※ 本日、 最後の記事のUPです。
① ""観測ロケットS-310-45号機 打上げ結果について""
2020年(令和2年)1月9日
国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構
国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、2020年(令和2年)1月9日(木)、「高精度ペイロード部姿勢制御技術(慣性プラットフォーム)」と「ロケットから離れた位置のその場観測技術(小型プローブバス技術)」の実証実験を目的とした観測ロケットS-310-45号機を内之浦宇宙空間観測所から打ち上げました。
ロケットは正常に飛翔し、内之浦南東海上に落下しました。
ロケット飛翔結果ロケット機種・号機打上げ時刻
(日本標準時)発射上下角最高到達高度着水時刻
S-310-45 | 17時00分00秒 | 75.5度 | 131km(打上げ178秒後) | 打上げ352秒後 |
なお、打上げ時の天候は晴れ、南西の風2.0m/秒、気温12.9℃でした。
これをもちまして、観測ロケットS‐310‐45号機実験は終了となります。
今回の観測ロケットS-310-45号機打上げ実施にご協力頂きました関係各方面に、深甚の謝意を表します。
今回の観測ロケットS-310-45号機打上げ実施にご協力頂きました関係各方面に、深甚の謝意を表します。
観測ロケットS-310
S-310は、大気中から機体に積極的にスピンを与えて早期に共振状態を通過させ、共振状態の持続を避けると共に、共振時に生じた姿勢の乱れをその後の空力的ダンピングによって整定させる方策が採られた単段式ロケットである。
S-520 S-210
S-310型ロケットは単段式で直径310mm、打上げ時の重量約700kgで、高度約150kmに到達する能力を有しています。
前身のS-300は、S-210とほぼ並行して南極観測ロケットを目指して開発が進められました。PT-300の名で1966年(昭和41年)秋に行われた第1回飛翔実験では、高度160kmをマークしました。しかし、引き続く3回の飛翔実験中2回まで燃焼中に機体に異常を生じ、不具合解析からピッチ・ロール共振による機体迎え角の異常な増大が有力な原因であると推定されました。
S-310では、大気中から機体に積極的にスピンを与えて早期に共振状態を通過させ、共振状態の持続を避けると共に、共振時に生じた姿勢の乱れをその後の空力的ダンピングによって整定させる方策が採られています。
スピンは機軸を含む面に対し尾翼全体を約0.8度傾けて取り付けることによって与えられ、燃焼終了時(点火後29秒)における設計最終スピンは2.8Hzです。推力曲線は最適推力計画に従って初期に最大推力を持ち空気力が卓越してくる後期には低推力が持続するような設計になっており、これにより到達高度を増大し、動圧を抑えて空力加熱が緩和されるよう工夫されています。
チェンバーはクロムモリブデン鋼で、ブタジエン系推薬を用いたグレインは2種類のワゴンホイールの組合せからなっており、後部が先に焼失することにより上述の推力曲線を得ています。
尾翼はチタンの一枚板、オージャイブ形状の開頭部はCFRP製です。科学観測時にスピンを1Hz程度にさげる目的から、計器部には、発射後50秒に作動するヨーヨーデスピナが装着されています。
1975年1月のS-310-1号機以来、2014年9月末の時点で、内之浦で39機、ノルウェーのアンドーヤ・ロケット基地で4機、南極で7機が打上げられ、すべて成功して今日に至っています。
S-310 ロケットで行われた最近の観測
打上げ日ミッション
2016年1月15日 | 電離圏プラズマ加熱現象の解明 |
2014年8月4日 | ロケット慣性飛行中の二相流挙動及び熱伝達特性の観測 |
2013年7月20日 | 電離圏大気中で発生している電磁気的相互作用と電離・中性大気相互作用の全容を明らかにする |
2012年8月7日 | 小型インフレータブルカプセルの飛行実験 |
2011年12月19日 | 夜間中緯度電離圏領域における電波伝搬解析 |