穴を掘っている」

あえてどこの局とは言いませんが、分かりますよね。

「そんな中、テレ朝は視聴者が自分たちに期待しているイメージやニーズを愚直に守り続けています」

「得意にしている『刑事ドラマ』を丁寧に作り込んで人気シリーズに育てたり、スポーツや報道にも力を入れている。こうした姿勢が中高年世代に受け入れられいるのです」

個人的には、民放の中で、テレ東と並んで見ているのがテレ朝だ。

記事は、7月の石原裕次郎23回忌関連特番で、ますます勢いづくのでは、という話で締めくくっている。

いやあ、それにしても、「刑事一代・大塚八兵衛の昭和事件史」はよかった。見ごたえがあった。

演出は、さすがの石橋冠さん!

拍手です。

「全国広報コンクール」審査結果発表

2009年06月25日 | メディアでのコメント・論評

日本広報協会発行の月刊『広報』6月号が出た。

広報映像部門(テレビ・ビデオ)の審査委員をさせていただいている「全国広報コンクール」の、今年の審査結果が掲載されている。

このコンクールは、映像以外に、広報紙、ホームページ、写真、広報企画などの部門があって、私たち審査委員は各都道府県で最優秀に選ばれたものを、さらに審査することになる。

映像部門の審査委員は、放送業界での大先輩である嶋田親一先生(私は先生と呼ばせていただいている)と私の二人だ。

面白いのは、毎年、お互いが「これがいい!」と選んだものが大きくずれることはほとんどないこと。

やはり、いいものはいいのだ。

今年もまた、総評と入選作の講評を、役割分担で私が書かせていただいた。


<総評>
タイトル:経済状況を踏まえた、広報映像の“これから”

世界的な経済危機は、この国のあらゆる産業はもちろん、地方自治体にも大きな影響を与えている。広報部門においても、予算や人員の削減など、厳しい環境にさらされているのが現状だ。

しかし、これをマイナスにだけ感じていては先へと進めない。むしろ、自分たちの広報活動の “見直し”と“再生”のチャンスとして、積極的に捉えたらどうだろう。広報映像についても、これまでの経緯や慣例にこだわらず、現在のコンテンツを総点検すべきだ。

その際、最も大切なのは、「なぜ映像(テレビやビデオ)なのか」である。他のメディアとは違う「映像ならでは」を、十分に生かしきっているかどうかだ。その上で、内容だけでなく、放送枠や番組の長さ、本数についても再検討する必要がある。特に、映像は長さではない。逆に、内容に比して長すぎる番組は視聴者(市民)を遠ざけてしまう。短い作品の中に、輝くものが多いのも偶然ではない。

今回の入選作に共通するのは、広報紙・誌だけでは伝えられない、伝えきれないものが、そこから発信されていることだ。“映像の特性”をよく理解し、それを生かしきろうとする意志が感じられる。今後も、不況を踏まえながら、それを逆手にとって、独自の広報映像を送り出していただきたい。


<入選作品の講評>
特選 神奈川県厚木市「厚木発コラボ!明るい地域に微笑む地球 私はトマト」

環境への取り組みは、地域にとって益々大切なものとなっている。「なかちょうやさい」を軸とした生ごみのリサイクル事業。この地元商店街と大学との見事なコラボレーションを、丁寧に取材している。「私はトマトです」という具合に、トマトを“語り手”にした点や、このプロジェクトに関わっている農大の学生に注目した作りも評価したい。「循環」の意味が分かりやすく伝わると同時に、見る人たちの共感を呼んだ。


入選1席 島根県隠岐の島町「神々の舞い降りし島」

6分間の観光イメージビデオである。撮影も編集も広報担当職員による“自主制作”だが、映像と音楽(島の民謡)の構成が絶妙で、実に心地よい。観光PR映像は、つい、あれもこれもと詰め込んだり、大声で勧誘したりするような内容になりがちだ。しかし、こうしたシンプルな作りにしたことで、かえって、訴えたい島の「印象」が強まった。蓄積してきた豊富な映像が効いている。


入選2席 愛知県日進市「蛇口のむこうがわ 大切な日進の水をたどって」

毎年、広報番組「にっしんテレビ」の水準は高い。今回は「蛇口のむこうがわ」と題して、市民の日常を支える「水」のルーツまでを探っている。映像、編集、テロップの使い方など、いずれもそのセンスと手腕に脱帽だ。インタビューに挿入される映像にも手間がかかっている。なぜ10分間で、これだけの内容を見せられるのか。全国の広報担当者にも、ぜひ学んで欲しい。


入選3席 長野県伊那市「い~なチャンネル 夏休みスペシャル☆工場見学」

顕微鏡やロボットアーム作りなど、地元の産業を紹介している。その際、「工場見学」という形にすることで、子どもたちにも分かる内容になった。さらに「クイズ」も導入している。こうした、楽しく見せる“工夫”を評価したい。また、出演者である秘書広報課の細谷詩帆さんの、やわらかで、あたたかい人柄が、番組の印象を高めている。テレビである以上、人選も大切だ。


入選 東京都新宿区「新宿シンちゃんパトロール~わるい大人に気をつけて」

「子どもの安全」を守る取り組みとして制作された、堂々のアニメーション作品だ。しかも、<やなせたかしさん原案>である。予算をかけられることも含め、他の自治体から見ればうらやましい限りだ。「新宿シンちゃん」と「びっくりかめん一味」の戦いによって、都市に潜むいくつもの危険を見せてくれるが、子どもたちへの教育効果は十分だろう。


入選 大阪府高槻町「心で奏でるピアノ~ピアノパラリンピックを目指す知的障害のピアニストと母の願い」
 
知的障害と視覚障害をもつ28歳の女性がピアニストを目指す。ともすれば、制作側の“思い入れ”が前面に出てしまいそうな内容だが、うまく抑制されていた。母親へのインタビューにも、ほどよい距離感がある。また、パラリンピックへとつながるコンサートでの演奏を、きっちり見せ、聴かせたのもよかった。市民の“人間ドキュメント”として、見ごたえのある1本だ。


入選 大分県国東市「情熱国東半島 天然わかめと向き合って60年 竹永八幡郎」

地元の天然ワカメをブランド化した人物にスポットを当てている。自主制作にも関わらず、「イメージ再現映像」も入る凝りようで、人物ドキュメンタリーとして楽しめた。番組の最後に置かれた、ディレクターの「感想コーナー」も、送り手(行政)と受け手(市民)を繋ぐ役割を果たして、好印象。さらに海中の映像が入り、ナレーションが強化されると、もっと良くなる。

関東の独立U局で「カラオケ番組」が大ウケ

2009年06月24日 | メディアでのコメント・論評

昨日(23日)の『読売新聞』夕刊。

「独立U局 カラオケが長い人気~視聴者参加で地域密着」という記事でコメントしている。

“独立U局”というのは、民放キー局のいわゆる“系列”に所属せず、文字通り単独で運営されているテレビ局のことだ。

たとえば、テレビ埼玉やチバテレビなどである。

その独立U局で、「カラオケ番組」が大ウケだというのだ。

何だか嬉しくなる。

記事は以下の通りです。


首都圏の独立UHF局各局で、カラオケ番組が息の長い人気を保っている。一般視聴者が参加できる地域密着の身近さがあり、キー局では少なくなった演歌が頻繁に登場することなどが、人気の理由のようだ。

チバテレビでは、1982年スタートの「チバテレビカラオケ大賞21」(日曜後9・00)と、83年開始の「カラオケトライアル2」(金曜後8・00)という二つの長寿番組が放送されている。

「大賞21」は、飲食店など協力店の推薦を受けた視聴者が出演。「トライアル2」はオーディションで選ばれた参加者が段位を求め、審査員の前で歌う。

「トライアル2」の収録をのぞいた。収録前、局の玄関ホールは応援の観客や出演者らでにぎわう。出演者は大半が県内在住者で、常連が多いという。1時間番組をほぼ同時間で収録するため、生放送に近い緊張感があるが、途中、司会の夏木ゆたかが観覧客と談笑するなど家庭的な雰囲気で進んだ。

知人の応援に来た茨城県稲敷市の市崎恵美子さん(50)は「今は演歌を取り上げる番組が少ないから、この番組の存在は貴重」と話していた。

高梨正三プロデューサーは「房総半島など高齢化が進む地域では、番組が高齢者の生活の一部として親しまれているので、スタイルはあまり変えていない。U局は、キー局にはできない地域密着が大切なんです」と強調する。

テレビ埼玉の「カラオケ1ばん」(木曜後8・00)は、今秋、25年の節目を迎える。協力店から推薦された参加者がのどを競う。坂本冬美ら大物演歌歌手もゲスト出演。最新の日記式視聴率調査で6・5%(2008年11月27日放送)と健闘している。

中村恒夫プロデューサーは「家族や友人が応援に来たり放送を見たりという広がりがある。視聴者参加番組は強い」と話す。

群馬テレビの「カラオケチャンネル」(金曜後8・00)は28年続き、今や視聴率は同局の制作番組中で1、2を争う。

「出場者が中高年に偏りがちだったのを、若い人も出られる雰囲気にしたかった」(阿部哲也制作部長)と、4年前から予選なしで出場できる方式に変えた。その結果、出場希望者は新人で1~2か月、常連は1年近く待つ人気ぶりだ。

とちぎテレビの「うたの王様」(水曜後8・00)は、99年の開局と同時に始まり、現在は1週間のうちに本放送に2回の再放送と計3回も放送される。

東京工科大学の碓井広義教授(メディア論)は「いずれもゴールデンタイム(午後7~10時)の放送で、制作者にとっても視聴者にとってもありがたい番組であることを示している。U局が手軽な娯楽を提供してくれることで、自分たちのテレビという愛着も生まれる」と指摘。

さらに「英国のオーディション番組で有名になったスーザン・ボイルさんのような、世界的スターが生まれるかもしれない。インターネット配信も考えてみては」と提案する。(2009年6月23日 読売新聞)

『週刊現代』の記事「ホームレスにテレ朝が謝るまで」

2009年06月23日 | メディアでのコメント・論評

昨日(22日)発売の『週刊現代』。

「ホームレスにテレ朝(「スーパーJチャンネル」)が謝るまで」という特集記事が掲載された。

この中で、コメントさせていただいている。


記事の内容は、1月20日の『スーパーJチャンネル』の中で流された特集VTR「氷点下の札幌ホームレス~恋人に真実隠し、さまよう40歳男性」で、報道番組らしからぬ“演出”、もしくは“作り方”が行われていたのではないか、というものだ。

この男性は、派遣会社に登録していたが「半年前から派遣の仕事が激減。今は日雇いの仕事もほとんどない。帰る家も頼る人もいない。所持金は約千円」という。

寝る場所もなく、厳冬の街を歩き回る。

VTRでは、彼と「一か月前、路上で知り合った」という56歳の失業者が登場。40歳のホームレスは、56歳の失業者から“説教”される。

数日後、男性はハローワークにいた。「今日は(仕事が)なかったけど、明日もまた来ます」と前向きに語り、VTRは終わる。

ところが、この男性の告発によれば、「説教」のシーンや、「ハローワーク」の場面が、実は、ディレクターからの依頼によるものであり、失業者とは「知り合い」ではなかったし、就職活動をする意思もなかった、というのだ。

ちなみに、ホームレスの男性も、失業者の男性も、それぞれ5万円の報酬をディレクターから受取り、番組出演を承諾していた。

確かに、他にも“演出”と呼ぶには危ういものが散在している。

この件に関して、VTRや資料を検討した上で、記者さんに話をさせていただいた。

例によってコンパクトにまとめられ、掲載された私のコメントは・・・

「H氏(失業者の男性)が蝦名氏(ホームレスの男性)に説教する部分と、蝦名氏がハローワークに行くシーンは、完全なやらせと言われても仕方ありません」

そして、記事の最後に・・・

「札幌では放送されないと聞いたうえで出演を了承した蝦名氏も、このストーリーを真実だと思って見ている視聴者も被害者」

「また、こうした作り方は、同じテーマをまっとうに取材しようとする他の制作者の道を阻(はば)むことになってしまう。テレビ界にとっても大きなマイナスでしょう」


望ましい“シチュエーション(状況)”や、あって欲しい“取材対象(人物像)”など、制作側が事前に考えていたことが、実際の取材現場で崩れることは当然のように起こる。

むしろ、思ったように撮れることのほうが少ないはずだ。

そんなときに、どう対応するのか。

ドラマでも、バラエティでもない、報道番組の取材方法が問われるところだ。

テレビ「スキップ」&ラジオ「大人塾リターンズ」

2009年06月21日 | テレビ・ラジオ・メディア

昨日は、12時からHTB「スキップ」に生出演。

竹細工の職人さんに、小野優子アナが一日入門するVTRが面白かった。

北海道の竹は、私たちが知っている竹とは、かなり違う。「根曲がり竹」と呼ばれる熊笹なのだ。

これを刃物で割り、というか裂いて、籠などを作る。職人さんの技は、さすがに見事。

「かごめ、かごめ」と歌う童謡を思い出した。


午後はFMノースウエーブで「なんてったって大人塾 リターンズ」。

嬉しかったのは、リスナーから私あてのFAXが届いていたことだ。

「テレビで拝見したので、今日は大人塾の出演があると思い、FAXしました。いつも映画や本のお話を楽しみにしています」といった文面。

番組の前半は、映画「ハゲタカ」と「スター・トレック」の話。そして後半は、ギャラクシー賞の話をさせていただいた。

今日(21日)の午後、NHKBSでテレビ部門大賞の「認罪」が放送されることも告知した。


その後は、空港へ真っすぐに向かわず、千歳で下車。

馴染みの「柳橋食堂」で夕食をとる。

店主のご夫婦が、そろって元気そうで、嬉しい。

千歳の大学での6年間の単身赴任は、私が「お父さん、お母さん」と呼んでいるお二人が支えてくれたようなものだ。

感謝しつつ、名物のメンチカツ定食をいただく。

そして、札幌から羽田へ。

空港から一歩外へ出て、じわっとくる湿気を感知。おつかれさまでした。


さてさて、明日発売の『週刊現代』に、例の“やらせ”問題の記事が出る。

どんな反響が、あるのか、ないのか。

映画『真夏のオリオン』&テレビ『イチオシ!』

2009年06月20日 | 映画・ビデオ・映像

映画『真夏のオリオン』を観た。

ここ数年の国産戦争映画は、やや「困ったなあ」というものが多かったが、これは意外と“読後感”がよくて、ほっとした。

潜水艦という物理的に閉じた空間の中が主な舞台。

玉木宏さん演じる艦長を父親とした「家族」、もしくは社長とした「会社」を見るようだった。

潜水艦VS対潜駆逐艦の戦いは、やや単調だったが、互いに「裏の裏をかく」ような頭脳戦が面白かった。

人間魚雷・回天をめぐるエピソードの組み立ても、なかなかでした。

ただ、戦闘場面でのCGの質が、ちょっと惜しいかも。

北川景子さんは、過去と現在をつなぐ重要かつ難しい役どころ。頑張っていました。

玉木艦長の親友で、やはり潜水艦艦長の堂珍嘉邦さん(ケミストリー)が好演。


映画の後はHTB「イチオシ!」に生出演だ。

ヒロ福地さん、森さやかさんと、いつものスタジオ。

「おおなご」という本来は捨てられている雑魚を、なんとか名物にしようとがんばっている人たちが印象に残った。

稚内の漁協の方々への密着だ。

ちなみに、おおなごは「大女子」と書きます。

「蝦夷(えぞ)梅雨」の札幌で

2009年06月19日 | テレビ・ラジオ・メディア

月に1度の札幌は、くもり空。

本来、梅雨がないはずの北海道だが、今年の6月は雨の日が多いそうだ。

「蝦夷(えぞ)梅雨」という。


札幌に着いて、まず、FMノースウエーブへ。

来月から始まる新番組「USUI’S ナイト」の収録。

深夜放送であり、いわば“超雑談”をそのまま流してしまおうという、楽しみな番組だ。

今回は、某テレビ局の、某番組をめぐる“やらせ”問題について。

間もなく、スクープ記事が出る。

詳しく検証させてもらったが、確かに“やらせ”と言われても仕方ないような作り方をしている。

この問題にありがちだが、制作側が頭に描いたイメージ通りに撮ろうとするあまり、無理や無茶を重ねているのだ。

またもや視聴者の支持や信頼を損なう結果となるのは残念。

制作現場の“劣化”が透けて見えるのも辛い。

もちろん、収録したものはスクープ記事が出てから放送する。


今日(金)の午前中は、出演番組で紹介するために、映画『真夏のオリオン』を観る。

午後は、HTB北海道テレビ「イチオシ!」でコメンテーター。15時45分からの生放送だ。

「蟹工船」ブームから「マルクス」ブームへ!?

2009年06月17日 | 本・新聞・雑誌・活字
7月4日から、映画『蟹工船』が公開される。

SABU監督なので、それなりに期待しております。

それにしても、原作である小林多喜二の『蟹工船』が160万部に達したことに、ちょっと驚く。

買った人、本当に読みましたか?(笑)

『蟹工船』文庫本バカ売れ→映画化、の相乗効果だろうか、本家(?)マルクスまで注目され始めたようだ。

先日、「マルクス」と名の付く新書が2冊、ほぼ同時に発売された。

作家・三田誠広さんの『マルクスの逆襲』(集英社新書)。

そして、元・日本共産党委員長である不破哲三さんの『マルクスは生きている』(平凡社新書)だ。

三田さんの芥川賞受賞作『僕って何』が出たのは1977年。

全共闘運動、というかゲバルトにも、女の子にも、なかなか“突入”できない大学生の青春小説だった。

今回の新書は、三田さん本人も書いているが、マルクスや、マスクス主義や、マルクス思想の「解説書」ではない。

「なぜ昔の若者たちがマルクスを信じ、マルクスのために命をかけようとしたのか。その謎を解くために、大まかに歴史を振り返ろう」というのが趣旨だ。

いわば、三田さんという“フィルター”を通してマルクスを探る。もしくは、三田さんなりの<マルクス総括>みたいなものである。個人史の色合いも強い。

一方、不破さんだが、なんてったって、日本共産党きっての理論家の一人だ。

その不破さんが、一般大衆(って私語?)に向けて、しかも「新書」というカジュアルなメディアを選んだことに、いろんな意味がありそうだ。

この本では、マルクスを、「唯物論の思想家」「資本主義の病理学者」「未来社会の開拓者」という3つの側面から捉えていく。

もちろん、中身はしっかりしているが、「です・ます」調の文章は、意外なほど読みやすい。

こちらは、優秀な先生が、難しいことを、噛み砕いて、分かりやすく教えてくれる・・・そんな感じだ。

さあ、『蟹工船』を読んだ160万人は、次に『マルクスの逆襲』へ向かうのか。

それとも、『マルクスは生きている』を手に取るのか。

いや、その前に、映画『蟹工船』が控えている。

マルクスの逆襲 (集英社新書 494B)
三田 誠広
集英社

このアイテムの詳細を見る


マルクスは生きている (平凡社新書 461)
不破 哲三
平凡社

このアイテムの詳細を見る


祝! 50000km

2009年06月16日 | クルマ

本日、通勤用の愛車POLOが、5万キロを記録した。

4万キロは気がつかずに“通過”したが、今回の節目はちゃんと目撃できたし、信号待ちで記念写真も撮れた。

よかった。

新車登録が1997年だから12年目。

大きな故障もなく、毎日、よく走ってくれている。

感謝だ。

ドライバーの気持ちが分かるらしく、いろんな新型車の試乗に行こうとすると、ハンドルが重くなったりする。

そして、試乗を終えての帰り道。

「大丈夫、まだまだキミに乗せてもらうよ」と語りかけると、びっくりするくらい軽快に走る(笑)。

これは、プリウスでも、インサイトでも、ゴルフⅥのときも同じだった。

実にいじらしい。

でも、油断しちゃいけないよ。

“ニューPOLO”が入ってきたら、もちろん試乗するからね。

10万キロ目指して、がんばれ、POLO君!

『週刊現代』の”テレビ欄変更”記事でコメント

2009年06月15日 | メディアでのコメント・論評

6月15日だ。

1960(昭和35)年の今日、安保条約をめぐる全学連のデモ隊と警察隊の衝突があり、大学生の樺美智子さんが死亡した。合掌。

いつからか、マスコミも6月15日のことを報じなくなったような気がする。

かつてのような追悼集会は、今も行われているのだろうか。


今日発売の『週刊現代』が、<テレビ番組欄「並び順」変更の舞台裏>と題する記事を掲載。

一週間ほど前、この件で取材を受けたことは、ブログでも書いた。
http://blog.goo.ne.jp/kapalua227/e/210e2e7856202fa20f88d9ff856eb966

地デジのチャンネルに合わせて、テレビ欄の表示変更を行ったのは、朝日新聞と日経新聞だ。

他の新聞は、今のところ同調していない。

記事は、その経緯を伝え、テレビ朝日の視聴率に変化があった、としている。

私のコメントは冒頭にあって・・・

「若い人はともかく、中高年層はテレビ欄の左から『1(NHK)、3(NHK教育)、4(日テレ)、6(TBS)、8(フジ)、10(テレ朝)、12(テレ東)』という順番を身体で覚えています」

「ですからテレビ欄を毎日チェックする私でも、一番右端は『テレビ東京』という刷り込みができているので、いまだに『フジテレビ』を探す時、ワンアクション多くなっている状態です。全然、慣れませんね」

・・・と語っております。

テレ朝は5チャンネル。テレ東は7チャンネル。だから8チャンネルのフジは右端。

まあ、多少なりとも視聴率に関係するとなれば、テレビ局は一喜一憂するが、一方では、すでに「録画率」を重視すべき時代が来てるんだけどなあ、とも思うのだ。

目の前に広がる“ノンフィクションの大海”

2009年06月14日 | 本・新聞・雑誌・活字
講談社MOOK『現代プレミア ノンフィクションと教養』が面白い。

目玉は、プロの「書き手」であり、優れた「読み手」でもある10人が100冊を選んだ、ノンフィクション作品1000冊(10×100)リストだ。

選者たちが、100冊の中のベスト10に入れたものを眺めているだけでも、十分に刺激される。

たとえば、佐野眞一さんが選んだ中には、当然、宮本常一『忘れられた日本人』がある。

魚住昭さんなら、『不当逮捕』『誘拐』と、本田靖春さんが2冊入っている。ベスト10ではないが、臼井吉見『安曇野』全5巻があるのも嬉しい。

重松清さんは、ジョン・リード『世界をゆるがした十日間』などもベスト10に入れている。

また、野村進さんが、会田雄次『アーロン収容所』や、大岡昇平『レイテ戦記』を選んでいるのも、野村さんらしい。

という具合に、誰が、何を、なぜ選んだか、を確認しながら書名を見ていくと、実に面白いのだ。

ノンフィクションは、テレビでいえばドキュメンタリーだ。

ドキュメンタリーは本数が少ないだけでなく、放送を見逃すと、その後なかなか見る機会がない。

しかし、本は、こうして何十年も前のものでも、優れた作品であれば読み継がれていく。読むことが出来る。これが有難い。

1000冊という“ノンフィクションの大海”には、まだ読んだことのない“大物”や“傑作”が潜んでいることが分かる。ぜひ挑戦したい。


現代プレミア (講談社MOOK)
佐藤 優
講談社

このアイテムの詳細を見る


大学の学びはこんなに面白い

2009年06月12日 | 大学

大学のWEBサイトに、インタビュー記事が掲載された。

「大学の学びはこんなにおもしろい!」という特集だ。
http://www.teu.ac.jp/information/2009/014666.html

**************************

「映像の基本を踏まえ、さらにその最前線に触れる学びを」

メディア学部 碓井広義 教授

■先生が授業や研究で取り組んでいることについて教えてください。

私の研究室では「次世代ブロードキャスト」というタイトルを掲げ、大きく言えば“テレビはこれからどうなっていくのか”とか“テレビでどんなことができるのか”ということについて研究しています。

私個人の研究では“テレビが何をどう伝えていくべきか”という研究も行っています。ここ数年、テレビ番組の捏造や誤報が、社会的な問題として取り上げられました。なぜそういうことが起きるのか、今後そういう問題が起きないようにするにはどうすべきかという、いわばテレビジャーナリズムについて考えているのです。

また、メディアリテラシーも重要な研究テーマのひとつになっています。メディアリテラシーとは、メディアから流れてくる情報を鵜呑みにするのではなく、その背後にどんな意図があるのか、この情報は果たして本物だろうかと情報を批評的に捉え、自分なりにそれを読み解くことをいいます。さまざまなメディアによって、どんどん情報が受け取り手へと送られてくる今だからこそ、必要となる研究テーマだと思います。

こうした“情報を送り出す側”のことと、“情報を受け取る側”のことを学ぶのと同時に、もうひとつ、今度は自分たちが“情報の送り手”となる部分の学びとして映像制作も扱っています。

例えば3年生を対象とした「デジタルシネマ演習」。デジタルシネマとは、フィルムを使った従来の映画とは異なり、デジタルで収録し、デジタルで上映する映画のことです。これを撮影するデジタルシネマカメラは、フィルムのカメラに比べると機動性が高く、編集作業や仕上げの作業も非常にしやすいという利点があります。「デジタルシネマ演習」では、このカメラの導入を準備している段階です。

今はアイデアを出すところから始めて、企画を立て、シナリオを作成し、本学にある機材を使って映像作品を制作してもらっています。学生たちには、実際に映像をつくることで、自分たちの頭の中で考えていることをどう映像化すると、観る人に伝わるのかということを体験してもらいたいのです。

■デジタルシネマの登場など、映像を取り巻く環境は随分と変わってきているのですね。

今は、つくった映像作品をWebで発信するなど、ごく普通の視聴者、つまり市民が情報の送り手となれる時代ですからね。もっといえば、Webを使うことで放送局さえできてしまいます。もちろん一般的な放送は免許事業ですから、国が許可したところしか携わることはできません。

しかし、これまでの放送の概念とは違う、まさに私たちが「次世代ブロードキャスト」と呼んでいる、これからの広い意味での放送ということに関していえば、電波塔を立てて電波を流すという既存の放送局と同じことをしなくても放送できる時代が来たのです。そういう意味において、Webを使ってどんな情報が発信できるかを考えることもまた、研究テーマのひとつだといえます。

今、テレビ業界は社会的な不況などの影響で、広告収入を軸としたビジネスモデルが崩壊し、テレビ放送始まって以来の大きな変革の時期を迎えています。業界的には閉塞感があるように思われがちですが、逆にこれまでと違うものづくりやビジネスを探ることで、まだまだ面白いことができます。方法次第では、年齢やキャリアに関わらず、新しいものを生み出せるのです。学生にはその辺のことも学んでほしいですね。

■授業や研究を通して、どのような人材を育成したいとお考えですか?

今の学生は、カメラに触れたこともあれば、パソコンで映像を編集できるという人もたくさんいます。ただ、それが自己流だと、あるところまでは伸びても、そこから先へなかなか進めません。やはり映像の文法というのでしょうか、基本やルールをきちんと学ぶ必要があると思います。

また、メディアは決して閉じているものではなく、社会とつながっているものです。そうした「メディアと社会」との関係、「メディアと人間」との関係を踏まえて、創造できる人になってもらいたいです。

映像は、素晴らしい部分と恐ろしい部分の両面を持っています。映像は人間の脳を刺激し、喜怒哀楽といった人間の感情に直接作用する、他に類をみない創作物です。そのことを送り手は必ず自覚しながら制作していかなければなりません。そこのところもきちんと伝えていきたいですね。

もちろん、映像について学んだからといって映像のジャンルでしか活躍できないわけではありません。メディアのことを体感した経験があると、どんなジャンルの産業に入っても活躍の場はあると思います。メディアとの関わりを持たない産業はありません。

なぜならメディアの役割とはコミュニケーションだからです。コミュニケーションはあらゆる産業、ビジネスの基本です。ですから私としては、どこへ行っても通用するような人材を育てていると自負しています。

■先生がテレビや映像の世界に携わることとなったきっかけとは?

私は大学卒業後、出版界に入り、その後、高校で国語の先生をしていました。基本的に私は活字人間なのです(笑)。それが映像の世界へやって来たというのは、本当にご縁としかいいようがないですね。

テレビマンユニオンという日本初の番組制作会社が、2年に1度、ユニークな採用試験を行っていて、高校の先生だった私は「頭の体操」をするつもりで受験してみたのです。いわば“遊び”でした。ところが400倍の競争率にも関わらず合格してしまった(笑)。

ならば、やってみようか、と。それ以来、プロデューサーとして20年以上も番組制作を行ってきました。途中からは大学で教えたり、研究するようになり、あらためて大学院で「メディア」について学び直しました。

確かに子どもの頃から映像は大好きでした。幼い頃からテレビと接してきて、中学生くらいからは映画も観るようになって、高校生になるとこれに本が加わります。今もメディア研究者、放送評論家としてテレビを観続けていますし、映画はビデオだけでなく週に1本は必ず映画館で観ます。本も書評の仕事のため、週5冊は読んでいますね。

ですから、本やテレビや映画は生活の一部。好きなテレビや映画をずっと観続けてきたことは、私にとって貴重な財産なのです。ですから学生諸君には、自分が好きだとか面白いと思っているものを大事にしてほしいと思います。それが直接、仕事などに結びつかなくても、いつかどこかで、必ずそれが生かされる機会がやってくるはずです。

そうそう、今年度中に、久しぶりで「テレビ番組」を制作する予定です。放送の際には、ぜひご覧ください。そんな情報も、メディアについての考察を毎日書き込んでいる私のブログ(http://blog.goo.ne.jp/kapalua227)に掲載していきますので、こちらもチェックしてみてください。

■では最後に今後の展望をお聞かせください。

「デジタルシネマ演習」では、近々デジタルシネマカメラを導入しようと考えています。これまでのデジタルシネマカメラはものすごく高価で、大学で導入するなんてとても難しいことでした。まさにハリウッドのようなスケールのところでないと使えないものだったのです。

ところが最近、アメリカで「RED ONE」という比較的、手に入れやすいデジタルシネマカメラが登場しました。今、日本でもCMの世界で導入が始まっています。日本にはまだデジタルシネマを上映できる映画館は少ないですが、いずれはそういうものも増えていくでしょう。アメリカでは、もう広がっていますからね。

ですからできるだけ早く、学生たちがデジタルシネマカメラを使って撮影したり、撮影したものを編集したりできる体制をつくろうと準備しています。実際にデジタルシネマカメラに触れ、体験したことは、学生にとってすごく大きい経験になるはずです。映像の基本を学ぶことはもちろん、それを踏まえながらも、映像の最前線に触れていくという学びの流れをつくっていければと思っています。

■次世代ブロードキャスト研究室
http://www.teu.ac.jp/info/lab/project/media_dep/34.html