自分の過去を正面から捉えることが、見当識の意識的選択と表裏一体であることが分かりました。すなわち、自分の過去を振り返ることによって、はじめて人生の選択ができる、と言っても過言ではないのです。
今日は、こどもの遊びの治癒力です。
フロイトは、臨床では一度も子ども達と仕事をしたことはありませんが、日常生活では、子どもとの関わりをとても大事にしましたし、発達する過程によって、彼が「die strablende Intelligenz des Kindes」、すなわち、子どもの輝く知性と呼んだものから、何をもたらすかを、非常に悲しんで記している。そして、私どものように、子ども達の遊び(その遊びには、急性期の情緒的な葛藤で苦しんでいる子どもの患者のものも含まれていますが)を観察してきた者は、子ども達が、独創性と完成度を備えて、ものを見、話し、遊び、活動するのを見ると、心の根っこから湧き上がるような喜びを隠そうと思っても隠し切れないものです。その独創性と完全度は、後々の人生においては、創造的な瞬間にしか回復できないものなのです。そこで、私が認めるべきなのは、子ども達と仕事をすると、一種の創造的な信念を強めることがある、ということです。その信念とは、すなわち、子ども達の遊びの本質には、最も深い意味で治癒力がある、ということです。
子どもの遊びの治癒力を証明するには、笑いの治癒力の証明同様、学際的な研究が必要でしょう。しかし、子どもの遊びを臨床でしていると、「これはほんとだ」と思う瞬間に、繰り返し繰り返し出くわすことになるので、「子どもの遊びには、最も深い意味で、治癒力がある」という信念がそのたびに強まるのです。子どもにとってのみならず、臨床に関わる私どもにとっても、こんなに幸せな時はありません。
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