(© 東洋経済オンライン スタジオジブリの展示会が中国・上海環球金融中心で開催されました(写真:HILLS LIFE))
① ""「ジブリ」中国初の展覧会で見せたこだわり 現地主催者は求められる質の高さに困惑 ""
「HILLS LIFE DAILY」編集部 2018/10/21 13:00
スタジオジブリの中国初進出となる展覧会「吉卜力的世界|World of GHIBLI in China」が、7月1日〜10月7日まで森ビルグループが運営する中国・上海環球金融中心(上海ワールドフィナンシャルセンター)にて開催されて大きな話題に。
そこで展覧会の実現に携わった3人のキーパーソン、星野康二 スタジオジブリ 代表取締役会長、橋田 真 スタジオジブリ イベントプロデューサー、矢部俊男 森ビル メディア企画部部長に話を聞きました。
② 展示は上海開催向けに作ったオリジナル
矢部俊男 上海環球金融中心(上海ワールドフィナンシャルセンター)の4階と94階で展覧会「吉卜力的世界(World of GHIBLI in China)」が開催されました。
星野康二 来場者は上海の人が多いですね。予想以上に、若い人も来場したそうです。
橋田 真 開始以来、動員数が伸びているとか。
矢部 4階の「龙猫上映30周年纪念 – 吉卜力的的艺术世界(『となりのトトロ』上映30周年記念─ジブリのアートの世界)」はフォトスポットを、94階の「天空之城 – 吉卜力的的飞行梦想(天空の城─ジブリの飛行夢想)」はすべての展示を撮影可能にしているので、SNSによる情報拡散の影響が大きいでしょうね。中には、94階の展示風景を撮ったショートムービーを投稿している人もいました。
星野 今回の展示は、2つとも上海での開催に向けて作ったオリジナル。スタジオジブリにとって、初の中国大陸進出でもあります。
矢部 中国で展覧会を開くことになったきっかけはあるんですか?
橋田 そもそもは、2010年に開催された上海国際博覧会の日本産業館に小さなショップを出店したのがきっかけです。その際お手伝いしてくれた上海新創華文化発展有限公司(SCLA)の代表・孫剣さんがずっと「中国でスタジオジブリを正式に紹介する活動をしたい」とラブコールを送ってくれていたのですが、なかなか実現には至らなかった。
それがここ数年、インバウンドの増加に伴い三鷹の森ジブリ美術館を訪れる中国の人が急増。1年ほど前から中国での活動を視野に入れ、橋田に現地視察してもらうなどして検討を重ねてきました。
③ マニア向けと初心者向け展示を分けた
橋田 初上陸の場を上海、それも森ビルのグループ会社が運営する上海環球金融中を会場に選んだのにはさまざまな理由がありますが、2016年に六本木ヒルズで開催した展覧会「ジブリの大博覧会」で一緒に仕事をした矢部さん、そして森ビルだからこそ安心して任せられるという思いが強かったのも事実です。
矢部 『天空の城ラピュタ』の世界観を六本木ヒルズで再現するというのが僕の長年の夢だったので、あの時はうれしかったですね(笑)。
映画のオープニングに2秒だけ出てくる飛空艇を作り、スタジオジブリが好んで描く「飛行機械」と森ビルならではの「建築」という2つをテーマにした展示を行った。今回、94階の展示は飛空艇の容積を2.6倍にするなど、さらにパワーアップ!
星野 同じ建物の中で、内容の異なるジブリ展示2つを同時開催するのは橋田の案。
橋田 上海環球金融中心でやるなら、ジブリ主体の企画に加えて、森ビルと四つに組んだ展示もしたいと思ったんです。それなら、矢部さん=飛空艇しかないだろうと(笑)。
矢部 マニア向けの94階に対して、4階は初級編とも言うべき展示になっていますね。
橋田 トトロや宮崎駿といった名前はわかるけど、スタジオジブリ自体を知っている人は中国ではまだまだ少ないんです。だから、まずはナウシカからマーニーまで全部作っているのがスタジオジブリという会社なんだということがわかる展示にしました。
最初は「ジブリの大博覧会」をやるつもりだったんですが、主催者であるSCLAから、中国人には理解が難しい展示だと言われました。ジブリ30年間のノベルティをはじめとするグッズをヴィレッジヴァンガード風に構成した展示は、確かに初心者にはわかりづらい。ちなみに、ヴィレッジヴァンガード風にしよう!と言い出したのは、プロデューサーの鈴木敏夫ですけどね(笑)。
星野 企画の段階からSCLAと相談して進め、日本から持ち込むことはしなかったのも功を奏したのかもしれません。ポスターのキービジュアルも中国サイドから出たものですからね。
「マニュアルが欲しい」と言われたが
矢部 文化や仕事の進め方などに関する日中の違いに加えて、スタジオジブリが求めるクオリティの高さに、SCLAは戸惑ったでしょうね。
星野 版元としてのスタジオジブリは大変厳しいですから……。
橋田 SCLAからはよく「マニュアルが欲しい」と言われたのですが、それが難しい。重要なのは、宮崎駿、高畑勲、鈴木敏夫、あるいは色で言うと保田道世という色彩設計担当から脈々と続く感覚的な部分。色にしても、マゼンダやシアンを何%ではなく、「もうちょっと明るく」とか「もう少し青みを強く」といった具合に、皮膚感覚で理解するしかないんです。
星野 その苦労の甲斐あって、2会場ともよい展示ができあがったと思います。開始以来、反応もよく、批判的な意見はほとんどないとか。
矢部 孫さんがネガティブな意見を探したけど、見つからなかったと言ってました(笑)。
橋田 僕は正直、初日を迎えた時、「やっとできた」「よかった」という安堵の気持ちでいっぱいでした。同じく苦労した森ビルのスタッフも嬉しそうだったし、矢部さんは満面の笑顔だし。今回の展覧会は森ビルだからこそ実現しえたと言っても過言ではないでしょうね。
※ 初出:プリント版「HILLS LIFE」2018年9月1日号
(Edit & Text by Ai Sakamoto)
④ 上海環球金融中心(上海ワールドフィナンシャルセンター)、wikipedia
上海ワールドフィナンシャルセンター(シャンハイワールドフィナンシャルセンター、中国語: 上海环球金融中心、英語: Shanghai World Financial Center, SWFC)は、中華人民共和国上海市浦東新区(金茂大厦421mの隣)に位置する超高層ビル。上海ヒルズとも。
⑤ 概要[編集]
所在地は上海市浦東新区世紀大道100。高さ492m。2013年9月現在世界第5位(中華人民共和国で第1位の高さ)の超高層ビルである。「最高フロア高さ」と「軒高」では台北101よりも高く、ブルジュ・ハリーファに次いで世界第2位である[1]。当初、完成すれば台北101が完成するまで世界一の高さとなる予定であったが、後述の事業凍結を挟んだ事で、結果的に世界1位の座は獲得できなかった。但し、展望台の高さ(地上474m)はブルジュ・ハリーファ竣工後も世界一を誇る。
延べ床面積は東京の六本木ヒルズ森タワーとほぼ同じ、約38万m2。総事業費は約1250億円。
⑥ 歴史[編集]
森ビルにとって、中国で3棟目のビル開発として計画された。前2棟が日本のゼネコンによる施工であったのに対し、SWFCは中国の建設会社への分離発注であり、それに際し、海外におけるコンストラクション・マネジメントという新たな取り組みを導入した[1]。森ビル等が出資する上海環球金融中心有限公司はプロジェクトの事業主体でありCMの担い手ともなった。
2001年の完成を目指して1997年10月に着工するも、基礎工事完了後、アジア通貨危機やSARS、日中関係悪化の影響を受け計画が頓挫した。この中断期間の間に大幅な設計変更を行い、ビル内部空間を広くするという流行の変化(当時)を受け、フロアの天井高を2500mmから2800mmに変更し、同時に建物規模を94階建から101階建(460m→492m)へ増やした[1]。これに際し、世界一高い展望台や最上部の穴も追加された。これら一連の変更について森ビルの森稔社長は後に「逆風をバネにして飛躍した」「中断期間があったから上海のランドマークは誕生した」と述べている[1]。
5年間の中断後、好調な中国経済に後押しされ2003年にプロジェクトが再始動、2004年11月に建設を再開した。2008年6月からテナントの入居が始まり、事業着手から14年の時を経て同年8月28日に竣工、8月30日から本格開業。開業前に現地で開いた記者会見で森稔社長は「日本では"無謀"と言われたが、やめようとは一度も思わなかった」と振り返り、「国際金融都市の新しい幕開け」と表現した[1]。翌日の地元紙の紙面でも1面に取り上げられる等、中国国内における注目度の高さを窺わせた[1]。
⑦ 主な施設[編集]
(世界で一番高い展望台の内)
(上海環球金融中心の位置(上海市))
94階・97階・100階:展望台
100階部分は地上より474mあり、2008年8月の完成時点では世界で一番高い展望台となった。97階はビル上部の台形部分の下底、100階はその上底部分である。100階の床は真ん中部分がガラス張りとなっており、はるか真下をガラス越しに眺めることが可能。それぞれ入場料が違い、94階までだと100元、97階までで110元、最高階の100階まで上がるには150元。94階は休憩の出来る広いホールと土産物屋があり、ビルの形そっくりの栓抜きが売られている(280元)。94階のトイレの外壁に面した一部はガラス張りとなっていて、ある意味世界一眺めのいいトイレともいえる。97階、98階、99階にまたがる台形の「穴」は見直し最終案で計画入りしたもので、風によるビルへの加重を軽減するためのものである。この穴の下部と上部にそれぞれ展望台がある。当初は、円形の「穴」であり、「月亮門」という中国庭園の壁にくりぬかれた円形の門をかたどったものとされたが、日本の日の丸に似ていて、「上海の空に日の丸を揚げるなんて許さない」、「高いところから日本が中国を見下すようだ」などといった中国側からの問題指摘があったため、現在の台形の栓抜き状の「穴」に変更された。91階 - 93階:飲食店
ホテル同様、ハイアットホテルアンドリゾーツによる経営。79階 - 93階:ホテル
ハイアットホテルアンドリゾーツグループが経営。名称は「パークハイアット上海」。客室数は約180室でスイートルームが中心。7階 - 77階:オフィス
金融機関を中心に、日本・ドイツなど外資企業が入居者の大半を占めており、約1万人が働く。28,29階には上海の金融情報の発信拠点となる、スタジオ等を備えたメディアセンターがある。
3階 - 5階:会議室
国際会議場地下2階〜3階:ショッピングモール
飲食店や販売店など約50店舗で構成される。ローソン、ファミリーマート、ABCクッキングスタジオ、ドコモチャイナ、JINSなどが出店している。