今、出発の刻(たびだちのとき)

車中泊によるきままな旅
<名所旧跡を訪ねる>

梅洞山 岩松院(長野県上高井郡小布施町大字雁田)

2013年06月20日 | 神社・仏閣
小布施町には7年前に一度訪れたことがある。なぜ訪れたのかは記憶にないが、北斎館での記憶は鮮明に残っている。
偶然入館したと思う。その時は葛飾北斎と小布施町との関係もよくわからなかった。
館内で晩年の北斎の作品にふれ、その日が猛暑ということもあったが、2時間近く館内にいたということは、私にとっては異例なことで心のどこかに火がついていた。
そして、その時悔いを残してきたことが、今日の訪問へと結びついた。    

道の駅「おぶせ」、この車での記念すべき初めての車中泊の地となった。
目覚めもよく快適な朝を迎えた。お湯を沸かし、コーヒーを入れ朝食を済ませ、NHKの朝ドラ「あまちゃん」終了と同時に私の今日が始まった。

浄光寺薬師堂の歴史
現薬師堂は、昭和21・22年の根本大修理の際発見された墨書や「お薬師さん」の胎内銘により、室町時代初期の応永15年(1408)の建立が明らかとなり、国の重要文化財に指定された。
茅葺き屋根の入り母屋造りで、天下屈指の最優秀作といわれる蟇股や巻き込み渦文の多い木鼻、外陣天 井を化粧屋根裏とした手法等にすばらしい技術が見られる。
特に板壁に残る極彩色の仏画、内陣柱上の斗供などは優秀で室町時代初期の代表的な建築 と高い評価をえている。


 
雁田薬師の七不思議のうち2つを写真により紹介していく
○その1 参道の石段 :雁田石の自然石を一見無造作に積み上げたように見えるが、下の方から体を低くして見上げると、石段の鼻先が一直線に揃っていて、何百年も崩れたことがない。

何も知らないで参道に進むといろいろな意味でこの石段には驚かされる。
参拝を済ませ山門に戻り、たまたま押した説明用のボタンにより、スピーカーから流された説明で初めてこの事実を知り、再び参道の石段へ戻ってみた。
置かれている自然石もこれまで踏みしめたことのないような感触で、無造作にみえるが実に歩きやすく理にかなった大変雰囲気のある石段である。
最初とはまったく違った感想になった、人間の不思議な所だ。
なお、このお寺は説明用のボタンを押し、説明に合わせて参拝するというしくみになっている。
終えてから押すとその場から去りにくくなるし、多くの時間を費やすことになる。









○その2 薬師堂の起源:天平の時代、この小布施に建立されたことが不思議といわれている。

見てのとおり姿形のよい御堂である。御堂の右壁に國宝薬師堂と読める額があったということは何らかの理由により重要文化財になったのか。
御堂の中には薬師瑠璃光如来十二神将 通称「お薬師さま」が安置している。
のぞき窓のような所から見ても堂内がとても暗くよく見えなかったため、いつものように機械の力をかり、長野県宝「お薬師さま」をやっと拝見することができた。












梅洞山 岩松院の歴史
荻野備後守常倫が雁田の辺に20端の城塁をつくり領し岩松と称した。開創は、文明4年(1472年)。常倫の開基で、開山は不琢玄珪禅師。
伽藍には、本堂(136,5坪)と庫裏、鐘楼、坐禅堂、仁王門がある。本尊仏は宝冠をいただく釈迦牟尼仏で、江戸時代初期の作。






鳳凰図
北斎88歳から89歳にかけての作品。北斎は小布施に4回訪れている。4回目の滞在約1年をかけて天井に鳳凰図を描き、翌年江戸に戻り、90歳で亡くなっている。大きさは畳21畳。

7年前小布施で悔いを残したと思ったのが北斎の天井画だった。楽しみにしていたが期待していたものとは違った。まさか極彩色の天井画だとは考えてもみなかった。
それでも、八方睨みには興味があったので場所をかえながら見ていると「お静かに座って鑑賞」と書かれている。性格の悪い私には良く理解できなかった。
受付けの方々の世間話をしている声がやけに耳についたのが原因だったのかも知れない。
帰り際、仁王門付近である女性に「どうでしたか」と声をかけられた。「さすが北斎ですね。素晴らしいですよ」と応えた。



福島正則公御霊廟
元亀天正年間の戦国武将豊臣秀吉の重臣として賤ケ岳の戦いでは「七本槍の第一」と称せられ、また関ケ原の合戦でも勇名をはせ、広島城(49万8千石)の大大名になったが幕府の謀略により元和5年(1619)秋、この信越地方(4万5千石)に国替えさせられた。
在信5年で悲運を嘆きつつ寛永元年(1624)7月13日64歳で薨じた。その際幕府検死役を待たずに遺体を火葬したとして領地は没収された。
当寺の第十世領国壽鑑大和尚が、福島正則公の遺骸を収めて本堂東北の山手に埋めて厚く供養した。これが岩松院にある「福島正則公のおたまや」である。






撮影:平成25年5月10日

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2 コメント

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何度も行きましたが… (OTETSUDAI @)
2016-03-02 16:17:56
小布施には何度も行きましたが、このような写真の場所に足を踏み入れたことはありません。
小布施に行く目的は2つ有りました。
菅平から妙高に行く抜け道として…もう1つは竹風堂のおこわを食べに出かけました。
老舗の旅館もありますが、どうも「お一人様」では宿泊させてもらえないとか…
素晴らしい町の景色をありがとうございました。
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小布施はいいところですね (2014kurumatabi)
2016-03-02 17:59:56
小布施は葛飾北斎が晩年を過ごした場所で、前回は「北斎館」でその作品をみて感動していました。その近くには池田満寿夫美術館もあったように記憶しています。
写真の岩松院そのものはよかったのですが、係の女性2人のおしゃべりの声が気になり悪印象を持ったのが記憶に残っています。
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