風を紡いで

旅の記録と料理、暮らしの中で感じた事などを綴っています。自然の恵みに感謝しながら…。

銀杏のクッション

2006年12月13日 | 自然(花 虫 樹etc)
街路樹のイチョウが散り始めました。
まるで、ふんわり黄色のクッションのよう…。
腰掛けたくなるような色合いは、自然が生み出した美しい造形です。
ついこの間は、はっとするような鮮やかな黄葉に目を奪われていたというのに…。

「私は、イチョウやモミジの葉が落ちてもすぐ掃かないんですよ。
落ち葉を踏むカサコソという音が好きでね。あの音はいいもんですなあ」
菩提寺の和尚さんがおっしゃった言葉が心に残っています。
その寺院には、大きなイチョウの木が聳えているのです。
それはみごとな大木で、夕陽を受けて黄金色に輝くのです。

随分前になりますが、冬になると知人がこぼしていました。
彼女は草花が大好きなので、庭には四季折々の花や木を植えていました。
そんな彼女の家のシンボルツリーは白と赤のハナミズキ。
秋になると、美しく紅葉して、道行く人たちを楽しませていたのでした。
ところが、落ち葉を毛嫌いする人もいたのです。
彼女は寂しそうにつぶやきました。
「お隣は、木を植えてないのよ。ただの一本も。葉が落ちるのが嫌なんだって!」
彼女の家の落ち葉が散ると、迷惑そうな顔をするのだそうです。

また、こんなこともありました。娘の同級生のお母さんがこぼしていたのでした。
「家の周りは、いつでも落ち葉がないようにいつもきれいに掃いておかないと、文句を言われちゃうのよ」

昔は、道路も舗装されていなかったせいか、土の上に舞う落ち葉には風情がありました。
ところが今は、住宅地だけでなく、農道でさえほとんどがアスファルトで舗装されています。
土に葉は相性が良いけれど、人工のアスファルトとは相性が悪そうです。
灰色のアスファルトの上の落ち葉は、ゴミにしか見えないのでしょう。
どこもかしこもコンクリートで固めなくてもいいようなものだけれど…。

雨や雪が降ると、ぬかるんで大変な道になりますが、土の道や砂利道など残してほしいと思います。