※ お屠蘇をゆっくりと飲んでいる暇がないようです。2019年の重要な情報や
ニュースが続々と入ってきます。
さて、今年は東京市場10連休などと休んでいる暇が許されるような市場環境なら
良いのですが…。
(NY証券取引所)
12月26日、トランプ対抗馬から株価まで、いくつかの重要な問題について2019年の展開を予想してみた。NY証券取引所で24日撮影(2019年 ロイター/Lucas Jackson)
① ""コラム:株からトランプ対抗馬まで、2019年の世界を予想""
2019年1月1日 / 00:41 / 12時間前更新
Harold Evans
[26日 ロイター] -
2020年の米大統領選に向け、現職トランプ氏に対抗するために野党・民主党は同年7月の党大会で誰を正式候補に指名するのか、1年7カ月にわたり波乱に満ちた日々が続くだろう。
前回の大統領選挙では、共和党の主要候補は17人を数えた。目先の利く資金はフロリダ州知事のジェブ・ブッシュ氏に集まった。だが彼は2016年2月に撤退を表明。5月には、トランプ氏が明らかに最有力候補として台頭していた。
これほどまでに、この種の予測は難しい。それでも、いくつかの重要な問題について来年の展開を予想してみた。
●民主党の顔になるのは
民主党の候補者指名でまず最初に問題となるのは、トランプ氏にいかに「舌戦」で引けを取らないようにするかだ。16年の選挙戦で、トランプ氏よりかなり背の低い民主党候補のヒラリー・クリントン氏に発言の順番が回ったとき、トランプ氏はまるで映画『ジョーズ』のサメのように彼女の周囲を回って威嚇するような態度に出たが、民主党としては、彼がこうしたトリックを繰り返したとき、引き下がるよう一喝するか笑顔で黙殺できるような候補者を探す必要がある。
そこで期待されるのは、ウィリアム・マクレイブン退役海軍大将だ。彼はまだ出馬を表明していないが、5月には回想録を出版する予定であり、彼がどれほどのヒーローであったかは誰もが思い出すだろう。海軍特殊部隊シールズの指揮官だった彼が、地球上で最も立派な履歴書を用意できることは確かだ。彼はアルカイダ指導者ウサマ・ビンラディン容疑者の殺害作戦を立案・指揮した。もっともトランプ氏に言わせれば、「私が大統領だったらもっと早く済んでいた」らしい。言わせておこう。
テキサス大学システム元総長のマクレイブン氏は、勇敢で頭脳明晰であるばかりか、雄弁家であり、トランプ氏がはっきりした事実の裏付けなしに浴びせるぶしつけな侮辱的言辞を、きっぱりとはねつける冷静さを持ち合わせている。
トランプ氏は、恐らく執念深い怒りによるものだろうが、ジョン・ブレナン元CIA長官から機密情報へのアクセス権限を取り上げることで、制服組の伝統的な自制心を試してみせた。マクレイブン氏はワシントン・ポスト紙への寄稿の中で、トランプ氏に対し「私の権限も取り上げればいい」と語りかけた。「あなたは子どもたちの見ている前でわれわれに恥をかかせ、世界という舞台でわれわれを侮辱し、何よりも悪いことに、われわれ国民に分断をもたらした」と。
彼の沈着な性格と、国事にまい進する完璧な姿は、特にマティス国防長官の衝撃的な辞任の後では、米国民の望む政治家像かもしれない。
アダム・シフ下院議員(カリフォルニア州選出)も期待の星である。今ほど正義を提唱する人が必要とされる時代はない。来年1月の新議会で下院情報特別委員長に就任するシフ氏は、トランプ大統領が抱える少なくとも片手を超える数のロシア疑惑に関する調査に同委員会が乗り出す上で大きな役割を果たした。シフ氏はニューヨーカー誌への寄稿の中で、「トランプ氏は、火の粉が降りかかっても怖じ気づかないような有権者を生み出した」と書いている。
また、スターバックス創業者のハワード・シュルツ氏は、人々をカフェアメリカーノやアイスカプチーノ中毒にした張本人だ。トランプ氏が全力で「つぶし」にきても動じないだけの向こう気の強さや知名度がある。マーケティングの天才で、間違いなく雇用も生み出している(最新のデータによると、スターバックスは27万7000人を雇用)。2月に予定されている新著の発売が、大統領選に向けた選挙運動の幕開けとなる可能性は高い。
女優で人気司会者のオプラ・ウィンフリー氏は大統領選には出馬しないと表明している。だが11月1日に、ジョージア州知事選のステイシー・エイブラムズ候補の遊説で彼女が行った応援演説は感情に強く訴えるものであり、彼女がパワーアップした女性版「オバマ」になり得ることを示した。本人が抵抗できないほど「オプラを大統領に」の声が高まる可能性はある。
●気候変動対策はどうなる
世界気象機関の気象予報官らは、2019年に襲来するハリケーンなどの熱帯性暴風雨について、あらかじめ名称を与えている。最初は「アンドレア」で、これはさほど激しくないかもしれない。そして最後は「ウェンディ」あたりで終わる。気候変動否定論者はいつものルールに従うだろう。つまり、天候が異常さを増すほど、すばやく話題を変えるという流儀だ。
だが、現実はそうはいかない。乾燥しきったカリフォルニアは、史上最悪の犠牲者と被害を出した山火事シーズンを経験した。少なくとも86人が死亡し、190万エーカー近くが焼失し、人口2万6000人の町が灰燼(かいじん)に帰した。ハリケーン「フローレンス」と「マイケル」は東海岸を襲い、大勢の死者と330億ドル(約3.7兆円)の損害が生じた。
世論は、基礎となる科学を支持する方向に向かっている。8月、地球は急速に恒常的な「温室」状態に向かっていると警告する科学論文が大きな話題を呼び、数日の間に27万件という前例のないダウンロード数を記録した。
数カ月後、国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)と米国政府は、これまでで最も厳しい気候評価を発表した。その警告を裏付けるかのように、今年の酷暑は死者さえ出て、報道の見出しは最高気温の記録更新を告げた。その一方で、世界の二酸化炭素排出量は3年にわたる横ばい状態の後、「加速する貨物列車のように」上昇した。
だが、早い時期にトランプ氏の別荘「マール・ア・ラーゴ」が洪水に襲われでもしない限り、2019年あるいはそれ以降も、顕著な変化をもたらそうとする活動家たちは、化石燃料企業の根強い影響力に挑んでいかなければならないだろう。地球温暖化の否定論は突如出現したわけではない。それは、事業を存続させるために改革を阻止・遅延させようとする化石燃料企業によって考案され、練り上げられてきたのである。
ロサンゼルス・タイムズ紙などの調査報道が明らかにしているように、米石油大手エクソンは早くも1970年代には、人為的原因による気候変動に関する「科学界の一般的な同意」を密かに認めていたが、これが暴露されることで自社のビジネスモデルが脅かされることのないよう、状況を混乱させようと決意していた。
エクソンは共和党内に熱心な同志を見つけた。ジョージ・W・ブッシュ氏のコンサルタントだったフランク・ランツ氏は、私的な文書に単刀直入にこう書いている。「科学的な論争に決着がついたと人々が信じるに至れば、地球温暖化に関する彼らの意見もそれに応じて変わるだろう。したがって、この議論においては、科学的な確証が不足していることを主要な論点にし続ける必要がある」
こうした「不確実性」と称するものがトランプ氏に影響を与えている。気候変動の科学に関するトランプ氏の推論は、煎じ詰めれば次のようになる。「気候は存在すると思う。変化も存在すると思う。気温は上がったり下がったり、そしてまた上がるだろう。何年、何世紀という単位で変動する。だが私は考えるタイプではないし、われわれははるかに大きな問題を抱えている」
●フェイスブックは変わるか
何十億ドルも稼ぐという意味で、フェイスブックには素晴らしいビジネスモデルがある。だが来年、マーク・ザッカーバーグCEOやシェリル・サンドバーグ最高執行責任者(COO)が自らのこれまでの行為が基で「報い」を受けるのだろうか。
2014年6月以降、プライバシー保護の不十分さや、ロシアの工作員に広告枠を販売し選挙干渉に利用されたこと、ミャンマー軍部に同国内の少数民族ロヒンギャに対する暴力を誘発するツールを与えたことが暴露された。同社ようやくコンテンツの内部規制に取り掛かったのは、マスコミや人権活動家らが警鐘を鳴らした後だった。
ザッカーバーグ氏とサンドバーグ氏は、ロシアの活動を示すさまざまな兆しを無視し、著名投資家ジョージ・ソロス氏がフェイスブックとグーグルのことを社会の「脅威」として批判すると、共和党系の広告会社を雇って身辺を調べたとも伝えられている。
こうした貪欲と怠慢を示す記録のクライマックスは、英国議会の委員会が12月に公表した電子メールである。ニューヨーク・タイムズ紙のケビン・ルース氏の言葉によれば、それらのメールは、フェイスブック幹部らが「ユーザーからより多くのデータを収集し、開発者から譲歩を引き出し、競合しそうな相手をたたきつぶそうという野心において、冷酷かつ無慈悲であった」ことを示すものだった。
米国では、このセクターがどのように機能しているか、議会はまったくといっていいほど無知である。欧州の方がもっとやる気を見せている。欧州連合(EU)は今年、「一般データ保護規則(GDPR)」を制定して、加盟各国の国民に個人情報を自分たちの手でコントロールできる仕組みを構築した。もっとも、この改革については米国では十分に報道されていない。2019年には何百万ドルもの罰金が科せられると予想されるが、遵守義務を課せられるのは主にブランドや広告出稿企業であり、ソーシャルメディアサイトそのものではない。
こうした中でフェイスブックは来年、状況改善に向けて自ら目を覚ますのか。それとも、規制当局からの一撃を待つだけなのだろうか。
●奇妙なマネーの動き
トランプ・ナショナル・ゴルフクラブで開催されたチャリティー大会でホールインワンを決めたゴルファーが、100万ドルの賞金を手にしたのを覚えているだろうか。ただし、実際には彼は「手にして」いない。このゴルファーは賞金の支払いを拒まれ、彼が選択した15万8000ドルの寄付をトランプ財団が拠出することで決着した。
同財団の資金は、チャリティーオークションに出品されるアイテムを購入するためにも使われた。NFLデンバー・ブロンコスの元クォーターバック、ティム・ティーボウのサイン入りヘルメット(1万2000ドル)や、全高約1.8メートルのトランプ氏の肖像(2万ドル)、同じくトランプ・ナショナル・ドーラル・マイアミに飾られていた約1.2メートルの肖像(1万ドル)などである。
これらは、ワシントン・ポスト紙のデービッド・A・ファーレンソールド記者が暴露した、トランプ財団の度重なる不祥事の一部にすぎない。ニューヨーク州のバーバラ・アンダーウッド司法長官は、トランプ氏がチャリティーによる資金を自分の政治的・個人的利益に流用し、「言語道断なまでの違法行為」に携わっているとして提訴した。
トランプ氏はこれについて「私は『正義』のダブルスタンダードを目の当たりにしている」と強く非難したが、アンダーウッド氏の後継となったレティシア・ジェームズ氏は、2019年に向けて、この怪しげな慈善団体の解散手続きを進めている。トランプ一族が非営利団体で働くことが禁止され、ニューヨークで同一族が行った取引に複数の捜査が入ることが予想される。
●株式市場の行方
2018年の乱高下を踏まえ、投資家はとにかく周囲のあらゆる動きに目配りしようとするだろう。
確実性をもたらし、道を踏み外さないようにする最も簡単な方法は、伝説の銀行家ジョン・ピアポント・モルガンに相談することだ。故人である以上、直接電話することはできないが、彼が行った助言は数えきれないほどの危機においてずっと有効性が証明されてきた。
モルガンは投資家から「株式市場にはどうなるのか」と聞かれると、長らく間を置いて「(不規則に)変動するだろう」と答えた。
*筆者はロイターのエディター・アット・ラージ。英サンデー・タイムズ紙(1967─81年)、英タイムズ紙(1981─82年)のエディターを歴任。ランダムハウス社長兼発行人も務めた。著書に「The American Century」など。