エリクソンの小部屋

エリクソンの著作の私訳を載せたいと思います。また、心理学やカウンセリングをベースに、社会や世相なども話題にします。

#一層自由になる = #一層善くなる

2019-03-15 05:39:27 | ヴァン・デ・コーク教授の「トラウマからの
 
#発達する自由 #ズタズタ #子どもの暴力
 現世考: いまこそ,原発廃止とアベちゃん辞職へ,立ち上がる時    物を書くのも「無」の境地?   叡智の源  闇から闇へと渡る渡を見たら、どんなに感動するこ......
 

 

「発達トラウマ障害」Enpedia と 
 発達トラウマ障害を英語で・英訳 ‐ 英和辞典・和英辞典 Weblio辞典

 をご参照ください


 ヴァン・デ・コーク教授の  The body keeps the score : brain, mind, body in the healing of trauma 『大切にされなかったら、意識できなくても、身体はその傷を覚えてますよ : 脳と心と身体がトラウマを治療する時どうなるか?』
 第19章。「応用神経科学:恐怖に急き立てられた心を脳にもう一回繋ぎ直す/コンピュータ関係工学」から。p.329,第4パラグラフ,下から5行目途中から。その前のP.329初めからも,ご一緒に。

 

ニューロフィードバック,PTSD,悪い習慣


 重度のトラウマを負わされた人の,おおよそ3分の1~2分の1の人が,薬物乱用になります。ホメロスの時代から,兵士は痛みやイライラや落ち込みを忘れるために酒を飲みます。ある最近の研究では,交通事故の半数は,薬か酒をやっていたからだといいます。アルコールの飲みすぎは,不注意に繋がりますから,またトラウマを負う機会を増やします(暴行されたときに飲んでいたら,PTSDにはなりにくいですが)。

 PTSDと薬物乱用との間には悪循環があります。様々な薬や酒はトラウマの症状を一時和らげますが,症状がなくなりますと逆に,過覚醒が増大しますから,悪夢,フラッシュバック,イライラが増します。この悪循環を断つ方法は,2つだけです。EMDRのような方法で,PTSDの症状を治す方法と,PTSDのよる症状であり,薬と酒を止めることによる症状である過覚醒を治療する方法です。ナルトレキソンみたいな薬を処方することは,過覚醒に効く場合もありますが,この薬を使うやり方が役に立つのは稀ですね。

 私が最初にニューロフィードバックをした女性の1人は,長くコカインをやる悪い習慣がありました。また,子どものころに,身の毛もよだつような性的虐待にもあい,捨てられたのでした。驚いたことに,この女性のコカインを使う習慣は,最初の2回のニューロフィードバックの後,きれいさっぱりなくなりましたし,その後,5年間関わりを続けても,コカインを止めています。重度の薬物乱用がこんなに短期間に治ったのを見たことがありませんでしたから,参考のため,関係論文に当たってみました。薬物乱用に関する様々な研究のほとんどは,20年以上以前のものでした。悪い習慣を治療するニューロフィードバックの最新研究は,少なくともアメリカでは,ほとんど出ていません

 解毒をし,アルコールや薬物の治療をしたと認められる人でも,その75~80%は再発します。ぺニストンとカルカスキーの別の研究によれば,その研究は,アルコール依存症とPTSDの両方に診断された退役軍人達に,ニューロフィードバック訓練をした効果を見た研究ですが,この再発の課題に焦点を当てました。15人の退役軍人が,アルファ波・シータ波訓練を受けて,コントロール群は,ニューロフィードバック訓練はせずに,一般的な治療をしました。研究に協力してくれたこの退役軍人たちは,その後3年間定期的に追跡調査されて,ニューロフィードバック訓練を受けた15人の内,8人がお酒を完全に止めて,1人がまた飲んで,具合が悪くなった後,再び飲まなくなりました。ニューロフィードバック訓練を受けた人の大部分が,うつが軽くなりました。ベニストンが言う通り,この変化は,「一層温かい心になり,一層筋道立てて考えられるようになり,一層気持ちが安定し,一層人との関係に勇気が持て,一層自由になり,一層満足するようになりました」に伴って報告されたものです。

 

  エリクソンとヴァン・デ・コーク教授が打ち合わせをしたわけではないのに,「一層自由になる」という点で一致します。しかも,一層自由になることで,人は善くなる点でも一致します。

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