何を見ても何かを思い出す

He who laughs last laughs best

忠・命(倫理)絆一合 

2015-04-08 20:53:28 | ひとりごと
4月8日、今日は何の日と問われれば「お釈迦様の誕生を祝う花祭り」と答えるのが正解なのだろうが、犬好きの自分としては「忠犬ハチ公の日」もあげたい。

何故に4月8日が「忠犬ハチ公の日」なのかは謎なのだが、ハチ公といえば、ハチ公の没後80年にあたる先月3月8日、東大でハチ公と上野博士の像の除幕式があったとニュースになったばかりだ。

<ハチ公が博士と「再会」 死後80年、東大にブロンズ像> 2015年3月8日18時42分 朝日新聞より一部引用
忠犬ハチ公が、ご主人に再会――。そんな光景をかたどったブロンズ像(高さ約1・9メートル、重さ約280キロ)がハチ公の死後80年となる8日、東京大学農学部(東京都文京区)の正門近くの敷地内に建てられた。
 飼い主の上野英三郎博士は旧東京帝大教授の農業土木学者。博士が1925年に急死した後もハチ公は約10年間、東京・渋谷駅に通って帰りを待ち続けたとされ、同駅前には1頭だけで座るハチ公像がつくられた。ハチ公を再び上野博士と一緒にさせてあげようと、東大の教員が像づくりを計画し、個人や企業から1千万円以上の寄付を集めた。


写真出典 東大ハチ公物語~ハチ公と上野英三郎博士の像を東大に作る会~
http://www.en.a.u-tokyo.ac.jp/hachi_ueno_hp/hp/photo.htm

犬関連の本は読み漁っているのだが、犬好きゆえに却って「この一冊!」をあげることはできない。
「忠犬ハチ公の日」なので、そのものズバリ「いとしの犬ハチ」(いもとようこ) 「Hachiko 」(Pamela・S.Turner)を読み返してみた。
忠犬ハチ公の賢さや、記念日ができ像が立つほど愛される所以は改めて書く必要もないほど有名なので控えるが、東大農学部が制作した
ハチの表情が素晴らしいことは一言書いておきたい。

このハチの表情を見れば、この像を制作した人々のハチ公に対する限りない愛情が感じられる。

このような眼差しを感じ取ることができる研究者が、我が国の最高学府の頂点にいてくれるのが嬉しい。

医学部と農学部とが違うのは先刻承知だが、まだ臓器移植法案の制定が取りざたされていた頃、先を競って実績をつくろうとする流れに対し、東大医学部は生命倫理の委員会を立ち上げ、哲学的分野の意見なども参考にしながら性急ではなく地道な検討を続けていた印象がある。
医学の進歩は素晴らしいし、それで助かる命は尊いので臓器移植に反対ではなかったが、功を競ったかのように実績を積み重ねようという流れには違和感を感じていた。命を議論するにあたり論点となるのが医療技術の進歩だけで良いのかと。
そんな疑問も持っていたので、東大医学部の生命倫理委員会が臓器移植を検討するのあたり意見を求めた関係各方面の面々は、命を議論するに相応しいという安心感を与えた’印象’があったのだ。これは医学部の’印象’であるし、どこにでも論語読みの論語知らずというのはいるもので、その周辺をうろついているからといって、倫理観のある行動をとることができるかは別の問題ではあるが。

命に直接関わる分野の人間には、命に対して限りない愛情を根底に持っていて欲しいと、東大が没後80年経って飼い主とハチ公再会させたことやハチ公の優しい眼差しを見て思う、「忠犬ハチ公」の日であった。



ところで、2009年に公開された HACHI 約束の犬(リチャード・ギア主演)を皇太子御一家は御覧になっている。

皇太子御一家は涙をぬぐいながら御覧になったそうだが、この映画鑑賞の半年ほど前には愛犬まりを、映画鑑賞の一月後には愛犬ピッピを見送っておられるので、命について感じられるところは大きかったのだと思われる。
又、皇太子御一家は捨て犬や迷い犬ばかりを保護して大切に飼われているので、人間と生き物の絆についても深いお考えをお持ちなのだと思われる。
このような皇太子ご夫妻が命をありのままに尊重されていることは、皇太子ご夫妻が皇位継承を大切に考えながらも性別選択をされなかったという御姿勢や、敬宮愛子内親王の御誕生にあたり行われた会見で雅子妃殿下が涙を浮かべながら命の誕生について語られたことに示されている。

平成14年4月2日会見より
無事に出産できましたときには,ほっといたしますと同時に,初めて私の胸元に連れてこられる生まれたての子供の姿を見て,本当に生まれてきてありがとうという気持ちで一杯になりました。今でも,その光景は,はっきりと目に焼き付いております。生命の誕生,初めておなかの中に小さな生命が宿って,育まれて,そして時が満ちると持てるだけの力を持って誕生してくる,そして,外の世界での営みを始めるということは,なんて神秘的で素晴らしいことなのかということを実感いたしました。

命をあるがままに愛おしみ尊重される皇太子ご夫妻の御姿勢を信じている。


ところで、ハチの飼い主上野博士と雅子妃殿下の御親戚は当時ご近所にお住まいであったと何かで紹介されていた記憶があるが、今検索すると当該記事が出てこないことからすると、何か記憶違いだろうか?