序文 儀式化の概念って?
今日から、Toys and Reasonsの序文を翻訳します。さっそく翻訳します。 この本は、ゴドキン講演に基づいています。私はハーバード大学で1972年、「遊び、ビ...
「風が吹くと、桶屋が儲かる」。そう言われれば、こじ付けと思われるかもしれません。安倍晋三首相が「集団的自衛権」を正当化するために、いろんなありえないケースを妄想している話ではありませんよ。
小さな変化は、普通は気が付きません。たとえ気がついても、「大したことではないだろう」、「その内なくなるだろう」と思われがちです。学問の世界でも、この世間の常識がかつては有効だったようです。しかし、「バタフライ効果(butter effect)」ということを聞いたことがありますでしょうか? これはまさに「風が吹くと桶屋が儲かる」類の話が現実にある、ということだそうです。「アマゾンを舞う1匹の蝶の羽ばたきが、遠く離れたシカゴに大雨を降らせる」という、一見因果関係のなさそうなことに、実は別の関係が生じることを意味しているのだそうです。カオス理論、複雑系などと言われることがあるようです。自然現象は、まさに単純な因果関係では説明し尽すことができない、複雑な現象なのでしょう。
今日のエリクソンは、「人間の楽しさ」が一人の人の中で育つことと、人類の進歩の中で育つこととが結び付いていることを指摘しています。これがカオス理論かどうかはともかく、それを結びつけるのが、「日常生活の礼拝」だ、というのが、エリクソンの指摘です。フロムが引用していたタルムードの一説「誰でも一人の命を救うものは、全世界を救うに等しい。誰でも一人の命を殺すものは、全世界を殺すに等しい。」ともちょっと似ていませんか?
子どもとやり取りする中には、実にビックリするほどの楽しさが詰まっています。それだけで私は、そのやり取りは十分に価値がある、と考えます。しかし、実際はそれだけではない、というのがエリクソンの主張でしょう。子どもとやり取りする中で、楽しさが「できた!」とともに現れると、それは人類の歴史の中に、楽しさが「できた!」ということになります。一つの楽しさが、人類史の楽しさに繋がっているのです。
私どもひとりびとりは、「できた!」の楽しさ、という小さなサザナミ、羽ばたきを巻き起こす、一匹のチョウになりましょうよ。チョウがチョウ(兆)の波を起こすのかもね。
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