2011年10月4日-1
フランス、「地球温暖化」「対策」、原発推進
電力の8割近くを原発で賄うフランスの低レベル核廃棄物処理センターの溶融炉で2011年9月12日(日本時間で午後6時45分頃)に、爆発があった。福島原発事故後、「原発反対派が6割を占める」(毎日新聞、http://minnie111.blog40.fc2.com/blog-entry-2910.htmlより引用)ようになったそうだが、この爆発(火災?事故)でさらに原発撤退の声があがっているとのことである。
さて、寺西俊一(1992)は、「「温暖化問題」に絡む各国の利害と思惑」という節で、「「温暖化対策」を含む環境保全へのこれまでの対応姿勢を基準とした三つのグループ分け」として、次のように分類している(寺西俊一 1992: 182-190頁)。
1. 「積極的推進派」(北欧諸国、オランダ、カナダ)
[IPCCの議長国はスウェーデン]
2. 「積極的推進への転換派」(フランス、旧西ドイツ)
3. 「抵抗派ないし慎重対応派」(アメリカ、イギリス、日本)
「積極的推進への転換派」のフランスについての記述は次の通りである。
「第二のグループとして、八八年ないし八九年から、急遽、環境保全の国際的取組みに対し、「積極的推進派」へと方向転換してきたフランス、旧西ドイツの動きについてみておこう。
まず、フランスは、すでに述べた「温暖化問題」の「急展開」と軌を一にし、早急な対策をいち早く提唱し始めた西欧諸国の中心的存在の一つだといえる。とくに一九八九年には、三月にオランダ、スウェーデンとの共催で「地球大気に関する首脳会議(環境サミット)」を開催したり、その後のアルシュ・サミットでも、この間虜に関するリーダーシップを強力に発揮するなど、特別な活躍が目立ってきた。〔略〕
〔略〕フランス政府の場合、たとえばEC諸国のなかでは、イギリスと並んで、従来、EC共通環境政策には絶えず反対ないし消極的態度を示し、必ずしも環境保全に対して熱心ではないという烙印が押されてきたからだ。このフランス政府が、とくに「温暖化問題」への対応という点ではきわめて積極的な姿勢を示してきた裏には、幾つかの政治経済的な背景があることが見逃せないだろう。
その一つは、二酸化炭素排出削減の必要性という課題が、原発を重視してきた従来までのフランス政府のエネルギー政策にとっては、重要な〝追い風〟となることへの政治的期待が絡まっていることだ(ここには、CO2を排出する化石燃料エネルギーに対する代替エネルギーとしての原発浮上という構図がある)。」(寺西俊一 1992: 185-186頁)。
[T]
寺西俊一.1992.3.地球環境問題の政治経済学.v+244pp.東洋経済新報社.[y1,800税込] [B920722]