「ウン十年ぶりの弘前 [建物編]」のつづきは「弘前城編」です。
私が駐車場からの道を間違えた(遠回りした)せいで、弘前城の外堀に突き当たった地点は、東門と追手門の中間辺りでした。で、ちょっとだけ近い東門から入城するべきか、正門である追手門から入城するべきかちょっと迷った結果、追手門から入城して、弘前城址を巡ったあと、東門から出ようと決めました。
距離的には、東門から入って追手門から出る方がムダが少なかったのですが、それはあとで判った話
その追手門なのですが、養生幕で覆われていました
去年の8月から今年の12月末までの予定で保存修理工事が行われているそうで、ちょっと残念
2013年に二条城に行ったとき(記事)、唐門がこんなだったっけ…
追手門の説明板を転記しますと、
弘前藩四代藩主・津軽信政の代に、参勤交代経路が変更され、それに伴い、大手(正面)の門とされました。建築は築城当初まで遡ると考えられています。当初は本瓦葺でしたが、後に銅瓦葺に葺き替えられました。また、明和3年の大地震によって大きな被害を受けたことから、二層内部に、支柱・筋違・捨梁を入れて補給しています。
とあって、気になる点が2つありました。
一つは「参勤交代経路の変更」、もう一つは「本瓦⇒銅瓦の葺き替え」です。
まず、津軽藩(弘前藩)の参勤交代ルートはどのように変わったのか、です。
答えは簡単に見つかりました
こちらのサイトによると、寛文4 (1664)年までは日本海沿いを通る現在のJR五能線ルート、翌年以降は内陸の矢立峠で久保田藩領から津軽藩領に入る奥羽本線(R7)ルートに変更されたらしい。
つまり、弘前城の「北側から出入り⇒南側から出入り」に変更されたというわけですな。
次に「本瓦⇒銅瓦」の葺き替えですが、「建物編」で引用した百石町展示館の説明に、
屋根は雪国に珍しい瓦葺
という記述がありました。
確かに雪国では瓦葺の屋根は珍しい存在です。
雪が積もることで瓦に水分
が染み込み、それが凍って瓦が割れるとか、瓦の重さがその理由だと思われます。
この追手門に限らず、弘前城の瓦屋根は、瓦状の木型に薄い銅板をかぶせる銅瓦が使われているようでした。
[参考] 写真は名古屋城天守の銅瓦です。
さて、追手門を抜け、案内図で弘前城址の全体を把握しました。
丑寅櫓があるということは、大好物の鬼門消しはないのかな? などと考えながら…。
そして、まずは「建物編」で書いたように弘前市民会館の外観を見物した後、城内を散策しました。
中濠に架けられた朱塗りの「杉の大橋」を渡り、
南内門を通って二の丸に入ります。
南内門の向かいのカエデは紅葉真っ盛り
と、南内門も工事用の足場で囲まれていました
こちらは、工事があらかた終わったようで、足場を解体する作業に入っていて、内側はすっきりと観ることができました
二の丸の南の両角には、南西に未申櫓(ひつじさるのやぐら)、
南東に辰巳櫓が立っています。
銅瓦を葺いている門と違って、櫓の屋根が銅板葺き。
装飾の少ない壁面ともあいまって、かなりシンプルな感じですな
上に載せた案内図はちょいと判りづらいので、リーフレットに載っていた地図をここにも載せておきます。方位も判りますので。
弘前城には、ここまで見てきた追手門、南内門、未申櫓、辰巳櫓のほか、北門、東内門、東門、丑寅櫓、そして天守と、江戸時代からの9つの建物が現存していて、いずれも国の重要文化財
に指定されています。
ここで、追手門の手前にあった説明板を転記します。
津軽氏城跡 弘前城
弘前城は、津軽藩主代々の居城で慶長16年(1611) に二代藩主津軽信枚によって築かれた城である。
面積約49万2千平方メートル(約14万9千坪)を有し、本丸、二の丸、三の丸、四の丸、北の郭、西の郭の6郭よりなり三重の濠と土塁でめぐらされた城郭である。
石垣で囲われているのは本丸だけで、他は基本的に土塁で囲われているのが、いかにも東日本の城です
二の丸の馬場跡の北端に立派なイチョウが立っていて、きれいに黄葉していました。
傍らに「弘前市古木名木」という立て札が立っていまして、
種名 イチョウ
幹周 7.3メートル
樹高 24メートル
推定樹齢 約400年
由来 いつごろに植えられたものか明らかではないが、弘前市内では最も太いイチョウである。
「津軽俗説選」によると、このイチョウの葉が落ちると弘前地方に雪が降り出すという言い伝えがある。
イチョウは雌雄異株であるが、この木は雄木である。
だそうです。
この様子だと、初雪はまだですな
なんてことを考えていたら、ポツリポツリと雨が降り出しました。
別邸を出発するときは良い天気
で、折りたたみ傘
を持ってきていません
途中、秋田・青森県境付近では雨が降っていましたが、弘前に着いた頃には大丈夫そうな感じだったので、クルマのトランクに2本も入れてある長傘だって持ちだしていません
こりゃさっさと天守の中に入って、見学がてら雨宿りしよう
と、ちょっと早足
で本丸に向かいました。
というところで「弘前城編 #2」につづきます。
つづき:2022/11/19 ウン十年ぶりの弘前 [弘前城編 #2]