僕らはみんな生きている♪

生きているから顔がある。花や葉っぱ、酒の肴と独り呑み、ぼっち飯料理、なんちゃって小説みたいなもの…

「パトスとエロス」 通勤電車

2009年02月28日 | ケータイ小説「パトスと…」
辰雄は朝から何となく落ち着かなかった。
歯磨きのコップを落としたり、シャツを前後ろに着てしまったり、靴を履いてから部屋のカギを忘れたことに気がついたりした。

自分でも今日は何だかずれてると感じて、出勤前だったが駅まで歩く途中少しだけ遠回りして小さな神社にお参りをした。
いつもは5円玉で済ます賽銭を500円玉に奮発してきちんと厄払いのお祈りもした。


先輩の紹介で会社勤めを始めてから丁度3年目の朝だった。
いつも通り一番前の車両に乗り、そこが一人分空いていれば必ず運転席の見えるガラス窓に向かって立った。

二駅ほど先の駅は都心への地下鉄が乗り入れているターミナル駅になっているのでどっと混み合ってくる。
これ以上もう入らないと思ってもまだまだホームには人が溢れ、発車のベルが鳴り終わる頃、ドアが閉まり始めてもなお詰め込まれてくる。


辰雄はもみくちゃになりながらもお気に入りのその場所だけは離れたくなかった。押される度に金属製の手摺りを握る手に一層の力を込めて奥へ押し込まれるのを凌いだ。








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生まれたよ

2009年02月27日 | いろいろな顔たち
白ごま父ちゃん 黒ごま母ちゃん


ハーフな僕

てかハーフって言葉似合わないだろ

イモのくせして


イモのくせ とは何だ、聞き捨てならん

そーよそーよ、父ちゃん言ってやんなさいよ


イモで悪かったね、

ゴマ付けちゃって何が悪いのさ



あっあの べつにさ、

悪いって言ってる訳じゃないし…

イモはいいよね

なーんにも考えなくてもイモなんだから














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ミリンダの世界

2009年02月26日 | SF小説ハートマン
「もうひとつって言うのは。さっきの質問のことですが、私に指示をするのは…」

「そうそう、どんな組織になっているのか知りたいんだ」

「指示はありません。組織という概念もないんです」

「分からないよ。それじゃあ君が何の為に生まれてきたのかとか、こうして僕をここに連れてきたのはどうしてだとか、君が勝手にしていることみたいじゃないか?」

「ごめんなさい。貴方を呼んだのはハートマンを呼ぶ必要があったからよ。
私の存在はここではみんな知っていて、みんなのことも私は知っているの。
だから誰かの指示で働くこともないし、他の人が困るようなことは誰もしないわ。

みんなが自分のするべき事をしているの。それに、」

「それに?」











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ミリンダ

2009年02月25日 | SF小説ハートマン
「挨拶なんだね、言葉はなんていえばいいのかな」
「Lukumariyno hosseru」

「ルクマリーノホッセル?」
「そう、貴方が幸せでありますようにって意味なの」

「君は、会話ができるのか!」
「はい、貴方に教えてもらったから」

「僕は何も教えてなんかいないよ、でもどうして…」
「ポッドに入ってここに来る間に学習したの」

「記憶を読んだのか?」
「ええ、でも貴方の星でいうプライバシーのことなら心配しなくていいわ。見せてもらったのは言語領域だけのはずだから」

「君は誰なの?ここが君の国なのか?僕が来ることは分かっていたの?」
「突然のことで失礼が沢山あったと思うわ、ごめんなさい。ひとつずつ説明させて下さいね」

「君に謝ってもらうことはないさ。でも誰の指示で、これからどうなるのか知りたいとは思うよ」


笑顔で話す彼女の声は澄んでいて、エコーがかかっているかのように奥行きがあった。話していると心の奥まで癒されていくような心地よさを感じた。彼女は宇宙の手を取り歩きながら、母親が子どもを諭すように話しを続けた。


「私はミリ・トゥル・セラン・ダーという名前を持っています」
「ミリ・セ・ンダー?」

「ミリンダと呼んで下さい」
「ミリンダ!君がミリンダなのか!?だとしたら僕は君と会う前から君のことを知っていた」

「はい、多分」
「僕がその名前を知ったのは地球を出発する前だから、20年以上昔なんだよミリンダ」

「貴方の言う『時間』という言葉は、ここでは少し意味がが違うかも知れません。それともうひとつ」
「時間の概念については僕もゆっくり教えてもらいたいことがあるんだ。で、もうひとつって何?」


















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ポッドの行方

2009年02月23日 | SF小説ハートマン
ワープに入る瞬間のような加速度を感じた。

しかしそれは一瞬のことで、軽いめまいと感じる程度だった。


うっすらと発光していたポッドの内側が消え広い空間に変わった。
そこは以前見たことのある部屋のようだった。
大きな窓、ゆったりとしたカーテン、植物。

モニターで見たそれだ。

宇宙は壁に映し出された3D映像かと手を伸ばしてみたが、そこにあるはずの壁に手は触れなかった。
宇宙は立ち上がりもう一方のポッドを探した。並んでセットされていたはずだ。


ポッドは消えたいた。だが、人間はすぐに見つけることができた。
窓際に立って宇宙(ひろし)を見つめている。

宇宙と視線が合うと手を伸ばし微笑んだ。
親しい友人を自宅に招いた時のようなごく普通の自然な動作だった。

上質のサテンのように光沢のある布を身につけている。
体に巻き付いているだけのようにも見えるがそれは体の動きと共にしなやかに揺れ、ずれることもなく優雅に彼女を包んでいた。

歩み寄ると彼女は両手で宇宙の両手を取り、祈る時にするように合わせると自分の額にそっと触れ何かつぶやいた。
今度は自分の手を宇宙の前に揃えて出し、同じようにするよう宇宙を見つめながらにっこりとうなずいた。









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ふたつのポッド

2009年02月22日 | SF小説ハートマン
ドロイド達の無駄の無い働きにより、それはほぼ50時間で組み立て終わった。

出来上がったものは人間が一人入れるほどの大きさで、コックピットのように肘掛けつきの椅子がひとつある他は窓もスイッチも何もない個人用サウナポッドのような形状をしていた。
そして同じものがもう一台。

一方にその人間、もう一方に宇宙(ひろし)が入るように信号は指示している。

人間を傷つけないように細心の注意をはらって薄膜にメスを入れると粘液状の羊水が流れ出た。
見た目に反して羊水はさらりとしていて肌にまとわりつくことはなかった。
介助用に再プログラムされたドロイドが慎重にポッドに運び入れる。


宇宙は全ての記録装置のスイッチがONになっていることを確認し、小さな入り口を静かに閉めた。

照明などどこにもないはずなのにポッドの中はうっすらと明るく、クッションのない金属製の椅子が柔らかいソファーのように感じられた。



やがてポッド内側全体が発光を始め、宇宙は暖かい光に包まれた。










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新しい信号

2009年02月21日 | SF小説ハートマン
薄い膜を通して顔の表情が見て取れるようになまでにさらに72時間ほどかかった。

もうそれが人間であり、女性であることは疑いのないところだった。
母体内にいる人間の胎児のように動くことはなく、培養器の中で静かに成長を続けている。



ホストコンピュータが宇宙を呼んだ。
途絶えていた信号が再び送られてくるようになったのだ。

言語の解析は既に終わっていたので、その信号が機械の設計図であることはすぐに理解できた。
ただそれがどんな機能を持っているのかということは全く想像ができなかった。
ありふれた部品を組み合わせてできているのだが、回路は見たことのないもので、駆動エネルギーも分からなかった。


メンテナンスドロイド達によって直ちに部品が集められ、製作が始められた。
ホストコンピュータも今度は警告を発しなかった。















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色白のピ

2009年02月20日 | いろいろな顔たち
だから違うって言ってるでしょう

白いのは元からなんだってば


電気なんか起こさないよ

だいいちネズミじゃないし


あんまりしつこいと

ぼく、切れちゃうかも…













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生物の創造

2009年02月19日 | SF小説ハートマン
菌類や植物のDNAが解読され遺伝子の操作が始まった頃、人体DNAゲノム解析が各国で競われた。
ジェネシス社のハイスピードゲノム解析機を数百台も使って解読し特許権を握ろうとベンチャー企業が現れた。

各国でしのぎを削る競争の後、あっという間に解析が済んだ人のDNAだったが、実際には分からないことが数多くあった。

一見無意味に見える配列のヌクレオチドや、活動しないままのDNAはどうして存在するのかということが生物学者達によって幾たびも研究されたが解答には至らず、結局進化の過程で変化してきたものだろうということでそれ以上の研究は途絶えてしまった。


今宇宙(ひろし)の目の前で進行していることは、遺伝子操作とかバイオテクノロジー、デザインチャイルド等と呼ばれていたDNA培養技術の究極の形かも知れない。


DNAを作り出し培養することで思いのままの生物を創造するのだ。











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72時間後のそれは

2009年02月18日 | SF小説ハートマン
最後の部分がコミュニケーションの為の「言語」とそれを理解する為の「文法」であることは すぐに解析できた。
それは遙か昔地球で発掘されたロゼッタストーンのクサビ形文字にみる文法と同じだったからだ。

宇宙(ひろし)はメディカルルームに移動しDNAの合成を始めた。

ホストコンピュータは未知の生物の培養に警告を発していたが、バイオリストコンピュータは楽観的だった。
相手がその気になればこの宇宙船など強烈な排斥ビームで弾き飛ばすか熱線で蒸発させてしまう事などたやすいことだろう。
そうしないということに何かのメッセージを感じる宇宙だった。


DNAの培養は72時間ほどで形を表してきた。

人間の姿に似ている…
動物か?

生まれてくる赤ん坊の姿ではなく、大人の人間がマユのような膜に包まれて現れだしたのだ。


さらに24時間が経過した…


DNAの構造は人間(ホモサピエンス)と全く違うが、明らかにそれは
人間だった。













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モザイク石けん つづき

2009年02月17日 | 石けん作り
さあ、型出しです


わくわく枠Wakuしますね…











切ってみましょう











ほら…















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あるなしクイズ

2009年02月16日 | ウォッチング
おひな様には  「ある」





右大臣には   「ない」









官女には    「ある」










そして
お内裏様には   「ある」のだ



ちなみに五人囃子にはなかった…




画像をよく見れば分かる

「顔が命」のテクニック














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モザイク石けんの仕込

2009年02月15日 | 石けん作り
以前作った石けんをスティックにしておいて

今度の型入れの時使います

量が増える分少し大きめの型を使います

色を変えておくのがポイントですが

切ってみないと

どうなったか分からないのが

面白いところなりよ





今回は普通の石けんも
仕込んでおきました




どうなるでしょうか…





























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設計図

2009年02月15日 | SF小説ハートマン
ホストコンピュータとバイオリストコンピュータの共同作業は数分間続いた。

一回の繰り返しで送られてくる信号は内容の違う3つの部分で構成されていた。

最初の部分は全体の内容を司るもの、次の部分は何かの設計図のようなもの、最後の部分がその使い方であるらしかった。

初めの部分を二進法に置き換えた円周率に乗せてグラフィック表示させてみると、それはDNAの二重らせんと全く同じ構造を示した。

次の部分を同じ方法で解析し配列の同じタンパク質のDNAに変換していった。


宇宙が想像したとおりそれはひとつの無駄もなくぴったりと当てはまった。
ただ全体の組み合わせを分析してみても地球上のどの生物ともそれは合致しないのだ。


DNAはどこにでもある。
それが独自の組み合わせで繋がりヒストンにまきついたものがヌクレオソームとなり、さらに螺旋状に圧縮されたものが遺伝子(染色体)と呼ばれる。


地球とは遙かに離れた銀河にあってもそれは何か生物の設計図であることは確かだった。













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送られてくるもの

2009年02月14日 | SF小説ハートマン
瞬きしたように画面は切り替わり、室内を映しだした。
それは幾何学的に整ったものだったが、無機質で冷たい感じはなく、むしろ地球の故郷に見るような開放的な暖かさがあった。

ドレープをたっぷり取ったカーテンがゆったりと揺れていたり、見たことのない奇妙な形だが植物らしきものが緑色の葉を茂らせたりしている映像が宇宙(ひろし)を落ち着かせるのだろう。


それに合わせて信号が二進法で送られている事をモニターの記録装置が知らせた。
一秒間に数テラバイトの一定のスピードでそれは繰り返し送られている。

宇宙のバイオリストコンピュータは即座に解読を始める。

ホストコンピュータに記憶されているデータと合致するものは何もなかったが、言語のようなものが含まれているらしいことは予測できた。

繰り返される信号は、いくつかの同じパターンが部分的に組み合わされブロックを構成していた。
ブロックは少しずつずれたり数回繰り返されたりして全体を表しているらしいことが分かった。

宇宙(ひろし)はモニターを見つめながら身じろぎひとつせず信号の意味を考え続けた。
実際宇宙の脳はバイオリストコンピュータとしてその持てる力をほぼ100%使いながら働き続けていたのだ。













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