気まぐれ子猫に滑り込んだ車の中で私は額か汗を流し混乱していた。
この状況はどう言う事なんだろうか?
いわゆる、世間一般的な判断として、この手のホテルはそう言う事につながるモノだとの認識があった私は全身の血が脳天に上った感じで過熱し、汗が湯気となって蒸発した。
私は何か言わなくては、と思い口を開くのだったがからからに乾いた喉からは言葉にならない声が出るばかりで話にならなかった。
彼女が言った「もうお気づきとは思いますが、今貴方様はいつもの世界とは違う所にいるのです」「残念ですが残された時間も少ないのできちんとした説明は出来ませんが、夢の世界の中なのだと思って頂ければよろしいと思います」
私は今日一日のまったく常識はずれな展開を何一つ不思議だとも異常だとも思わずにいた訳であります。
そっかぁ~、そーだよなぁ、今日の一連の出来事はタヌキのお父さんの遺言からだものな、入り口からして夢でなくちゃ成り立たないよな、と、私は思いつつ、と、言う事は、俺は眠っているのか?だから自分がハンドルを切ってもいない車がホテルに入っちまったのか?と、言う事は、これは俺の願望なのか?妄想なのか?あぁ、嫌らしい妄想だ、たとえ相手はタヌキの娘とは言えこれはいけない妄想だ。
いや、こんな不健全な妄想は良く無い・・・そうだ、サイゼリアに行って夕食にしよう。
私は彼女に「あのぉ、お腹はすいていませんか?僕は腹ぺこなんですが、すぐ近くのファミレスで何か食べませんか?」と顔色を伺いなが言ってみた訳です。
彼女は少し間を置いてこう言いました「ですから、時間が無いのです。あなたには地図に書かれた祠へ行って宝物を手にして頂かなくてはならないのです。本当はこう言うとペナルティーなんですが言ってしまいましょう・・・あなたが本気で祠へ宝物を取りに行くと思って下さるだけで良いのです。念じて頂けば直ぐさまあなたは祠の前に立つ事になるのです」と、懇願するように言うのでありました。
少しですが気持ちが落ち着き、しかも今は夢の中なのだとからと、彼女に少し意地悪な質問をしたくなったのでぁります。
そして「私はこのホテルへ入るつもりなど全く無かったのに勝手に車が動いて来たのですが、それはあなたの意思だったのですか?」と尋ねた訳であります。
すると彼女は少し怒ったような顔をして「それは、私はあなたの心を読んだからでございます。あの時、あのカーブを曲がる手前であなたは、この先にあるホテルに知らん振りして入ったら私がどう思うかな?と、考えているのを知ったので、あぁ、あなたはそう言う事が望みなのだと察しての事でございます。私の意思では有りません」と言った。
それを聞いた私はもう一段と意地悪になり「それじゃぁ、そう言う事に成っても良いと思ったと理解して良いのですか?」と、少しねちっこい言葉で尋ねてみた訳です。
すると彼女はもう一段と怒った感じで「あなた、さっきからあれこれと私に聞きますけど、結局はそうしたいんでしょ、だったらさっさと行動に移しなさいよ」と、口調も言葉もうって変って乱暴に言ったのでありました。
すると、とてもUターンなど出来るはずの無い車線の道で車は難なく向きを変え、そして、瞬きする間にまた気まぐれ子猫に逆戻りしていたのであります。
さて、とうとう車を降りて歩き始めたのですが、このような場所は二人とも初めてなので勝手が分からない訳であります。
「ねぇ、あなたが決めたんですから、ちゃんとしてくれなくては困りますから」と彼女は言うのだけれども、出張で泊まるビジネスホテルくらいしか知らない私はまごついていたのでありました。
「あそこから入るんじゃない?どう見てもあそこしか無い感じですもの」と彼女に促され、一段明るい所を入ってゆくと、はたして、そこはいわゆるホテルのフロントのようでありました。
その時私は内心では「なんだよ、俺の心の内まで読んでいたのに、こんな事が分からないのかよ」と思った訳であります。
あっ、そうか、と閃いた私は彼女の顔を覗き込み「緊張してるの?」と訊いてみた訳であります。
すると少し呆れた感じの声で「バーカ」と大きな口を開けて言いました。
その時、彼女の歯が少し鋭い事に気がつき、ああ、そうだった、彼女はタヌキだったんだと思い出した次第であります。
入ってしまえばどうと言う事も無い普通よりは少し大きめなベッドが有り、何となく楽しい雰囲気の部屋でありました。
しかし、夢の中なのだからと大胆な言動と行動に出た私ではありましたが、しかし、たとえそれが夢と分かっていても、この期に及んで躊躇してしまうのであります。
私は部屋の中の扉を開けては「へぇ~お風呂だ、湯船おっきい」などとあらぬ事を口走っているのでありました。
「あっ、ビールがある。俺、飲もうっと。ねぇ、飲む?」と私が言うと、彼女は泣き出しそうな顔で「お願い、もう時間が無いの、助けると思ってた抜きの祠へ行く気になって下さい。そうしてもらわないと私、また落第なの」と言って、とうとう本当に泣き出してしまった。
つづく。
読みかえし無し、一気なので誤字脱字簡便です。
この状況はどう言う事なんだろうか?
いわゆる、世間一般的な判断として、この手のホテルはそう言う事につながるモノだとの認識があった私は全身の血が脳天に上った感じで過熱し、汗が湯気となって蒸発した。
私は何か言わなくては、と思い口を開くのだったがからからに乾いた喉からは言葉にならない声が出るばかりで話にならなかった。
彼女が言った「もうお気づきとは思いますが、今貴方様はいつもの世界とは違う所にいるのです」「残念ですが残された時間も少ないのできちんとした説明は出来ませんが、夢の世界の中なのだと思って頂ければよろしいと思います」
私は今日一日のまったく常識はずれな展開を何一つ不思議だとも異常だとも思わずにいた訳であります。
そっかぁ~、そーだよなぁ、今日の一連の出来事はタヌキのお父さんの遺言からだものな、入り口からして夢でなくちゃ成り立たないよな、と、私は思いつつ、と、言う事は、俺は眠っているのか?だから自分がハンドルを切ってもいない車がホテルに入っちまったのか?と、言う事は、これは俺の願望なのか?妄想なのか?あぁ、嫌らしい妄想だ、たとえ相手はタヌキの娘とは言えこれはいけない妄想だ。
いや、こんな不健全な妄想は良く無い・・・そうだ、サイゼリアに行って夕食にしよう。
私は彼女に「あのぉ、お腹はすいていませんか?僕は腹ぺこなんですが、すぐ近くのファミレスで何か食べませんか?」と顔色を伺いなが言ってみた訳です。
彼女は少し間を置いてこう言いました「ですから、時間が無いのです。あなたには地図に書かれた祠へ行って宝物を手にして頂かなくてはならないのです。本当はこう言うとペナルティーなんですが言ってしまいましょう・・・あなたが本気で祠へ宝物を取りに行くと思って下さるだけで良いのです。念じて頂けば直ぐさまあなたは祠の前に立つ事になるのです」と、懇願するように言うのでありました。
少しですが気持ちが落ち着き、しかも今は夢の中なのだとからと、彼女に少し意地悪な質問をしたくなったのでぁります。
そして「私はこのホテルへ入るつもりなど全く無かったのに勝手に車が動いて来たのですが、それはあなたの意思だったのですか?」と尋ねた訳であります。
すると彼女は少し怒ったような顔をして「それは、私はあなたの心を読んだからでございます。あの時、あのカーブを曲がる手前であなたは、この先にあるホテルに知らん振りして入ったら私がどう思うかな?と、考えているのを知ったので、あぁ、あなたはそう言う事が望みなのだと察しての事でございます。私の意思では有りません」と言った。
それを聞いた私はもう一段と意地悪になり「それじゃぁ、そう言う事に成っても良いと思ったと理解して良いのですか?」と、少しねちっこい言葉で尋ねてみた訳です。
すると彼女はもう一段と怒った感じで「あなた、さっきからあれこれと私に聞きますけど、結局はそうしたいんでしょ、だったらさっさと行動に移しなさいよ」と、口調も言葉もうって変って乱暴に言ったのでありました。
すると、とてもUターンなど出来るはずの無い車線の道で車は難なく向きを変え、そして、瞬きする間にまた気まぐれ子猫に逆戻りしていたのであります。
さて、とうとう車を降りて歩き始めたのですが、このような場所は二人とも初めてなので勝手が分からない訳であります。
「ねぇ、あなたが決めたんですから、ちゃんとしてくれなくては困りますから」と彼女は言うのだけれども、出張で泊まるビジネスホテルくらいしか知らない私はまごついていたのでありました。
「あそこから入るんじゃない?どう見てもあそこしか無い感じですもの」と彼女に促され、一段明るい所を入ってゆくと、はたして、そこはいわゆるホテルのフロントのようでありました。
その時私は内心では「なんだよ、俺の心の内まで読んでいたのに、こんな事が分からないのかよ」と思った訳であります。
あっ、そうか、と閃いた私は彼女の顔を覗き込み「緊張してるの?」と訊いてみた訳であります。
すると少し呆れた感じの声で「バーカ」と大きな口を開けて言いました。
その時、彼女の歯が少し鋭い事に気がつき、ああ、そうだった、彼女はタヌキだったんだと思い出した次第であります。
入ってしまえばどうと言う事も無い普通よりは少し大きめなベッドが有り、何となく楽しい雰囲気の部屋でありました。
しかし、夢の中なのだからと大胆な言動と行動に出た私ではありましたが、しかし、たとえそれが夢と分かっていても、この期に及んで躊躇してしまうのであります。
私は部屋の中の扉を開けては「へぇ~お風呂だ、湯船おっきい」などとあらぬ事を口走っているのでありました。
「あっ、ビールがある。俺、飲もうっと。ねぇ、飲む?」と私が言うと、彼女は泣き出しそうな顔で「お願い、もう時間が無いの、助けると思ってた抜きの祠へ行く気になって下さい。そうしてもらわないと私、また落第なの」と言って、とうとう本当に泣き出してしまった。
つづく。
読みかえし無し、一気なので誤字脱字簡便です。