関とおるの鶴岡・山形県政通信

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総括質問をおこないました

2009年12月03日 | 市政全般

 12月3日(火)、市議会12月定例会が開会し、私は会派を代表して総括質問をおこないました。
 全文をご紹介します。


 日本共産党市議団を代表して、市長の提案に総括的に質問します。
 私たちは合併後の4年間、情報公開と市民参加の遅れ、受益者負担主義による市民負担増とサービスの削減、合併調整による施策の後退、バイオ研究への過大な投資、国の構造改革への追随など、基本的な問題で市政と対峙し、対案を掲げてきました。
 市長は、選挙公約や報道機関への発言の中で、富塚市政を引き継ぐとする一方、新設する財政諮問会議への市民公募制の導入、車座トークでの市民との対話、庁舎の権限を強め予算を配分する、副市長2人制廃止、などを打ち出しているようです。
 それらは、私たちが主張してきた方向に添うものとして注目するところであります。そのことは踏まえうつ今回は議案との関連で4点質問します。先の二人の方々の質問と重複するところもありますがご了解下さい。
  第一に経済対策についてです。
 政府の経済対策を使った総額3億8537万円余りの経済対策補正予算が提案されていますが、
国が沢山のメニューを示す中で、事業の選定をどのようにおこなうかということであります。
 議案の雇用対策は「地域活性化・経済危機対策臨時交付金」7事業ですが、H20年12月から今議会まででは、「ふるさと雇用再生特別基金事業」「緊急雇用創出事業臨時特例基金事業」で計58事業が提案・実施されてきました。
 契約金額で1億6千万円超、契約月数で400ヶ月、事業費に占める人件費の割合は平均で8割を超えていますが、事業によっては5割、6割台のものもあるようです
 事業費の内、人件費に充てられる部分は5割以上とされていますからその基準は十分クリアしている訳ですが、制度の趣旨から言って人数・賃金等、雇用効果をできるだけ高くしていくべきと思います。
 言うまでもなく、継続雇用につながるものがベストであります。
 また、雇用にとどまらない経済対策全般の場合でも、市民に役立つ分野であるとともに、地域経済への波及効果の大きいもの、雇用拡大効果の大きいものを考えていくべきではないでしょうか。
 特に医療、介護、教育、福祉などはその効果が大きいと考えます。これらを中心に雇用対策に全力を挙げていくべきと考えますが市長の考えを伺います。
 なお、経済対策の根本は、労働者派遣法抜本改正や大企業のリストラ規制による雇用拡大とそれによる雇用者報酬の引き上げ、社会保障充実と庶民減税などなど、「構造改革」からの転換であるということは改めて強調しておきたいと思います。
 二番目に入札制度を中心とする公共工事・公共調達のあり方について伺います。
 今議会の契約案件に小中学校へのデジタル放送対応テレビ・パソコン・電子黒板の設置がありますが、入札に参加して落札できなかった業者からも、落札した業者の中からも「この落札価格では利益が出ない」という嘆きが聞かれました。
 物品調達なので予定価格は公表されていませんが、文科省が価格の「目安」を示しているようです。
 落札価格はその目安との比較で言うとテレビでは64%程度になっています。
 パソコンの方は、90%を超えていますが、それでも業者には厳しい価格となったようです。
 ある業者などは「契約金額2千万円で利益は10万円も無い」と言っていました。その通り受け止めれば、利益率0.5%ということになってしまいます。
 今回の設置は、前政権の「スクールニューディール政策」によって発生した需要で、家電大企業の要求に応えるものと言われていますから、大企業の利益は保障されているのだろうと思いますが、地域の電気屋さん、事務機器会社さんが適正な利益を得られるかどうかは別問題なのであります。
 党市議団はこれまでも、公共事業を受注した業者、とりわけ下請け業者の労働条件が最賃法を下回ったり、物品調達でも適正な利益が得られない低すぎる落札価格が発生することなどを指摘し、改善を提案してきましたが、今日の、経済不況・雇用危機の下でこの課題はいよいよ重要な焦点となっていると考えます。
 公共工事・公共調達の入札制度は、「低廉な価格で、できるだけ質のよいものを確保する」ことをめざしてきたわけですが、近年は地域の業者の適正な利益、労働者の適正な賃金を確保することで、地域経済の振興を図ることなど、地域社会・経済形成に資するものにしていくべきであるという世論と運動が広がりつつあります。
 それは、ILO:国際労働機関の条約第94号と同勧告84号に基づく「公契約運動」の観点からの改革ですが、具体的な課題の一つは、本市でも昨年から取り組まれている総合入札評価方式において、雇用拡大等の地域経済振興や地域社会形成の観点に比重をかけていくということです。
  例えば、賃金・労働条件を積算された労務費に近づける、適正なものに高めていくということや、資材の地元調達を増やすこと、環境保全や、災害救済への貢献などが挙げられますが、個々の詳細な検討はさておいて、公共工事・公共調達を地域社会・地域経済振興に資するものに改善していくということについて見解を伺います。
 なお、今回もおこなわれた地域ごとに分割しての発注は、地元業者に配慮した適切なものと考えていますが、残念ながら「赤字の仕事」が回ることにもなり兼ねないという現状を改善することが、その趣旨を活かすためにも必要と考えるのであります。
  三番目に農業について質問します。
 日本の農業は、輸出大企業の利益のための輸入自由化政策の下で、生産も農民も農地も減り続け、正に危機的状況に陥っています。農業を基幹産業とする本市にとってそのことが市の存亡に関わる問題であることは、市長も認識を表明されているようであります。
 再生産可能な農業へ、小規模農家を始めとしてすべての農家を支援していく政策が求められていますが、色々な工夫の一つとして、県の「創意工夫プロジェクト支援」事業も一つの有力な試みと思います。
 それは、農林水産業を活性化し、それを起点とした産出額増大を図ることをめざすもので、農家林家水産業者個人をも支援するという取り組みです。
 議案にある8つの事業は、農家が県に申請したものが全部認可されたものといいますが、申請の際のポイントなど担当課の丁寧な指導があったものと聞いています。
 申請された事業は、「産出額増大、雇用創出、創意工夫、実現性、地域への波及効果」を県が審査しますが、市も「意見を添付して県審査会に推薦する」ことになっています。
 そこで質問したいのは、個人の取り組みを支援することが事業の特徴ではありますが、できるだけ、雇用創出も含む「地域への波及効果」の大きいものを選ぶ、そういう事業を育てていくべきではないかと思いますが如何でしょうか。
  また、市独自の支援策を積極的に展開していくべきと考えますが見解を伺います。
 農業問題の最後に、重要な段階に差し掛かっている国の農政の問題について質問します。
 衆院選で民主党は、所得保障政策を掲げました。「農家を規模で区別せず、対象の農産物を生産・販売する全農家に、販売価格と生産コストの差額を基準として所得補償する」というもので、注目と期待を集めた訳であります。
 しかし、具体的内容が明らかになるにつれて関係者に不安が生じています。
 何よりも、補償水準が米の再生産を保障するものにならないのではないかということです。
 JA全中も提言したように労働費の100%補償など、真に再生産を補償する制度になるかどうか、鋭く問われる状況となっています。
 また、民主党が主張する日豪経済連携協定EPAや日米自由貿易協定FTAの推進は、所得補償制度自体をなりたたなくさせるような重大な打撃となるものです。
 市長説明の中でも所得補償制度について、「真に稲作農家の経営安定策となるように」「必要な対策など」を「国に強く要望」するとしていますが、具体的にはどういう立場なのか、EPA・FTAの問題と合わせて伺います。
 最後に、国の「構造改革」についてです。
 ここまで、議案との関わりで経済・雇用対策、農業政策についてのみ触れてきましたが、地方政策でも、社会保障でも、国の「構造改革」が、市民生活と市政に激しい矛盾をもたらしています。
 今年の夏に鶴岡田川地域労連が、ハローワーク前でおこなったアンケートについて少し紹介させてもらいます。
117人の方が回答されたということでありますが、失業中の生計について、預貯金の取り崩しが35人、家族の収入に頼っている方が34人、借金が4人。
 「切実に求めているもの」は、「再就職口の確保」「失業給付の延長」「住民税など税金の免除規定の緩和」「子どもの教育費の援助」などです。
 「生活が保障されていると思うか」という問いに対しては、77%の方が「生活は保障されていない」と応えています。
 こんな声もかかれていました。「母子家庭で、子ども3人の教育費で失業手当の半分が消える。毎月生活をしていくのは大変だ」「失業によって収入が無くなっても、国民年金、健康保険料、市県民税を納めなくてはならず、生活が成り立たない」「お金がありません、役場からの請求書の嵐です」。
 私も議員になる前、このアンケートに取り組んできたのですが、状況は益々厳しいものになっていると実感しました。
 このような状況を見たとき、大企業の利益のために進められた、市場万能論に基づく規制緩和の政治からの転換は、本市にとっても切実に求められているものと考えますが市長の考えはいかがでしょう。
 私は、国に対して本市の実情、そこから求められる国の政策のあり方についてきっぱり発言すると共に、市としても構造改革に追随した負担増とサービス削減をやめ、市民生活支援を何よりも重視する市政に切り替えていくべきと考えるものであります。
 その見解を伺って、総括質問とします。

市長 まず、雇用創出の基金事業についてお答えいたします。
 この基金事業につきましては、国が緊急雇用対策として、平成2・0年度と21年度の補正で合計7千億円を措置いたしまして、これをもと・に全国の都道府県において基金を造成し、平成23年度末までの3カ年で雇用創出事業を行うこととしているものであります。本市におきましては、現時点での本年度予算として合計約2億7千万円を計上いたしますとともに、年度内に230人程度の雇用創出を計画しておりました申号、、これに加えまして、このたびの議会では27人の雇用に相当する事業費予算を提案したところであります。
 この基金事業は、基本的に地域の雇用機会を創出することを目的としたものでありますが、その内訳として、性格の若干異なる2つの事業種目から構成されております。そのうち、まず「ふるさと雇用層生特別基金事業」につきましては、地域の雇用再生を図るため、ある程度継続的な雇用機会を創出することとされており、そのため雇用期間は原則1年以上とされております。
 一方で、「緊急雇用創出事業臨時特例交付金事業」につきましては、失業者に対して、次の雇用までの短期の雇用機会を創出することが目的となっており、そのため雇用期間は基本的に6ケ月以内、最長でも1年以内との制約がかけられております。本市におきましても、このような性格の違いに配慮しながら事業計画を策定しているところであります。
 お尋ねのありました人件費割合につきましては、雇用創出を目的とした事業でありますことから、国の実施要領によリー定の基準が定められており、「ふるさと雇用再生特別基金事業」につきましては、失業者に向けられる人件費を2分の1以上とすることとなっております。
 また「緊急雇用創出事業臨時特例交付金事業」につきましては、当初は人件費割合をおおむね7割以上とすることとされておりましたが、この10月に基準が緩和されまして、「.ふるさと雇用再生特別基金事業」と同じく2分の1以上とされたところであります。
 この人件費割合は、県が定申ました補助金交付要綱におきまして、市町村全体の合計として達成することが義務付けられているものでありますが、本市におきましては各事業の単位でも、できる限りこの要件を満たすよう努めているところであります。
 本市の具体的な事業計画で見ますと、「ふるさと雇用再生特別基金事業」につきましては、ご指摘をいただきましたように50%台の人件費割合となっているものがございます。これは事業の性質上、ある程度長期にわたる雇用を確保し、また地域活性化に向けた波及効果を生むため積極的な事業展開を図る必要があることから、人件費以外の事業費の割合が高くなっているものであります。また、国の定めた2分の1以上という基準も超えていないことから、制度上も支障がないものと考えております。
 また「緊急雇用創出事業臨時特例交付金事業」につきましても、事業単位で見ますと、7割以上という従前の基準を満たさないものが含まれておりますが、その多くは屋外作業を中心とした事業であリ、業務の性質上、資材費など人件費以外の経費割合が高くなっているものであります。県の補助金交付要綱における規定上も、個別事業について基準に従うことは求めていないことから、制度上の支障はないものと考えております。
 ご指摘いただきましたとおり、この基金事業は雇用創出のための事業であり、本市といたしましても当初からそのような前提で実施してきたところであります。また今後の事業実施に当たりましても、できる限り多くの離職者等の期待に応えられるよう努めるという方針を堅持してまいりたいと考えておりますので、ご理解をいただきたくお願いいたします。
 経済対策の事業の選定につきましては、市の総合計画上の位置づけやこれまでの経緯、そして市民の皆様のご要望なども踏まえながら、計画の熟度やプライオリティなどを十分吟味し、議員ご指摘の地域経済波及効果や雇用拡大効果なども勘案して、総合的に検討して積み上をヂているところであり、この中で、プレミアム付商品券への市独自補助や公共施設の小規模な修繕十改修事業の発注、緊急雇用創出事業の積極的受け入れなど経済対策の効果が、地域の各層に広がるような事業に鋭意取り組んできたものであります。
 また、学校、公民館、保育園、福祉施設の改修などによる環境整備、病院の機能強化、.様々な癌祉給付事業の拡充など、医療、教育、福祉などの分野についても、、経済対策として重要視して参ったものでありますので、ご理解を賜ります。
 国の構造改革の中で、地方においては、補助金の削減、・税源の移譲、地方交付税の見直し、いわゆる三位一体の改革により、地方が主張してきました地方分権の理念に沿わないこともあり、かつ、厳しい財政運営を強いられたとも認識しております。
 また経済・産業のグローバル化の動きが進展している中で、金融不安の解消、緩やかながらも景気の回復などの成果を上げた一方で、雇用及び中小企業に係るセーフティ・ネット、生活面で弱い立場におられる高齢者、低所得者の方々への配慮が十分でなかったことなどから、ここに歪みや格差が生じたとの批判があることも承知しておりますが、その是非については、これからの時代の推移の中で判断されるものと思います。
 今後の市政運営につきましては、国や県の制度・政策と十分調整しながらも、本市において克服すべき課題を見極め、本市として目指すべき都市像を描きつつ、その実現に向け、精一杯努力して参る所存であります。
 その過程において、国に提言すべきことがあれば、構造改革に関わる、関わちないを問わず、関係機関を通じ、あるいは直接に、強く求めていくものであり、国の施策については、これまで以上に実情の掌握に努めて参りたいと考えております。
 私は、地域の再生に向けた「5つのルネッサンス」の一番目に「創造文化都市」を位置づけておりますが、本市の生産者の思いを創意工夫で具体的な形にし、本市における農林水産業を起点とする新たな産業興しにつなげていければと考えております。
 県の「農林水産業創意工夫プロジェクト支援事業」は、農林水産業を起点とする産出額の増大を図るため、新知事の肝いりで本年度補正予算でスタートした事業であります。詳細な事業メニューや要件を予め設定せず、生産現場の創意工夫を活かし、農林産出額の増大に資する意欲的な取組みを支援する点が大きな特徴であり、本市の農林水産業の6次産業化を進めるための有効な手段の一つとして注目しております。
 当事業に対して事業提案を募ったところ、①遊休農地を活用した園芸振興をはじめ、②農産物の高価格化、低コスト化を図る取組み、③農産加工など生産者が新たな事業に取り組む事業、④食品製造業と連携した新商品開発など、計8件の応募があり、庄内総合支庁が開催した審査会を経て全て採択いただいたところであります。県内でもトップの件数となり、本市の生産者のアイディアの豊富さと地域資源のポテンシャルの高さを改めて感じたところです。
 申請に当たり、市の担当者が、事業のアイディア段階から相談にのり、事業内容の精査をはじめ産出額の設定や雇用計画の検討など、計画の磨き上げを行ってまいりました。今後とも、事業が円滑に進められるよう継続的に支援してまいりますが、同時に、新たな事業アイディアの掘り起こしと育成も進め、本市の農林水産業が元気になる事例を数多く創出してまいりたいと考えております。
 次に市独自の支援策についてであります。
 これまで園芸作物などの振興に向け有効に活用してきた産地確立交付金等の交付金は来年度から廃止される方向であり、それに代わり、新たに米戸別所得補償モデル事業と水田利活用自給力向上事業の2つの事業が導入される予定であります。
  制度の詳細については、現在、国において設計しているところでありますが、米戸別所得補償モデル事業は、主食用米の生産調整を行う販売農家を対象に、標準的な生産費と販売価格との差額を全国一律で交付するもので、水田利活用自給力向上事業は、自給力の向上を目的に、転作作物に原則全国一律の単価で助成をするというものであります。
 今までの産地確立交付金では、枝豆やアスパラガスなど推進を図りたい作物や園芸振興の取り組みに重点的な支援を行うなど、地域の工夫を助成体系に取り入れることができましたが、水田利活用自給力向上事業では、一部を除いて地域独自の重点的な支援が行えなくなることから、地域における農作物振興の停滞を懸念しているところであります。
 今後、国に対し地域の自由度がある程度確保できるようあらゆる機会を捉えて提案してまいりたいと考えております。
 さらに、市独自の多額な財政的支援は厳しいにしても、農業者、農業者団体、行政がお互いに知恵を出し合い、小さなアイディアを創意工夫により大きく育てていくことも重要であります。
 そのためにも、職員ともども積極的に現場に足を運び課題を見つけ、解決策を生産者とともに考えてまいりたいと考えております。
 次に所得補償・価格保障政策、FTA交渉に対する考え方と国への積極的な意見についてであります。
 農産物の所得補償政策やFTA農業交渉については、基本的に国が行っていくことと考えております。
 しかしながら、車座ミーティングなどで地域の方々が、先行きが見えず不安視する声も数多く耳にいたします。生産現場の声を伺い生産現場にそぐわない場合には、将来にわたり生産者が安心して農業生産を続けていけるよう、市長会などあらゆるルートを活用して生産現場の状況を国に伝え、要望し、より良い制度の修正などに繋げてまいりたいと考えております。
 いずれにいたしましても、本年度から来年度にかけては、これまで経験したことがないような農業政策の大転換期にあたるものと考えております。常にアンテナを高くし国の動向に係る情報収集に努めるとともに、生産現場の情報も的確に収集し、必要に応じ時を逸することなく、現場の声を大にして発信してまいります。本市の基幹産業である農林水産業の生産現場の混乱がないように対応してまいりたいと存じますので、ご理解を賜りますようお願い申し上げます。
 地域経済の振興に資する入札制度についての本市の対応ということでございますが、長引く経済不況にあって、本市の社会基盤の整備等に係る様々な公共調達は、地域経済の活性化に大きな影響を与えるものと認識をいたしております。
 申し上げるまでもなく、公共調達における手続きについては、競争性、透明性、公平性が担保されていなければなりませんが、その上に立って本市といたしましては、これまでも地域経済振興の視点に立ったいくつかの制度改正等を実施してまいりました。
 今年度からは、入札参加要件を満たす業者であれば自らの意志により自由に参加できる一般競争入札の対象を、原則、予定価格130万円以上の建設工事及び関連する委託業務全てに拡大するとともに、一般競争入札の拡大に伴う受注競争の激化や長引く景気の低迷から、所謂、「ダンピング入札」の横行が懸念されるといったことから、その対策として、昭和62年度から施行している「調査基準価格制度」において、今年度より「数値的判定基準」を導入し、入札価格がこの基準を下回る者とは、原則、契約を行わないこととするなど、低価格入札による不良工事や下請業者へのしわ寄せ等を未然に防止するとともに、地元業界の地盤沈下対策にも留意してきたところでございます。
 また、議員ご紹介のとおり、これまでの価格一辺倒による落札業者の決定から、参加企業が提案する成果品のより良い品質向上に向けての技術提案や施工上の工夫といった要素とその入札価格の双方に対する評価を点数化し、一番高得点のものを落札者とする「総合評価落札方式」についても、昨年度から試行的に実施をしてまいりました。
 この入札方法において、入札価格以外の評価項目として(議員ご提言のように)例えば、環境保全や失業対策等に対し、企業として積極的に取り組んでいるといフた地域社会への貢献度を評価項目に加えているという他市等の事例は承知いたしておりますが、一方で、評価項目はその工事の品質向上に直接関係する項目に限定すべきとの考えもあるようでございます。
いずれにいたしましても、建設資材の調達も含め、公共工事の発注がこれまで以上に地域経済の活性化に寄与するよう、入札制度の視点からも引き続き検討を加えてまいりたいと存じますので、ご理解を賜りますようお願い申し上げます。