(津波被災者)
① ""インドネシア津波 避難は1万人以上 支援物資届かぬ地区も""
2018年12月24日 19時02分
インドネシアのジャワ島とスマトラ島の間の海峡で発生した津波では、これまでに281人の死亡が確認されているほか、避難している人の数は1万人を超え、必要な支援物資が届いていない地区もあり、地元政府などが対応を急いでいます。
インドネシアのジャワ島とスマトラ島の間のスンダ海峡で現地時間の22日午後9時半ごろ津波が発生し、防災当局によりますと、これまでにジャワ島とスマトラ島で281人が死亡、1016人がけがをしたほか、少なくとも57人の行方がわからなくなっています。
被害の状況はまだ把握できていない地域もあり、犠牲者はさらに増えるおそれがあるということです。
津波を引き起こしたスンダ海峡の火山の活動は依然として活発で、防災当局は住民たちを海から離れた場所へ避難させるなど警戒を続けています。
津波で多くの住宅が被害を受け津波への警戒も続いていることから避難している人の数は1万1687人に上っています。
被災地では食料や薬などの支援物資が届いていない地区もあり、地元政府などが物資の調達や輸送手段の確保といった対応を急いでいます。
🌊 津波は2回 最大4メートル
津波の専門家でインドネシア国家防災庁との共同研究プロジェクトに参加しているバンドン工科大学のハムザ・ラティフ教授は24日朝、地元のテレビ局に出演し、今回の津波は2回にわたって、沿岸部を襲ったと説明しました。
このうち大きな被害が出た地区では1回目の津波の高さが2メートルから3メートル、2回目の津波は4メートルに達していたと述べました。
また、ハムザ・ラティフ教授は火山が噴火してから1回目の津波が到達するまでの時間は28分だったとしたうえで、「火山活動を検知するセンサーが十分に機能していれば、少なくとも15分間、住民に避難を呼びかける時間があったのではないか」と述べ、火山活動にともなう津波の発生を監視するシステムの構築の必要性を指摘しました。
🌋 噴煙上がる火山の映像公開
インドネシアの航空会社「スシ・エア」は今回の津波を引き起こしたスンダ海峡にある火山「アナック・クラカタウ」を上空から撮影した映像を公開しました。
映像は津波の発生から20時間近くがたった現地時間の23日午後5時ごろに撮影されたものです。黒煙まじりの噴煙が勢いよく立ち上り、周辺にも広がって火山がある島を覆い尽くしていく様子が確認できます。
防災当局の報道官によりますと、この火山はことし6月から活動が活発化し、9月から今月にかけてはほぼ毎日噴火が確認されていたということです。
🌊 津波は噴火が引き金
インドネシアの気象当局は今回の津波の原因について、複数の要素が重なって起きたとしたうえで、スンダ海峡にある火山の噴火が引き金になったという見解を示しました。
インドネシアの気象当局は24日、記者会見を開き津波の原因について関係省庁と共同で調査・分析した結果を明らかにしました。それによりますと、スンダ海峡にある火山「アナック・クラカタウ」が噴火したことでこの火山島の南西部で海底の地滑りが発生し、噴火から24分後には津波が観測されていたことが明らかになったということです。
また現地は当時、大潮の時期と重なり被害が拡大した一因になったとしています。インドネシアの気象当局は今後も津波が起きる恐れがあるとして、しばらくの間は沿岸部に近づかないなど十分に警戒するよう呼びかけています。また、関係省庁と共同で火山の調査を続け、津波が起きたメカニズムをさらに詳しく解明することにしています。
★ リゾート地 コテージ全滅
パンデグラン県チャリタのリゾート地にあるコテージは津波の直撃を受けてほとんどの建物が全壊する被害が出ています。
津波が発生した当時は観光バスに乗ってやって来た大勢の観光客が休日を過ごしていたということで、地元メディアによりますと、これまでにおよそ70人の死亡が確認されています。
現場では警察などが行方不明者の捜索やがれきの撤去を続けていますが、重機が不足していることから作業は進んでいません。
★ 服や毛布など日用品が不足
津波で大きな被害を受けたパンデグラン県のラブアンという地区では、海から1キロほど離れた屋根付きのフットサルコートに政府が避難所を設置しています。ここにはおよそ400人の住民が避難しています。食料や水は届いていてボランティアなどによる炊き出しが行われていました。
一方で、服や毛布などの日用品が不足しています。インドネシアは現在、雨季で、断続的に強い雨が降る中、住民たちはやや寒そうな様子で疲れた表情で横になり休んでいました。
海岸沿いの家に住んでいたという50歳の女性は「津波で家が浸水したので、ここに避難して来ました。何も持たずに逃げて来ました。また津波があるかもしれないと近所の人に言われたので、家に戻れず、着替えの服がなく困っています」と話してきました。