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He who laughs last laughs best

ドロンパ登場

2015-04-23 10:00:17 | ニュース
[ゆずり葉」(4/22)でで新旧交代の難しさを考えてみる、と書いたが、気になる事件があったので、そちらを優先する。

<官邸「ドローン」墜落 放射性セシウム検出 小型カメラ、液体入り容器も…威力業務妨害容疑視野に捜査>産経新聞 4月22日(水)19時34分配信より一部引用
東京都千代田区永田町の首相官邸の屋上ヘリポートで22日、小型の無人飛行機「ドローン」1機が見つかった。ドローン周辺では微量の放射線が測定され、放射性セシウムを検出。警視庁公安部などは、何者かが意図的に侵入させた疑いがあるとみて捜査本部を設置し、威力業務妨害容疑などを視野に捜査を始めた。
警視庁によると、ドローンは同日午前10時20分ごろ官邸職員が発見。放射線を示すマークとともに「RADIOACTIVE」と表記されたシールが張られた容器が積まれており、セシウム134、137を検出した。放射線は微量で人体に影響はないという。



「千に一つの不出来を恥じる」(4/20)で「民王」(池井戸潤)を読んでいると書いたが、「民王」を読みながら心配していた類の事件が22日発覚した。

「民王」は解説で「一気読み間違いなしの政治的エンタメ」と書かれているが、その理由は「俺があいつで、あいつが俺で」(山中恒)「秘密」(東野圭吾)と同様に、ある日突然、心と体が入れ替わるという設定を用いているからだ。

ある日突然、首相の脳と万年留年大学生の息子の脳が入れ替わる。

予算委員会に座っている体は首相武藤泰山だが、脳は留年息子の翔なので、『未曾有(みぞゆー)の経済危機(けいざいききん)に景気は低迷(ていまい)し、大型倒産が頻発(はんざつ)しているので、経済対策を踏襲(ふしゅう)していく』などと答弁してしまう。

解説によると、池井戸氏がこの作品を書いた執筆動機は「この国には一億何千万人もの人間がいるのに、何故漢字が読めない様な人が首相になるのか」という疑問なのだそうだ。池井戸氏にしてみれば、心と体が入れ替わるというSFまがいの設定にしなければ、漢字の読めない総理も酔っ払い会見をする財務大臣も言語道断なのだろう。

前置きが長くなったが、ドローンニュースとの関連で気になったのは、ここからで、この心と体の入れ替わりが実は、新薬の許認可をめぐる政治的・経済的陰謀(テロ)だったという点だ。

確かに、政権幹部の脳波を読めたり操れたりすれば、国家を乗っ取ったも同じ。

首相武藤が憤然と言う「この武藤泰山の命が欲しいなら、正々堂々と戦いを挑んでくればいいではないか」と。
冷静な秘書が応えて言う「正々堂々と戦うテロリストなんて聞いたことがありません、先生」と。

こんな掛け合いが政治的エンタメの面白味だったが、「官邸の屋上に落下したドローンから小型カメラやセシウムまで見付かった」というニュースを聞けば、国家権力の中枢がテロに遭うという設定が俄かに現実味を帯びてくる。

このニュースは他にも気になる情報を含んでいる。

<「ドローンを皇居上空に」ネットに書き込み> 2015年4月23日 7時58分読売新聞より一部引用
捜査関係者によると、麹町署には今年に入り、インターネット上に「ドローンを皇居上空に飛ばす」という書き込みがあったとの情報が寄せられていた。
3月末~4月初旬頃には、皇居外苑の北の丸公園の上空をドローンが飛んでいるとの通報があり、同署員が現場に駆けつける騒ぎも起きていた。同庁で今回の事件との関連を調べている。



「ドローンを皇居上空をに飛ばす」と書き込まれていたというが、昨年末には赤坂御用地に不審者が侵入するという許しがたい嫌なニュースもあった。

<赤坂御用地に不審者侵入、すぐにバイクで逃走 建造物侵入の疑いで捜査>朝日新聞2014.12.24 23:47より一部引用
24日午後7時半ごろ、東京都港区元赤坂の赤坂御用地で、侵入者がいることを示すセンサーが作動した。警視庁赤坂署員が急行したが、すでに逃走していた。同署が建造物侵入の疑いで侵入者の行方を追っている。
同署などが防犯カメラを調べたところ、何者かがバイクで赤坂御用地に乗りつけ、フェンスを乗り越えて敷地内に侵入する様子が写っていた。約10秒後、侵入者は再びフェンスを越えてバイクで逃走した。
現場は赤坂御用地内の東宮御所に近い場所で、けが人や侵入者と接触した人はいなかった。


まさか脳波がジャックされるという事態は起らないだろうが、国家の中枢へのテロというのは「民王」を読みながら気になった。
そこへ昨日のドローン事件。
官邸の上空は無防備だというが、赤坂御用地などフェンスすら容易に乗り越えられてしまうほどの不用心さ。

「正々堂々と闘うテロリストはいない」を肝に銘じて、今一度安全対策を見直して欲しいと心から願っている。