エリクソンの小部屋

エリクソンの著作の私訳を載せたいと思います。また、心理学やカウンセリングをベースに、社会や世相なども話題にします。

余暇にしか遊ばぬ大人、遊んでる子どもの一人に、及ばない :子どもの遊びの永遠の遺産

2013-07-07 00:24:44 | エリクソンの発達臨床心理

 

 人間の想像力も、極めて臨床的なのでしょう。一方では、人は、想像力のおかげで、ビィビィッと来るほどのリアルな感じを、様々なこと、様々な関わりに感じられるようになれます。他方では、そこにウソがあれば、人は、心の指針を奪われ、やる気を挫かれ、仲間の血で血まみれになることだってある、といいます。人間の想像力は、非常に二律背反です。

 今日は、大人の陽気で楽しい、と、子どもの遊びの永遠の遺産について、です。

 

 

 

 とにかく、遊んでいる子どもが成長すると、「○○してくれない」と愚痴を言ったりリアルに感じることがお休みになった時だけしか、遊んだりしない大人になる、と言うだけなら、単純すぎる、(と感じてしまう)のはなぜなのか? もう分かりましたね。子どもの頃の遊びが、証明可能な事実や責任のあるお芝居(お仕事)という、大人がリアルに感じることに対して、境界線の外にあるように思われるのであれば、せいぜい、遊びと学びが子どものお仕事、ということにしかなりません「お遊び」のために取っておいた余暇にしか遊ばない大人は、一人の遊んでいる子どもの足元にも及ばないのです。したがって、その手の大人は、遊びを弄んでいることが多いのです。しかし、遊びを弄んでも、大人の陽気で楽しい、の働きを先取りするものでは決してありません。この大人の陽気で楽しいがある時、大人の能力を身に着けリアルに感じる感覚を磨き活動場面でのやり取りを活発にすることができます。これこそが、子どもの頃の遊びの永遠の遺産です。

 

 

 

 

 

 大人の陽気で楽しい、には、

1)大人の能力を身に着ける

2)リアルに感じる感覚を磨く

3)活動場面でやり取りを活発にする

という働きがあることが分かります。そしてこれは、子どもの頃の遊びの永遠の遺産なのだそうです。それはなぜ、永遠の遺産などと言えるのでしょうか?

 それは、こういうことです。大人の陽気で楽しい、がある時、今記した3つの働きを大人は手にすることができますよね。この3つの働きはそのものが、

1)(上記の2)子どものニーズを、リアルに感じ取り、

2)(上記の3)そのニーズに応えて子どもとやり取りを活発にして、

3)(上記の1)子どもにも、陽気で楽しい暮らし、すなわち、ピチピチ、キラキラ生きる人生をプレゼントするという、大人の能力を身に着ける

ことだからです。そして、その子どもが大人になった時、身近な子どもにも同様のプレゼントができますから、家庭の中で、地域社会の中で、国の中で、世界の中で、もしかしたら、宇宙の中で、ピチピチ、キラキラ生きる人生がずっと続くことになります。だからこそ、大人の陽気で楽しい、の3つの働きは、永遠の遺産(the lasting heritage)なのです。

 この点、永遠の宝物(the lasting treasure)である 根源的信頼感(基本的信頼感)と同じです。大人の陽気で楽しい、は、根源的信頼感に対応する大人バージョンとでも言えるものです。

 

 ここから考えると、ピチピチ、キラキラの人生を子どもにプレゼントするためには、大人の方に「大人の陽気で楽しい」がなくてはならない、ということになります

1)「○○してくれない」と愚痴を言ったり、言い訳が上手だったりする大人

2)長時間労働やサービス残業をせずには済まされない雰囲気の中で働く大人

3)群れる大人

はゴロゴロいるのに今の日本の家庭や学校に、「大人の陽気で楽しい」人が、果たしているのでしょうか?

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 自由な想像力と、血まみれの... | トップ | ヴィジョンを「共に見る」こ... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿