三つの災いとイスラム勢力
最初の四つのラッパの範囲内に描かれているのは、西ローマ帝国の滅亡です。神様はご自分の教会を保護するために、あるいは、背教した教会を罰するために、背教した国を罰するために、様々な国々の戦争や、政治的なやり取りをお許しになっています。ある時には教会の敵を滅ぼすために、あるいは教会を守るために神様はそういう働きかけをなさっているわけです。
最初の四つのラッパの中では、西ローマ帝国の滅亡が述べられています。そして、聖書は第五、第六、第七のラッパについて、三つの災いと言っているのです。
黙示録8章の13節をお読みします。「また、私が見ていると、一羽のわしが中空を飛び大きな声でこういうのを聞いた『ああ災いだ、災いだ、地に住む人々は災いだ。なお三人の御使いがラッパを吹き鳴らそうとしている』」。聖書は、この第五、第六、第七のラッパとは、地に住む人々に臨む三つの災いであると言っているのです。私たちは、このことを理解する必要がありまあす。神様がいかに地上歴史を導いてこられたか私たちが理解するために、そして、そういったことについて洞察を与えるために、聖句を示しておられます。そして世の終わりについて考えさせ、いったい私たちはどのあたりにいるのかという洞察を与えてくれます。
聖書には、「災い、災い、災い」、と三回繰り返し書かれていますね。この、災いとは背教した教会を手助けする国々、つまり神の民を反対し迫害してきた教会、国々に対する神様の裁きを象徴しています。先ほど申し上げましたように、第一の災いと言うのがこの七つのラッパのことで、そのことが黙示録9章の1節から12節に描かれています。詳しくは申し上げられませんけれども、この中に興味深い記述があります。4節をご覧ください。「彼らは地の草やすべての青草、また、すべての木を損なってはならないが、額に神の印がない人たちには害を加えてもよいと言い渡された」。興味深いのは、この七つのラッパというのは、過去に起こった出来事について述べたものなんですね。そして、過去において神様の言葉が実際にそのようになったということが、イスラム世界で起こりました。
アブバカールという将軍がいまして、そのころイスラムの軍隊を組織して、ローマ帝国に対抗しようとした動きがあったのですね。彼らが言った有名な言葉があります。「コーランか。剣か」と。強力な恐るべき軍隊でした。その将軍であったアブバカールと言う人が兵士たちに向かってこう命じました。「その土地や村を征服したときに、その土地で出来る野菜や果物に害を加えてはいけない、そこにできる青物に害を加えてはいけない。果樹に害を加えてはいけない。自分の食糧のため少しはそこから取ってもよい」と、そういった戦争の状況にあって、このイスラムの軍隊はそういう意味においては紳士的であったと言えるんですね。昔、イスラムの軍隊がそういう秩序で動いていた時代があったのです。およそ1400年代のことでした。大昔ですね。それから兵士たちに向かって、その将軍はこのようなことも言いました。
「髪の毛をそったクリスチャン、神殿にいるキリスト教徒に出会ったときには、特に森の奥まった修道院に住んでいる、髪をそったクリスチャンに出会ったときには、彼らの頭蓋骨を叩き割ってしまえ。しかし第7日を安息日として守っているクリスチャンに出会ったときには害を加えてはいけない」。これは非常に奇妙な言葉ではないでしょうか。
そういった形で1400年代のイスラムの軍隊は、東ローマの教会、国々を大いに苦しめました。聖書によれば、5か月の間、そういった状態で苦しめることが許されたとあります(黙示録9:5)。ここで聖書の預言を象徴的に解釈するときには、一日は実際には一年を表わしています。ですから5か月は聖書の象徴的な預言解釈で言えば150年になります。ユダヤ人の観念では1か月は30日で、5か月は150日、預言的に解釈すれば150年となります。
黙示録9章7節を見ると、興味深いことが書かれています。「これらのいなごは、出陣の用意の整えられた馬によく似ており、その頭には金の冠のようなものをつけ、その顔は人間の顔のようで」あった。使徒ヨハネが幻で見たものは、見せられたものは、人間だったのですね。しかも軍隊でありました。この軍隊は頭に金の冠のようなものをかぶっていたというわけです。そしてイナゴのように、出陣の用意の整えられた馬のように戦争に出て行ったというわけです。ヨハネが見た光景は、どういう意味があるのでしょう。
ある国ではいなごの大群が押し寄せてきて、農作物を食い荒らすことがあります。そういうときはある音がするのです。恐るべき音です。「ウウウウゥー・・・」。このイナゴがやってくる音は、本当に身の毛のよだつような音だそうです。ヨハネは未来を見せられた預言の中で、軍隊が、奇妙な音を立てながら押し寄せていくのを見たわけです。さらにこの軍隊の特徴が描かれています。8節を見ると「その髪の毛は女のようであった」とあります。女性のような長い髪を、この兵士たちはしていたのでしょうか。そして9節を見ると「鉄の胸当てのような胸当てをつけており、その羽の音は馬に引かれて戦場に急ぐ多くの戦車の響きのようであった」とあります。さらに10節には、サソリのような痛みを与えるものであったとあります。
イスラムの軍隊は、滅ぼし殺すためではなく、苦しめるためだったのです。しかも5か月間、預言の象徴で言うならば150年間痛めつけるものでした。当時のオスマン帝国、イスラムの軍隊と言うのは、まさにそういう恰好をしていたのです。馬に乗って、人々が恐れおののくような音を立てながら襲ってきました。頭にはターバンをかぶっていました。このようすを幻で見たヨハネには、金の冠のように見えたのです。ほかに描写の仕様がなかったのですね。
東ローマに害を加えるために襲って来たイスラムの軍隊を、ヨハネは幻で見せられたわけです。イスラムの多くの軍隊の長官たちは、女性のような長い髪をしていました。この軍隊、幻に描かれているのは、まさしくこの軍隊であるということを示すヒントを、いくつも私たち見て取れるわけです。そして、この戦場に向かう軍隊の兵士たちは、色んな色の軍服を着ていました。ヨハネは実際にこのようすを幻に見せられて、彼が見たものを預言の書に描いたわけです。頭に冠をかぶっているような姿ですね。馬に乗っています。聖書の預言の描写に酷似しています。
最初の四つのラッパは、背教した教会を手助けした西ローマ帝国に対する神様の裁きについて描かれています。第五、第六、第七のラッパは三つの災いと呼ばれています。これらの三つの災いというのは、東ローマ帝国に臨む神様の裁きでした。