電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

山崎美和恵『パリに生きた科学者 湯浅年子』を読む

2008年09月09日 06時29分13秒 | -ノンフィクション
岩波書店から発行されている、ジュニア新書シリーズは、やさしい語り口とは裏腹に、内容はかなり硬派で充実したものが多く、未知の分野の入門には手っ取り早く便利なものです。先日、山崎美和恵さんの『パリに生きた科学者 湯浅年子』という1冊を手に取り、面白く読みました。

帝大に女子が受験することを初めて許した東北帝大理学部に対し、文部省が詰問状を送付するような時代に物理学を志し、東京女高師の講師から渡仏、ジョリオ・キュリーのもとで原子核物理学の研究に取り組んだ女性、湯浅年子さん。ドイツ軍のパリ占領とレジスタンスの中で研究生活を送り、敗戦期の日本に帰国、母親の死を送った後に、1949年に再渡仏、以後、激しい研究生活を送ります。

著者の紹介する研究一筋の昔の学者の生活は、偉いなあと単純に尊敬しますが、睡眠時間を削って研究に打ち込み、医者に「いつ寝る(眠る)のですか」と聞かれて「車の運転をしているとき」と答えるエピソードは、笑ってしまうというよりも、やや異常な印象を受けてしまうのではないでしょうか(^o^)/
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