風を紡いで

旅の記録と料理、暮らしの中で感じた事などを綴っています。自然の恵みに感謝しながら…。

日輪の遺産

2007年11月06日 | アート(本 美術 映画 音楽etc)
浅田次郎著「日輪の遺産」(2006年講談社)
随分前に読みました。
持ち運びがいいので、文庫本で読みました。


終戦直前に隠したという時価2百兆円の財宝。
帝国陸軍がマッカーサから奪い盗り、隠したもの。
その財宝にかかわり、繰り広げられる人々の生き死に…
戦中・戦後の時代を駆け巡る壮大なロマンなのです。
単なる冒険物語ではなく、幻の近代史ミステリー。
そしてまた、「国生みの神話」なのです。

「戦争という魔物」によって…
犠牲になったピュアな魂の叫びが聞こえるようです。
軍隊が降参しても…
ただ自国の再起を願い
命をかけて財宝を守った少女たち。
いたいけない彼女たちの国を思う心…
私は涙が止まりませんでした。

今の世の中、戦争を知る人がほんとうに少なくなりました。
戦争の悲惨さをもっともっと語ってほしいと願います。
身を切られるような辛い話を伝える勇気に…
愛する人を戦争で奪われた人たちの無念さを思うと心が痛みます。

私は戦争を知りませんが、機会があれば真摯な気持ちで耳を傾けたい。
そして、語り継いでいかなければいけない…そう思っています。
自分が知る限りのことを、折をみて娘たちに話すようにしています。
身近なところから伝えていくことならできると思うからです。
娘が友達や知り合いと戦争について話すことになればいいかなと。

浅田次郎著「日輪の遺産」から、いろいろ考えさせられました。
今、私たちはゴミ問題、温暖化問題など多くの課題を抱えています。
今のままですと未来はないかも知れません…。
100年後、孫たちの時代に地球はどうなっているでしょうか?

結婚前に、仕事仲間と話したことを思い出しました。
「未来に希望がみえないから、子供はつくりたくない」
という議論(というほどのものではないですが)をしたことを。
そう断言した彼女は仲間のうちで一番先に出産したのですが…。
その時、彼女はすでに結婚していたのです。
キャリアウーマンで、バリバリ仕事をこなしていたのです。
出産後、保育園に子どもを預けて働いていたのです。
「母乳を冷凍」して持たせていたようでした。

なにはともあれ、
次世代に伝えていく必要性を痛感させられる小説でした。






コメント (4)
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