映画「碁盤切り」を観てきた。
映画も草彅剛さんの作品しか観ないという偏屈だから、
草彅さんの前作「ミッドナイトスワン」以来4年ぶりになる。
いい映画だったわ、それとしか言いようがない。
観た後、理屈なしのしみじみとした余韻にながく浸ることができて、いい時代劇を見せて
いただいたと、誰にともなく感謝したくなる。
そう、脚本、監督、俳優陣の面々が何ひとつ破綻なく、一つの作品を作り上げているのよ。
映像もとてもきれいで美しく、全編ほの暗い明かりがこれまた雰囲気を盛り上げて。
そしてタイトル通り、「白と黒の碁と碁盤」が「碁を打つ音」が「碁を打つ人」が
画面を引き締めて想像を膨らませる。
主人公柳田格之進に草彅剛。
草彅さん、武士がよく似合う。時代劇がよく合う。
静と動の格之進、彼自身がそのまま体現されているような。想像以上の出来がこれまた嬉しい。
周りを固めるのが、
中川大志、奥野瑛太、音尾琢真、市村正親、斎藤工、小泉今日子、國村隼の面々。
娘役の清原果耶さん、ドラマ「透明なゆりかご」の女優さんだったのね。
彼女がまた素晴らしい。武士の娘、凛としてそれでいて可愛く品もありで、いい女優さんだ。
小泉今日子さん、お庚役。歳を重ねて顎が二重になったところがまたこの役にぴったりで。
市村正親、國村隼さん、そりゃあ言うことなしの貫禄。
斎藤工さん、敵役よ。いい男が敵役を演じると迫力を増す。
中川大志、奥野瑛太、音尾琢真さん、失礼ながらお名前も芸歴も何も初めましてだ。
キャストがぴったりだと自然にその世界に入り溶け込んでいける。よかったわ。
ただひとつ、
「武士の誇りを賭けた《復讐》を描く、感動のリベンジ・エンタテインメント」
とのキャッチコピー。
うーん、復讐だのリベンジだのを強く謳うのはちょっと違う気がするのよ。
確かにそうなのだけれど、やはりそこだけじゃないのになあ、もっといろいろ
絡み合って奥深いのになあと思うわけ。復讐だけじゃ感動は呼ばないもの。
ま、仕方ないか。
4年前の「ミッドナイトスワン」の時はTVで映画の宣伝もできなかったのに、日本アカデミー賞を
取りいまだに上映している映画館がある。
今回の「碁盤切り」で監督も剛君もあちらこちらのTV局に呼ばれている。世は変わる。
ぜひ多くの人に観ていただきたいと思うわ。
5月17日(金)公開映画『碁盤斬り』60秒予告