2013年6月30日-2
風間虹樹:いのち絵画の技法(有機的抽象絵画の技法)1 振出し法
いのち絵画、または、有機的抽象絵画、の技法の重要な一つは、振出し法である。
理念 Idea としては、絵具の物体化を行なうことかつ物体として見なすこと、または絵具の物体的扱いをして個体化または個別化を行なって、表面体に付着的に配置させて、そこに存在させることである(存在論と方法論の融合)。ここで、存在のさせ方として、地球重力を利用して落下させるという方針を取る。そうすれば、〈自然な〉存在の仕方となり、人工的な感じが薄くなるだろう(〈自然的〉感性の問題)。
なお、物活論の立場または体系は、唯物論の立場または体系と矛盾しないと思う。
下記掲載の図1~図5は、振出し法による製作例である。
下記では触れていないが、運動は相対的であるから、絵具が付着する側の画布表面への当たり方、たとえば水平との角度を零から180度まで変異できる。180度とは天井に向かって振り出すことになる。
また、ろくろ台に取りつけた画布を回しながら、画布に絵具を振り出すこともできる。すると螺旋状になるかもしれない。この製作例は、2013年7月11日(木)~7月23日(火)[7月17日(水)は休館]に開催される平原社美術展/帯広市民ギャラリーで展示される予定の三つ組のうちの左右両翼の作品である。なお、或るモダンアート協会会員(数年以上前の当時)の方は、ろくろ絵画と称したらしい作品を作った(現物未見)。
↑ 図1。上村松園は、一万回超も筆で線を描く練習をしたと聞くが(出典失念)、振出し法においては数万回の実践的練習をすることを薦める。絵具が筆を離れた後は、速度を持った自由落下となるから、制御が行なわれるのは、振り出すときの一瞬的時間の間だけである。
振出し法での制御は、道具を固定すれば、振出すときの力(方向と強さ[=液体に加える圧力]。もっと厳密に言えば、一振りの時間内での方向と速度の変化。これによって、曲線になったり捻れ線になったりする)に左右される。しかし、絵画表面の状態にも影響される。たとえば、水浸しの上にすれば、滲んだりぼやけたりする。
なお、地と図(頭つきの白線)の層的構成である。地は数層から成る。地表面は放射状などにでこぼこしているので、一部の線の、とりわけしっぽ部分が揺れている。
↑ 図2。きわめて平坦な表面のほうが、際がはっきりとして流麗な線となる。もとより、黒と白の対比は明快な効果となる。
地は、墨と雲母による。それらをうまく混ぜ合わせて流すと、このように曜変天目的な流れ模様ができる。
右手下方に、下向きの輪っかが見えるが、下地が生乾きの状態のときに、木切れに網戸サッシに網を取り付けるゴムを付けたものでしばいた(=叩きつけた)跡である。(わかりにくいが、)その中央の蒼黝い色は、青貝箔を貼ったことによる。
↑ 図3。この部分だけを観ると線の重ね過ぎに見えるが、全体ではちょうど良い。部分と全体の図柄の調和性は異なるのである。
↑ 図4。これは部分であり、一つの切り取り練習である。たとえばF130の大きさの絵画を、S80の大きさにして張替えるということが試みられてよい。
絵画は平面的なものから立体的または3次元空間的なものまである。(さらには、四次元空間存在物を表面体に落とし込むということが考えられてよい。)
絵画とは、(凸凹しているかもしれない、あるいは穴が開いたりしているかもしれない、3次元体の)表面に絵具を付着させた物体である。
ここで右上に見えるのは、画布をやや立体的に貼付けたものである。そこから、銀色のアクリル絵具を叩きつけた(叩きつけ法)ものが出ている。(地に対する)図は、物体的に明確な二層となっている。
↑ 図5。図4と同じ絵画物体である。地は、墨をして、金色のアクリル絵具をグロスポリマーメディウムに溶いて流したりローラーの頭で叩いたりして製作した。左側は銀色になっているが、地の下層は銀色だからである。
風間虹樹:いのち絵画の技法(有機的抽象絵画の技法)1 振出し法
いのち絵画、または、有機的抽象絵画、の技法の重要な一つは、振出し法である。
理念 Idea としては、絵具の物体化を行なうことかつ物体として見なすこと、または絵具の物体的扱いをして個体化または個別化を行なって、表面体に付着的に配置させて、そこに存在させることである(存在論と方法論の融合)。ここで、存在のさせ方として、地球重力を利用して落下させるという方針を取る。そうすれば、〈自然な〉存在の仕方となり、人工的な感じが薄くなるだろう(〈自然的〉感性の問題)。
なお、物活論の立場または体系は、唯物論の立場または体系と矛盾しないと思う。
下記掲載の図1~図5は、振出し法による製作例である。
下記では触れていないが、運動は相対的であるから、絵具が付着する側の画布表面への当たり方、たとえば水平との角度を零から180度まで変異できる。180度とは天井に向かって振り出すことになる。
また、ろくろ台に取りつけた画布を回しながら、画布に絵具を振り出すこともできる。すると螺旋状になるかもしれない。この製作例は、2013年7月11日(木)~7月23日(火)[7月17日(水)は休館]に開催される平原社美術展/帯広市民ギャラリーで展示される予定の三つ組のうちの左右両翼の作品である。なお、或るモダンアート協会会員(数年以上前の当時)の方は、ろくろ絵画と称したらしい作品を作った(現物未見)。
↑ 図1。上村松園は、一万回超も筆で線を描く練習をしたと聞くが(出典失念)、振出し法においては数万回の実践的練習をすることを薦める。絵具が筆を離れた後は、速度を持った自由落下となるから、制御が行なわれるのは、振り出すときの一瞬的時間の間だけである。
振出し法での制御は、道具を固定すれば、振出すときの力(方向と強さ[=液体に加える圧力]。もっと厳密に言えば、一振りの時間内での方向と速度の変化。これによって、曲線になったり捻れ線になったりする)に左右される。しかし、絵画表面の状態にも影響される。たとえば、水浸しの上にすれば、滲んだりぼやけたりする。
なお、地と図(頭つきの白線)の層的構成である。地は数層から成る。地表面は放射状などにでこぼこしているので、一部の線の、とりわけしっぽ部分が揺れている。
↑ 図2。きわめて平坦な表面のほうが、際がはっきりとして流麗な線となる。もとより、黒と白の対比は明快な効果となる。
地は、墨と雲母による。それらをうまく混ぜ合わせて流すと、このように曜変天目的な流れ模様ができる。
右手下方に、下向きの輪っかが見えるが、下地が生乾きの状態のときに、木切れに網戸サッシに網を取り付けるゴムを付けたものでしばいた(=叩きつけた)跡である。(わかりにくいが、)その中央の蒼黝い色は、青貝箔を貼ったことによる。
↑ 図3。この部分だけを観ると線の重ね過ぎに見えるが、全体ではちょうど良い。部分と全体の図柄の調和性は異なるのである。
↑ 図4。これは部分であり、一つの切り取り練習である。たとえばF130の大きさの絵画を、S80の大きさにして張替えるということが試みられてよい。
絵画は平面的なものから立体的または3次元空間的なものまである。(さらには、四次元空間存在物を表面体に落とし込むということが考えられてよい。)
絵画とは、(凸凹しているかもしれない、あるいは穴が開いたりしているかもしれない、3次元体の)表面に絵具を付着させた物体である。
ここで右上に見えるのは、画布をやや立体的に貼付けたものである。そこから、銀色のアクリル絵具を叩きつけた(叩きつけ法)ものが出ている。(地に対する)図は、物体的に明確な二層となっている。
↑ 図5。図4と同じ絵画物体である。地は、墨をして、金色のアクリル絵具をグロスポリマーメディウムに溶いて流したりローラーの頭で叩いたりして製作した。左側は銀色になっているが、地の下層は銀色だからである。