風を紡いで

旅の記録と料理、暮らしの中で感じた事などを綴っています。自然の恵みに感謝しながら…。

ガンジーの糸車

2008年05月31日 | 2005年コッツウォルズ母娘旅
雪のスノーズヒルから長い時間を費やして、スタントンに着いた。
娘と私は、かなり疲れきっていた。
パブで暖まり、軽食をとって少し元気になった。
娘はというと、何だか食欲もなく、ぐったりしている。
娘の具合がよくなるまで、しばらくパブで休むことにした。


スタントンには、ガンジーも訪れていた。
パブ「マウント・イン」からさらに上に行ったところに、
『ギルドホール・ハウス』(※)がある。
その中にはガンジーから贈られた糸車があるという。
あとで知ったのだが、嬉しい驚きだった!

ガンジーは貧しい人々の為に、糸紡ぎ機を作る事からスタートした。
そして、1500もの村で紡績産業を興したのだった。

彼はインドのカースト制の下で、
最下層階級のアンタッチャブルという身分の未亡人に会う。
そして、彼女が昔のまま手で糸を紡いでいることを知った。

これこそ貧しい人々が誇りを持ちながら、
生きる糧を得る方法であると彼は気づいたのだった。

貧しい人への優しさと、暴力を否定しながら自由を守ることに
生涯をかけた信念と、神への絶対的信頼を持つガンジー。

その彼を生きる道しるべにしていた女性がいた。
彼女の名はメアリー・オズボーン。
彼女は、ロンドンの下町の貧民街で、慈善活動を始めたのだ。

その後、キリスト教の名の下に、都会から離れた場所でも
人々が助け合って生きるコミュニティー精神を普及しようと、
ここスタントンにやって来たのだ。
仲間と一緒に自らの手で建てた家が、ギルドホール・ハウスだった。

1931年にガンジーがロンドンを訪れている。
英国支配からのインド独立のために、英国政府に交渉するためだった。

ガンジーは重大な訪問にかかわらず、
中産階級の住むウェストエンドの高級ホテルを断り、
メアリー達が住むイーストエンドの施設に泊まったのだ。

19世紀までは貧民街だったが、
20世紀になってもしばらくは労働者階級の住宅地だった。

メアリー達のもてなしに感謝して贈られたのが、
ギルドホール・ハウスに置かれている糸車だったのだ。


私と娘がスタントンを訪れた時、
スタントンとガンジーの関係がこれほど密接だったとは知らなかった。

この村を去ったその夜、宿泊先のB&Bの奥さんが貸してくださった
「イギリスの小さな村を訪れる歓び」という本で知ったのだ。

現在のギルドホール・ハウスは、
「工芸を通して人生を楽しく生きる」その学びの空間になっているようだ。

ステンドグラス・陶芸・家具修理などさまざまなコースがあり、
宿泊しながらクラスにでることも可能なようだ。
クラスに出席するか、または宿泊すると糸車をみることができるという。


スタントンの村は、旅の予定に入ってなかったが…。
歴史を知れば知るほど、村への愛着も深くなるのだった。

また、スタントンを訪ねたいと思った。
今度ははギルドホール・ハウスにも泊まり、
ステンドグラスや陶芸体験もしてみたい…。

そんな新たな夢が生まれたのだった。



※参考図書=「イギリスの小さな村を訪れる歓び」(木島タイヴァース由美子著)

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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
深く知ると・・ (ふぁん)
2005-07-28 21:50:43
とても参考になります。
返信する
ちょっと調べると… (ユウ)
2005-07-31 19:58:27
意外なつながりや歴史的背景などが分かり、面白いですよね。ガンジーの糸車のことは知っていましたが、スタントンと深くかかわりがあったとは驚きでした。
返信する

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