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【ロイター】 1月4日15:02分、""オピニオン:平成に積み残した3つの宿題、技術革新が新時代のカギ=武田洋子氏""

2019-01-06 23:37:27 | 経済;投資、負け犬個人投資家の必死の反撃、統計・CP/AIを活用…

(東京・新宿のビル群)




1月4日、日本は平成30年間の大部分をバブル崩壊後の負の遺産への対応に追われ、低賃金の若者を生み出し、それが少子化という現在の社会的な構造問題を作り出したと、三菱総合研究所・チーフエコノミストの武田洋子氏は指摘する。写真は東京・新宿のビル群。2016年3月撮影(2019年 ロイター/Issei Kato)


① ""オピニオン:平成に積み残した3つの宿題、技術革新が新時代のカギ=武田洋子氏""

2019年1月4日 / 15:02 / 2日前

武田洋子 三菱総合研究所 チーフエコノミスト

[東京 4日] -

日本は平成30年間の大部分をバブル崩壊後の負の遺産への対応に追われ、低賃金の若者を生み出し、それが少子化という現在の社会的な構造問題を作り出したと、三菱総合研究所・チーフエコノミストの武田洋子氏は指摘する。

負の遺産の処理は進み、デフレではない状況まで経済は回復したものの、次の時代には持続可能な財政と社会保障制度の構築、国際競争力の回復という、未来に対して責任ある政策に取り組む必要があると話す。日本社会が人口減少に直面する中で、こうした問題を解決するには技術革新が欠かせず、労働市場の改革がカギになると分析する

同氏の見解は以下の通り。

🌸 <「就職氷河期」という人的資源の損失>

平成の30年間は日本にとって試練の時代で、大きく2つの特徴がある。

1つは1991年のバブル経済崩壊がもたらした負の遺産の処理に、多大な年月を費やしたことだ。1997年の山一証券、1998年の日本長期信用銀行と日本債券信用銀行の破たんは、不良債権問題がいかに深刻であったかを示している。りそな銀行が実質的に国有化された2003年辺りから株式市場はいったん回復に向かったが、デフレという失われた20年が続いたのも、結局はバブル崩壊の後処理に膨大な時間がかかったことに起因する。

重要なのは、これが単に金融システムの問題にとどまらなかったことだ。日本企業は「雇用を守った」と言われるが、それはあくまで既存の雇用についてであり、新卒採用は相当抑制された。若者が希望の仕事に就けない「就職氷河期」を生み、非正規雇用も拡大した。

 彼らが今、40歳代になっている。人的資源の大きな損失だ。バブル崩壊のしわ寄せは、好景気の恩恵を受けた世代を通り越して次の世代に行った。当時の経営者は、目の前にある雇用は守ったものの、その下の世代を犠牲にしたことをはっきりと認めなければならない。

このことが社会にもたらした悲劇は大きい。日本の人口ピラミッドは団塊の世代と、その子供たちである団塊ジュニアが2つのこぶになった「ひょうたん型」をしている。団塊ジュニアの子供世代がもう1つこぶを作っているべきだが、そうなってはいない。雇用が不安定化し、賃金も抑制された結果、団塊ジュニアの世代で出産が増えなかったためだ。日本の人口構造のゆがみはバブル崩壊と無関係に見えるかもしれないが、実はそれぞれ底流でつながっている。

 2つ目は自然災害だ。1995年の阪神・淡路大震災や2011年の東日本大震災、ほかにも多数の大地震や水害が発生し、もはや自然災害は異常事態ではなくなりつつある。多くの人命を奪った災害が相次いだにもかかわらず、その教訓はあまり生かされていない。

日本は高度成長期に住宅地を無制限に拡大させてきたが、人口減少社会を迎える中、今後も続くであろう災害を想定した国土利用を検討すべき時期に来ているのではないだろうか。


 🌸 <積み残した宿題>

平成の終盤で安倍晋三首相が打ち出した経済政策によって、バブル崩壊後の負の遺産の処理は進み、デフレではない状況まで経済は回復したが、次の時代に積み残した課題も多い。1つは財政健全化だ。政府債務残高の対国内総生産(GDP)比は、2018年に236.0%と、第2次世界大戦末期の水準を上回っている。持続可能でないことは明らかだ。

高齢化社会への対応も求められる。現在の医療・社会保障制度は、平均寿命が72歳だった50年以上前に作られたものだ。現在は寿命が84歳に延びる一方、団塊ジュニアに子供が少ないため、確実に支え手が減っていく。

団塊の世代が75歳以上になる2022年以降、医療費の自己負担が原則1割という後期高齢者の仕組みを続けられるのか、早急な見直しが必要だろう。同時に、生涯を通じて現役でいられる社会が実現できるよう地域レベルでシニアが活躍する場を作るほか、自立生活支援ロボットや、予防医療・介護のためのバイタル・データの有効利用など新技術の活用促進を組み合わせることが肝要だ。

さらに国際競争力の回復も焦眉の課題だ。スイスのビジネススクール、国際経営開発研究所(IMD)の世界競争力調査によると、日本のランキングは平成元年(1989年)の1位から2018年には25位まで低下した。

最近では、次世代通信規格「5G」などを巡る米中の激しいつばぜりあいが注目を集めている。究極的には世界の覇権争いだ。日本は技術面で脅威を与える存在ではなくなってきているため覇権争いに巻き込まれていない、という側面があることを深刻に受け止めるべきだ。

中国は2017年に国際特許出願件数で日本を抜き、米国に迫ろうとしている。量子コンピュータと人工知能(AI)では米中がしのぎを削り、次世代のスーパーコンピュータは中国が優位と言われている。

人口が減少していく日本は今後、経済規模でのプレゼンス後退は避けられない。世界への投資という点でも中国の巨大経済圏構想「一帯一路」に対抗できるような影響力の行使には限界がある。その中で日本が国際的なプレゼンスを維持するには、自由貿易の旗振り役としての姿勢を世界に示し続けること、そして、技術力・国際競争力の回復が重要になる。政府は次の世代に向け、ここに徹底的に力を入れるべきだ。


 🌸 <避けて通れない労働市場改革>

日本経済は人口減少という厳しい逆風にさらされてはいるが、労働や資本の量の伸び以外の全要素生産性(TFP)の伸びが、先進国のなかでも低いのは説明がつかない。社会的な課題を解決するために技術革新(イノベーション)を起こすことが、企業が追い求める成長の意義であり、そうしたイノベーションの結果として、大きな新市場を生み出すという考え方が大事だろう。

次々とイノベーションを生むために日本がもっとも構造を転換しなければならないのは、労働市場の在り方だ。職種間・企業間で円滑な労働移動が進まない限り、これからの環境変化に対応できない。

まず、少子高齢化や長寿化から労働供給の構造が変化する。また、需要面では、AIやロボティックスなどの新技術が人間のタスクを代替していく動きが広がる一方で、技術を活用し新たなビジネスを生み出す人材の需要が高まる。

これらの労働需給の両面を考慮した三菱総合研究所の分析では、労働需給の不足超過幅は2020年代前半まで広がるが、後半は不足幅が縮小し、2030年には解消に向かうとの試算結果が得られる。

しかし、問題は職種別のギャップだ。事務職や生産職における雇用の余剰感が増す一方、専門人材が170万人不足するとの結果が得られる。つまり、日本の労働市場の本質的な課題は、「人材の大ミスマッチ時代」を迎えることにある。

三菱総研では、今後必要となる人材像を明確化するため、「タスクの特性」に着目して人材を二軸上にマッピングし、日本の人材ポートフォリオの姿を描き出すことを試みた。日本では「定型的・手仕事的なタスク」の占める割合が44%と高い一方、「創造的・分析的なタスク」は16%と低い。モノのインターネット(IoT)やAI、ロボットよる業務自動化が進むことを考えれば、より創造性が求められる仕事にシフトしていかなければならない。

その対策として、まず、仕事の内容を細かく規定した「ジョブ・ディスクリプション(職務記述書)」の明確化が必須となる。そのうえで、質の高い学び直しを奨励し、新たに習得したスキルや知識を企業が評価する処遇制度へと、雇用慣行を見直し、より柔軟な労働市場を実現していく必要があろう。

平成の時代は負の遺産の処理に追われてきた分、これから迎える次の時代では、より持続可能な社会を求め、前向きな挑戦をしていく流れを作る必要がある。

安倍政権の「アベノミクス」で、負の遺産の処理は進み、現在の経済情勢は大幅に改善した。ここからは未来に対して責任ある政策がより重要となる。包括的で持続可能な社会を作るために長期的なビジョンを描き、企業も個人も、意志を持って、次の時代を切り拓いていく。そのような新時代の幕開けとなることを願っている。

 武田洋子 三菱総合研究所 チーフエコノミスト (写真は筆者提供)

*武田洋子氏は、三菱総合研究所 政策・経済研究センター長、チーフエコノミスト。1994年日本銀行入行。2009年三菱総合研究所入社。米ジョージタウン大学公共政策大学院修士課程修了。


☀ このリポートは自明なことなのに目を背けて面倒な事を避ける政治屋とエリート
  官僚、それに刹那的な楽しさに生きる多くの国民という組み合わせでは、行く着く先
  は見えています。既に将来を嘱望されている若手研究者は海外留学から閉鎖的な日本の
  大学や研究室には戻って来ない人数が年々、増加しています。そして、海外で起業しよう
  とする若者も増えています。
   なにしろ少子高齢化で老化し縮小する日本に何もこだわる必要は彼らにとっては
  ないのです。
   そして、現実は何かというと明治は良かったというお頭(つむ)が過去にトリップ
  している老害の権力者やトップが満ち溢れている国で、国内で社会改革や政治改革と
  いう茨の道を歩くより自分の才能に賭けて海外に飛翔しようとするのは当然の成り行き
  です。
   寂しい事ですが、これが現代の日本に存在する滔々たる大河の如き時世の流れです。


【hazard lab】 1月6日06:00分、""メキシコ沖M8.2地震「プレート全体を破壊!」被害激化のおそれ 京大""

2019-01-06 20:55:36 | 海外震災状況(異常気象;ハリケーン、火山・地震・津波・感染症…)

(2017年メキシコ南方沖で発生した地震の模式図(京都大学防災研究所))




① ""メキシコ沖M8.2地震「プレート全体を破壊!」被害激化のおそれ 京大""

 2019年01月06日 06時00分

2017年9月にメキシコ沖の太平洋で起きたマグニチュード(M)8.2の巨大地震について、京都大学防災研究所や米オレゴン州立大学などの国際共同研究グループは、「大陸の下に沈み込むプレート内のほぼ全部が破壊された可能性」を突き止めた。日本周辺でも、プレートの沈み込み帯で発生する地震が、従来の想定よりはるかに大きくなる可能性に結びつく研究だという。

 2017年9月8日、メキシコ南部チアパス州の沖合で発生したM8.2の地震が発生。中米一帯で最大70センチの高さの津波が発生し、同国内では倒壊した建物の下敷きになって200人以上が死亡した。


② 沈み込むプレートほぼ全体を破壊

(メキシコのM8.2地震は、古代の神殿も破壊した(MelitónTapia、INA) )




 京大防災研究所のエマニュエル・ソリマン・ガルシア特定研究員やオレゴン州立大のディエゴ・メルガー助教らのグループは、周囲で観測された地震動や地殻変動のデータを使って再解析した結果、断層の広がりが、これまでの想定より、はるかに深くまで到達していたことが判明した。
 
これは、プレートが沈み込んでいる海溝よりも海側で地震が発生したことが原因で、断層に沿って海水がプレート内部に移動したために、水を含んだ岩石ができた。この鉱物がプレートの沈み込みと一緒に地下深くに運ばれ、高温や高い圧力を受けると、岩石内の水が脱水。プレート内の強度が弱くなって、破壊が進んで、沈み込んでいるプレート内のほぼ全体が破壊された可能性があるという。


 ③ 昭和三陸地震でも…

(地震はグアテマラとの国境に近い南部の太平洋沖で発生した(USGS))




 メキシコ沖地震のような地震は、日本の沿岸部でも起きている。1933年3月3日に岩手県釜石市の沖合200キロで起きたM8.1の「昭和三陸地震」では、海抜28メートルを上回る高さの大津波が襲来し、死者・行方不明者約3000人の被害を引き起こした。

 今回の研究成果について、グループは「沈み込むプレート内で発生する地震の規模は、従来の想定よりも深部まで破壊が広がり、それに伴って、津波が大きくなる可能性がある」として、被害評価の見直しの必要性を指摘している。

 なおこの研究成果は2018年10月、科学誌『ネイチャー・ジオサイエンス』に掲載された。

【気象庁】 1月6日19:32分、長野県南部で最大震度2!!

2019-01-06 20:41:01 | ☀防災・自然災害/環境対策; 地震.津波.警報、気象・天気、…

(全体図)




(地域図)




(拡大図)




 ① ""各地の震度に関する情報""

平成31年 1月 6日19時35分 気象庁発表

6日19時32分ころ、地震がありました。
震源地は、長野県南部(北緯35.4度、東経137.7度)で、震源の深さは約10km、地震の規模(マグニチュード)は3.2と推定されます。
この地震による津波の心配はありません。

この地震により観測された最大震度は2です。

[震度1以上が観測された地点]
*印は気象庁以外の震度観測点についての情報です。

長野県  震度2  根羽村役場* 売木村役場*
     震度1  飯田市高羽町 飯田市上郷黒田*
          長野高森町下市田* 平谷村役場* 下條村睦沢*

岐阜県  震度2  恵那市上矢作町*
     震度1  中津川市福岡*

愛知県  震度1  豊田市足助町* 豊根村富山*

【NHK NEWS WEB】 1月6日18:15分、""最年少囲碁プロ棋士” 小4仲邑さん 井山五冠と対局""

2019-01-06 20:30:18 | 人間の限界に挑戦する世界の人々、創意・工夫・努力が未来を拓く!

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① ""最年少囲碁プロ棋士” 小4仲邑さん 井山五冠と対局""

2019年1月6日 18時15分

囲碁のプロ棋士に史上最年少の10歳でなることが決まった大阪市の小学4年生、仲邑菫さんと、去年、国民栄誉賞を受賞した井山裕太五冠の公開対局が6日に行われ、井山五冠は「自分の同じころとは比べ物にならないくらい強いと思います」と仲邑さんの実力を高く評価しました。

大阪市の小学4年生、仲邑菫さん(9)は5日、日本棋院が開いた理事会で、トップ棋士を育成するために新たに設けられた「英才特別採用推薦棋士」に選ばれ、ことし4月1日に史上最年少の10歳0か月で囲碁のプロ棋士になることが決まりました。

6日、仲邑さんは大阪・東大阪市で開かれた囲碁の大会に参加し、去年の小学生の部の優勝者として、地元出身で去年、国民栄誉賞を受賞した井山裕太五冠と公開対局しました。

対局は、井山五冠が目標だという仲邑さんが序盤から積極的な攻め手を見せ、途中までは互角の展開となりましたが、170手まで打ったところで大会の終了時間になり、勝負は引き分けとなりました。

仲邑さんは「井山さんと対局できてうれしかったです」と話していました。

井山五冠は「終盤は優勢になったが、途中までは明らかに押されていて、非常に苦しい対局でした。9歳でこれだけ実力があるのはすごいことで、自分の同じころとは比べ物にならないくらい強いと思います。今後が楽しみです」と話していました。

【NHK NEWS WEB】 1月6日18:38分、""戻りたいのに戻れない” 人手不足で住宅修復進まず 岡山""

2019-01-06 20:22:34 | 中国地方、岡山県  広島県  島根県  鳥取県 山口県

(人手不足で住宅修復進まず )




① ""戻りたいのに戻れない” 人手不足で住宅修復進まず 岡山""

2019年1月6日 18時38分西日本豪雨

西日本豪雨で大規模な浸水の被害が出た岡山県倉敷市真備町で、国が、住宅の修復工事に対応できるとした業者の多くが、人手不足を理由に仕事を受けられなくなっていることが、NHKの取材で分かりました。

西日本豪雨で、倉敷市真備町ではおよそ5400棟の住宅が水につかり、修復工事が進められています。

国土交通省は、岡山、広島、愛媛の3つの県で工事に対応できる業者の情報をホームページで公開していますが、NHKが倉敷市に事業所がある37社に取材したところ、半数以上の21社が「被災者からの注文は受けられない」と答えました。

理由として、ほぼすべての社が人手不足をあげています。
被害を受けた住宅が多いことに加えて、全国で相次いだ災害の復旧工事や東京オリンピックに向けた建設工事の影響もあるとみられています。

国土交通省に情報を提供した業界団体の1つは「業者の仕事の機会を奪うことがないよう、一括して『対応可能』と回答している」としています。

一方、国土交通省の担当者は「ホームページには、業界団体からの情報をそのまま掲載していて、詳しい事情は把握していない」と話しています。


② 注文受けきれず 業者の事情

倉敷市にある三宅隆司さん(37)が経営する建設会社も、人手が足らず、新たな注文を受けるのは難しいといいます。

倉敷市真備町出身の三宅さんの会社には、豪雨の直後から知り合いの紹介などで修復の依頼が殺到しました。

会社には、三宅さんを含めて大工は3人しかいませんが、すでに10件の注文を抱えています。水につかった住宅の修復は、壁をはがしたり、断熱材を交換したりと一般的なリフォームより大規模な工事が必要で、1件を終えるのに半年ほどかかるといいます。

これまでに4件の工事に着手しましたがまだ1件も終わっておらず、10件すべてを終えるには少なくとも2年はかかる見通しです。

できるだけ多くの注文を受けたいと、県内外の知り合いの業者に大工を派遣してもらえないか相談してきましたが、人手不足はどこも同じで、応援の大工は確保できないといいます。

そのため、修復工事の相談があるたびにいつ、工事を始められるかやいつまでに終えられるかは全く見通しが立たないと説明しているということです。

三宅さんは「ふるさとの復興のためにできればすべての注文を受け、すぐに直してあげたいのですがとても応じきれません。この状態が続けば町から住民がいなくなってしまうのではないかと不安を感じます」と話していました。


 ③ 国交省のHP「対応可能」のはずが…

国土交通省は、豪雨発生直後の去年7月下旬からホームページで被災した住宅の修復工事に対応できる業者の情報を公開しています。

業界団体から月に1回ほどのペースで集めた情報を掲載しているということで、被災者からの注文に対応可能かどうかを「○」、「△」、「×」の3つに分けて表示しています。ところが先月中旬、「対応可能」として「○」印がつけられていた倉敷市内の内装工事業者に取材したところ、「注文には対応できない」と答えました。

担当者は、「修復工事を希望する人があまりにも多い。県外の工務店に大工の応援を頼んでいるが、ほかの業者からも応援の依頼が相次いでいるようで確保できない」と話していました。

また、同じように「対応可能」とされていた倉敷市内の建築業者は「いま受注している工事を終えるだけでもことし秋ごろまでかかってしまうので、とても新たな注文は受けられない」と答えました。

このほか、「すべての工事を終えるには1年以上かかる」と答えた業者も複数あり、多くの業者が深刻な人手不足を理由に被災者からの注文を断らざるをえない現状が浮き彫りになっています。

さらに、「対応可能」とされながら、注文を受けられないと答えた業者の中には、「国土交通省のホームページで自分の会社が紹介されていることを知らなかった」とか、「橋の修復工事が専門で、そもそも住宅の修復工事は行っていない」というところもありました。


 ④ 自宅を直せない住民は

業者が見つからず、自宅の修復にめどが立たないことから、ふるさとに戻るのをあきらめることを考え始めた人もいます。

倉敷市真備町で整骨院を営む森永竜之さん(45)は、去年7月の豪雨で職場と自宅を兼ねた建物が2階まで水につかり、全壊と判定されました。

真備町で生まれ育った森永さんは、「また水害に襲われるかもしれない」という思いは消えませんが、多くの患者が待つ職場や、娘が通う小学校のある真備町で暮らし続けたいと、自宅を修復することにしました。

しかし、豪雨から半年がたっても、修復してくれる業者が見つかりません。これまでに10社ほどに相談しましたが、「順番待ちでいつ工事を始められるかわからない」とか、「いま受けている注文だけで手いっぱいで新たな工事はできない」などと断られ続けているといいます。

「自宅を直して、ふるさとに戻りたい」という願いはかなわないまま、真備町から20キロほど離れた岡山県浅口市にある「みなし仮設住宅」で新年を迎えました。

森永さんは、このまま業者が見つからなければ真備町に戻ることを諦め、違う場所に自宅を再建することも考え始めています。

森永さんは、「自宅を修復するのがこんなに難しいとは思っていませんでした。みなし仮設住宅の入居期限は原則2年なので、すでに4分の1がすぎ、あせりを感じています。真備町に戻りたいのに戻れないのはつらいです」と話していました。


 ⑤ 人口減少加速のおそれ

倉敷市のまとめによりますと、住民基本台帳に基づく先月末時点での倉敷市真備町の人口は、2万818人となっています。

西日本豪雨直前の去年6月末には2万2797人でしたが、その後、先月まで6か月連続で減少していて、この半年で2000人近く減ったことになります。

自宅を修復したくても業者が見つからないという状況が続けば、ふるさとに戻ることを諦める人が増えて人口の減少が加速するおそれがあり、早急な対策が求められています。