満月が美しい。母がいたころは、縁側に芒、桔梗の花を挿し、15個の団子をお供えお月見をしたものだ。
母が亡くなって、何もしなくなったが、月があろうがなかろうが、私にとって空はどこよりも、ひと懐かしく心癒される。
土曜日午前10時から「題名のない音楽界」は特別好きという番組でもないが、何故かこの番組の歴史に、哀しみに似た親しみを覚え、夜空に向ているような気分になる。
この番組が1964年8月に始まったのは私が交通事故で倒れる1か月前で、闘病生活に入った22歳で、世界一長寿番組として、ギネス世界記録に認定されたのは2009年放送開始45年目である。
番組の歴史はそのまま私の闘病生活と重なって、思い出すたびに、多くの人に支えられて生きてきた命であることを思い起こさずにはいられない。そのお世話になった人の多くはもうこの世にはいない。
早く楽になりたいと思う時もあるが、やはり頑張って生きなければと思わされる一時だった。
先週は「魔物がひしめく異界描いた名曲集」だった。クラシックの名曲の中に、闇に潜む魔物や謎の道化師など、不思議な世界を描いたものが数多くあるという。
それにしても、CMのないせいか、つい曲の中に引き込まれ、次第に深まってくる緊迫感の中で寒気を感じたものだった。芸術の凄さを思う。写真は福島民報より、鶴ヶ城の名月。
明日は十六夜の月である。