電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

ノイマンとチェコフィルでマルティヌーの「交響曲第2番」を聴く

2008年09月07日 05時37分30秒 | -オーケストラ
このところ、朝晩はだいぶ涼しくなりました。残暑もあと少しで、急速に秋に向かっていくことでしょう。通勤の音楽に、散歩のお供に、このところ集中して聴いているマルティヌーの交響曲、週末を契機に、自宅のステレオ装置でたっぷり聴きました。

作曲家51歳、1943年の夏に、コネチカット州ダーリエンで完成した交響曲第2番は、クリーヴランド在住のチェコ人の依頼によるものでした。チェコスロヴァキア共和国独立25周年の記念に、エーリッヒ・ラインスドルフ指揮のクリーヴランド管弦楽団により初演されたとのことです。1943年というとセル時代のちょっと前ですね。

第1楽章、アレグロ・モデラート。始まりは、スタジオ・ジブリのアニメ映画の音楽にぴったり合いそうな、魅力的なものです。半音階的に下降する副主題などのように、同時代の音楽としては、非人間的でない、親しみやすさがあります。
第2楽章、アンダンテ・モデラート。弦楽合奏を主体とし、管楽器が美しい響きを聴かせる旋律が、どこまでも続くような印象を受ける、ゆっくりとした音楽です。ピアノが低音でリズムを刻み、オーケストラ楽器として効果的に使われています。
第3楽章、ポコ・アレグロ。スケルツォ風マーチ。出だしこそ、まるでプロコフィエフのような印象ですが、でも響きに独特の厚みがありますし、リズムもプロコフィエフほど天衣無縫ではありませんで、むしろ粘り強く持続的で、しだいに高揚していきます。素材に「ラ・マルセイエーズ」の断片が使われているのだそうですが、残念ながら素人音楽愛好家には判読不能です(^o^;)>poripori
第4楽章、スケルツォ風ロンド。アレグロ。全体に明るい響きで、副主題のオーボエとファゴットのユニゾンが、のどかな印象です。でも、だんだんせわしなくなり、なるほど、スケルツォ風ロンドです。この作曲家に特徴的な、大きく高まっていく感じが、よくあらわれています。

大編成の音楽ですが、小グループに分割された楽器群が交互に現れるという意味で、コンチェルト・グロッソ風の音楽という印象を受けます。牧歌的で、とても美しい音楽です。演奏は、ノイマン指揮チェコフィル、1977年~78年にかけて、プラハの「芸術家の家」でのアナログ録音、DENON の COCQ-84038-40 です。

1990年~クーベリックが「わが祖国」を振り、バーンスタインの「第九」で閉幕した、ビロード革命の翌年~の「プラハの春」は、マルティヌーの特集だったのだそうです。しかし、この第2番の交響曲の日本初演は6曲中もっとも遅く、1998年11月21日、ネーメ・ヤルヴィ指揮デトロイト交響楽団(豊田市)まで待たなければならなかったとか。日本におけるマルティヌーの受容の歴史は、意外に新しいのかもしれません。ノイマン指揮チェコフィルの全集に添付の解説書は、日本マルティヌー協会会長の関根日出男さんによる充実したもので、資料的にも充実しており、なかなか読み応えがあります。エトランゼの哀愁を背景とした望郷の音楽、などというレコード会社のキャッチコピーも、なんとなく頷いてしまう面があります。

■ノイマン指揮チェコフィル盤
I=6'31" II=7'17" III=4'41" IV=5'08" total=23'37"
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