発達トラウマ障害(DTD)=愛着障害の子ども。ヴァン・デ・コーク教授の The body keeps the score : brain, mind, body in the healing of trauma 『虐待されたら、意識できなくても、身体は覚えてますよ : 脳と心と身体がトラウマを治療する時どうなるか?』p.173, エピグラフから。
第11章
暴かれた秘密 : トラウマを負わされた記憶,という課題
奇妙なのは,全ての記憶には,2つの性質がある,ということですね。記憶は,いつもは静かな感じです。つまり,それが記憶の一番目立つ特色です。記憶が実際には静かな感じではない時でさえ,記憶には静かな感じがある感じです。記憶は足跡も立てない亡霊でして,その亡霊は,顔と仕草で,無言で静かに,語りかけてきます。その静かさそのものが私を悩ますんです。
― エリッヒ・マリア・レマルク『西部戦線異状なし』
記憶は,意識してアクセスしなければ,思い出しませんね。それが普通です。ところが,トラウマにまつわる記憶の場合,強烈な感情,たとえば,恐怖心,激しい怒り,恥,自己嫌悪,他者嫌悪,悲しみ…などがくっついて,無意識の落ちているので,意識とは独立して,自律性を持ってしまうのが厄介ですね。
発達トラウマ障害(DTD)の場合も,無意識に落っこちている,激しい感情付きの記憶を,安心して表現できる場をサイコセラピーの中に作り出すことが大切です。さらには,身体が,激しい怒りや恐怖心を感じるだけじゃなくて,陽気で楽しい感じや落ち着きとも結びついていること,身体が陽気で楽しい感じや落ち着きも味わえることを,体験的に人格的に理解することが何よりも大事になります。
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