電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

村上もとか『JIN~仁~』第9巻を読む

2011年12月05日 06時04分28秒 | 読書
長崎にある幕府の養生所・精得館にて、ペニシリンをはじめとする新しい医術の指導を終えた南方仁先生は、坂本龍馬とともにユニオン号に乗船、途中の下関では高杉晋作と会います。村上もとか著『JIN~仁~』第9巻は、幕末の大動乱に突入する前のひととき、江戸の庶民の生活をもう一度描きます。

江戸に到着した南方先生が目にしたのは、大火で焼け野原となった材木町の様子でした。実際は、ある商家のゴタゴタから起こった付け火だったのですが、悪徳目明しのガマ親分は、お駒を犯人に仕立てることでモノにしようとします。助平親分とお駒の場面は、ちょいと青少年には見せられません(^o^;)が、これもお駒を助けに登場する火消の千吉の男らしさを引き立てるための作劇術でしょう。
跳ねっ返りのお駒は、素直に礼が言えなくて、千吉の好意を袖にしてしまいます。千吉は千吉で、自棄的な気分でフグ鍋を食いにいき、フグ毒に当たってしまいます。フグ毒の成分であるテトロドトキシンの毒を消すことはできなくても、人工呼吸を続けることで蘇生させることは可能と、南方先生の医術は江戸の人々にはやっぱりスーパーです。
回復した千吉と介抱したお駒の祝儀の席で、南方先生と咲さんの婚礼はいつだと話題になりますが、それはまったく当然の疑問でしょう(^o^)/

そして、有名な寺田屋襲撃事件。入浴中に捕り方に気づいたお龍さんの機転で、龍馬はなんとか脱出に成功します。現在の寺田屋は改築されたもののようですが、写真はその伏見の寺田屋。



さらに、勝海舟の家庭の事情と正妻の脳外科手術が描かれます。う~ん、海舟の妻妾同居は福沢諭吉に批判されているほどですが、こういう風に描かれると、やっぱりちょいと同情してしまいます。どっちに?いや、両方に(^o^)/
このへんのドロドロした部分よりも、軽業の一座のエピソードの方が、カラッとしていて良いですね~(^o^)/
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