ヴァン・デ・コーク教授の The body keeps the score : brain, mind, body in the healing of trauma 『虐待されたら、意識できなくても、身体はその傷を覚えてますよ : 脳と心と身体がトラウマを治療する時どうなるか?』
6章。「身体を失くすと,本当の自分も失くすよ」,p.93,第2パラグラフから。
幼い時にトラウマを負わされた18人の脳画像は,PTSDの18人の患者さんの脳画像と対照的で,ビックリするほどでした。脳の自意識の部分が,ほぼ全く働いていなかったからです。すなわち,内側前頭前野(MPFC)[訳注:自分の監視塔],前帯状皮質(anterior cingate)[訳注:いろんな気持ちと考えることを一纏めのする所],頭頂葉皮質(parietal cortex)[訳注:感覚情報を一纏めにする所],島(insula)[訳注:内臓から感情の中枢にメッセージを繋ぐ所]が全く光っていなかったんです。ほんの少し活動していたのは,後帯状皮質(posterior cingate)くらいでした。ここは,空間の根源的な向きを教えてくれる所です。
自分が生きていることを実感する部分の脳が変異を起こして,その脳がうまく働かなくなっているのですから,発達トラウマ障害の人は,自分の立ち位置の向きは少し分かるくらいで,自分の気持ち,考えること,身体,体感がないのが普通です。生きている実感がないというだけではなく,不安と自己嫌悪がつよく,恥と激しい怒りを抱えている場合がほとんどです。
発達トラウマ障害の子どもも,青年も,大人も,発達トラウマ障害のことがよく分かっているサイコセラピストやボディーワークのインストラクター等が,サイコセラピーやボディーワークを時間をかけて行わない限り,発達トラウマ障害のことは耳にしたことさえないのが普通の児童相談所のケースワーカーや心理判定員が「指導」したくらいでは,到底治療できません。しかも,児童相談所のケースワーカー等が発達トラウマ障害のことを知っている人も,ほとんどいないんです。現在の児童相談所では,発達トラウマ障害のある子ども,青年,大人,両親のケアは,絶望的です。
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