エリクソンの小部屋

エリクソンの著作の私訳を載せたいと思います。また、心理学やカウンセリングをベースに、社会や世相なども話題にします。

小学校一年生の道徳性 > 親・教員・心理士の道徳性

2015-02-15 06:07:40 | エリクソンの発達臨床心理

 

 河合隼雄先生の『子どもと学校」(岩波新書 新赤版212)に、「小学校一年生の道徳性は、…相当高い」という記述があります(p165)。河合先生の他の本もそうですが、本当のことが率直に語られていて、実に爽やかな読後感であるとともに、すぐには答えの出ない課題を眼の前に突きつけられる感じで、身が引き締まる思いを何時もしています。この本も実にそんな感じの本ですね。

 その一例として、小学一年生の詩を3篇、河合先生は取り上げます。その1篇をここに引用しておきます。

「やくそくをまもること

               たけだ のぶたか

 「にんげんはなんとしることははやく

 おこなうことのおそきものだろう」

 ― ゲーテ

 というのカレンダーにかいとった

 おとうさんがよんでくれた

 ぼくなんのことかさっぱりわかれへん

 おとうさんが

 「やくそくをしたら まもらなあかん

 じぶんがしたことせきにんもたなあかん」

 とおしえてくれた

 ほんでもなんのことかわからへん

 おとうさんもまもれんことが

 いっぱいあるのに」

 身が引き締まりますよね。子どもとの約束を平気で破る人ほど、子どもには「約束を守りなさい」と言うものですからね。自分のことは棚に上げて、子どもに言っている人は、親にも教員にも心理士にさえ、とっても多い。「社会の中で生きることは、ウソやゴマカシがあっても仕方がない」、さらには、「仕事上のウソとゴマカシは、仕事のうち」と割り切って生きてる人も、今の日本では、ごまんといますもんね。

 たけだ のぶたか くんは、そんな大人よりも、はるかに道徳性が高いことが分かります。

 ですから、今文科省が推し進めている道徳の教科化の動きそのものが、小学一年生の道徳性の高さについて、どれだけ考え尽したものであるのかな? と私は考えますね。

 それから、わが安倍晋三首相には、たけだ のぶたか くんから、その道徳性を最初に学んでもらいたいと思います。

 

 

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