河合隼雄先生の『子どもと学校」(岩波新書 新赤版212)に、「小学校一年生の道徳性は、…相当高い」という記述があります(p165)。河合先生の他の本もそうですが、本当のことが率直に語られていて、実に爽やかな読後感であるとともに、すぐには答えの出ない課題を眼の前に突きつけられる感じで、身が引き締まる思いを何時もしています。この本も実にそんな感じの本ですね。
その一例として、小学一年生の詩を3篇、河合先生は取り上げます。その1篇をここに引用しておきます。
「やくそくをまもること
たけだ のぶたか
「にんげんはなんとしることははやく
おこなうことのおそきものだろう」
― ゲーテ
というのカレンダーにかいとった
おとうさんがよんでくれた
ぼくなんのことかさっぱりわかれへん
おとうさんが
「やくそくをしたら まもらなあかん
じぶんがしたことせきにんもたなあかん」
とおしえてくれた
ほんでもなんのことかわからへん
おとうさんもまもれんことが
いっぱいあるのに」
身が引き締まりますよね。子どもとの約束を平気で破る人ほど、子どもには「約束を守りなさい」と言うものですからね。自分のことは棚に上げて、子どもに言っている人は、親にも教員にも心理士にさえ、とっても多い。「社会の中で生きることは、ウソやゴマカシがあっても仕方がない」、さらには、「仕事上のウソとゴマカシは、仕事のうち」と割り切って生きてる人も、今の日本では、ごまんといますもんね。
たけだ のぶたか くんは、そんな大人よりも、はるかに道徳性が高いことが分かります。
ですから、今文科省が推し進めている道徳の教科化の動きそのものが、小学一年生の道徳性の高さについて、どれだけ考え尽したものであるのかな? と私は考えますね。
それから、わが安倍晋三首相には、たけだ のぶたか くんから、その道徳性を最初に学んでもらいたいと思います。
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