フロイト理論は時代の要請。時代の精神に合致していると同時に、時代の縛られるきらいもあります。
p84下から5行目途中から。
経済学者たちは、資本主義が負けず嫌い、お互いも嫌い合うことで満ちていることを、経済的に得することに対して飽くことのない欲望があるという点から「証明」し、ダーウィンが「適者生存」と言う生物学の法則の点から、同様に証明した一方、フロイトは、男は、あらゆる女性を性的に征服したいという飽くなき欲望によって駆り立てられているし、社会の圧力によってのみ、人はその欲望を抑えることになる、という前提によって、同様な結論に達しました。その結果、人はお互いに嫉妬深くなること必定でして、お互いに嫉妬深くなり、負けず嫌いになります。それは、嫉妬深く負けず嫌いになるような、あらゆる経済的な理由、あらゆる社会的な理由がなくなっても、人は嫉妬深く、負けず嫌いなままなんですね。
いったん資本主義が走り出すと、人はおしなべて、嫉妬深く、負けず嫌いになる、というのがフロムの主張です。実に的を射た話でしょ。すぐに人と自分を比べるからなんですね。資本主義は比べられる価値だけを強調するからでもありますね。お金、財産、土地、地位、着てるモノ、持ってるブランド…。
それは、比較できない価値を忘れているだけなのにね。
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