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先生の言葉

2013-06-07 23:34:26 | 学・楽・感
同窓会があったことで思い出したことがあります。

中学3年生、担任はそれまで学年で担任を持っていなかった先生でした。
これは珍しいことだと思います。
学年ごとに先生がほぼ一括りになっていて、
クラス替えの度にその中の先生がどれかのクラスを担任するのが普通でした。
まして3年ともなれば高校入試に向けて、
それまでなんらかの関わりのある先生の方が良いに決まっています。
しかし、その年、適任の先生が一人足りなかったのです。
そんなわけで、学年のクラス担任はもちろんのこと、
教科担当にも入っていなかった先生が突然クラス担任に抜擢されたのです。

35年以上前の中学というのは各学年10クラス近くありました。
その分職員室も大所帯で、名前も知らない先生が大勢いらっしゃいました。
そんな中で、固い理科の先生であるにもかかわらず、
面白い先生として在校生のほとんどが名前を知っている先生でした。

最初の挨拶では驚いたものです。
先生は定年まであと数年というベテランでした。
しかし、そのあと数年を残して私たちと一緒に卒業するという宣言でした。
理由は私たちとは無関係でした。
ご自分の夢の為です。
退職して、信州でペンション経営を始めるためでした。
事業準備について度々お話を聞かせてくださいました。
生徒には面白い話でしたが、保護者にとっては不安もあったようです。
自分のことより、生徒の進路を真剣に考えてほしい。
それは当然のこと。
実際のところ、入試に失敗した級友も通常より多かったと聞きます。

そんな先生から聞いたことで今もよく覚えていることがあります。
担当だった理科に関することではありません。それは、

『楽に借りたお金は返しにくい 借りるのに苦労したお金は返せる』

いくらでも貸しますよという貸金業を選べば、
借りることに苦労はないけれど、取り立てが厳しく応じられない。
反対に、
しっかり審査して、これだけしか貸せませんよという機関を選べば、
元々返せる分しか借りていないのだから計画的に返して行ける。
そんな説明をしてくださいました。
先生は自己資金だけでは起業できず、
融資を受けようとなさっていたようで、こういう経験もあったわけです。

中学生には、馬の耳に念仏ですが、
大人になれば身に沁みます。

自分の夢を語り、夢に向かう行動をリアルタイムに見せてくれた先生、
そんな先生と1年過ごせたことは、
15歳の私にとってもよい経験だったと思っています。



コメント
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