何を見ても何かを思い出す

He who laughs last laughs best

ゆずり葉

2015-04-22 12:52:44 | 自然
以前「走ってみようか、闘ってみようか(2/26)」で、「走るということを、考えてみようかどうか迷いながら、日常生活に速歩を取り入れて50日目」と書いたが、あれから二か月さほど成長もせず、まだ歩いてる、
ともかく歩いている。
季節が変わった。

昨日、久しぶりに晴れた空のもと桜の木を見ると、縮こまった若葉が芽を出していた。
今年の桜は、雨のなか咲きはじめ、大雨にうたれてあっという間に散ってしまった。
桜の花の向こうに青空が見えたのは二日だけ。
例年ならば、桜色が褪せてきた頃に若葉がむくむくと芽をだすのを見て、季節の移り変わりと新旧交代を思い、国語の授業で習った詩を思い出すのだが、今年の春は違うニュースで「ゆずり葉](河井酔茗)の冒頭を思い出した。

「子供たちよ。
 これはゆずり葉の木です。
 このゆずり葉は
 新しい葉が出来ると
 入り代わって古い葉が落ちてしまうのです。

 こんなに厚い葉
 こんなに大きい葉でも
 新しい葉が出来ると無造作に落ちる
 新しい葉にいのちをゆずってー 」

新しい葉が出来ると新しい葉に命をゆずって無造作に落ちる、という新旧交代を象徴する姿は、この「ゆずり葉」だけではないと思う。

桜は、花が盛りを極めたのを確認しながら、若葉が芽吹いてくる。
庭のコナラの盆栽。パリパリに枯れてしまった葉っぱは寒風吹きすさぶ真冬を耐え、春、新葉が芽吹くと同時に静かに葉を落とす。

前の隆盛を見守りながら、自分の出番を待つ桜の若葉。
最後の力を振り絞り厳しい季節を引き受け、明るい季節を次の世代に引き継ぐコナラの老葉。

桜の木からあの詩を浮かべる事のない今春だったが、新旧の引き継ぎの難しさを考えさせるニュースはあった。

サッカーの三浦和良選手に対して、野球評論家が「若い選手に席を譲らないと。団体競技だから伸び盛りの若い選手が出られない。だから、もうお辞めなさい」と言ったそうだ。
この言葉を「激励」とポジティブに受け取ったカズ選手が結果を出したとニュースになっていた。
「カズが今季2点目で最年長得点更新!48歳1カ月24日に」サンケイスポーツ 4月19日(日)14時45分配信の見出しより

これで思い出すのが橋本聖子選手。
本業のスピードスケートだけでなく夏のオリンピックまで出場し、オリンピックに出場し続けること7回。
「一度のオリンピックを夢みてどの選手も必死なのに、いいかげん後進に道をゆずるべきだ」という意見と、「タイムを競う競技なのだから先輩後輩は関係ない。年くった先輩に負ける後輩が悪い」という意見が頭の上を飛び交っていた当時、まだ青い自分は「前が閊えてると、一歩抜け出そうにも抜け出せない」と思っていた。

が、自分も閊えてる側の気持ちが分かる年齢に近づいているからだろうか、カズ選手の奮起も週末続いたニュースも嬉しかった。

<北島が現役続行へ=リオ五輪へ「一から頑張る」―競泳> 時事通信 4月18日(土)0時2分配信より一部引用
競泳男子平泳ぎの北島康介(32)=日本コカ・コーラ=が現役を続行することが17日、関係者への取材で分かった。同日に練習を再開し、「リオデジャネイロは自分にとって最後の五輪になると思う。もう一度五輪を目指す気持ちになって、一から頑張りたい」と話した。
 
<プルシェンコが現役復帰宣言=フィギュア> 時事通信 4月18日(土)0時58分配信より一部引用
【モスクワ時事】フィギュアスケートのトリノ五輪男子とソチ五輪団体の金メダリスト、エフゲニー・プルシェンコ(32)=ロシア=は17日、タス通信に現役復帰を宣言した。


フィギアスケートの採点はとかく疑問が付きまとうので何とも言えない部分もあるが、伊達選手のテニス(「絶対無二の存在」(3/2))やスピードスケートや競泳などの競技は、勝ち負けが明確なので、それゆえの厳しさはあるが’時’は分かりやすい。

これが、他の世界ではそうはいかない。

老葉が厳しい季節を全て引き受け、陽春輝く季節を若葉に引き継ぐ、とはいかないし、
花の盛りを見届けてから、若葉が出てくる、ともいきにくい。

そんな難しさを考えている、つづく