エリクソンの小部屋

エリクソンの著作の私訳を載せたいと思います。また、心理学やカウンセリングをベースに、社会や世相なども話題にします。

社会病理の温床

2015-09-04 05:47:20 | エリクソンの発達臨床心理

 

 

 「お互いに価値を認め合う」範囲が広ければ広いほど、「仲間」になれるメンバーが増えます。すると、反社会的な行動をする人も、自殺や引きこもりが減ります。日本で、無差別殺傷事件が後を絶たないのも、犯罪を繰り返す人が多いのも、あるいは、毎日1000人の人が自殺しようとしたり、100万人以上の人が引きこもったり、毎年9月1日に1000人の子ども(18才未満)が自殺しようしたりするのも、この「お互いに価値を認め合う」範囲が、日本では極端に狭いからです。

 The life cycle completed 『人生の巡り合わせ、完成版』、p72の新しい章の第2パラグラフから。

 

 

 

 

 

 自分を確かにさせることの真逆が、上手く自分を確かにさせることができないことです。上手に自分を確かにさせることかできないことは、よくあること、というだけではなく、必要な経験なんですが、心の病からくる引き込もりによって悪化したり、あるいは、心の病による引きこもりをますます悪化させたりする、核になる障害を引き起こすものです。

 

 

 

 

 

 自分を確かにさせることができないでいることは、自分を確かにさせる過程においても、必要です。自分を確かにされた人で、かつて、自分を確かにさせることができない時期を経験したことのない人など、1人もいませんよね。

 しかし、やはり「お互いに価値を認め合う」範囲が狭い社会ほど、自分を確かにさせることが困難ですから、長期に自分を確かにさせることができない人が増え、ひきこも人や社会病理も増える、という訳です。

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